竜也語り

2004年11月27日(土) 応援するという難しさ

昨日、ぺ・ヨンジュンさんのファンの人達がケガをしてしまったそうだ。物凄い来日フィーバーで…とうとう起きてしまったか…。第三者、とかく男性は皮肉の1つや2つも言いたいところだろうが、同じように一俳優のファンでおまけに「竜也日記」なんてものを書いている私はどちらもただただ気の毒だった。

宿泊ホテルへ押しかけてしまうファンの人達の気持ちもわかるのだ。まぁ私はあの巨大な群集の塊に恐怖を感じてしまう方なので、実際にその場所へ出掛けて行くことはないだろうが…。特に相手が外国人である場合はやはり一目だけでも本人を見たいだろう。来日なんてことは年に1度や2度あるかないかだ。千載一遇のチャンスなのだ。こんな時私は舞台をやってくれる竜也くんのファンで幸せだと思う。
「自分がこの場でこうして居られるのもファンの人達のおかげ。そんなファンを追い返すことは出来なかった」と言うぺ・ヨンジュンさんの言葉にも私は特別彼のファンでもないが感動してしまった。彼はそんなファンの人達と目だけでも挨拶を交わせたらと当初予定されていた裏口からの脱出に代わり、正面玄関からの外出を強行した。様々な出来事が全て裏目に出てしまってああなったのだ。謝罪会見を悲痛な表情で行っているぺ・ヨンジュンさんを見ていたら可哀想でこちらまでウルウルしてしまった…。きっと竜也くんがもし…なんてどうしても重ねてしまうのだと思う。

芸能人を応援すると言う行為は時に難しいこともあるし、その判断に迷うこともある。自分もあまり応援するという行為に酔ってしまい竜也くん本人はもちろん、人様に迷惑をかけないように気を付けよう。竜也くんに公の場であんな哀しい顔をさせてしまってはいけない。
今回の件は人ごとではないだけに何だが考えさせられてしまったな…。


******************************

今日Daの方から来年のカレンダー到着!このサイズは保存するには便利だが、いざ壁に貼ってみるともしかしたら少し迫力に欠けるかも知れないな。まぁ竜也くんのカレンダーなら何でもOKなんだが…(汗)
特典の生写真。濡れた白のシャツで素敵なのだが、随分と竜也くんが端っこに写っているような…もうすぐで切れそうだよ…



2004年11月26日(金) 愛猫の想い出

11月は我が家で飼っていたネコの命日である。とは言っても正確な日にちは忘れてしまった。もう何年になるだろうか…覚えているのは11月のある土曜の曇った日ということだけである。
そのネコが我が家にやって来たのは私が高校生、弟がまだ小学生の頃だ。何処からか迷ってきたらしく、近所でうずくまっているのを弟が拾ってきた。もう大人だった。少なくとも生まれてから1年は経っているようなネコだった。両親は正直困り果てていたがそのネコがどうも具合が悪そうだったので、取りあえず面倒をみた。3日間何も飲まず食べずでもしかしたらこのまま死んでしまうのではないかと心配したが、4日目の朝ニャーニャー鳴いて食べ物を要求してきた。すっかり元気を取り戻したそのネコは家から出しても出しても戻って来てしまうのだ。当人にしてみれば「いい所が見つかったぞ。このチャンス逃してなるものか」という思いだったのだろう。三毛猫と何かトラみたいな模様の混じり合った文字通りの駄猫だ(笑)。そのネコを「ミー」と名付けた。なんのひねりもない名前で、このことからもいかにこのネコが当初我が家にとって軽い存在であったかがわかると思う(笑)。

それから2〜3週間後私達は驚愕の事実を知った。なんとミーはハランでいたのだ!だから具合が悪かったのだ。ここまで来たらどうすることも出来ずミーはそのまま家で3匹の子猫を産んだ。母と近所のおばちゃんが取り上げたのだ(笑)。たぶん初産だった思う。さて次の問題はその3匹の子猫をどうするかだ。いくらなんでも4匹は飼えない。そこで弟と2人で画用紙に「可愛い子猫差し上げます!」という文字と下手くそな絵を描いてそこら辺の電信柱に貼ってまわった。宣伝の効果がありじきに3匹とも里子に出すことが出来た。ミーは暫く子猫達を捜していたが、その内に忘れてしまったようだ…。この出産騒ぎの後両親が慌ててミーを手術してもらったのは言うまでもない。

このミーは我が家で初めて飼ったペットになるわけだが、最初の頃とは打って変わり私達家族4人はそれはそれはミーを可愛がった。まさに猫可愛がりだ。家の中でも外でもミーに遭遇すれば必ず「ミーちゃ〜ん♪」と甘い声を出してなでなでしてやったし、サキイカや刺身などをミー様のお口の大きさに合わせてわざわざ細かく切ってやったりもした。もちろんコタツの真中でミー様が寝ていたら皆遠慮して足を縮めていた。家族全員でこれをやっていたのだ。たまに遊びに来る親戚連中は呆れていた。そしてその結果ミーはとっても我儘で過保護なネコとなり、1人で留守番もままならないようになった。なるたけ家族の中で1人は家に居るように調整し、4人全員が重ならないように出かけていた。こんな状況が19年間続いたのだ。今から考えるとよくやっていたなぁ…と我ながら感心する。
その19年間の間に家族の状況は随分と変わった。私もOLになり、家を出たり戻ったりとわけのわからないことをやっていたり、弟も小学生から社会人となった。そうだ父の入院なんてのもあった。ミーはそんな我が家の喜びも悲しみも全て共有してきたのだ。

人間が歳をとるようにミーも歳をとった。晩年の頃はもう足もすっかり弱くなり耳も聴こえなくなっていた。臨終する1週間前は何も食べなくなってしまった。医者へ連れって行っても「どこも悪いところは無いんですよ。もう寿命ですから…。このままお家で静かに看取ってあげて下さい」と何の処置もしてもらえなかった。そしてその日がやって来た。土曜の朝ミーは一生懸命鳴きながら私達に何か訴えるのだが、衰弱してその鳴き声は無声の吐息だけで声になっていなかった。どうも外へ出たようなのだ。こんな状態でと心配したが、もしかしたらトイレかも知れないと玄関から出した。ヨタヨタと道を歩いて行く後ろ姿を見たのが最後となった。それから待っても待ってもミーは帰って来なかった。夕方になって母と私はそこら辺を捜しまわったが、その時近所のおばちゃんが言ったのだ「死ぬ姿を見せたくなかったから出て行ったんだよ。それを捜しちゃ可哀想だよ…」その通りだと思った。そして私達は諦めたのだ。父はその日の夜、弟は次の日の夜ミーの死を知った。2人とも「そうか…」と呟いただけだった。

私は友人や家族にも話せないことをこっそりとミーに話したものだ。嬉しいことも悲しいことも恥ずかしいことも。ミーはじっと私の目を見て聞いていた。ある意味ミーが一番私のことをよく知っていたのかも知れないな。もしかしたら父も母も弟も…ミーだけにこっそりと話をしたことがあったかも知れない。ミーはそんな家族の秘密を全て自分の胸にだけしまって逝ってしまった。
あれ以来我が家ではペットを飼っていない。その代わりツバメがやって来たが…。これからももう2度とペットは飼わないつもりだ。ミーが最初で最後の我が家のペットとなった。あれだけ可愛がったペットの命日を正確に覚えていないとは何か薄情のように思われるかも知れないが、私はペットはそれでいいと思っている。生きている間だけこちらは精一杯愛情を注ぎ、向こうも精一杯愛情を返してくれる。人間とペットの絆とはそれで十分だと思っている。



2004年11月23日(火) 「新選組!」番外〜沖田総司というロマン〜

昨日TVステーションの発売日だったので「お日柄…(54)」を読んだ。
例のごとくお悩み相談であったので、竜也くんの「今」は分らずじまい。
そのお悩みの中にこんな内容のものがあった。
「私は沖田総司が本当に大好きなんです。恋です。私ってヘンなんでしょうか?」というようなものだ。
漠然とではあるが、この気持ち、分るような気がする。

沖田総司と言えば、新選組の隊士の中で一番人気があり、特に女性に人気があると言う。
今でもバレンタインデーになると、彼の墓には膨大なチョコレートが贈られてくるそうだ。
この話を知った時は正直驚いた。何せ相手は百年ほど前に生きていた人なのだ。
…ロマンですな。

何故彼はこんなにも私達を魅了するのか・・?
考えられる理由
・無骨なまでに真っ直ぐに剣の道に生きた、その職人気質。
・おまけに剣の達人という強い男。
・両親が早く他界したため、殆んど親の愛情を受けられなかった可哀想な子供時代。
・女遊びは殆んどせず、町医者との純粋な悲恋。(←これは事実なのでしょうか?)
・明るく陽気で冗談を言い、あの時代には珍しく政治的野心を持たなかった性分。
・その道半ばにして病に倒れ、若くして生涯を終える。

以上のことが全て事実であったかどうか定かではないが、私の知識において、こんな沖田総司像が出来上がる。
そして、これらのイメージを全てロマンに変えてしまうのが、「いい男」という眉唾ものの伝説だ。
これが事実であったのか…怪しい・・非常に怪しい…。
聞けば「色は浅黒く、ヒラメ顔」という話だが…。
まぁそれは置いといて、よって沖田役を演じる俳優は、大抵は若手の二枚目俳優となるのだ。
竜也くんだって例外ではない。
俳優にイメージを重ねなくとも、皆それぞれ自分の頭の中で創り上げた沖田総司がいるのだと思う。
剣の達人で純粋で、それで若くして病死してしまう…
しかもそれがいい男なのだ!これ以上の悲劇があるだろうか!?
そんな沖田は、私達の胸を締め付けて止まない…。

しかし、これで彼の写真が残っていたら・・どうなっただろう?
墓に毎年膨大な量のチョコレートは贈られてきただろうか?
女性の宇宙規模なる無限大の想像力は切断され、「気の毒な方だったのねぇ」で終わってしまっていたかもしれない。
事によっては、お笑いタレントが沖田役を演じるのがスタンダード、なんて現象も生まれていたかもしれないのだ。

とは言っても、「いい男」を抜きにしても、沖田総司の生き様には魅力がある。
これは事実だ。証拠に男性ファンだって沢山いる。
ただ、「いい男」のイメージが沖田人気に拍車を掛けているのも事実だと思う。
没して100年経ってもなお、墓に花が絶えない…。
死んでしまった後だから本人はわからない、と言ってしまえばそれまでだが、
それでもやはり、これは人間として幸福なことではないのだろうか?
もしかしたら、純粋に剣の道にその命を燃やした薄命な一人の青年に対する、神様の思し召しなのかもしれない。
きっとそれを受けるのに足りる・・そんな青年だったのだと思えてならない。

ところで、TVステーションをに「新選組!」親衛隊というシリーズが掲載されている。
そこに聞き捨てならないことが書いてあった。
今回のシリーズは近藤の死を持ってドラマの幕が閉じるらしい。
従って総司の臨終は、番組の歴史コーナーで紹介するだけだと言うことなのだ。
…嫌じゃ!嫌じゃ!そんなの嫌じゃーっ!!
総司の一番の見所は、やはり臨終のシーンではないのか!?
藤原総司がどう演じてくれるのか楽しみにしていたのだ。
それなのに…あぁ、それなのに…(大泣)

(2004,04,29記)



2004年11月22日(月) 「新選組!」エピローグ〜総司のいない日曜日〜

今週の日曜日の夜8時はぽっかり穴が開いたようだった。この1年間殆んどその時間は「新選組!」を見る習慣になっており、体のリズムがそうのようになっていたのだ。あっ、そうか、今週からはないんだな…棚の上にあたりまえのように整然と並べられた物の1つがぽこんと抜けてしまったような、何とも居心地の悪い気持ち悪さだった。

思い起こせば「新選組!」が始まる前年の2003年、竜也くんのテレビ出演は殆んどなかった。恐らくまともな出演はバラエティー番組の1〜2本位だったように記憶している。「オイル」「BR2」「ハムレット」と濃い内容の仕事はしていたが、何せテレビ出演がないものだからその存在が薄くなっていくように感じてしまったし、何よりもファンとしてはやはり寂しさがあった。
そして2004年1月、「新選組!」がスタートしたのだ。何と大袈裟なと思われるかも知れないが、番組が始まって音楽が流れる中、冒頭のキャスト名に主役の香取さんの次に「藤原竜也」という文字が現れた時は、嬉しさで涙が出そうになってしまった…(汗)。ファンもとても期待していた竜也くんの沖田総司。当初は竜也くんの月代に不安とも不満とも形容し難い心の揺れ(笑)があったが(←ぶっちゃけ私もその一人だった)、そのうち誰も何も言わなくなった。後半の月代総司は心底美しいと思ったくらいだ。竜也くんの月代が板についたと言うか、すっかり見慣れたと言うか…1年とはそれ程の長さなのだ。藤原総司もしかり。前半は余りにも既存の沖田総司のイメージとかけ離れ、また竜也くんの演技も今にしてみればまだ未熟な総司に合わせていたのだと感じるが、どこからともなく多少の不満も出ていた。しかし後半の藤原総司は見せてくれた。1年を通してやっとどうして竜也くんでなければならなかったのか…その意図が理解出来たような気がする。

物語においては数々の名場面があったが、私が一番印象に残っているのは、意外にも山南切腹の次の週のあのドタバタだ(笑)。物語の本筋から離れた1話だったが、あの変わり身の早さは爽快だった。まさに「ここに三谷あり!」という感じだった。そうなのだ。泣いても1日、笑っても1日。同じように時は過ぎていってしまう。だったら悲しみは引きずらず明るく生きていきたい。決してその人を忘れてしまう訳ではないのだから。

さて、いつもならこの日記の週の前半は「新選組!」のことを書いていたのだが、それが終わってしまった。少し余韻に浸ったら、何時になったら完成するのかまるで見越せない(笑)「黎明前」を少しペースを上げて書いていこう。特に映像の方を…。そして「お日柄…」が中途半端なところから書き始めているので、vol.1〜vol.49まで、ちょっとずつ書いてみようかなぁ…と考えている。



2004年11月21日(日) 「新選組!」第48・最終話

●第48話「流山」

鉄の結束を誇った新選組のメンバー達も皆散り散りになり始めた。永倉は死んだと思った市川と合流。原田は家族の待つ京へ向った。そして総司は1人で江戸で療養中だ。勇と歳三は勝から江戸から立ち去るよう命令され、残った隊士達と供に流山へ向う。しかし流山で駐屯する勇達を怪しんだ新政府軍は薩摩の有馬を探察に向わせた。屯所を隈なく探った有馬だが、捨助の思わぬ機転にも助けられ事は好転したかのように見えた。しかし最後の最後に「誠」の旗が有馬の目に飛び込んできた。この時もう大久保大和と名乗る人物が近藤勇であると気付いたようだが、有馬はあえて勇を大久保大和として扱い勇の真意を尋ねる。帝を利用し幕府を裏切った薩摩のやり方がどうしても許せなかった…正義は我らにあり、と堂々と語る勇に有馬は感服したようだった。これで一件落着のように思われたが、有馬の隊の者に京に在住していた人間がおり、そこでどうしても勇は新政府軍の陣に出頭せねばならなくなってしまった。勇は潔く身分を明かし切腹を選ぼうとするが歳三はそれを許さない。死ぬ気で嘘をつき通し生き延びろと必死に説得する歳三。もう武士の時代は終わったのだ。武士の魂を貫くよりも、ここまで自分を信じてついてきてくれた同志のためにも、そして新選組の名のもとに散っていった同志のためにもここは生きる道を選ぶべきだと思う。そして勇は決意した。大久保大和として生きることを。

新政府軍の厳しい取り調べにも屈しない勇。有り難いことに有馬も勇の味方のようだ。しかし不運にも新政府軍の中にかつて新選組に在籍していた者がいた。加納だ。取調室で対峙する2人。加納は目の前の人物が近藤勇であると暴露することを迷っていたようだった。もうこれまでと思ったのか、加納の気持ちを察したのか…勇は口元に微笑を浮かべ言った。「加納君、お久しぶりです。」この言葉を聞き加納は勇の気持ちを汲んだようだった。「ご無沙汰しております。局長。」と両手をついて深深と頭を下げた。かつては志同じく一緒に戦った…偽りのない同志の姿だった思う。いくつもの別れがあった48話だった。

□48話の総司□
勇が総司のもとを尋ねてきた。やっとの思いで床から起き上がる総司。メークも凄まじかったが、それよりも痩せ細り…もう病状も末期の様相を呈してきた。自分達が流山へ行くことを報告し、今度また徳川の時代になったら総司の天然理心流5代目の襲名式をやろうと笑顔で話す勇。それを受け嬉しそうに話しに乗っている総司。「いつかやろうね」その“いつか”なんて二度と来ないことをお互い十分分っていてもそんな話をすることが私にもあった。そして決してその日がやって来ないとは決して口には出さないのだ。どうして人間はこんなことをするのだろう…。慰めあっている…と言うのとは少し違うような気がする。やはりそこには一縷の望みとはまた違った前向きな気持ちが存在していると思うのだ。これもどんな状況に陥っても再び立ち上がろうとする…人間の持つそんな強さの1つのような気がするのだ。近藤の後ろ姿を見送った総司。これが師匠との今生の別れになると意識していたのだろうか。

その後に今度は斎藤が尋ねてきた。嬉しい驚きを隠せない総司。かすかに色めいた総司の表情がよかった。「いつ頃死ぬんだ?」と何となく斎藤らしい問い掛けにちょっと驚いたように少し間を置いて「夏の終わりぐらいかな」と答える総司。この2人のシーンが総司の完成を物語っているように感じた。刀の時代の終わるその時期に自分は生まれ、近藤先生に出会いそして新選組に一番隊長として活躍出来た。と語る総司は自分の人生に、周りの人間達に、そしてこの世の全てのことに感謝しているようにだった。最後の最後に感謝出来る人生。これはやはり勝利の人生だと私は思う。
「涼しくなる前にまた来る。」斎藤は笑顔で去って行った。もう会えない…諦めのような覚悟のような表情で見送る総司の顔が印象的だった。

***第48話の私のつぼ***
・この期に及んで女に色目をつかっている歳三。変わってない(笑)
・アリを何の悪びれもなく潰している総司…。
・「俺は間違いなく負けていた。」と総司に言った斎藤。この時の斎藤の微笑み。上手かったな。


●最終話「愛しき友よ」
新政府軍に捕われた勇は板橋にその身柄を移され厳しい取調べを受ける。だが勇は自分達に甲州行きを命じた勝の名前を決して口にすることはなかった。有馬はそんな勇に語る「敵方を一時の感情で罰するなんてもってのほか。生きることを恥じてはならない。」私はこんな指導者について行きたいと思った。それでも勇は自分一人で敵方の恨みを一身に受ける覚悟をしているようだったが、豊田家の幼い娘の姿にたまの面影を見たのか、有馬に尽力を求める。
歳三達は勇救出のため奔走するが「土佐、薩長の徳川に対する恨みを勇は全て一人で受ける覚悟をしている。それによって大勢の者達の命が救われる。」と勝に諭され、また勇のそんな気持ちを汲んだのだろう、蝦夷へ渡り最後の幕臣の意地を貫くことを決意する。
有馬に尽力を求めた勇だが事はもう有馬の手におえない事態までになっていた。勇の身元を徳川に照会した新政府軍に対し幕府はそんな人物は自分達とは無関係という立場を取る。こうして勇は切腹ではなく斬首されることになってしまった。新政府軍の名目を保つため犠牲になってもらう…新選組の局長は格好の人物であったように思える。新選組の哀しさはこんなところにもあるように思えた。

土方は多摩の実家の長兄に会いに行く。「何が正しくて間違っていたか…そんなことは百年・二百年先の人間達が決めればいいことだ…」本当にその通りだと思う。人間がその真価を本当に正しく評価されるのは没して何十年も先であることが多い。その人物が正義を貫こうとすればするほど存命中は迫害されるものだ。多くの偉人達がそうであったではないか。
処刑の日、ふでもつねも毅然としていた。そんな時捨助が刑場で一暴れする。せっかく勇が助けようとしたその命…それを捨助は勇のために散らした。勇の気持ちを汲んで勇から敢えて別れ自分の成すべき事をした歳三。最後まで勇に対する自分の思いを貫き勇について行くように死んでいった捨助…。形は違うがどちらも真の友情の姿だと思う。

最後は皮肉にも新選組の隊士達は全く別の場所で迎える。勇と決別した永倉は新しい仲間に勇の正義を訴える。原田は処刑台に向う勇に「新選組は不滅だ!」と檄を飛ばした。斎藤は京へ勇の首を奪回するために向かい、歳三と島田はまだ戦地で戦っている。そして総司は江戸で療養中…皆ばらばらでも己の成すべきことを果たしているようだった。
処刑台で静かに頭を下げる勇。最後の言葉は父でも母でも妻でも娘の名前でもなかった。「トシ…」無二の同志の名前を呟き、そして勇は刑場の露と消えた。

□最終話の総司□
歳三が総司に会いに来た。「皆一緒ですか?」新選組の状況を気にかける総司に、一緒だと歳三は嘘をついた。そんな歳三の下手な嘘を見破った総司のようだが、皆さんによろしくと、その嘘に乗った。「元気でな。」歳三は微笑みながら去って行く。穏やかな表情でそれを見送る総司。また同志との別れだ。これが今生の別れであることはもう二人とも百も承知であるように思えた。私はあんなに強くなれるだろうか。笑顔で別れを告げることが出来るだろうか…。「皆私に会いに来る。別れを言いに。たぶんもう皆一緒じゃないんだ…」総司はどんな思いでこの言葉を口にしたのか。

歳三が総司に教えてやったお孝の大きな前歯。ある時総司自身もそれに気が付き、お孝の前歯を「本当だぁ…かわいい…」と顔を近づけまじまじと見つめ「見せて、見せて〜」と恥ずかしがるお孝を子供の追いかけっこのように追いかける総司。私…このシーン、悲しかったです。お茶目な総司の姿…これが本当に最後だと直感したからだ。
その通りになった。恐らく長州の者達だろう。今更総司を襲いにやって来た。しかし総司の刀はない。まだ剣術の稽古をする総司の身体を気遣ってお孝が植木屋に預けてしまっていたからだ。「お孝逃げろ!」と総司は叫ぶが、お孝は逃げなかった。そればかりか賊の前に仁王立ちになり「この人は一人で、それも病人です。そんな人に何人もよってたかって掛かって来ては男がすたりますよ!」と啖呵を切った。そんな健気なお孝を賊は容赦なく斬りつけ、お孝はあっけなく死んでしまった。植木屋が総司に刀を渡し、一瞬にして総司は相手を次々と斬り倒していく。病身でもまだ剣の腕は衰えていないようだ。しかしこれも総司の最後の雄姿となった。この後すぐ大喀血し、庭に倒れこむ。

勇の処刑の日、総司は床にふしていた。自分の成すべきことは静かにその死を待つことしかない…そんな弱弱しい咳だった。庭や部屋のあちこちに吐血した血が水溜りのようになっている。その血の溜りの中で蟻が一匹もがいていた。そっとそれをつかみ、お孝の供養のつもりだったのだろうか…そのアリを逃がしてやった総司。
姉のみつは江戸にはいなかった。尋ねて来る仲間もいない。そして世話をしてくれるお孝ももういない…。薄暗い部屋で、総司は…ただ一人だった。

***最終話の私のつぼ***
・「人間どう死んだがじゃねぇ。どう生きたかだ。」勝のこの言葉のように自分の信じた道を精一杯生きた隊士達。私もそうでありたい。「新選組!」に感謝!



2004年11月20日(土) 「新選組!」第46・47話

●第46話「東へ」

伏見で惨敗に帰した新選組は勇が待機する大阪へ向う。同じ頃戦で敵方に重症を負わされた佐々木が瀕死の状態で大阪城に運ばれてきた。江戸からの援護を待ち、慶喜の出陣で幕府側の士気を高めるようにと勇に託すが、その慶喜は既に大阪城から脱出してしまっていた。大阪へ向う前歳三は一旦新選組関係の書類の後始末のために京の屯所へ立ち寄った。そして薩長の手にそれらが渡ることを恐れ全て燃やしてしまったが、3年前の新選組がその春を謳歌していた頃の隊名簿だけは懐にそっと忍ばせていた。バツが悪そうにそれを斎藤に見せていた歳三であったが、なにも恥じることはない。未練という思いもあるのだろうが、これから先自分を待っている逆境に対する心の支えになることも確かだ。
しかし長州の手はもう京へ及んでいる。逃げ隠れて脱走の機会を息を殺して窺っている歳三達に八木家の人々が救いの手を差し延べた。彼等の計らいでどうにか京からの脱出に成功した歳三達。八木家の幼い息子が源之丞に尋ねる「あの人達、何か悪いことをしたの?」「悪いことなど何もしていない。」源之丞は答えた。よく考えてみればその通りだと思う。彼等はただ自分達の信念に基づくまま幕府のため、帝のため、そして京の街のために一生懸命働いただけなのだ。しかし何でかこうなってしまった。だから勝負は勝たねばならないのだ。勝ちさえすればただそれだけで全て正当なものとなる。

さて大阪城では勇が永井から慶喜の一件のことを聞かされ愕然とする。隊士達はどうにか勇のもとに帰って来た。勇は松本の勧めもあって海路を渡り江戸へ戻ることを決意する。帰路の途中、街中の通りをダンダラ羽織と着て行進している新選組に対する街の人たちの視線は冷たい。どうやらすっかり新選組は悪者になってしまったようだ。結局京の街を追われた形となって彼等は江戸へ戻った。船上での勇、歳三、総司を始めとする隊士達はそれでも明るいところを見せた。ただ1人、京からの脱出途中で長州の人間に襲われた監察の山崎が静かに息を引き取ったことは除いて…。江戸へ帰って、慶喜のためにもう一度暴れてやる。自分達にまだ活躍の場が残っていると、懸命に希望を抱こうとしていたのかも知れない。しかし当の慶喜は江戸で勝に説得され、隠居する覚悟を決めてしまっていた。

□46話の総司□
相変わらず総司は大阪城で横になっているだけしかない。松本が言っていたように、だった広い病室はけが人で一杯になってしまった。お孝はその人達の世話で大忙しだ。そんなお孝の態度に自分の面倒をみてくれないと松本に愚痴る総司。あらあら、いつもは鬱陶しがっているのに…人間の心理とはまぁ複雑だこと(笑)。

江戸へ帰還する決意を勇が隊士達に表明した時も、何か悔しいげな納得いかない、そんな暗い思いを抱いている隊士達が多い中、「何年ぶりだろ。試衛館、まだ建っているのかな…」と荒んだ皆の心の中に一筋の光を差し込むような言葉を呟いた。船上での総司も明るい。色々な想いがあるはずなのだ本当は。しかしその悔しさも無念さも惨めさも全て飲み込み6年ぶりの江戸へと思いを馳せている。これこそが総司なのだと思う。しかし街中の行進の時、自らの足ではもう歩くこともままならず、車に乗せられ引かれている総司の姿は辛かった。途中ひでが人垣から飛び出して来て久しぶりに2人対面を果たす。ほんの一瞬であったが涙を零さず元気に総司を励ますひで。でも総司のひでを見るまなざしは哀しげだった。本当はひでに自分のあんな弱弱しい姿は見られたくなかったのではないだろうか…?「古い友人だ」とそっけなくお孝に告げたが、それでも名残惜しそうにひでを振り返って見た。あれが今生の別れであった。思い起こせば京での生活においてひでの存在は唯一優しいものであり、総司のわずかな青春らしいものであったように感じる。もしかしたら総司の人生全体においても唯一の青春だったのかも知れない。

***第46話の私のつぼ***
・周斎のマネをする歳三…。でもそれが切なくて…バカ笑いではなく泣き笑いだった…。
・車の上の総司。特にひでとの一瞬の対面で見せた一連の総司の表情。美しくて哀しくて…。
・「ひとたび戦が始まったら、あとは勝つしかないんです。」勝海舟のこの言葉。


●第47話「再会」

慶喜が江戸を去り、官軍を迎え撃とうとする幕府側は新選組に期待をかけるが、江戸を戦火にさらしたくない勝は新選組の名を「甲陽鎮撫隊」と改名させ甲府行きを命じた。新選組は捨て石にされたようだ。勇達を同じように時代を見捨てられた人間がこの時期どれ程いたのだろうか…。勇は勝の本音を悟ったが、勇達に出来ることは甲府で戦うことしか残されていない。そこで勝利し勝の鼻を明かすしか生き残る道はもうないのだ。

甲府へ向う途中、勇達は多摩に立ち寄る。懐かしい顔ぶれは勇達を暖かく歓迎してくれるが、ただ1人お琴だけは歳三に多摩の人達の冷酷な本音を告げる。
多摩で時間をとってしまったため新選組は敵側に先に甲府城を奪われてしまった。背水の陣で挑んだ戦であるが、もう勇達は手も足も出ない。勇は多摩で知り合った菜っ葉隊(?)に援護を頼むよう歳三に向わせたが、歳三のいない間、永倉と勇の間で会津に援護を求める求めないで意見が対立する。話し合いは平行線を辿りとうとう永倉は隊を離脱する。そして永倉と供に原田と数人の隊士もそれに従った。「オレ…あんたに感謝してる」と原田。だったらどうして最後まで勇について行こうとしないのか?結局浪士組以来の仲間は勇と歳三と総司の3人になってしまった。寂しそうに呟く勇に斎藤が熱くなった。「この旗がある限り新選組はなくならない!」と雄雄しく叫ぶ斎藤。これまで一番カッコイイ斎藤の姿だと思った。愛想がよく調子のいいことを言う人間よりも、何を考えているかわからないが無口で無愛想な人間の方が意外と信頼出来るものである。

□47話の総司□
第一線から外れ、江戸でも養生している総司のもとに姉のみつが訪ねて来た。何時ぞや自分が京で出会った隊士達を思い出し「あの人は元気にしてる?」と明るく総司に尋ねるが、殆んどの隊士達はもういない。「あの人ももういません…」と何度も答える総司を見て改めてこれまでの新選組の粛清の過酷さを感じた。
「申し訳ありませんでした…労咳なんかになってしまって…」真面目にみつに詫びる総司の姿にぐっときた。まだ20代の弟に先立たれてしまう姉の気持ちは私は想像出来るつもりだ。病の弟にこんな風に詫びられたら…もうそれは筆舌に尽くし難い思いなのだ。
「京では色んなことがありました……病にかかったことすら私には得ることが多かった。……剣を抜くのが楽しい頃もありました……人の命の重みを知った……だから悔しい。これからなのに。これから本当に近藤先生のお役に立てるのに」総司の成長も頂点に達しようとしているようだ。お願いだからその若さでこんな完成されたことを言わないで欲しい…。どうも人間は与えられた寿命に応じて成長していくらしい。生き急いだような京の5年間だった。

勇達が多摩へ向う時床を抜け出し勇達の前に現れた総司。「以前にもこんな場面があったな」と呟く勇。そうそうあったあった(笑)。まだまだ総司が本当に子供だった頃。三谷さんは心憎い。
さて多摩での総司は楽しそうだった。満面の笑みを浮かべて…しかしこれが総司の最後の幸福な一時になるのであろう。
その夜歳三に稽古をつけると言い出す総司。最初は総司の病を気遣って躊躇していた歳三だが、勇の勧めもあって立ち会った。「かかってきなさい」と落ち着いた声で歳三に向う総司に試衛館の頃の総司の面影は消えていた。

***第47話の私のつぼ***
・洋装の歳三、素敵だった。そしてそれを見た総司の一言…「何だか見てられないんですけど…」
・今になって出てきた島田がつけた偽の大相撲力士の手形。容保も勇達もあの頃は楽しかった…この僅かな笑いの中にもうこの物語が終わりに近づいていることを感じた。
・総司と歳三の最後の稽古。



2004年11月19日(金) 「新選組!」第44・45話

●第44話「局長襲撃」

王制復古に伴い幕府の役職は悉く廃止される。新選組も「新遊撃隊御雇」と名前が変わりその立場は微妙なものになってきた。そんな中勇は佐々木と共に慶喜に接見しそこで今後の幕府の動向について相談される。薩長との戦を主張する佐々木とは反対に、勇は慶喜が朝敵となることを恐れひたすら恭順の姿勢を貫き時を待つべきと献言する。勇の考え方の方が懸命であろう。京の街で勇達が偶然に長州の人間とすれ違う場面があったが、相手はもう身軽な洋装でしかも最新の武器を手に入れている。一方幕府側はまだ戦国時代の甲冑に身を包んでいるのだ。結果は言わずとも知れている。慶喜は結局大阪城へ下ることを決意し、その際新選組は二条城の護衛を命じられる。先行きを心配して島田が呟く。「新選組はなくなってしまうのでしょうか…。私は他にいるべき場所がないので…。」そもそも新選組はそんな連中の集まりなのだ。島田だけではない。だから余計な心配はしないで勇を信じてついていけばいい。もうそれしかないではないか。

二条城では水戸藩の者が傍若無人な態度を取り、新選組のこれまでの京での行いを獅子身中の虫と痛罵した。しかし勇は負けていなかった。自分達の信念を堂々と言い返し相手を黙らせた。この時の勇の態度は立派だった。こんな時に長が相手に言われっ放しになっていたら下の者達が余りにも惨めだ。この一件で永井の計らいにより新選組は二条城の護衛から伏見へと戦いの場を移すことになる。だが二条城の帰り道、御陵衛士の残党から勇は肩を撃たれてしまう。馬から転げ落ちることは何とか耐えたが、馬上でうずくまる勇。香取さんの迫真ある演技だった。

□44話の総司□
これからの新選組の行末を主だった隊士達が話し合っている最中総司は自分の部屋から抜け出し弱々しくやって来る。髪が乱れ目の下にクマをつくり、おまけに痩せ細っていなかったか?すっかり病人らしくなってしまった…。皆にさんざんその無理を戒められ「そんなによってたかって言わなくたってぇ…」といじける姿は昔の総司だった。

ある日療養中の総司を斎藤が見舞う。体力がついて体にいいと言われたからと朝鮮人参(?)を持ってきてくれるが、一体それが何なのか斎藤本人もわかっていない。「知らない物持って来ないで下さい」と相変わらず思ったことを口にする総司(笑)。でも例のごとく悪気はない。「どうやって食べるんですか?」との総司の問いに斎藤の気まずい沈黙…。「あっ、色々やってみますから」と斎藤を気遣う総司に何となくほっとした。斎藤が何故自分をこんなに気にかけてくれるのか不思議に思う総司。「私は斎藤さんのようになりたかった。無駄口をたたかず、与えられた仕事をきちんと遣り遂げる…あなたみたいな剣士になりたかった…」と目を潤ませて話す総司。しかし斎藤は自分のような人間がどうなってしまうのか知っている。人を斬ることを何とも思わなくなった段階の後に来るのは、斬った相手が夢にまで出てくる名状し難い苦悩だ。恐らく総司には自分のようになって欲しくないのだろう。無駄口をたたきまくるお茶目な総司。自分のような心がなくなってしまったような剣士に総司にはなって欲しくなかったのかも知れない。総司が憧れているほど単純にカッコいいものではないのだ。

そんな総司をある日長州の人間達が襲撃にやって来る。その動きを敏感に察知した総司は刀を持って様子を窺っている。この時の総司は剣の達人らしく病身ながらも鋭い視線を見せた。しかしお孝が帰ってきて自分が作った抜け道に素早く総司を向わす。その抜け道を口を開けて驚いて見ている総司の顔にはもう先程の鋭さはない。試衛館時代の子供(笑)。おまけにお孝に早く!と突き飛ばされ抜け穴に無残に転げ落ち、「何だよぉ〜、病人なんだからさぁ〜」とここぞとばかり病人であることを主張し、穴の下から情けない顔で訴えている総司には悪いとは思ったが笑った。なかなか最後までカッコよくキメさせてもらえないね藤原総司は。

***第44話の私のつぼ***
・病床でお孝と「やめろよ〜」と戯れている総司。病気になっても辛い目にあっても総司の本質は変わっていない…。


●第45話「源さん、死す」

幕府側が薩摩の挑発にのりいよいよ戦が始まった。ここでどういう訳か幕府側が賊軍となり薩長側は官軍になる。岩倉が思いつきで作っておいたあの旗1つで何でこうなるのか私には今一つ判らない。幕府側が賊軍となったことで腹を決めかねていた諸藩が悉く薩長側に付いてしまったため幕府側は苦戦を強いられる。新選組もしかり。即席で作ったような塀の後ろで控えている新選組に敵方の鉄砲隊が責めてくる。歳三はこの時もう剣の時代は終わったことを悟る。剣の時代の終わりはそのまま新選組の終焉を意味するのだ。勝算がないとふんだ歳三はとりあえず安全な場所まで退去することを指示。
殆んどの隊士達は無事逃げ通すことが出来たが周平だけは身がすくんでしまいその場所で動けなくなっていた。そこに井上が助けに飛び出した。周平を庇い仁王立ちしている井上の身体に容赦なく敵方の弾が打ち込まれた。瀕死の井上に歳三が泣きながら叫んだ「こんな所で死ぬな。局長も総司もいないんだぞ。」 しかし歳三の願いも届かず井上は歳三の腕の中でそのまま静かに息をひきとった。
源さんらしい死に様だった。決して自分は表に出ず徹底して陰で勇や歳三、そして新選組を支えていた。井上の夢や希望はなんだったのだろうか?勇がその希望だったのだろうか?徹頭徹尾師匠に仕え同志のためにその身を使った。井上という人間は自分よりまず他者ありきだったような気がする。ひたすら他者へ尽くしていく…もしかしたこれが真実の人間のあるべき姿なのかも知れない。井上のような人間が一番尊敬されるべきであり、生き方の手本にされるべきであり、そして一番幸福になる権利があると私は思う。だから源さんにもう一度江戸の空を見せてあげたかった。山南よりも平助よりも源さんの死はこたえた…。「自分の人生こうあるべきなんて思わない方がいい。まずは飛び込んでみるべきだ。」源さんの遺言を私はこれからも心に留めておく。

井上の死に逆上した斎藤が敵方に斬り込んで行き、相手をどんどん倒していく。狂ったように斬り込んでいる斎藤の姿は、蝋燭の火が最後に燃え盛っている光景と重なった。

□45話の総司□
皆に遅れてやっと伏見入りをした総司だが旅の無理がたたりまた喀血したようだ。肩に受けた傷の手当てのために松本良順が控える大阪城に向う勇と供に総司もそれに同行した。「お前に俺の警護をたのみたい。」と勇は総司に申し渡す。「私でいいんですか?」と始めは戸惑っていた総司だが、すぐ「いいですよ」と笑顔を見せた。今の総司に局長警護などという重役が勤まるわけがない。そんなこと百も承知でこんな会話を交わしている2人を見ているのが辛かった。

大阪城に到着し養生している総司の世話をしているお孝にある武士が高飛車な態度で「女は出て行け!」と威嚇する。お孝がさんざんその男に責められている間総司は黙ってボーっとその男の顔を見ていた(汗)。何やってんの?少しは助け船出してあげなきゃ…。松本の正論でその場は治まったが、何か総司って…。

松本が用意した病室を何か落ち着かないから変えてくれと頼む総司。だった広〜い部屋の隅っこに布団を敷いて寝ている(笑)。わかるよ、その気持ち。日本人だね〜。私も広い部屋の隅に布団を敷くクチだ。しかし松本はこれから戦になるからこの部屋はじきにけが人で一杯になるとつぶやく。不安そうに部屋を眺めている総司。総司はまさか源さんがその戦で散ってしまうなんて夢にも思っていない。

***第45話の私のつぼ***
・岩倉。何か面白よ、このおっさん。
・布団からはみ出している総司の足の裏…。



2004年11月18日(木) 「新選組!」第42・43話

●第42話「龍馬暗殺」

新選組は西本願寺から不動堂村に屯所を移した。そんな中慶喜は朝廷に対してあっけなく大政奉還を行ってしまう。所詮薩長や朝廷に政など出来るわけがない、きっと自分に泣きついてくるという甘い読みからのことだった。これで新選組の大義が失われてしまい、歳三は自分達の先行きを心配する。こんな時に理を持って説いてくれる山南や伊東のような人材はもう隊の中には存在しない。新選組は本当に剣客の集まりになってしまったようだ。

一方坂本は大いなる夢に向って相変わらず奔走中だ。帝を頂点に置き、薩摩、長州、土佐の当代をその下に控えさせる。その中心を慶喜にさせるという構想は幕府の永井の心を動かした。坂本の案はこの5者全ての顔が立ち丸く収まるものだ。おまけに戦も回避出来る。しかしどうして人間は権力にこうも執着するのか。坂本の想いは他の者達には通じなかったようである。虎視眈々と坂本抹殺の機会を狙っている。
実際に行動に移したのは見廻り組の佐々木であった。坂本が近江屋に潜伏している情報を薩摩の密告により知る。こういうことだけには団結するのだ(苦笑)。永井から実は坂本が徳川にとって不可欠な人物であると諭された勇は原田と永倉を近江屋に向わせるが、一歩遅かった。
近江屋の佐々木と龍馬の対決シーンは見応えがあった。決して派手な立ち回りではなかったが、俳優としてベテランの域に達しようとしている伊原さんと江口さんの迫真ある目の演技が印象的だった。なにも時代劇は殺陣ばかりが見どころではないのね。静かに声も立てず刀を合わせる二人の顔がとてもリアルだった。

佐々木達が引き上げた後も中岡と坂本は暫く生きていた。「おぬし、どこやられた?」「ワシは頭をやられたから、もう駄目じゃき…」地球儀の方に頭を向け返事をする坂本。果てしない夢を持っていた坂本龍馬。それは決して己の欲望だけに執着した小さなそれではなく、もっと広く深いものだった。あまりの雄大さに他の人間達の理解の粋を超えてしまっていたのだろう。幕末のキラ星が消えてしまった…。

□42話の総司□
以前からくすぶっていた周平と鍬次郎が剣の試合で決着をつけることになった。総司は井上に頼まれ周平に剣の稽古をつけてやる。なかなか音をあげない周平の熱意に答えるように総司も徹夜で付き合う。
試合は見事に周平の勝利に終わったが、それまでの無理が祟ったのか、勝利の喜びも束の間、総司は大喀血してしまった。この時の竜也くんの演技がかなりリアルであったので、私は恐くなってしまった。もし私の側で誰かがあんな喀血をしたら、ただただ私はおろおろするばかりであろう。肺病などというと何か美しい人が儚く患うような病と、ともすれば勘違いしそうだが(事実物語りの中でもそんな設定が多いように思われる)、この自分の愚かな認識を改めなければならない。

喀血の後口を少し開け昏々と眠り続ける総司。この一件で労咳であることが隊の皆に知られてしまった。特に子供の頃からの総司と関ってきた井上は辛そうだったように見える。しかし一番辛いのは総司当人なわけで…。これから総司は自分の運命とどう向き合っていくのだろう。

***第42話の私のつぼ***
・佐々木と坂本の対決。特に伊原さんの目つきが凄かった…。
・「始めっ!」総司の一声。総司は声まで大人になってしまった。
・私の無知を叱咤したような竜也くんの迫真ある喀血の演技…。


●第43話「決戦、油小路」

伊東は尊壌派志士の会合に参加し自身の理念である“大開国策”なるものを説こうとするが、元新選組であるという理由で岩倉から非常に屈辱的な扱いを受ける。伊東のような人間にとってこれは恐らく初めて受けた屈辱ではなかったのではないか…。伊東はそれでもその建白書を今度は大久保に見せ何とか認めてもらおうと努力するが、大久保は伊東に勇を斬るように命じる。自分が世の表舞台に出るために新選組を利用したつもりの伊東だったが、とんだところでその策が裏目に出てしまった。
例により伊東は策をろうして勇暗殺を企てるが、間者の斎藤によりそれは露呈する。斎藤は御陵衛士を出る時に自分が新選組の間者であることを藤堂にだけ打ち明ける。平助は動揺するがすぐに斎藤に剣を向ける。この時の平助の顔は別人であった。いつものどことなく愛嬌のある表情は消えキリリッと剣者の顔になっていたが、あっけなく斎藤にしてやられたようで…。縄で結わかれ気が付いた時の平助の顔はいつもの平助に戻っていた(汗)。

伊東は新選組への使者として平助を選び勇と2人だけで会いたいと申し入れる。平助は伊東の勇暗殺計画をこの時点では知らない。後になってその事実を知るわけだが、伊東が自分に本心を打ち明けてくれないとその失望は大きかった。篠原が先生は平助のために打ち明けなかった、平助を使者にやったのは昔の仲間との最後の時を過ごさせるためと諭したが、伊東はこんなに人のことを思える人間だったのか…?

勇の妾宅で2人は会った。伊東は勇が油断したところを狙うつもりでいる。自分が馬鹿にしていた新選組の世に与える影響の大きさを見抜けなかった伊東。しかし勇は伊東の意見が通らないのは伊東が新鮮組出身者という理由ではなく、薩長の出身者でないからだと告げる。そうなのかも知れない。百姓出身である勇は生まれのことに関してはさんざんと辛酸をなめてきた。そんな勇が説く理想「生まれは問わず誰でも活躍できる世の中」それに伊東は白旗をあげたようだ。この時勇は伊東の暗殺計画を知っていた。しかし命がけの誠意で伊東にあたった。観念だけでいくら策を練り上げてたとしても所詮それは命をかけてきた人間には敵わないのかも知れない。勇の誠意が伊東の策を上回った。

帰り道晴れ晴れとした表情で月を見上げる伊東の背中を鍬次郎の槍が襲った。嘘のように伊東はあっけなく死んでしまった。平助を始めとする御陵衛士達は伊東の仇討ちに向うがそこで待ち伏せていた新選組と一戦を交える。その時永倉や原田は平助を逃がそうとする。平助も一瞬逃げようかと気持ちが動いたようだったが、御陵衛士の仲間が斬りつけられた姿を見て迷いは吹っ飛んでしまったようだ。新選組隊士を斬りつけ、それは「我は御陵衛士なり」と平助の決意表明のように思えた。とうとう永倉と剣をあわせている背後から他の隊士に斬りつけられてしまった。
乱世の時代は裏切りや寝返りなどということは日常茶飯事であったのだろう。きっと平助のような立場の人間はかなり存在していたのではないか…。どことなく隅に置けなかった平助。はっぱをかけて応援してやりたくなった平助。ありふれた言い方だがいい子だった平助。そんな平助の最期はやはり涙を誘った。勘太郎さんが文字通り命をかけて挑んだような平助の最期だった。

□43話の総司□
平助が新選組に使者としてやって来た時久しぶりに2人は再開する。お孝のことで冗談を言ったり穏やかに平助と話をしている。この時の総司の笑顔は何故か“聖なる者”のように見えてしまい…変な意味ではないが少し気味が悪かった。

御陵衛士達との決戦の時を知り、病身で寝乱れた髪に、それでもちゃんとダンダラ羽織を着て出陣しようとする総司が健気で可哀想だった。
「あいつが逃げるわけないでしょう。あなた達が思っているほど子供じゃないんだ。」 勇や歳三だってそんなことはもうわかっていると思うよ。子供扱いしているのではないのだ。ただただ平助をそして総司を大切に思っているのだ。止める二人をよそに総司は現場へ向おうとするが、やはりまた喀血…。苦しげな息遣いで「近藤さんが行ってあげないと平助は死にます…」と訴える。その言葉を受けとめ勇は現場へと向った。

もしあの時総司が現場へ駆けつけていたらどうしたのだろう…?平助の決意を敏感に感じ取り平助の意志を汲んでやったに違いない。もしかしたら総司自らの手で平助に決着をつけてやったかも知れない。恐らくそれがあの時代の友情の姿だったのだろう。

***第43話の私のつぼ***
・中村勘太郎さんの平助。私にとって藤堂平助と言えばもう中村勘太郎さんです…。



2004年11月17日(水) 「新選組!」第40・41話

●第40話「平助の旅立ち」

伊東はいよいよ新選組離脱を決意する。その際伊東は永倉と斎藤を伊東一派の旗揚げメンバーとして参加させようと、勇の了解を得ているという嘘をつき二人を酒宴の席に誘った。策に乗じなかなか本題を切り出さないでいるうちにその嘘が暴露し、結局伊東は永倉と斎藤の心をつかむことは出来なかった。
人を信じようとしない人間は人からも信じてもらえることは出来ない。自分の頚動脈に刀を突きつけ2人を引き止めようとする伊東の自己陶酔ぶりには正直引いた…。早く斬ればぁ…。

歳三は伊東のこの動きを察知し勇に警告する。ここで最近めっきり隊内で評判を落としている武田観柳斎が伊東の説得に買って出るが、あえなく失敗。…何だが観柳斎が可哀想になってきてしまった…(汗)。
結局伊東は自分の分裂は長州の動きを探る探索活動(?)とか、帝をお守りするとか…よくわからない大義を自ら勇達に与え分裂をごり押しした。勇も仲間うちで無駄な血を流すことを避けるため、あえて伊東に言いくるめられる形を取った。とりあえず今は負けるが勝ちと言ったところだろう。
それでも歳三は斎藤を伊東一派の中に間者として送り込み、抜け目ないところを見せた。

伊東道場出身の平助は非常に苦しい立場であったが、最後は伊東についていくことを決意し新選組に別れを告げる。平助は伊東道場に席を置いている時分、伊東に名前さえ覚えてもらっていなかった。しかし伊東は京に旅立つ平助に名前を覚えたことを強調し平助を感動させ、後に京での新選組での動向を知らせるように託す。勇達浪士組が京へ上る時にすでに京進出を狙っていた伊東の懐柔の策にまんまと引っ掛かってしまったわけなのだが…。それでも「先生」と伊東に義理を立てる平助の実直さが哀れだった。

□40話の総司□
島田と子供達が羽子板で遊んでいる姿を眺めている総司の笑顔は穏やかだ。「沖田さんもどうですか?」と島田に誘われ、素直に頷いた総司の姿が嬉しかった。

今週一番印象に残ったのは平助とのシーン。総司の全てを羨む平助に対し、厳しくも思いやりのあるはなむけの言葉を贈っていた。
拭っても拭いきれない伊東への不信感を愚痴る平助に「お前はいちいち言葉にしてもらわないと相手の気持ちが分らないのか!?何も言わない間柄が一番なんだよ。」と急に大人びたことを諭した。この言葉にドキッとしたが、でも…やはりここぞと言う時は自分の気持ちをはっきりと相手に言葉にして伝えなければならない…と私は思うのだ。

そして総司は自分が労咳であることを平助に告白する。
「お前の元気な姿が羨ましい…。来年のお前が羨ましい…再来年のお前が羨ましい…」と涙を零さずに言ったこの言葉は、平助を諭すだけのものではなく、これは総司の本心なのだと思う。総司の気持ちを一生懸命想像してみた…。だから涙を流さなかった総司に感服した。
「だから私を羨ましいなんて言わないように。」急に笑顔で振り返り明るく話す総司に…ちょっとうるうる…。

ついこの間まで宝さがしをやっていた総司から、ここ2〜3週間位で随分と変貌してしまった。先週は荒れて、今週はもう既にその段階を少し乗り越えたようにさえ思える。どんどん成長していく総司…。生き急ぐとはこういうことなのだろうか…。

***第40話の私のつぼ***
・総司と平助のシーン。特に総司。言葉と言葉の間に見せる無言の表情にちょっとだけメリックがいた…と思う…。
・伊東のような人間は私はあまり好きではないが、伊東役の谷原章介さんは…結構ステキ♪


●第41話「観柳斎、転落」

勇達新選組の面々は幕府直参として召抱えられることになった。しかし隊内ですこぶる評判の悪い観柳斎の厚遇に対し永倉達の不満がつのり、それにカッとした観柳斎はその一切を返上してしまう。屈辱を受けた観柳斎は自分を慕ってきた数名の隊士達と一緒に新選組を抜け伊東率いる御陵衛士に出奔する。しかし所詮は信念のない寝返り。伊東はあっさり観柳斎を追い返してしまう。行き場を失った脱隊士達は新選組から御陵衛士への移籍を会津藩に直訴するが受け入れられず、絶望してその場で切腹をしてしまった。
ついていく人間を間違えると、それは時に破滅を意味する。肝心の観柳斎は彼らを置いて一度新選組の屯所へ戻ってしまっているのだ。
しかし世の中そんなに甘くはない。ただならぬ隊士達の自分への敵意を感じた観柳斎は京の街を逃げ回る。性懲りもなく再び伊東のもとへ。今度は物で釣ろうとする浅はかな行動に出たがそれも失敗し、次は薩摩藩邸の西郷のもとへ…。しかし西洋の軍学においては観柳斎の知識より薩摩の方が数段上なのだ。見栄も外聞も捨て誰となく媚び諂う観柳斎の姿は腹立だしさを通り越え不憫だった。

結局総司と歳三に見つかり新選組に連れ戻されるが、勇は観柳斎を許した。さすがに切腹の覚悟をしていたようだが、軍師としての立場を剥奪され一平隊士としてやり直すことを命じられる。裏を返せば生きていくことの方が辛い制裁ということなのか。
その夜こっそりと部屋を抜け出す観柳斎。風呂敷に包んだ何かを持って不信な動きを見せる。薩摩藩邸に会津の内情を記した書状でも持っていくのかと思わせたが、後をつけて来た総司に斬られたその
風呂敷の中には2〜3の食べ物が…。すぐ後ろには河合の墓が立っていた。河合の墓に供え物をしながら観柳斎は幾ばくかの武士らしさを見せた。
総司が去った後も暫く河合の墓に手を合わせる観柳斎の背後から隊士達が襲ってくる。「近藤さんからもらった命、ここで捨てるわけにはいかない!」と最後の力を振り絞る観柳斎の姿は…悔しいけど心が動いてしまった。

どんな悪人にも良心があるのだろうか。あのままセコイ嫌な奴のままで最後を迎えて欲しかった。観柳斎は…。こちらもその方が見ていて楽なのだ。何となく後味が悪くなってしまった。三谷さんはなかなか真の悪役を作ってくれない。確かに人間は皆いいものを持っているのだと思う。それを見つけられるか否か…これは相手に接する自分の方の問題なのだろう。ちょっと反省。

□41話の総司□
観柳斎の厚遇に多分に漏れず総司も不満そうだ。柱にもたれながら無言で観柳斎を見つめる総司の顔は素敵。全てを見透かすような瞳がね、訴えているのですよ。
脱隊士の処分に関し、勇の思いなど露知らず「皆斬っちゃえばいいんですよ。」と言ってしまう短絡さには引いたが、藤原総司だから…許せる…(汗)。

河合の墓へ向う観柳斎の後をつける総司…軒先から覗く総司の表情は鋭く涼しく至って美剣士そのものだが、あのつけ方は…すぐばれるのではないかと…。

観柳斎に問われたが結局河合の墓に手を合わせることをしなかった総司。どうしてだろう?昔の総司であったらきっと手を合わせていただろうに。いいのか悪いのかよくわからないが、総司の中では様々な感情が浮かんでは消え、浮かんでは消えしているのかも知れない。
自分が去った後に観柳斎は惨殺されてしまった。観柳斎の誰も知らない一面を知っているのは総司だけだ。観柳斎の亡骸を見る総司は明らかに驚きと後悔の色が見えた。また1つ総司は何かを背負ってしまったようだった。

***第41話の私のつぼ***
・冒頭、勇と歳三が抱き合うシーン。人が来たので慌てて離れるが、髪に手をやる歳三の仕草は、ラブシーンを見られた女性のそれそのもの…。
・「坂本龍馬だ!」総司、いい声でした。



2004年11月16日(火) 「新選組!」第38・39話

●第38話「ある隊士の切腹」

勇は伊藤を連れ長州の処分を通達するために広島へ向う。勇の留守中観柳斎は西洋の軍学の翻訳本をどうしても手に入れたく、勘定方の河合に隊の金50両を融通してもらう。しかし最新のその翻訳本を土方も手に入れたがっていた。そこで歳三は河合に隊の公金の確認を指示するが、当然50両の不足が発覚する。
問い詰める歳三に河合は観柳斎の一件のことをひたすら胸に秘める。5日以内に実家からの送金で埋め合わせをすると河合は切り出したが、既に観柳斎とのことをうすうす感ずいている歳三は10日の猶予を与えた。

隊内でもこの一件のことが漏れ、隊士達は河合の為に懸命に金集めに奔走するが、なかなか50両を用意することが出来ない。
刻々と期限が迫ってくる。さすがに観柳斎も気がひけたのか、購入した翻訳本を店に返却し50両を返してもらうと河合と約束する。しかしその店で彼が一番脅威を感じている伊東の参謀の加納がそれを欲しがっている事実を知らされ決断がにぶってしまった。自分の甲州の軍学がもう時代遅れであることを一番感じていたのは観柳斎自身であったのかもしれない。新選組の中で自分の居場所を確保したい…。高飛車な態度とは裏腹にあさましい小心者であった。

河合切腹の中止を懇願する隊士達に歳三は山南の話を出す。ここで例外を認めてしまったら山南にあわせる顔がない…。
局長ならばここで違う決断をした…そんなことを口にする隊士もいたが、勇と歳三は違うのだ。その相違が新選組を新選組たらしめているのではないのか…?

いよいよ河合は観柳斎の件を歳三に白状したが、どうして最初に報告しなかったのだろうか…。「自分も世のため役に立ちたいのだけれど何をしたらいいのか分らない。」と言いながら新選組に入隊した河合。自分の名前を書く時だったか・・顔を異常に机の上の紙に近づけていた河合の姿が思い出される。根は争いごとが嫌いで人がよく、武士の魂などとはほど遠い性分なのだ。
時すでに遅し…。観柳斎のあこぎさの方が上回っていた。

「飛脚は…飛脚は…」と最後までうわ言のように言いつづける河合。「あと5つ数えるまで待ってもらっていいですか?」本来ならば許せないであろうこんな女々しい願い事も頷いて聞き入れてやる歳三。覚悟の出来ていない人間の切腹ほど残酷なものはない。山南の時より可哀想でならなかった。
それでも腹を切った河合。谷はこともあろうに介錯に失敗したが、すぐさま総司が哀れな河合を楽にしてあげた。

間もなく飛脚がやって来た。シャンシャンシャン…飛脚のその鈴の音が、観柳斎を墓場へ送る死神の笑い声のように聞えた。

□38話の総司□
市中見廻り中不貞浪士を斬り倒した途端、総司の表情から咳き込むのではないかと思ったら、案の定咳き込み喀血…。医者に診てもらう総司。どうして自分の言うことが聞けないのかと、濡れた手拭でビシビシと病の総司を叩く医者…。気持ちはわかるけど…そう叩かなくても…。
「5年でいいんです。後5年生きられればそれでいい…。ねぇできるでしょう?」と無理なことを哀願する総司に呆れたが、それ以上に不憫だった。
「そんなこと言っても無理っ!」と医者は墨のついた筆を総司の鼻の頭にチョン…。哀願する総司の真面目な顔と、その鼻の上の何とも滑稽に見える墨と…。本来ならばとても胸が詰まってしまいそうな場面なのだが、三谷さんはこんな時も湿っぽくしすぎず、少しの笑いを残す…。

さて河合の件で藤堂が総司にも協力を求めるが「力になれないな。河合もバカなことをしたもんだ。自分の命を粗末にする奴には同情したくない。」と総司らしくない言葉を発する。
イライラしているのだろう。不条理がくやしいのだろう。どんな人間だって自らの寿命がもうそこまで来ていると知ったら心が荒む。どこにこの自分の気持ちを持っていったらいいのかわからないのだろう…。そんな想いがこんな言葉を総司に言わせたのだと思う。またある意味新選組の隊士の中で、総司が一番命の重さを知っているのだ。

介錯が上手くいかなかったため苦しむ河合を斎藤を差し置いて厳しい顔でとどめを刺した総司。
やさしさからだったのか…。それとも無駄に命を縮めた河合に対する腹立だしさからだったのか…。私は総司の優しさからだと思いたい。

***第38話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・医者に叩かれ、身を縮めるような格好をする総司。鼻に墨を付けられたまま医者に悪態をつき外に飛び出す総司…。
・切腹の場面。他の隊士達は河合を見つめ表情を動かしていたが、1人だけ河合を見ず、無表情で座っている総司の冷たく美しい横顔。


●第39話「将軍、死す」

谷三十郎は弟の万太郎と周平を新選組脱走に誘う。新選組に見切りをつけたと言っているが、河合の介錯のしくじりによって腕の悪さが露呈し、本当は自分がかっこ悪いだけだろう。しかし勇に恩を感じている周平だけはそれを断った。脱走の途中、三十郎は斎藤に見つかる。往生際悪く槍を抜いて構える三十郎に「武士として誇りある死を選べ。」と斎藤は自害をほのめかすが、弟の周平が勇の養子になったことでその虎の威を借りでかい態度をとり、そしてそれが利かなくなった途端今度は尻尾を巻いて逃げる…そんな人間に“誇りある死”など土台無理なのだ。あっけなく三十郎は斎藤に斬り倒されてしまった。

三十郎の一件が片付いた矢先、今度は監察方の浅野が姑息なやり方で周平を脱走に引きずり込む。しかし偶然その現場を目撃したお幸の機転でこの周平の脱走は未遂に終わる。
しかし井上や藤堂、総司などにその事実を知られ、最後には勇にも知られてしまう。身内でも例外はないと、勇は周平を処分しようとするが、井上がそれを止めた。以前から井上は周平を可愛がっていたように思える。長い間実直に稽古に励んだが、剣の腕は歳三や総司の方が兄弟子の自分より立つ。そんな自分の現実の姿が周平と重なったのであろうか…。井上のおかげで周平は命拾いしたが近藤家との養子縁組は解消された。
ところでこの脱走事件の張本人である浅野は、脱走の途中で斎藤に見つかってしまうが、斎藤はそのまま浅野を逃がしてやった。どうして斎藤は浅野を切り捨てなかったのか…?人間的なセコさは三十郎も浅野も同じにように思えるのだが。どうも斎藤というのはよくわからない人間である…。

隊士脱走の他にも伊東が岩倉に陰でこっそり接見したりと、内部の人間達から見切りをつけられ始める新選組に将軍・家茂死去の知らせが入る。次の将軍・慶喜は…こんな腹黒い奴だったのか…。

□39話の総司□
何故か大逆転で原田がまさと結婚した。隊士達が嬉しそうに祝いを述べる中、総司も「諦めなくてよかったね。」と総司らしい祝いの言葉を原田に贈るが、何となく寂しそうな笑顔と力のない声色である。祝宴の話し合いをしている時も途中でスッと席をはずしてしまう総司。そんなに強くないようだ。
その後の稽古も隊士達に厳しく稽古をつけていると言うよりは、何だが苛立ちをあてつけているという感じだ。もし私の友人でも家族でも、余命いくばくもない人間が側にいて総司のように荒れていたら…私は恐らくそのまま気の済むまで暴れさせておくと思う。他に何が出来ようか…?自分の寿命を知らされて、それじゃぁ残り少ない日々を悔いなく過ごそう!などと、すぐ次の日に決意出来る人間が一体この世に何人いるだろうか…?“死”こそ全ての人間が平等の与えられた事実であるし、人間の将来でこれほど確実なものはないわけであるが、それでもやはり死ぬことは恐いことなのだ。無念という気持ちもあるが、それ以上にまず恐いと思うのだ。だから人の幸せを心から喜んでいる余裕もないし、嫉妬もあるだろうし、どうしようもなく荒れてしまうだろうし…。しかしいつかはそんな生活にも疲れてくる。子供が泣きつかれていつかは泣き止むように、荒んでいる自分にも疲れてくると思うのだ。

脱走を見つかった周平に対しても総司は厳しい。「隙があるから付け込まれるんだ」「頑張っているのなら、もっと腕が上がるはずだ」「何故全力を尽くさない、精一杯生きようとしない」と弾丸のようにキツイ言葉を浴びせながら何度も周平を殴る…。いつぞやの我を忘れ総司を殴る芹沢の姿を彷彿させた…。労咳にさえなっていなかったら、絶対に総司はこんなことをしなかったであろう。
見かねて藤堂が止めに入った。「あなたみたいな人ばかりではない。どんなに頑張っても出来ない人間もいるんです。」私は藤堂の言っていることは正しいと思う。しかし気持ちが焦っている総司にこの言葉は通じたのだろうか…?

これから総司はどう変わっていくのか。心が荒んだまま死を迎える人間は少ないように思える。死の現実を受け入れ、それでも再び立ち上がることが出来る…これも人間の姿だと思いたいのだ。

***第39話の私のつぼ***
・浅野を追いかけ京の街を走る総司。「何で浅野を逃がしたんですか?」斎藤に囁いた低い声。
・周平とのシーン。久しぶりにあんなに青筋を立てて演じている厳しい表情の竜也くんを見たような気がする…。
・祝!今井さん登場!



2004年11月15日(月) 「新選組!」第36・37話

●第36話「対決見廻組!」

総司率いる一番隊が長州と繋がっている捨助を追い詰めるが、そこで佐々木率いる見廻組と鉢合わせになり、手柄の奪い合いをしているうちに捨助に逃げられてしまう。
後日佐々木が勇のところに尋ねて来て両隊の巡回地域について話し合いが持たれる。ところが佐々木が起草した草案は見廻組優位に作られており、勇や歳三は納得がいかない。
そんな折、祇園で捨助の不注意で火災が起きてしまう。しかし一刻も争う中、ここでまた両者の間で主導権争いを繰り広げている…。何となく現代の警察の縄張り争いを彷彿させた(苦笑)。
ところがここで伊東が佐々木を正論でねじ伏せてしまう。この伊東という男…いけ好かない奴だが、頼りになるところもある…。
そして勇達の見事な采配にもより京の街は大災害という事態からは救われる。最後には佐々木も新選組のその存在を認めざるおえなかった。

この様に外から窺うと盤石な新選組に見えるが、実の所内部は少し穏やかではない。
勇の養子・周平に焼きもちをやく者がいたり、伊東との隊内での力関係も微妙に変化し始めている。
更に外部では、坂本が新しい思想をもって薩摩の西郷に長州と手を結ぶよう水面下で働きかけている。
勇達の知らないところで、新選組が坂道を転げ落ち始めたような気がして…。物語はどんどん流れていく。

□36話の総司□
新選組に暗雲が立ちこめ始めたというのに、総司は全く別の所にいる(汗)。
捨助を追い詰めたところまではよかったが、詰めのところで見廻組にどど〜っと先を越された時の総司は情けなく…でも憎めなかった。
「最後に出て来て卑怯だよ。」と余りにもストレートな言葉で抗議するところがまた可笑しくて…佐々木さん、こんな裏表のない子を相手に少し大人げなくないですか…?
捨助が顔を覆っていた手拭をバサッと斬ったところはカッコよかったが、相手が捨助だと判明した時の呆然とした総司の姿…ああいうのを“カタマル”と言うのだろう(笑)。

所変わって新しい屯所・西本願寺では、本堂の奥に価値ある仏像や掛け軸があることを嗅ぎつけ、そんな重厚な歴史的品々も総司にかかれば“面白そうな宝物”になってしまう(笑)。成長してきているとは言え、まだまだ子供っぽいところが残っている。一瞬伊東がこれを聞いたらどんな反応を示すのかと…くだらないことを考えてしまった。
井上、歳三、藤堂と、かつての試衛館の仲間に一緒に見に行こうと誘う総司だが、悉く断られ…「みんな変わちゃったなぁ…」と一言。総司だけは本質が変わっていない。新選組の社会的地位がどんなに上がろうとも、そんなことは総司にとってはどうでもいいことなのだ。藤原総司のこんなところは好きである。

しかしそんな総司に付き合ってくれる心の広い人間もいる…原田!!(笑)
後から藤堂も「やっぱり来ちゃいましたぁ〜」とやって来て、3人で宝物の部屋の中へ…。部屋の入り口を開けた瞬間の総司の嬉しそうな顔! この時は労咳のことも、これから総司を待っている数奇な運命のことも…忘れさせてくれた。
「藤原さんの笑顔を見ると悲しくなります」この言葉の意味がどんどん重たくなってくる…。

***第36話の私のつぼ***
・「新選組、御用改めである!」と総司一声、カ〜ッコイイッ!
・「ご飯粒持ってこ〜い!(泣)」と原田…本当にあそこで破く奴がいるかよ…。あの後あの3人は…どうなっちゃったのでしょう…。



●第37話「薩長同盟締結!」

西本願寺で掛け軸を破ってしまった原田達3人の後始末など日常の些細なやり取りに忙しい勇。歳三もまた隊士の1人松原の女性関係のことで目を光らせていた。
松原は自分が斬った長州藩士の後家であるお初に後ろめたさもあったのか、惹かれ始めていた。甲斐甲斐しくお初の世話をやく松原に対し同情的な隊士達もいるが歳三は快く思っていない。
「法度ではないのか」と攻め寄る歳三に対し、開き直り腹を切ろうとする松原。隊士達の配慮によりその場は治まったが、それでも松原はお初に会うことをやめようとしない。
ある夜、お初は松原を自分の家に誘う。それを知った斎藤は不安に襲われる。お初の家ではお初が松原に手料理を振舞っていた。そしてさり気なく松原を誘う。いくら生活が大変だからとは言え、こんなにすぐ気持ちが変わるものかと怪しげに思っていたら、やはり袂から短刀を出し松原を斬りつけた。虎視眈々と仇討ちの機会を狙っていたのだ。その時駆けつけた斎藤は有無を言わせずお初を斬ろうとしたが、瀕死の松原が斎藤の足を掴み必死に止める。
なかなか死にきれず苦しんでいる松原を楽にしてやろうととどめは斎藤が刺した。松原は法度を破ったことによる切腹で命を落とすより、お初に刺された方が本望であったろう。お初もその後すぐに斎藤に斬られてしまった。こうなることはお初も覚悟の上だったのだと思う。それでも松原を許さなかったお初の姿にある種の憧憬の念を抱いた。

勇や歳三が隊内のごたごたに心を悩ませている中、坂本は長州と薩摩の間を取り持つことに頭を悩ませていた。
「鉄の結束と人を思う心」と内部の結束を第一に考えている勇達とは反対に坂本は国全体のことを考えている。しかし両者の長い年月の間の軋轢はなかなか一筋縄ではいかない。
「幕府を敵に回すための大義が欲しい」と坂本に要求する西郷。西郷も本音のところではもう幕府を見限っているのだろう。しかし万が一賊軍にならぬよう逃げ道を用意しておく。恐らく薩摩藩というところが一番政治的外交が上手かったように思える。坂本は「帝と日本のために長州と組む」という条項を1つ付け加え、ここで歴史的な薩長同盟が成立した。歴史がぐんと動いてしまった。
ここで会津は薩摩に裏切られた形となってしまったが、時代の先覚者という者は古い慣習に縛られたりはしない。唖然とするほど変わり身が早いのである。…しかし…頬擦りはやり過ぎでない?(笑)

□37話の総司□
良順の健康診断を憂鬱な顔で受けている総司。「今度血を吐いたら危ない」と良順は勇に釘を刺す。先週の宝さがしではそんな様子は微塵も感じられなかったのだが、病魔は確実に総司の身体を蝕んでいるようだ。

掛け軸を破ったことをすっかり勇に見抜かれしゅんとしている総司。「私が誘いました」と原田を庇う総司はやはり憎めない。弁償するしかないと仲介人に言われ「いくら払えばいいのですか?」と大きな口を叩いたが、「50両」という金額を提示され、途端にまたしゅんとうな垂れてしまった(笑)。本当に総司はわかりやすい!
でも隊士達から敬遠されている歳三に「土方さんが厳しすぎるんですよ。」と嫌味なくアドバイスをするところはなかなかどうして。まぁこれも深い意味があるわけではなく、ただ思ったことを素直に口にしているだけなのだが(笑)。

***第37話の私のつぼ***
・「50両」この一言で凹んだ総司。
・稽古中の汗。暑苦しくなく、汗まで爽やか〜。そして…色っぽかった…。



2004年11月14日(日) 「新選組!」第34・35話

●第34話「寺田屋大騒動」

勇はついに深雪太夫の身請けを決心する。勇は深雪太夫を京都に迎え入れるが、なんとそこにつねとみつがやって来る。突拍子もない展開に思わず突っ込みたくなるが、まぁここは愛嬌で(苦笑)。

最初2人は八木邸に向うが寺田屋で深雪太夫と勇がおち合うこうを知っている隊士達は慌てる。勇に会いたがるつねを何とか寺田屋へ行かせないように頑張るが、斎藤がつねに昔借りた金を返すというちょっとスカしたことをやったばっかりに2人は籠を呼んで寺田屋へ向ってしまう。

また寺田屋でもつねと深雪太夫の鉢合わせを防ぐために、女将から隊士から様々な画策をする。しかし偶然坂本との密談のために同じく寺田屋に来ていた桂がみつに深雪太夫のことを話してしまう。あんたも意外とくだらない男だねぇ、桂さん…。
とうとうつねは深雪太夫の存在を知ってしまう。それでも往生際悪く、井上や歳三、女将、更に深雪太夫までがクサイ芝居をして誤魔化そうとするが、勇は自らつねに本当のことを打ち明ける。

その後深雪太夫と対峙するつね。しかしつねは利口だった。ヒステリックに喚くことなく深雪太夫と話し合う。
「主人が大事な友達をなくした一番辛い時に私は側にいてあげられなかった…。」つねのこの言葉を聞いて、改めて男と女は遠く離れて暮らしてはいけないと感じた。
「京都にいる時だけ主人のことをよろしくお願い致します。」と静かに頭を下げるつねは女としてあっぱれだと思った。深雪太夫もつねのあの態度を目の当たりにして、到底敵わないと感じたであろう。
女房がヒステリックに自分を罵ったりしようものなら、愛人の方だってムキになる。意地でも奪ってやろうと思ってしまうものだ。しかし頭を下げられポロポロと涙を流されたら、もうそこでお終いにしようと否応なしに決意させられるものだと思う。女だって本妻の涙には弱いのだ…。

しかし、先週の流れから今週のこの展開は予想出来なかった…。三谷さんはきっと根が明るい人なのだろう。そうそう、人間、何時までも悲しみを引きずって生きていてはダメなんだよね…。

□34話の総司□
勇が妾を持つことにどうも納得がいかない様子の総司。
「つねさんがいるのに…」といじらしいことを言った途端「それはガキの言うこと」と歳三に一番言われたくないことを言われてしまう。
本当に笑ってしまうのはこの後。ひでもまた同じく深雪太夫の存在が納得いかないらしい。「近藤さんて、あんな人だと思わなかった…」と呟くひでに、「それはガキの言うこと」と総司…。ちょっと総司くん、それは面白すぎるよ(苦笑)。憎めませんねぇ…総司のこんなところは。
ところで、ひでと総司は価値観も同じようである(笑)。お似合いのカップルになると思うのだが…。

みつを見た時の総司の驚きは面白かった。「姉上〜!?」と素っ頓狂な声をあげ、鳩が豆鉄砲をくらった顔とは正にああいう顔を言うのだろう(笑)。上手かったな…竜也くん。

今回は声を出して笑って見ていたのだが…この後ドーンと落とされそうで…。

***第34話の私のつぼ***
・「オレのせい…」斎藤のいじいじ…。なに?結構可愛いところあるじゃない。
・「姉上〜!?」 こういう総司と言うか竜也くんの顔はそう簡単に拝めるものではありません。三谷さん、ありがとう…。


●第35話「さらば壬生村」

かねてより計画されていた西本願寺への屯所移転のため隊士達は忙しい。西本願寺へ引越しの挨拶へ向う勇達だが、寺の僧侶達は新選組のことを快く思っていない。しかししそこは抜け目のない伊東が学のあるところをさり気なく…と言うか嫌味なまでに得々と僧侶達にアピールしていた。すっかり伊東に助けてもらったかたちとなったが、それでも勇、歳三、井上達もその立ち姿に何となく貫禄が付いてきた。

歳三に長はちょこちょこ動くものではないと言われ、お幸の部屋を訪れる勇。仲間達と一緒に仕事が出来ず少し後ろめたさがあったようだが、そこに永倉と原田がやって来る。永倉はおそのという女を紹介し、原田はまさに告白するとはしゃいでいる。山南が明里に最後は救われて逝ったことが少なからずとも隊士達に影響を与えたのかも知れない。

夜、隊士達の酒席に一緒に来るようにお幸を誘う勇だが、お幸は辞退した。つねに申し訳が立たないとのこと。勇が京都にいる間だけお世話をする…こんな本妻と妾の関係は理想と言っては何だが、現代ではまず無理な話なのだろうな。昔の女性は女として学ぶべきこともあるのだろうが、やはり可哀想に思う。優香さんがお若いのにしっとりして…想像していた以上に上手かった。

□35話の総司□
八木家の雅は西本願寺の移転を機にひでと総司を離すように歳三に頼む。雅の気持ちは母親として当然であると思う。
歳三はひでに直接これ以上総司に近づかないように諭す。だが病は今は良くなっているように見えるとか、沖田さんは何と言っているのかとか…ひではなかなか決心がつかないようだ。言葉に出さずとも何となく総司が自分に好意を持ち始めていることを女の性が感じるのだろう。

さて満開の桜の木の下でひでと総司は2人だけで会う。この時もうひでは身を引く決意が出来ている。ひでのそんな気持ちをまだ知らない総司はひでを見つけ、一瞬幸せそうな顔をしたように見えた。
一緒に引越し先を見に行こうとひでを誘うが、ひでは断った。「どうしちゃったの?」と総司は困惑するが、すぐに歳三の仕業と察する。「何か言われた?」とひでに尋ねるまでの無言で見せる微妙な目の動きが絶妙だった。

ひでの気持ちを汲んだのか、自分もひでの言葉によりやっと覚悟が決まったのか、総司もひでと会わないことを了解する。狭い町だからすぐに会ってしまうかも知れない、会っても逃げるなよ、と言ったのか、会ったらすぐに逃げろと言ったのか…よく聞き取れなかったのだが(汗)、いずれにせよ決してカッコのいい別れの言葉ではなかった。だから余計総司の悲しみと僅かな動揺が伝わってきた。

去ろうとする総司に証しが欲しいと涙を溜めて願うひで。総司はひでをやさしく抱き締めてあげた。本当にひでと総司の別れが来たようだ。
移転の当日、八木家の人々に別れの挨拶をする隊士達。総司はひでを見つめて何も言わず頷いた。それを無言で受けるひで。この時2人の心はしっかりと結ばれたような気がした。

しかしなぜ桜はあんなにも懸命に花を咲かせようとするのだろう。短いその命を覚悟しているかのように、それでもその美しさを誰かに覚えていて欲しいと叫ぶように…一瞬にして燃えるように咲かせてしまう。
満開の桜が哀しかった。桜の木が、残り少ない生命を剣の道に捧げようと決意した総司の姿に見えて哀しかった。桜は何故か満開のその姿を見せる時が一番哀しい。

***第35話の私のつぼ***
・桜と総司…。



2004年11月13日(土) 「新選組!」第32・33話

●第32話「山南脱走」

自分が江戸へ行っている間に隊士の切腹処分が勝手に行われていた事を知り歳三を殴りつける勇。総司でもオレで法度を犯せば切腹させるのかと歳三に哀しげに詰め寄るが歳三の気持ちは揺るがない。
そんな中伊東甲子太郎が江戸から入隊して来た。早速幹部の会合に参加し、屯所の場を西本願寺へ移動する歳三の提案に1も2もなく賛成する。山南はこの提案に難色を示すが、伊東の弁に打ち負かされてしまった。伊東は更に歳三に山南の欠点を知ったかぶった口ぶりで話すが、「山南の悪口は言って欲しくない」と歳三につれなくされる。歳三は総司にも「山南に隊を離れられては困る」と照れ笑いを浮かべながら自分の本意を話している。歳三は実は山南を信頼しているのだ。昔からの仲間という思いがあるのだ。この歳三の気持ちを山南は気付いていただろうか…?どんなに悪態を吐かれてもいい。相手の心底に自分を信頼してくれている何かが見えればそんなことは許せるものだ。
しかし山南には伝わらなかったようだ。歳三の性分と不器用さも災いしたのかも知れない。総司と話をしている時の、鼻をこすりちょっと照れたような歳三の笑顔を山南が見ていたら…頭のいい山南のことだ、きっと歳三のことを理解出来たであろう。…どうして人間はこうもすれ違うのだろう…残念でならない。

おまけに自分がかっている坂本が失意で酒に逃げている姿を見たことも手伝って、山南は江戸へ一時帰ることを決意する。これは脱走を意味するものだ。山南も十分に理解しているはずだ。しかし一度心が離れ始めると、その思いはもうどうにも止められなくなるものだ。それでも勇に「あなたの取る道はちゃんとあなた自身が決めるべきだ」と遺言とも取れる言葉を残した。
夜こっそりと屯所を抜け出す山南。途中斎藤に見つかるが「人のことには関心がない」と言う彼の性分に助けられ無事に抜け出す。しかしこの時1人稽古をしている総司にだけは思わず声を掛けてしまう。もちろん脱走することなどおくびにも出さなかったが…。弟のように可愛がっていた総司のことが心配だったのか…と言うよりは兎に角総司のことが好きだったのだろう。そんな山南の姿が愛しかった。

翌朝山南の脱走が判明する。苦しい選択を迫られる勇と歳三。山南追跡の任務を斎藤から結局総司に指名を変えた。何を持って総司を指名したのだろうか…?歳三のやさしさだったのだろうか…?

□32話の総司□
随分と大人になった総司であるが、それでもまだ無邪気なところは残っている。屯所移動の会合の時、伊東と山南の争いに「山南さんの負け」などと単純な反応をしていた(汗)。水面下の互いの思惑など全く気が付いてないようだ…。

一方、ひでとの関係には展開が見えた。ひでが医者の所へ行く自分をつけていたと知り、「何でそんなことをするんだよ!」と怒鳴りつける総司。そんなにひでを怒るでないよ。つけられたことに腹が立つのは分るが、自分がひでに何も話さないからこういうことになるのだ。話してあげさえすればいいのだ。
つけられて覚悟を決めたのだろう「そんなに長生き出来ないと思うよ…」とやっと打ち明けた。勇や歳三のためにもっと働きたい、剣術をもっと磨きたいと今の自分の気持ちを告白した。その中にひでに対する気持ちは話さなかったが…。

「だからもう私には関わらないで下さい。」…もっと早く伝えるべきだったのだ。本当に自分がひでと関わらないと決意をしたのなら…。ひでに言及される前に自分からちゃんと話をするべきなのだ。それが本当の相手に対する思いやりだと私は思う。
泣きながら去って行くひで、振り返らず耐えている総司…どちらも不憫だった。

しかしひでのことを思う間もなく山南の脱走のことを聞かされる総司。山南探索を命じられる総司の顔は、もうひでのことを引きずっていなかった。

***第32話の私のつぼ***
藤原総司
・剣術の稽古をしている時の張りのある男らしい声! 
・山南追跡を命じられるその時のほんの少し前、何かを覚ったような表情で(勇だったかな、歳三だったかな)、兎に角どちらかを見た時の表情…美しかった〜。
番外
・実は馬上の総司を楽しみにしていたのだが、そんなことはすっかり忘れ物語に入り込んでいた自分。終わってみれば“馬上の総司”を流して見てしまっていた自分!


第33話「友の死」

山南追跡の命を何故勇が総司に下したか、その本意がはっきりした。山南を逃がしてやりたかったのだ。「草津から道が二手に分かれるので、草津まで行って見つからなければ深追いはするな。」
とりあえず山南を追跡した形をとらなければ体裁が整わない。「ゆっくり行け」と言う含みを持っているのだ。やっと合点したように笑顔を見せる総司。馬を走らせるのではなく、歩かせていた。

一方山南は明里と旅の途中だ。最初「草津まで急がなければならない。」と明里に話していたが、出来るものならそのまま逃げ通そうという気持ちが一縷でもあったのだろうか…?しかし旅を楽しみたい明里におされ、のんびりしているうちに総司に追いつかれてしまう。総司の姿を見つけ自ら総司の前に出て行った山南は、もうそこで自分の運命を受け入れてしまったようだった。

大津の宿で一晩過ごす山南と総司。なぜ逃げたのかと尋ねる総司に山南は「疲れた」と答える。皆疲れているのは一緒だと総司はむくれるが、総司は山南の「疲れた」と言う言葉の意味を理解していない。山南が疲れたのは身体ではない。心が疲れてしまったのだ。志が萎えてしまったのかも知れない。

次の日山南と総司は京都へ戻る。勇はどうして逃げなかったのかと詰め寄る。苦渋の表情の勇と穏やかな笑みを見せる山南の2人の表情が余りにも違っていて…それがやるせなかった。

永倉、原田を始めとする隊士達は何とか山南を脱走させようと画策する。あの歳三までもがその片棒を担いだが、山南はそれを悉く拒否する。もう山南の頭の中には武士らしく最後を迎えることしかないようだった。昔の武士達の「死」に対する考え方は現代の私達の理解を超えてしまっている。彼らは常に「死」を意識し、死に様を飾ることを「生」の目的にさえしているように思えてしまう。

山南の切腹の時は刻々と近づいてくる。介錯を総司に願い出る山南。
「試衛館で一番最初に試合をしたのがアレだった。」…あの時の光景が思い出され、この時はまともに見ていられなかった。
最後の最後にもう一度明里と対面する。季節はずれの菜の花を見せ、嬉しそうに笑っている明里。このまま山南の切腹を知らずに丹波へ帰り、そのまま彼を待ち続けるのかと少し彼女が不憫に思えたが、どうして彼女は気が付いていた。自分が悲しい顔をするとあの人が心配するから騙してやった…。笑顔がみるみるうちに崩れ泣きじゃくる明里。芯の強い、そして頭のいい女だった。

いよいよ切腹の時がきた。静かな表情の山南を哀しそうに見つめる仲間の隊士達。いつもはあまり感情を表に出さない斎藤までが目に涙を溜めている。こんな思いまでして守らなければならない組織とは一体何なのだろうか?
総司の介錯のもと、山南はその生涯を終えた。
もう少し生きていれば…山南のような理論派の人間が活躍出来た時代がやってきたのに…。また1人、時代の波に飲み込まれてしまった。

山南切腹後の勇と歳三の泣きじゃくる姿は忘れられない。特に歳三の子供のように顔を崩して泣いている姿は忘れられない。
竜也くんと同じく、33話は今までの中で一番好きな回となった。

□33話の総司□
ポイントポイントで見せた表情が印象に残っている。
山南を見つけてしまった時のがっかりした顔。階段に座り顔を上げた時の表情(欲を言えば、山南が自分の介錯を望んでいると知った時の総司も描いて欲しかった)。「私の好きな人は皆私の剣で死んでいく…」と言った時の涙声。そして、山南の介錯をするため刀を振り落とした時の目…。

今回の出来事がたとえ総司を成長させるものであっても、余りにも酷すぎた…。

***第33話の私のつぼ***
ラスト。伊東が邪魔くさく出て来て、しらじらしく歌などを詠み、「お辛いでしょう…」と分ったような一言。 だまっとけっ!と思ったと同時に勇が怒鳴ってくれた。…スーッとした。



2004年11月12日(金) 「新選組!」第30・31話

●第30話「永倉新八、反乱」

新選組は池田屋での活躍が認められ幕府から恩賞金を受け取る。手当てとして隊のメンバー達とそれを分ける事になったが、歳三のその分け方が隊士達の不満を誘発させた。勇や幹部そして現場で働いた者達を優遇し(これは今後、隊士達の士気を鼓舞させるにはいい考えだと思うが)、山南を始めとする屯所で守りについた者達に一文も与えないというのはどうだろうか…?確かに難しいところではある。しかし屯所を守るということも1つの大事な任務だと思うのだが…。

更に歳三は新選組を大きくしようと、より上下関係の厳しい組織編成を考案する。もう歳三は新鮮組のことしか見えていない。おまけに山南を第一線から排除し始めた。
度重なる歳三の独善的なやり方に永倉は猛反発する。「私は雇われ者ではない、同志だ!」結成時の志を口にする永倉に対し、歳三はその場の勢いで内密にしておいた芹沢暗殺のことまで口に出してしまう。歳三と更にその振る舞いを許している勇までに永倉の怒りは飛び火し、山南の助言を受け仲間を募り松平に手を回す。

頂点にいる組織は外部からの攻撃には滅多に崩されるものではない。大抵内部から崩れていくものだ。これが一番恐ろしいと思う。
勇と歳三は2人だけで話し合うことに。本来ならば永倉達は切腹というところだが、勇がこのことは自分に任せるよう歳三を説得する。「俺は忘れない…」歳三が不気味な言葉を発する。“許しても忘れない”この感情が意外とやっかいなのだ。

さて松平に建白書を持参した永倉達であるが、そこには勇が既に出向いていた。「自分は調子に乗っていた。これからも自分を助けて欲しい。」潔く自分の否を認め謝る勇。更に歳三のことまで庇ってあげていた。いつもは歳三に持ち上げられていた勇だが、今回ばかりは局長らしい立派な態度であったと思う。この言葉を聞いて心が動かないようでは人間ではない(笑)。永倉達も再び勇を信じてついて行く覚悟を決めた。

いい組織と言うのは、それぞれの人間が個性を潰され画一化されたものではないと思う。各々が個性を咲かせ、それでも同体となって志を果たしていく…。要はバランスなのだ。歳三のような厳しい人間ばかりでも、また勇のような温厚な人間ばかりでも・・やはり組織は上手く回っていかない。
しかし人間は自分の意志を主張したいものなのだ。最後、歳三と山南がすれ違う場面。2人は静かにお互いの敵意を燃やしていた。

□30話の総司□
恩賞金を貰い、歳三達の思惑に関係なく単純に喜んでいる総司。総司はいつまでもこのままでいて欲しい。しかし病状は確実に進行しているようだ。
医者・考庵と総司の絡みは、先週も思ったのだが、私は好きである。ひょうひょうとした考庵と感情のままに時には不満そうに彼を見つめたり、俯いたりする総司の掛け合いが面白くて、でもそれ以上に哀しくて…。

歳三に別室に呼ばれ、歳三の詠んだ俳句を見つけてしまう。よくわからない(笑)歳三の俳句をからかって笑顔を見せている総司。このシーンの2人は唯一心が和んだ。この時は歳三でさえも安らんでいるように見えた。
だが不意に病気のことを総司は歳三に突っ込まれる。にこやかに笑っていた総司が「うん?」とその笑顔のまま表情が硬くなった…。ここの竜也くん、大変上手かったと思う!

いよいよ歳三に自分が労咳であることを告白する総司。近藤先生には心配をかけたくないから黙っていてと頼む。更に涙を溜めて「おひでちゃんにも…」と。
どうやら総司はひでに想いがあるようだ。ひでの気持ちももう十分気が付いているはずだ。だったらどうして1人で留めてしまうのだろうか…。どうしてひでに話さず彼女を避けるような行動をとってしまうのだろうか…。女なら打ち明けて欲しいと思うぞ。ひでは何も分らず心を痛めることになるんだぞ。総司の気持ちも分らないではないが、同性としてはひでが気の毒であった…。

***第30話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・勇達と永倉の件を話し合っている会合のシーン。1人だけ目をキラキラさせている総司♪
・絶妙な間の後…「なんで土方さんがハタキをかけるんですか?」


●第31話「江戸へ帰る」

勇は松平の命で上様の上洛を老中に談判するために数名の隊士達を連れて江戸へ向う。そこには新隊士を江戸で募るという目的もあった。しかし、今の幕府や旗本には上洛する際の支度金が準備出来ないとあっさり断られてしまい、不甲斐ない思いを抱くことになる。

江戸で久しぶりにつねや周斎らとの再会を果たす勇。つねやたまと過ごしている時の勇は幸福で満ち足りた笑顔を見せていた。こんな時は深雪太夫の存在などすっかり忘れてしまっているのだろうか…?
そしていよいよ伊東大蔵の入隊が決まった。この事により自分が破滅への坂を転げ落ち始めたこのなど藤堂は露知らない。

一方勇のいない京都では土方が忙しく動いていた。松平の建白書の一件を局長・勇に対する謀反として処罰するためだ。原田等の謹慎組の中で、土方は建白書の下書きを書いた葛山の切腹を決めた。謀反組の中でその存在の有無が隊に一番影響しない人物を選んだという感じであった。
事実本を読んでいるのが一番好きだという葛山は、歳三にとっては物足りない人物だったのかも知れない。
山南の反対を押し切って突っ走る歳三。それでも試衛館以来の仲間・井上だけには自分の苦しい胸のうちを打ち明けた。しかし歳三が人間らしい弱さを見せたのはその時だけだった。

自分1人だけの切腹が決まった葛山は「何でオレがっ!?」といつもの穏やかな態度を一変させて取り乱す。当然だ。本人にしてみればそんなことたまったもんじゃない。彼は兎に角事態をよく把握していなかったのだ。永倉に言われるがままに下書きを書いた。歳三の言うところの「覚悟も信念もなく謀反を起こした」なんて言う以前の問題なのだ。
葛山の切腹の介錯を、この一件のスパイであった斎藤が行う。「裏切り者!」と罵られても眉1つ動かさない斎藤は不気味だった。
それを見届けている土方、井上、総司。しかし、昔の人の精神力の強さと野蛮さとは紙一重だと思った。現代の殆んどの人間は、とても首を斬り落とす現場などまともに正視出来るものではない。

自分の目の届かない間に葛山の一件が済んでしまったことを知る山南は顔色を変えて屯所に戻って来た。一時前、「新選組のやっていることは(日本のために)役に立つ連中を斬っているだけだ。」と坂本に突かれ、山南は少し迷いがでている。追い討ちをかけるようなこの一件により、山南の新選組に対する思いは急激に冷めていったようだった。

□31話の総司□
明里が登場した。茶屋で身を売られたために最後のしるこを楽しむ彼女に対し、「じゃぁ(身を)売られてきたんだ。」と言い辛いことを難なく言ってのけた(汗)。…いえいえ彼は全然悪気はないんです…。本当です…。

今週もひでのことを避けていたが総司はひでとの関係をこのままずるずると誤魔化して中途半端なまま終わらせる気でいるのだろうか?もう少し何とかした方がいいと思うのだが…。

会合中咳き込みバツの悪そうな顔をする総司。当然のことながら勇にも気付かれてしまった。江戸で総司の病状を松本良順に相談する勇。この時良順が労咳のことを詳しく説明していたが、それを聞いていて少しぞっとしてしまった。そんなことが総司の身体の中で起こっているのかと思うと…。本当に馬鹿なことこの上ないが、総司と竜也くんが重なってしまうのですよ(汗)。
「これを飲めばあなたの大事な人の苦しみが少しは和らぐでしょう。」と薬を勇に渡す良順。何となく気休め的なこの言葉を聞いて、またまた胸キュンキュン、ハラハラ…。
…余りに自分が滑稽なので・・もう止めます…(苦笑)。

***第31話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・「じゃぁ、売られてきたんだ。」病気になっても思ったことをすぐ口にする総司…。
・葛山の最後を見届ける場面。アップになった総司の整然とした顔つきが・・頼もしくもあり、恐くもあり…。



2004年11月11日(木) 「新選組!」第28・29話

●第28話「そして池田屋へ」

勇はふてい浪士の襲撃について松平から正式に出動を命じられる。
勇達の軍議の場で戦いに負けた時のことを話し合おうとする山南。
そんな彼に対し歳三がケチをつけるが、「あらゆることを考えておくのが軍議ではないか!」と珍しく山南が怒鳴り周りを驚かせる。次第に歳三と山南の間に溝ができたように思えた。

しかし会津藩は長州と事を構えたくないという考えから参戦する気はない。新選組出動の引き延ばしを画策したものだが、皮肉にもこれが新選組の台頭を許すことになる。
幕府を思う無謀なまでの一途な精神の前には姑息な策などは敵わないということか…。

長州の人間達が会合を開きそうな場所を、勇組と歳三組に分かれて必死に探索する新選組。
その頃捨助は池田屋で桂に会っていたのだが、桂の着物に粗相をしてしまう。これが桂の命拾いとなったのだ。
捨助がキーパーソンになるとは…。この展開には多少の無理があるとは言えばあるのだが(苦笑)、「大胆なところは大胆に」という三谷さんの有言実行なんでしょうね。

勇組がやっと池田屋に行き着く。主人はとぼけるが、総司が幕の裏側に隠された武器弾薬を発見する。
ここからはもうあの有名な「池田屋騒動」である。
しかし10人足らずの隊士達でよくあれだけ戦えたものだと思う。この時新選組の死者は殆んどいない。反対に長州・土佐の人間は殆んど戦死してしまったのだ。
これは奇跡と言ってもいいのではないだろうか…?新選組は雑草の強さがあったように思える。

土佐浪士の1人が桂の所へ助けを求めに行く。桂はそれを断る。文字通り門前払いを喰らわすのだ。
冷静である。その場の感情に流されず冷酷なまでに物事の先の先を見ている。
普通に武士の魂を持った者であったなら、迷いもなく池田屋に飛び出して行ったであろう。
もしこの時桂が池田屋に援護射撃に行ったのなら、歴史が大きく変わったのか・・変わらなかったのか・・そんなこと誰にも分るはずもないが、ただこの冷酷な冷静さが乱世の勝組みとなる条件の1つなのだと…ざらざらした気持ちで見ていた。

最後の坂本の嘆きが悲しい。
「なぜ日本人同士で殺しあうのか」「桂さん、なぜ助けてやらなかったのか」…余りにも普通の人間が抱く感情であるが故に不思議とそれが一番まともであり、そして哀しかった…。

宮部ていぞうが勇達に死の寸前に放った言葉。
「ワシらを斬ったところで時代の流れを止めることは出来ない。」
そうなのだ。大きくうねりをあげて変わろうとしている時代の流れなど誰にも止められないのだ。
しかし勇達はそれが分らない…。

□28話の総司□
池田屋で隠された武器を発見した総司。利発そうな顔でしたよ。
見せ場の殺陣だが、前半は身体の線が細いからか・・少し迫力に欠けていたことは否めないが、後半、カメラが上方から映した辺りから素敵だった。決して動きは大きな派手なものではないのだが、キレがありました。
喀血の前、相手を追い詰めていくところの眼は残酷に光っており、その妖しい美しさが…これぞ美剣士!

さて、竜也くんもリキを入れた喀血シーン。
「最初に少し(血を)出して、後にドバーッと出したんですけどね。」とインタで話をしていたので、変態じみていると重々分ってはいても、その「ドバーッ」の部分を楽しみにしていたのだ…。
しかしその「ドバーッ」が省略され(汗)、「ちょっと出して」→「空白」→「既にドバーッの後」という何ともはや…中途半端…。
しかし自分の運命を覚った総司の表情は何故か冷静なだけに哀しくて…。静かな喀血がその哀れさをかえって際立たせたかもしれない。

原田と永倉に喀血したことを覚られた総司。「皆には言わないで…」
こんなことはすぐにバレるのだ。何故人間はすぐバレると分っている嘘をつこうとするのだろうか…。
いつもはおちゃらけている原田の自分を見つめる真剣な表情が事の重大さを物語っているではないか。
自分の運命を覚悟したとは言っても、まだそこに一縷の望みを抱いているようで…。切なかった・・切なかった・・切なかった…。

板に乗せられて皆に見守られながら退却する総司。
階段から落ちたと笑って謝る総司だったが、最後、誰を見たのだろうか?瞬間真剣な眼差しを向け、そしてそのまま視線を落とした…。

***第28話の私のつぼ***
・紫陽花の花びらがひらひら…。私個人としては…あれはなかったほうが…あくまでも私の趣味のレベルなのですが…


●第29話「長州を討て」 

長州兵が京に攻め込もうとしているため、勇は佐久間象山と共に松平に接見する。
その帰り際、勇は象山に自分の迷いを素直に打ち明ける。
「自分のやっていることが正しいことなのか…そんなことは誰にも分らない。国を思う気持ちに誠があれば迷うことなく己を信じて行きたまえ。」
勇は象山から心強い言葉を貰うが、この言葉は象山の遺言となってしまう。
その帰り道彼は河上という男に暗殺されてしまうのだ。また日本の未来の光が消えてしまったように思われた…。暗殺者の相手の名前を呆れてしまうほどにしつこく聞き、そして死の瞬間、笑みを見せた。
既に覚悟はできていたというような、不敵で大きな笑みだった…。

一方桂は、過激な長州藩士の暴発を食い止めようと説得に奔走するが、長州の若いエネルギーはとどまる事を知らない。
過激な尊王攘夷の思想・・それでも帝への忠誠心はあるのだ。
久坂らは「誠をもって接すれば、こちらの思いも帝に通じる。」と信じて止まない。
誠を持って…どうしてその気持ちで対立している者達と対話をしようとしなかったのであろう…。

その後、御所・蛤御門で長州藩士達は激烈な戦いを挑む。しかし勝機を掴めない。
最後の手段として鷹司邸の裏から御所に侵入しようと試みるが、それも失敗に終わる。
追い詰められた久坂らは「自分のやってきたことは意味のあることだったのだろうか…」と涙を流しながら自問自答する。
彼等はまげを切り落とし、それを桂に渡すように、たまたま側にいた捨助にたくして自刃するのだった。

昔の人はどうしてこうも死に急ごうとするのか…。自分のやってきたことを意味あるものにするには、まず生きていることが大前提だと思うのだが。「あの者達は何をしたかったのだろう?」結局帝に自分達の気持ちを理解してもらえなかった。
自ら命を落としてしまったら、自分は間違っていたと認めるようなものではないのだろうか…。
時には勇気ある撤退を決意し、チャンスが到来することを体制を立て直しながらじっくりと待てばいい。生き長らえることは少しも女々しいことではないと思う。
どうして桂が幕末の勝組となったのか…?「自らの信念を貫くためには、逃げることも決して女々しいことではなく、1つの戦略だ。」という新しい時代の価値観をいち早く持っていたことも1つの要因だったのかもしれない…。

「命は大事にしたほうが…」捨助が久坂らに言った言葉。いつもはどうしようもない捨助のこの言葉が、今回は不思議とまっとうなものに感じた…。

□29話の総司□
自らの病気がただならぬものと察し、医者に診てもらいに行く。そこで自分の病名が労咳であることが決定的となってしまった。
「どうしてこんなことになるの?」「なんで私が?」と医者に怒ったように投げかける総司。
こんなことは誰にもわからないし、答えようのないことなのだが、不治の病にかかってしまった人間の素直な感情なのだと思う。
何に怒りをぶつけていいかわからなかったのだろう…。「このやぶ医者!」と丁度その時目の前にいた医者にぶつけるしかなかった総司が不憫でならなかった。

悪態をついたと思ったら、今度は「死ぬのですか…私は…」と急に神妙になってしまい…。その際、遠くを見つめる目の先には何が映っていたのだろうか…?
自分の死に際か…それとも試衛館時代の幸福な日々だったのだろうか。

それでも皆が待つ屯所に元気に戻ってきた。苦しい嘘をついて誤魔化したが歳三は既に気が付き始めている。
原田と永倉に呼び止められ、心配かけまいと精一杯明るく振舞うが、最後2人に向けた笑顔には力がなかった…。

***第29話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・医者に何故もっと早く来なかったのかと聞かれ、「だってぇ〜」とだっだ子のような総司。このシーン…何故か総司の哀れさが増した…。
・怒鳴りながらも少し涙声になっていたように聞えた「このやぶ医者!」



2004年11月10日(水) 「新選組!」第26・27話

●第26話「局長近藤勇」

新選組と名を改めた浪士隊は新しい隊士達も加わりいよいよ華々しく活動を開始した。
組織の体制も勘定方や監察方などが設けられしっかりとしてきた。
そんな中勇もまた局長としての威厳が出てくるようになる。各藩の俊英と堂々と時局についても論じることが出来るようにもなった。

ある日勇は上洛した佐久間象山と久しぶりに再開する。象山にこれからの自分が成すべきことを尋ねる勇。
日本が1つになること。公武合体と強く主張する象山。彼の思想が一番正しいように思える。内部で己の名誉や出世に拘り争っていたのでは話にならない。もちろん彼等の根底には「日本のため」という思いがそれぞれにあったと思うが…どうして人間は無意味な争いをするのだろうか…。

一方で新選組の活躍を面白く思わない人間もいる。大阪の町奉行所寄力の内山である。
彼はつまらない縄張り意識と差別を持っている。まぁこういう時代遅れの勘違い野郎というのは何時の時代にもいるもので…。
またまた多分に漏れずこういう奴は悪い野郎で(笑)。
歳三は内山暗殺を企てる。歳三に自分も参加させてくれと勇は願い出るが、局長は本陣に控えているものだと諭される。
全くその通り!と思ったが、勇は深雪太夫の処で控えていた…(苦笑)。

さて、奉行所からの帰り道で内山を待ち伏せする歳三達。
必ずと言っていいほど内山のような人間はせこいのだ。
下の者達が戦っている隙に、自分だけ籠から逃げようとする。
それを読んで待ち伏せしていた歳三と総司に出くわし、総司と1対1の勝負をする。
総司は内山を斬りつけ止めを刺そうとするが…内山は鉄砲を懐から出した。
それでも動かない総司。「総司、さぁどうする!?」とワクワクして見ていたら、後ろから斉藤が走ってきてあっさりと決められてしまった…。竜也ファンとしては、ちょっとだけがっかり…。

□26話の総司□
芹沢とお梅の件で本当は意気消沈しているはずなのだが、ひでのおかげで少しずつ元気を取り戻しつつある。
にぎり飯を食べている時、顔に付いたご飯粒をひでに取って貰い、それのひでの指から殆んど口を開けず戸惑いながら食べる総司。「あ〜ん」と口を大きく開けていたらがっかりするところだが、この時の総司の表情はgoodでした。
反対にその様子を見ていた藤堂は、自分もひでにそれをやって欲しく、わざとご飯粒を自分の顔につけ間抜けに笑ってみせる…。総司はどんどん成長しているんだよ。そんなことやっていたら総司に置いていかれちゃうよ(笑)。

神社(?)の階段の所で2人並んで座っているひでと総司。何となくかつて藤堂も交えて3人で縁側に座っていた頃と違って見える。
総司だけでなく、ひでも少しずつ大人になっているのかも知れない。
「芹沢の暗殺は自分は何も知らなかった」とひでに本当のことは打ち明けなかった総司だが、帰り際、階段の下でひでが降りてくるのを待って肩を並べて門の方へ歩いていく二人。
所詮恋は相対的なもの。一番好きだったお梅はもういないのだから、ひでの気持ちを受け止めてあげればいい。

後半、内山の暗殺の時は表情が一変した。今回も余り派手な殺陣ではなかったが、最後止めを刺そうとする時の表情にはしびれてしまった…。
鉄砲を出された時、一歩も引かない総司。しかし目は必死にどうしようか計略を巡らせている。暗いところでも瞳はキラキラ♪
斉藤が止めを刺した時、少し目を潤ませた(?)ような…一仕事終わった、と言う感じで、少し息をはいた。
だんだんと美剣士らしくなってきました!

***第26話の私のつぼ***
隊士募集の面接のシーン。新選組の気風が気に入ったから入隊してやるッ!と、何だかよく分らない勘違い武田観柳斎。こともあろうに、それに押され固まる歳三と山南…。
今回はこの時の2人の姿が一番面白かった!お二人とも上手い!



●第27話「直前、池田屋事件」

幕臣だけで構成された見廻組を率いて久しぶりに佐々木が上洛してきた。だんだん京で台頭してきた新選組を少し恐れているようだ。
反対に隊士達は勇の周りで静かに動いている。

勇に内山と芹沢のことを問いただす永倉。そう言えば永倉は2つの件に関してはつんぼさじきにされていたかな…?
飯屋の娘まさに恋する原田。…私はあなたのような性格になりたいよ…。
そして谷昌武の養子問題(この男は今一つ覇気がないように思える)。どうしてこの話に山南が賛成するのかよくわからなかった。

一番印象的だったのは、総司に成りすました平助!
「自分は沖田さんに何をやってもかなわない。いつも沖田は自分の前にいる。皆に愛される…」
自分と人を比べて卑屈になることほど意味のないものはない。
自分が他人より優れているという優越感によって幸福を感じる人間には永遠に確固たる幸福を手に入れることは出来ないのではないか…?
自分より恵まれて見える人間なんてものは、次から次へと現れてくるものだ。その度に憂鬱にならなければならない。
自分らしく活躍すればいいと思う。どうせ比べるのなら、過去の自分と比べればいいではないか。
「自分のいいところを捜せばいい。俺も一緒に捜してやる。」
決して歳三には言えない言葉…。勇のことが少し好きになってきた。

さて、そうこうしているうちに京の町が怪しくなってくる。
桝屋の主人を拷問して、勇達はある浪士達が御所に火をつけ、その混乱に乗じて会津公を討とうする策略を突き止める。
来週はいよいよ「池田屋事件」だ。

□27話の総司□
体調に異変が起きてくる。
ひでに連れられ医者に行くが、どうにも気が進まぬ様子。
「こういうことは煩わしいんだよなぁ。別に恋仲でもないし…」
診療所の待合室で総司がひでに言った言葉。
これが本心なのか、好きな子に対するちょっとした意地悪なのか、それともただ治療を恐がっていることを覚られないようとする強がりなのか…。
これだけ見ただけでは判断しかねた…。
しかし医者から走って逃げ出したので、いずれにせよ治療が恐かったことだけは確かだろう(苦笑)
その気持ちはよくわかります。実は私も無類の医者嫌い…。どんな検査されるかわかんないもんね(笑)。

ひでとお手手繋いで歩いていた。あの時代に若い未婚の男女があんなこと出来たのか…?と少し疑問に思わなくもなかったが、なかなかお似合いでしたよ。

勇に「まだまだあいつは子供だ」と言われてしまった総司。
それでも歳三達に指示を与えられた時の「はい」と言う返事には自覚が表れている。
いくらなんでも、もうお梅にデレデレしていた総司とは違うよね(笑)。

***第27話の私のつぼ***
・藤原総司・・・診療所で患者の悲鳴にビビる総司。一番痛い拷問の道具を見てビビる総司。かつてこんな人間臭い総司がいたでしょうか…?(笑)
・武田観柳斎・・・なんであんたそんなに威張っているの…?



2004年11月09日(火) 「新選組!」第24・25話

●第24話「避けては通れぬ道」

歳三はいよいよ隊の規律を定める為に法度を明文化した。
その裏には芹沢を追い詰める画策があった。
勇達は芹沢の排除について話し合うが、有無を言わせず斬るという者、一度話し合ってはと言う温情派と、意見が分かれるところだが、何だか勇が蚊帳の外といった感じであった。…あれでいいのだろうか?

歳三と何故か不思議なことに山南が芹沢一派を崩しにかかる。
芹沢一派の要は何と言っても新見だ。新見さえ芹沢から離しておけば、後は簡単なのだ。
歳三と山南は又三郎の一件で新見を陥れる。新見は簡単に芹沢を裏切ろうとした。(結果的には新見が芹沢に裏切られた形となったが…)
芹沢は仲間にも恵まれていなかった…。勇を盛り立てようとする試衛館のメンバー達と比べれば、余りにもお粗末ではないか?

隣の部屋に芹沢が潜んでいるとは露知らず、新見は彼を裏切るような発言を得々としている。それを聞いている芹沢は何を思ったのだろうか…?
歳三が鋭い視線を向け、障子を開ける。新見の目にじっと座っている芹沢の姿が飛び込んできた。
一瞬にして事態を呑みこんだ新見は動揺した。彼が初めて人間らしい感情を見せた瞬間だったように思う。

「士道に背くまじきこと。」この如何様にも解釈できる抽象的な法度の名分により、その場で切腹を命じられる新見。
「芹沢先生!」…新見が叫ぶ。
この時彼は芹沢に助けてくれと哀願したつもりだったのか・・それとも兎にも角にも腹立だしかったのか・・?
腹を切る寸前に「先に行って待っている。」と言う言葉を残す。山南とそして・・おそらく芹沢に向けた言葉であったのだろう。

自身の右手であった新見を失った芹沢はもう赤子同然であった。
お梅と戯れる総司を、我を忘れて殴り続ける…。
「次は俺の番だ…」と自らの弱さを露呈し、お梅にすがりつく芹沢。
どうして残った人間だけで体制を立て直そうとしないのか?
それもせず、酒に逃げる芹沢は…もう既に末期の状態であった。

□24話の総司□
隊士達が大きく変わろうとしている時に、相変わらず芹沢と行動を共にしている総司。呑気に見世物小屋を見物している。
でも、しゃがみこんでニコニコ笑って金魚と戯れているところは可愛かった!あんなところはどうしても憎めない…。

つわもののお梅に対し「お梅さんは私が幸せにする!」だって…。あ〜あ、言っちゃたよ…。
こんなこと、ある意味、彼女に向って一番言ってはいけないことなのだ(笑)。
案の定お梅に挑発され、彼女を押し倒す総司!
・・・と、ここで画面はぷつっと切り替わり… 何だよ!?
NHKというところは本当につまらないところだと、昨夜ほど思ったことはなかった…。
総司の色気のあるシーンも見たかったなぁ…。まさかそんなことはないと思うが、もし竜也ファンを気遣ってのことだったら…そんなのは余計なお世話だから。どうぞ、お気遣いなく!

***第24話の私のつぼ***
・祝!総司、男になる! しかし余韻の嬉しさ束の間…芹沢にボコボコにされ…とっても痛かった総司の初体験…。



●第25話「新選組誕生」

勇はなかなか芹沢排除の意思を固められない。「仲間を罠にはめることは士道に背くことにならないのか?」ともっともらしいことを言い歳三に詰め寄る。
しかし歳三の浪士隊に懸ける並々ならぬ覚悟を知り、芹沢排除に気持ちは傾いていく。

当の芹沢はお梅と嵐山に紅葉狩りに出掛けていた。
この時の芹沢は心乱した先週とは打って変わって穏やかな笑みを浮かべていた。
自分の死を覚悟し、悟りの境地に入ってしまったのか…?
お梅も何時になく素直な女であった。
「俺の墓に入れよ」と芹沢に言われ、お梅は初めて素直な喜びの微笑を見せた。綺麗な笑顔だった。

さて、芹沢暗殺の段取りは着々と進む。
芹沢暗殺のために仕立てられた宴会で、勇は芹沢に身の危険を伝えようとするが、
「鬼になれ近藤。鬼になって俺を喰っちまえよ・・」と反対に忠告される。
この時の芹沢の気持ちは私には分らない…。いつからこんなに出来上がった人間になったのか…?
なぜもっと早くその懐の深さを新見達に向けてあげられなかったのか…?
相手を信じることが出来たならば、きっと新見も裏切るようなことはしなかったはずだ。
勇もやっとこの芹沢の言葉によって鬼になる決意をする。

いよいよ暗殺が決行される。
こんな時何故か邪魔くさくひでが出て来た。
庭で待機している総司に、しつこく何があるのかと聞くひで。
最後には総司に部屋から出てくるなと怒鳴りつけられるが、総司のことが好きだったらその人の様子から全てを察してね…(苦笑)

歳三達はてこずる。
しかし芹沢が徳利に滑った一瞬の隙を狙い、総司等のよってその命を絶たれた。
お梅が芹沢の亡骸にすがりつく。
そして芹沢をしとめた総司の剣で自らの命を絶った。
お梅にとって芹沢は自分の最後の希望だったのだろう。その希望が奪われた今、お梅は生きることが出来なかった。自身の中に希望を見出すことが出来ない哀しい女だった…。
芹沢の死に顔が…少年のように見えた。

□25話の総司□
とうとう総司は大きく変わった!思えばこの半年、この時を待って、待って、待っていたような気がする。
歳三に宴会途中芹沢が席をはずしてもお前は残れ、の一言で状況を全て呑みこんだ。この時の目の動き、竜也くん上手かったです。
「私も加えて下さい。芹沢は私に斬られることを望んでいる!」
声が変わりましたね〜。竜也ファンの大好きなシブイ声になっていました。

ひでを怒鳴りつけた時の表情もgood。もうそこには、ひでと藤堂と3人で縁側に座っていた総司はいなかった。

さて見せ場の芹沢の暗殺シーン。これは正直言って、山南や原田に比べると殺陣のカッコよさが今一つわからなかった…(汗)
鴨居に自らの剣を刺してしまい、尻餅をついた形になって…、
その姿勢で芹沢の止めを刺した時の上目使いの厳しい表情は素敵だったが、ファンとしてはカッコよく袈裟斬りにして欲しかった…かな。

お梅に自分の刀で自害されてしまった総司…。
「お梅さんは、僕が幸せにします!」
これがどれほど自分を買被った言葉であったか・・分ったであろう。
総司は最後まで芹沢に、ある意味では勝てなかった…。

***第25話の私のつぼ***
○藤原総司
・芹沢に追い詰められ…鍋の蓋を投げる総司…鍋を投げさせるか!? 鍋投げ総司なんてこの大河が最初で最後でしょう…。
・それでも今までの総司が何だか冗談のように思えてしまった、ギアチェンジした声と表情。
○その他
・槍を持って構える原田。乱れ髪の山南。芹沢の最後を見届けた時の歳三の何やら驚愕したような、恐怖を覚えたような表情。(←実際巨大な敵を倒した時はこんなものだと思う。桃太郎侍みたいに「ふーっ」なんてカッコつけてらんないよね(苦笑))
皆んな上手かった!カッコよかった!
それに比べ見せ場のなかった勇…。まぁ大将なんて、結局いい駒ありき、なんでしょうね…。



2004年11月08日(月) 「新選組!」第22・23話

●第22話「屋根の上の鴨」

勇は松平容保から今後も会津藩預かりの浪士組として京に残留する許しを得た。
芹沢は勇が単独で話をつけたことがおもしろくない。
「解散だ!」などと凄んでみせるが、新見が何とかなだめる。
芹沢は苛立を爆発させる。
浪士組の中で自分の影響力がどんどん低下していく恐怖を命が感じるのだろう。
飯屋で傍若無人な態度を取り、更にその帰り道で、些細なことで又三郎を斬ってしまった。
そしてそれだけでは収まらず、今度は大和屋という商家から金を力ずくで奪う計画を立てる。
そんな芹沢の姿を見て、たまりかねた勇は自分の思いを芹沢にぶつける。
「力ずくで商人から金を奪うことが武士のやることか。」
一瞬芹沢は動揺した表情を見せた。自分でも分っているのだろう。
しかし、もう引き返さなくなってしまっているのだ。
人の性分とはやっかいなものである。使いようによっては悪にも善にもなる。
芹沢の激しい性分も、もっと違った形で何かに向ければ、それは勇猛なものになったのだが、今はただの狂気だ。
芹沢の最大の不幸は、彼のことをよく理解してあげ、彼の性分を善の方向へ導いてくれる人物が周りに一人もいなかったことだと思う。

一度は大和屋の主人が留守ということで、そのまま何もせず帰って来たが、ついている女が悪かった…。
大人しく帰ってきた芹沢をお梅が炊きつける。
お梅は確かに悪女だ。しかしお梅ばかりが悪いのではない。それを聞き流せない芹沢が馬鹿なのだ。
芹沢一派は再び大和屋へ向い、そしてとうとう破壊する。
屋根に登り、自虐的な笑いをみせる芹沢…。
彼の笑顔は何故か私には泣いているように見えた…。

□22話の総司□
先週の一件以来、すっかり勇に反抗的な総司。
その反抗心からか…、芹沢達と行動を共にするようになる。
芹沢がこれ見よがしに沖田を連れて歩くのは、勇への対抗心も少しはあるのではないだろうか…?

それでも最初に訪れた飯屋では、芹沢達に追い出される先客に対し「ごめんなさいね」と穏やかに謝ったり、芹沢にどやされた又三郎の所にまで酒や肴を持っていってあげたりと、総司らしさが残っていてほっとした。
又三郎が斬られ、その亡骸を葬ることもせず金の入った袋だけを持ち去る芹沢達。
ほんの一時前、総司は又三郎から、その金が彼にとってどんなものであるか聞いている。
その金に含まれている又三郎の夢の重さを知っている総司は、その時何を思ったのだろうか…?

「取り入る相手を間違えると命取りになる。」
斉藤が諭す。・・・総司はもう分っているのだ。ただ今一つ素直になれない。
勇への反抗心もあるだろうし、もしかしたらある意味、勇達に甘えているのかもしれない…。
証拠に、芹沢達と行動を共にしていても、少しも楽しそうではないではないか。かえって辛そうだ…。
大和屋を破壊する時、総司は殆んど泣きそうな顔でとんかち(?)を振り上げていた。

物事が大きく変化する時、必ずと言っていいほど大波が押し寄せる。
人間が成長する時もそうなのではないだろうか…?
今、総司は大きく変わろうとしている。これは全てその前触れのような気がしてならない…。

***第22話の私のつぼ***
・藤原総司
22話全体を通して葛藤する総司。表情、声色、物腰…体全体でそれを表現していた竜也くんの姿!
・その他
殆んど忘れかけていた捨助、久々登場!あの後、彼はどうなってしまたのでしょうか…?


●第23話「政変、八月十八日」

長州のにせの勅令に腹を立てた会津と薩摩は京都から長州兵の締め出しを決行する。
いつの時代にも天皇というのは哀しい。自らの意思に反して、政治的に利用される…。
戦の大義名分としてその名前を出されるが、本当は平和を願わない天皇などいるだろうか…?

勇も会津藩の軍議に加わるが、指示を受けることはなかった。
困った広沢は苦肉の策として「御花畠」の警護に浪士組を付かせることにした。
「御花畠」とは正に「お花畑」の何物でもなく(笑)、はっきり言えばどうでもいい場所であり、浪士組はまだまだその存在を認められていない。
「命に変えて御花畠をお守り致します!」
勇の真剣な姿が可笑しく、そして憐れであった…。

この肝心な時に芹沢は湯治に出かけていていない。
一晩経って戻って来て、会津藩の下知など待てるかとばかりに、止める勇を尻目に出動する。
途中、会津藩の食い止めをくらうが、そこは芹沢である。
凄みをきかせて、堂々と通過した。
こういうところは芹沢の荒々しい性格が長所となるのだ。
とても勇には真似は出来ない…。

御花畠で待機する勇達…。何も起こらない。
じきに長州は撤退を決め、京から去る。
勝利を得た形になった会津公の行列の前に、じっと頭を下げ身をかがめる勇達。
松平は勇に一瞥もくれない。それでも勇達は頭を下げ続けていた。
自分が蔑ろにされ、世間から認められない屈辱は、一度は誰でも受けるものだ。
問題は、その時にいじけてふてくされるか、それともその悔しさをバネに出来るかである。
その気持ちの持ちようで、これから先の自分が決まるのだ。
芹沢は面倒臭そうな態度をとり、ふてくされた。
勇は違う。歳三が側にいる。
歳三は浪士組を誰もが認める存在にするよう、修羅になる覚悟を・・もう既に決めている…。

□23話の総司□
今週もまだまだ後退中…。
芹沢と連れ立って湯治へ行く時、勇は寂しそうな目で総司を見つめた…。
少しばつの悪そうな総司。この時の竜也くんの表情…好きだわ〜。

さて、大事な時に呑気に湯に浸かっていた総司だが、戻って来た後もいただけない…。
「お気をつけて」とお守りを差し出すひでに向って、「そういうのあまり信じないから」だとか「これから戦に向う者に対しては武運をお祈りしますと言うのではないか」とか…。
すっかり勘違いをしてしまっているのだ。
ひでに「どうして人の気持ちが分らないのか」と切り返されると、今度はふくれる始末…。

いちいち相手のことを考えていたら、こっちがやられる、と息巻く総司に、斉藤が本当に人を斬るということがどんなに殺伐としているものなのか…遠回しに諭しても、今一つ納得出来ない様子。
まぁ、人を斬ることを何とも思わない総司には、私個人としてはなって欲しくないのだが…。
最後には藤堂にまで諭されて…。
はっきりと間違いを諭してくれる人達が周りにいることがどんなに幸福なことか…。分っていますか?総司くん。
言われているうちが華ですぞ!

***第23話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・湯治場でのシーン。お梅の裸体の寝姿を目にする総司。そそられているはずなのに、何もせずそのまま静かに障子を閉める…。ここだけは好青年総司でした。



2004年11月07日(日) 「新選組!」第20・21話

●第20話「鴨を酔わすな」

勇達はこれからの浪士隊の方向性について話し会う。
彼等に混じってお梅がその輪の中に入っていたが、この光景は、まるで自分が5人目のビートルズのように振舞っていたオノ・ヨーコの姿を彷彿させた。
男の仕事に女が口を挟むと、大抵はろくなことがない。
そこで隊の制服(?)にダンダラ羽織を充てることに決定する。
この羽織を身につけている芹沢の姿は、なぜか私にはツボだった…(笑)。

さてそれを着て将軍警護のために大阪へ向う勇一派と芹沢一派。
そして同じくそれを着て京に残り、人員集めをする山南を始めとする近藤派4人。
この時近藤派だけで人員集めを進めたのは、上手い作戦だと思う。
だんだん近藤派が台頭してくる。芹沢が少数派になっていく…。

一方大阪に到着した勇達。
そこで芹沢と桂がやりあう。(話の内容はよく分りません…)
前半戦は芹沢の方に分があったように思えたが、最後には桂が芹沢を打ち負かした形になった。芹沢の表情を見ればそれが分った。
桂にはかなわないだろう…。言わば桂は幕末の勝組みになる人物なのだ。
「あの人は弱点を突かれると大人しくなる」新見が皮肉った。

後の酒の席で芹沢は荒れる。
何とか場を盛り上げようと、故郷の多摩の踊りを披露して見せる勇達。
山本さん、気持ち良さそうに唄っていましたね(笑)。
さすがにミュージカルに出演する人だけあって、すごい上手いと言うほどではなかったが、十分に聞けました。
この時の芹沢の姿は哀しかった。懸命に押し寄せる敗北感と孤独感に耐えているように見えた。
佐藤さん、上手かったです。私…涙が出そうになりました…。
人間が孤独を感じるのは、何も部屋で一人ぽつんとしている時だけではない。
いや、かえって賑やかな雑踏の中にいる時に感じるものではないだろうか…?
楽しそうに踊っている勇達とは決して相まうことがないと芹沢は感じたのだと思う。
そんな時人間は、とてつもない孤独感に襲われるのではないだろうか…?

桂に馬鹿にされたダンダラ羽織…。
「私は好きですよ。このダンダラ羽織。」勇は明るく芹沢を励ましたつもりだろうが…こういう時は放っておいてあげなよ…。
かえって惨めな気持ちになるではないか。
佐藤さんの演技が群を抜いていた20話であった。

□20話の竜也くん□
今週もお梅の後を尻尾を振って付いて行く総司であった…。
「舞い上がっている」と斉藤に陰口をたたかれ、茶屋の娘までにも気をつけろと忠告される。
周りに気持ちを読まれるような行動するんでないよ!と、ちょっと喝!!

以前の囲い先である屋敷で乱暴に扱われるお梅。
彼女に対し「私たちがついているから、心配しないで」というようなでかい口をたたいたが、
「勘違いしないで!」とお梅にぴしゃりとやられる。
一体お梅は何を求めているのか…?この女性も哀しく孤独である。

お梅の気まぐれに振り回されながらも、時折彼女の真意を探るような真剣な眼差しを彼女に向ける総司。
総司はあれで、総司なりに色々考えているようである(笑)。
この時の表情はgood,goodです、竜也くん。

ひでとは今のところ進展なし。
ひでもひでで、総司への恋心を隊士達に読まれているようである。
何だかなぁ…あの二人…(←総司とひでのことよん)

***第20話の私のつぼ(今回は藤原総司限定ではありません)***
○藤原総司・・・お梅の以前の囲い先を訪れた場面だったと思うが、両目の下睫毛のところがガラスの破片でも付いていたかのように、キラキラしていました!
何っ!あれっ!?  竜也くんの瞳は出演者全員の中で一番キラキラしてるっ!
○番外・・・まだ見慣れていないことが多分にあると思うが、誰一人として似合っていなかった隊士達のダンダラ羽織を着た姿…。


●第21話「どっこい事件」

勇は将軍が江戸に戻るため自分達も一緒に江戸へ戻るべきだと筋道を通そうとする。
一方歳三は、京に残り、これを機に自分達だけ浪士組を結成しようと提案する。
ここら辺り二人の性格の違いが窺える。歳三は自らの野心に忠実に突っ走ろうとする。しかし勇にはそんな威勢のいいところはない。
体裁と義理に縛られてしまうのだ。
こんなところが勇の今一つ飛べないところだと思う。
歳三に持ち上げてもらわなければ、恐らく名をあげることはないだろう。

そんな中、勇は松平容保に接見し、今後は容保のためにだけ京で働く決意をする。
容保に会いに行った勇を「成り上がり者ほど上に尻尾を振りたがる。」と皮肉ったが、浪士組みはどんどん近藤一派が主流になっていく。
歳三デザインの「誠」の旗が完成し、旗持ちまで決め、芹沢を抜きにして浪士組は独り歩きし出した形になった。
それを感じ焦った新見は、隊士達を集め、芹沢を強調した講義を始める。
弁においては歳三達は敵わない…。
ある意味この事実が、後に京を震わせる歳三を作り上げたのかもしれない。

さてお梅。そんな歳三に袖にされても負けていなかった。
「女が全て自分に惚れていると思うな。」と歳三を凹ませた。
全くその通り!小気味のよい女である。
でもこう言うことは綺麗な女性が言うからかっこいいわけであって、これをそこら辺の女性が言ったら…恐らく自爆するでしょう。

□21話の竜也くん□
今回は力士との乱闘シーン抜きでは語れません。
道を譲った譲らないで始まった力士とのイザコザ。芹沢は彼等の一人の腕を斬ってしまう。
怒った力士達は芹沢らの酒席に押しかけ、そこで乱闘が始まる。
隊士の一人が力士に襲われそうになったところを助けるため、総司は初めて人を斬る。(殺しはしなかったが)
斬った後、得意そうな笑みを浮かべたが、斬った瞬間は怯えたような顔をしていた。
それが本当だと思う。初めて人を斬るなんて時はやはり怖いだろう。この瞬間の竜也くんの表情…好きですわ。

乱闘が終わった後も、「実は初めて人を斬ったんですよ。」などとよせばいいのに斉藤達に嬉しそうに話しまくる総司…。(←ガキだね)
永倉にたしなめられても、どうにも笑いが止まらない様子だ。
この時のニヤケタ総司。竜也くん上手かった…。総司の未熟さをよく表していたと思う。
私は「しょうがね〜なぁ〜」と本気でTVに向って言いそうになってしまったくらいのである(苦笑)。

当然勇はそんな総司を怒鳴りつけた。
反抗的な眼差しを勇に向ける総司。
それでも勇が去った後、俯いて少し反省しているような様子だったので、少しほっとした。
しかし、またここで芹沢だ…。
なかなかじゃないか、などと芹沢におだてられ、また嬉しそうにする。
この時の芹沢の褒め言葉は、決して若い人を育てようとしているものではない。かえってその逆だ。
果たして総司はそのことに気付くのか…。

***第21話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・初めて人を斬った時の怯えたような表情。スローモーションだったので余計楽しめた。
・「斬っちゃた・・とうとう・・人・・」軽薄そのものの総司の声!
・勇に向けた反抗的な眼差し。もう何も言わなくても竜也ファンなら…。
(ちょっと番外)
・力士の乱闘を治めようと部屋から隊士達が外へ出るシーン、山南の少し腰を落とした狂言張りの小走り。



2004年11月06日(土) 「新選組!」第18・19話

●第18話「初出動!壬生浪士」

会津藩預かりの身となった勇達だが、なかなかその活躍の場が与えられない。
そんな中、試衛館のメンバーと芹沢一派との間で、誰を局長にするかという主導権争いが繰り広げられる。
結局局長は、芹沢、新見、勇の3人に決定した。
すかさず歳三が自分と山南を副長に据えることを提案。
これはいい戦略だと思った。
一番手になるより、二番手に収まっていた方が、意外と自分の意のままに物事を動かせるのだ。

・・・と、ここまでは感心していたが、次に芹沢一派の平山と平間がその後に続き、今度は沖田が助勤となり…次々と役職が付き、結局平隊士は井上だけという(彼はこの時助勤にしてもらったのか?)何とも自己満足な人事となってしまった。
この辺り、まだまだ組織編成において未熟な彼等だが、兎に角一歩は踏み出した。

とは言っても、まだまだ活躍のチャンスは回ってこない。
そんな中、八木邸で試衛館チームと芹沢チーム対抗の相撲大会が行われた。
八木邸の女性達は徐々に浪士達に好意を持ち始めている。
特に原田に対する婆さんのお熱ぶりは、不思議と可愛らしい(笑)。
勝負は引き分けに終わったが、それまで何かと排他的であった斎藤が、この相撲大会で心を開く。
結局真の仲間意識とは、同じ目的に向って力を合わせること以外には、生まれてこないのかもしれない…。
これまでクールな表情を崩さなかった斉藤が、この時、はにかんだような嬉しそうな笑顔を見せた。
オダギリさん、素敵でした。

そしてついに待ちに待った初仕事がやってくる。
長州の人間が立てた幕府をからかうような立て札を取り除く仕事だ。
「出陣だ!」芹沢役の佐藤さんは、流石にばしっとこの台詞をキメテいた。

□18話の竜也くん□
今週は竜也くん本人がお薦めの回だけあって、竜也ファンは随分と楽しめたのではないだろうか?
お梅の恋心が、もうどうにも止まらない。
お梅に鼻毛を読まれている感があるが、自分に彼女が気があるなどと、気の毒になるくらいの総司のおめでたさが、おかしい。(ここら辺、上手いですよ、竜也くん。)

さて、いきなり画面がひでとのツーショットになり、総司が顔をひでに近づけた時は、ラブシーンが始まるのかと勘違いし、これはひでの妄想シーン(笑)なのかと思ったら・・・

なんだよ!匂いを嗅ぐのかよ!
でも竜也くんのあんなふざけた姿も、変に色っぽいと思ってしまう私は病気だろうか…。
更に、「ホントだ!姉上と同じ匂いがするぅ!」「姉上〜」と、ひでに抱きつく総司のあまりの可愛さに、ニタ〜ッと笑ってしまう、私の気味悪さよ…。
三谷さん、竜也ファンがどうすれば喜ぶが分っているでしょ!?
私は何か自分がいいように三谷さんに遊ばれているような気がする…。

お梅に会いたいがために、使いの文をわざわざ自分から持っていく総司。
しかしそこで芹沢とのツーショットを目の当たりにして、今度は大袈裟に落ち込む(笑)。
もうたまりませんわ〜。

「大人の恋って・・感じやなぁ…。」
ひでと総司の会話は微笑ましい。
あの二人の姿を見ていると、ほんわかした気持ちになる。
愛らしい総司もあとどれ位楽しむことが出来るのか…。
そんな名残惜しさを感じさせる藤原総司でした。

***第18話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・画面にはあまり映らなかったが、剣の稽古中の張りのある掛け声。
・可愛いのか色っぽいのか訳が分らなくなった匂いを嗅ぐ総司(今週は犬になっていました…)
・相撲の試合中、お梅にいいように遊ばれ(表向きは総司を応援しているのだけどね)、いいとこ見せようと思ったのか、気をとられたのか・・結局負けてしまったお馬鹿さん総司。


●第19話「通夜の日に」

八木家の久が亡くなった。
勇達は葬儀の取り仕切りを申し出る。
始めのうちは迷惑がっていた源乃丞も、浪士達がしきりに働く姿を見て、彼らを見直すようになる。

通夜の最中に久坂達が弔問客としてやって来る。
勇と久坂の言葉のやり取りは、いたって静かに進んでいく。
丁寧な言葉の裏に相手への敵意が丸出しな事は日常でもよくあること。
こんな時は、先に仕掛けた方が負けなのだ。
一触即発の事態をおさめたのは、芹沢だった。
「場をわきまえろ。」「人の通夜には羽織ぐらい着てくるのが礼儀だ。」
芹沢の言っていることはいたってまともだ。
芹沢は容赦なく続ける。
自分が世の中を動かしたいがために、朝廷を利用しているだけだと…。
当たらずも遠からず・・だと思う。
痛い所を突かれた形になった(?)久坂をとりあえず追い払い、事態は表向きは丸くおさまった。

さて、浪士達を認めた源之丞は、ひでが女性であることを公表する。
その時の歳三の驚いた顔が面白かった。
先週も感じたのだが、山本さんは、ひょうきんな顔をつくるのが意外と上手い。
早速そのことを芹沢に話すが、芹沢はとっくに気が付いていた。
そっちの方も、芹沢の方が勇達より一枚上であった(笑)。

□19話の竜也くん□
今週も見せてくれました〜。
今週の見所は、やはり芹沢とお梅と総司の三人の場面。

ひでと話をしている最中に、お梅に呼ばれ、嬉しそうにのこのこと部屋に入ったのはいいが、そこでまた芹沢がちょっかいを出す。
「腕はたつが、まだ人を斬ったことがない。」と芹沢に挑発され、「初めて斬る人が芹沢さんだったりして。」と皮肉な笑顔で言い返したまではよかった。
しかしまた、芹沢に「赤ん坊の目」と言われ、更にお梅に顔を近づけられ「綺麗な目」とじっと見つめられた辺りから、だんだん怪しくなってきた。
「やめて下さい。」と総司の戸惑った顔に、胸キュン。

今回の芹沢はしつこかった…。
「その目に汚れたものを見せてやりたい。」と芹沢。
「言うだけでなく、早く見せてくださいよ。」と総司も張り合って見せたが、粋がりもここまで。
芹沢は総司の目の前でお梅とのキスシーンをやって見せた。
それを目をそらさずにじっと見ている総司…。この時の総司の瞳がキラキラ光っていて、この何とも言えない顔に…またまた胸キュンキュン。
目をそらさなかったことだけが、総司の精一杯の強がりに思えた…。

・・・しかし・・・おいっ!鴨っ!あんた本当は総司のこと好きでしょ!?
若い人材は真っ直ぐ育てようよ!まぁ確かに芹沢みたいな人間が総司を鍛えてくれることは認めるが…。
あの屈折した愛情…。もう少し何とかなりませんかぁ?
だんだんエスカレートしてくるではないか。
おまけに最後は暴力的に無理矢理酒を飲ませ…。
もうここまでくると、サディズム的な快楽を得ているだけの鴨であった…。
いやだわ〜。ゆがんでるわ〜。

口直しにひでとの話。
自分が女であることを総司に一番先に話したいと紅をひくひで。
女の姿に戻って、総司を見つめるひでの笑顔は可愛らしかった。
さて、遠回しに自分の思いを総司に告白したひでであるが、これから総司のひでに対する態度がどのように変化するのだろうか?

***第19話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・さっきまでの能書きは何だったのかとお思いでしょうが…芹沢に苛められている総司・・。(結局私は鴨と同じかいっ!)
・通夜の報告の際、一人でこっくりこっくり舟こぎ総司。幼稚園児ではないのだから、少しくらい夜遅くなっても起きていられるでしょ!(笑) 「ステラ」に書いてあったのは本当だったのね…(苦笑)



2004年11月05日(金) 「新選組!」第16・17話

●第16話「一筆啓上つね様」

江戸のつねのもとに勇の手紙が届く。
そこには京都での勇達の活躍ぶりが書いてあった。
所々嘘(?)が記してあったが、故郷で待っている者達へは、事実を少しばかり歪曲していいことばかり書いてしまうものである。
その気持ちは…分る。

勇達は京都で新しい仲間を増やそうと浪士隊の勧誘を始める。
ここでやっと斎藤も加わることになる。オダギリさんのファンの方はさぞ待ちくたびれたことであろう(笑)。
いささか心許ない者も中にはいるが、それでも少しずつ仲間は増え始める。
その中に粕谷もいた。
粕谷は「最初は一つの目標に向っていても、何時かは仲間割れをする。無駄な殺し合いは見たくない・・。」(←正確ではありません)と、まるで新選組の行く末を予言するようなことを言う。
勇達はまさか自分達もその運命を辿っていくことになるとは、今の段階では夢にも思っていない。
しかし、これは組織というものの宿命である。
最初はいい。皆、目標に向って無我夢中だからだ。
しかしある程度目標達成が見えてくると、それは綻んでくる。
皆成長するのだ。とうしても自我が目覚めてくる・・。
ところで、この粕谷を演じている役者は時代劇のベテランであるが、今回は周りがあっさりとした台詞回しなので、この人のベテランらしいこってりとした台詞回しは、かえってそれが仇になり、妙に浮いてしまっている感がある。
何故か少し気の毒になってしまうのだが…(苦笑)

二条城に入る将軍を野次馬達と一緒になって見物している勇達だが、何者かが恐れ多くも将軍に声を掛ける。
その時咄嗟に振り向いた試衛館のメンバー達の厳しい表情はしびれたっ!
特に山本さん、素敵でした。

将軍を擁護しようにも、その立場が中途半端なため、間間ならず、厳しい現実に直面する勇だが、
山南の発案から端を発し、勇と芹沢は会津藩主の松平容保に面会する。
そして彼等は晴れて会津藩預かりの身分となる。

さて、今までワンポイント出演で、その情けな〜い姿を毎週のようにさらしていたトノウチ。
私は、この役者が三谷さんの友人か何かで、その縁から友情出演でもしているのかと思っていた…。
何だよ!昼行灯ではないか! やってくれますな、三谷さん。

□16話の竜也くん□
今週もそんなに目立ったところなし。
林太郎を一生懸命京都へ引き止めようとしている場面。
林太郎のかっこ悪い姿を目の当たりにして、とうとう諦める。
「もういいです…。」 この時の何とも言えない表情。
何故か私の母がウケていました・・。
こういう表情を造るの・・なかなか上手いと思うのだが…。

ひでと藤堂と共に三人で縁側のような場所で座りながら話しているシーンは、見ていて微笑ましかった。
こんなほのぼのした光景・・これからはあまり見ることが出来なくなってしまうだろう・・。

一方後半、久坂玄端に向って行こうとした時、一瞬見せた激しい表情はgoodでした。

***第16話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・将軍入城の行列を見物している時、人混みで思うように見ることが出来ず、見えないよ〜とばかり子供のように跳ねる、ぴょんぴょん総司。…可愛かった…。


●第17話「はじまりの死」

勇達が正式に会津藩預かりという立場を得た。
しかし、隊の正式名のことで、もう芹沢達と揉め始める。
歳三は勇を隊の頭に立たせようと奮起する。
だんだん歳三が本領を発揮し始めた。
特に最後の「憎まれ役は俺になる」・・男だねぇ〜。
もし土方歳三という人間が存在しなかったら、新鮮組が歴史の表舞台に出ることもなっかたと言っても過言ではないと思う。

今週は浪士隊の中で初めて人が死ぬ。
これから仲間達が一人一人減っていくのだが、その理由として粛清を名分としたものも多い。
言わば彼等は烏合の衆であるため、規律を厳しくしなければとても組織が成り立たなかったのは想像出来るが、それにしても皆よく付いて行った。
今の世であのやり方を真似しようものなら、まず誰も付いて来ないだろう…。
あの厳しさを賛美するつもりはないが、それでも当時の人間の精神の強さに私は一種の憧憬を覚える。

殿内が芹沢に斬られた。
殿内が勇宛に残した手紙が哀しかった。
「高い志を持って浪士隊に応募したわけではない。」と彼は勇に打ち明けたが、でも彼は勇達と負けないくらい崇高な精神の持ち主であったと思う。
証拠に彼は筋を通そうとした。
あのまま勇みに甘えることをせず、一度江戸に戻り佐々木に会い、全てにケリをつけ、その上で改めて入隊を願い出ようとした。
そんな殿内の男気を芹沢は知る由もない。
彼が大阪へ行くと思い込んでしまうのは当然だっただろう。
しかし、芹沢も殿内の実意を後に知り、彼を斬ってしまったことを後悔する。
佐藤さんの表情を見れば、それが十分伝わってきた。
芹沢はただの暴れ馬ではない。
彼だって、勇達同様崇高な熱意をもった人間なのだ。
芹沢の粛清のシーン…。様々な心の綾が描かれることだろう。とても楽しみになってきた。

□17話の竜也くん□
今週はやはりお梅とのシーン。
お梅は肝の据わった女であり、彼女の言っていることはもっともなことがある。
お梅が何気に総司を問い詰めるところがある。
浪士隊が京に残ってどうするのか? 悪い奴を退治する、と総司。
悪い奴らを退治してどうなるのか?と、すかさずお梅。(だいたいこんなことだったと思うが)
回答に窮する総司…。
総司にこんな哲学じみたこと答えられるはずないのだ。
それが総司のいいとことではないか(笑)。
お梅にいいようにからかわれ、顎をさすられる総司。
この時の照れた総司の顔! 上手かったですねぇ〜、竜也くん。
ああなると演技かどうかもわかりませんが…(笑)
母性本能くすぐりまくりでした。

芹沢との絡みも良かった。
皆が怖がる芹沢にも意に介せず、よくなついている。
こういう人懐こい役どころは、竜也くんにぴったりである。
芹沢もわざと竹とんぼを潰して見せたりして、粋がっていたが、まんざらでもなさそうである。(笑)
竹とんぼを潰した時も、総司は平然と笑っていた。
芹沢の奥深く潜んでいるやさしい性分を見抜いているかのような笑いだった。

***第17話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・お梅に顎を撫でられて、メロメロ総司。正に喉をさすられて喜んでいる子猫のようでした



2004年11月04日(木) 「新選組!」第14・15話

●第14話「京へ到着」
浪士隊がとうとう京都へ到着した。
勇達は芹沢一派と八木邸に宿泊する。八木家の方々、お気持ち察します。
…嫌です。本当にあのような男達の面倒などご免蒙りたい…。
八木家の娘ひでが男装するが、あの様子ではバレルのも時間の問題だろう(笑)

江戸と京都では慣習が違う、ほうきの立て方も違うのか?と、思っていたら、あれは早く帰って欲しい客がいる時の京都でのほうきの立て方らしい。そんな遠回しにやらなくても…。
そんなことは露知らず、わざわざ親切に直してあげる浪士達が、気の毒でもあり、愛しくもあり。

さて、清河の陰謀が水面下で着々と進んでいる。
山南がその建白書の文面を読み、少しうろんな感じを覚えるが、もっと知恵者が浪士隊の中にいた。新見錦だ。
この新見役の役者さんは独特の雰囲気を持っている。
その無表情な顔と感情の伝わってこない声色は、本当に不気味だ。
(変質者のような役を演ると上手いだろうが、総司役の話は絶対に彼には回ってこないだろう)
こういうタイプの人間が一番怖い。
ある意味芹沢より新見の方が曲者ように思える。今後の彼は、怖いもの見たさ的の楽しみがある。

□14話の竜也くん□
今週はなんと言っても料理屋での芹沢とのシーン!これに尽きるでしょう。
その前に「上様と天子様のどちらが偉いんですか?」とか「二人が戦ったらどちらが勝つのですか?」(こんなようなことを言っていたと思うが…)といった、子供にありがちな、大人が回答に窮するようなことを勇に聞いていたが、まぁそれはそれで可愛かった。
しかし、芹沢とのシーンの比ではない!

「俺は汚れていないものを見ると、とことん汚したくなる。」
芹沢は料理をぐちゃぐちゃにし、総司を挑発する。
これは芹沢が総司に大いに興味を持っている証拠であって、どうにも気になってしょうがないのだ。(お互い大人げないことはよしましょう、鴨さん・・)
しかし総司だって負けてはいない。頑張った。
事実、総司にとっては一番癪に障るところをつかれたのだ。
暗に芹沢は「お前はまだ子供」と言っているようなものなのだ。

「……。」総司は何も言わない。
口を結んで、時より芹沢を睨み付けるが、彼の挑発には乗らなかった。堪えた。
そして最後に、皮肉な笑いを向けてみせた。

どんどん総司は成長していく。
ある意味、勇や仲間達よりも芹沢のような(敵と言うか、ライバルと言うか・・)人間が自分を鍛えてくれる。成長させてくれるのだ。
今週の藤原総司には大満足でした。

***14話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・芹沢とのシーン。眼を伏せた時、深い影を落とす長い睫毛。
・またまた芹沢とのシーン。録画したビデオをそこで静止して、そしてそのまま30分間見ていても飽きないであろう、キッと芹沢を睨んだ時の眼!鼻!口!っていうか、顔全部!


●第15話「行くか、残るか」

清河の浪士組を朝廷の為に働かせるという陰謀が露呈した。
「私を斬るような度胸のある男は、今の幕府にいない。」と清河。
圧力をかける佐々木に対して、自分の覚悟を見せつける山岡。
そうなのだ。相手を陥れようとするならば、自分も一緒に堕ちていかなければならないのだ。
自分だけは安穏にいようと考えていたのでは、相手を本当に破滅させることは出来ない…。
彼等は腹をくくっていた。

浪士組は江戸へ帰還することを命じられるが、勇達と芹沢一派は京都に居残り、幕府のためにその身を捧げることを決意する。
清河は勇に向って「君には時代の風が見えていない。自分は身分の差のない新しい時代を創る。」と自らの志を打ち明ける。
清河の志には共感出来る。
結局、勇も清河の行動も「お国のため」という思いが基盤となっている。
根本の志は同じなのだ。けれども彼等は同じ道を歩むことはなかった…。
こういうことは間間あることなのだ。皆それぞれ自らの思想がある。仕方のないことかも知れないが、それでもやはり残念に思ってしまう。

さて、今週目を引いたのは女性陣であった。
まず、お梅役の鈴木京香さん。艶っぽいですね〜。
勇達にほうきの意味を聞かれ、正直に教えてあげていた。
綺麗な顔に愛想笑いを浮かべ毒づく女は、私は嫌いでない。
とてもサマになる。

次にひで。
浪士組が江戸へ帰る知らせを聞いた時、八木家の中で一人だけ顔を曇らせた。
そして勇達が居残ることを知ると、今度は一変して笑顔に。
・・・総司に恋しちゃいましたぁ〜。
吹石さんのこの辺りの演技は嫌味がなく、好感が持てた。
総司に身体の拭き方だか、タオルの絞り方だかを教えてもらっていたが、ひではあれだけで恋に落ちたのでしょうか・・?(まぁ、あれだけでも十分と言えば、そうなのだが)
もう少し、ひでの総司への想いが移り変わっていく様を見てみたかったかなぁ・・。
ひで→総司→お梅…この横の関係、面白そうですな。

□15話の竜也くん□
今週は先週と比べて、そんなに目立ったところはなかったと思う。
試衛館のメンバー達が、上半身裸になって、身体を拭いているシーンがあったが、永倉の肉体に比べると、総司の身体はやはり華奢で・・何となく情けないようにも見えた…。
まぁ竜也くんはこれまでも、惜しげもなく脱いで下さったので、あの程度ではどうってことないが、
今回の月代の頭に裸というあの図は初めての経験であったので、どう表現していいのか・・形容詞が見つからなかった…。

今週、竜也くんの台詞回しが少し気になってしまった。
「なんでぇ?」とか「どうしてぇ?」等の台詞まわしが、余りにも現代風で「愛なんていらねぇよ」の奈留が浮かんでしまった…。
山本さんなど他の人達は気にならないのだが・・何だろ・・?
もちろん監督の指示通りに演っているのだろうが、せっかく時代物に出演しているのだから、もう少し現代物とは変化をつけて欲しいなぁ・・(←あくまでも私個人の希望です。)

ついでに言えば、粕谷と話をしている時、手をもぞもぞやるところも気になった(笑)
演技なのか…くせなのか…。

***第15話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・月代+裸の何とも不思議な図柄。
・ラスト、「清河さ〜ん、ありがとう〜!」と天に向って叫ぶ、総司の青春・・。



2004年11月03日(水) 「新選組!」第12・13話

●第12話「西へ!」
やっと勇達が京都に向けて出発した。ここまで長かった…。
随分と丁寧に書き上げたと思う。

隊編成の際、勇は平隊士扱いにされてしまう。
それが当時どの程度屈辱的なことなのか、私には分らないのだが、歳三と山南は全く違ったやり方で勇を役付にしようと画策する。
一人は理論を持って誠実に相手を説き伏せようとし、一方は動物的な直感で騙せそうな相手を鋭く嗅ぎつけはめる。 
結局最後まで水と油で相俟うことが出来なかった二人がよく描かれていたと思う。

捨助役の中村獅童さん。彼の小さくてつぶらな瞳は捨助にぴったりだ。(笑)
何とも情けなく、間抜けた表情が上手い。
歳三にしてやられ「どこまでも追いかけてやるからなぁ〜!」と恨み節を吐いた捨助の今後の活躍(?)が楽しみである(笑)。

そして清河と佐々木の確執、あの一癖も二癖もありそうな隊士のメンバー達。
さらに面白くなりそうだ。

いつもはじゃじゃ馬のみつが珍しく勇に「弟をよろしくお願いします。」と、深深と頭を下げた。
だが総司は病で衰弱しきって彼女のもとに戻ってくる。
頭を下げるみつを見ていたら、悲しくなってしまった…。

□12話の竜也くん□
伝通院で隊士の名簿を見ている時、思いもよらず義兄の名前を見つける。その時の驚いた顔が身毒丸を思い出させた。
撫子とのシーンであの表情をしていた(笑)
眼を見開き口を大きく開けて、大袈裟にきょろきょろしているその姿はまさに舞台。
なにもそんなに大袈裟に演らなくても…

総司は今のところ藤堂と仲がいい。よく二人でつるんで行動している。
この先藤堂が新鮮組を裏切る時、この二人はどうなるのだろう。
その時総司は、どんな表情を見せてくれるだろうか。

芹沢一派との飯屋のシーンは良かった。
さっと剣を抜いた時は、今後の沖田を予感させる険しい表情を見せたが、すぐ無邪気な笑顔に戻り「沖田総司です。三番隊に所属しています。よろしくお願いします。」と爽やかに言ってのけた。
なかなか手強い。

前後するが、薬やら菓子やらを持ってきたみつに対して、面倒臭そうに対応している。
その顔にはお得意の「もう子供じゃない」と言う思いが出ているのだが、弟を遥か京都まで送る姉の気持ちを汲んであげなさいよ、と言いたくなる。
「しょうがねぇなぁ」と心では思っていても、「ありがとう」と笑顔で答えてあげるのが大人の男というものですぞ。

***第12話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・飯屋のシーン。かっこいい総司と可愛い総司が同時に拝めました。
・林太郎と話をしていた時、なぜか襟元をしきりに掻いていた意味不明な演出(?)ですか。


●第13話「芹沢鴨、爆発」

勇に始めての試練が降りかかった。浪士隊の部屋割りだ。
宿の確保がままならず途方に暮れている勇に前に試衛館の仲間達が現れる。
こういう場面は青春群像という言葉にぴったりで、見ていて素直に爽やかだと思った。
ああいう団結・・私達にはご無沙汰だなぁ…。

しかし曲者の芹沢の宿が手違いで鳥小屋になってしまう。
この時芹沢が歳三に何やらさむいことを言っていた…。
「お見事!」と、歳三の引きつった笑い、良かったですよ、山本さん(笑)。
案の定芹沢はむくれ、町のど真ん中で巨大な焚き火をするという暴挙にでる。

しかしこの芹沢という男、幕府への忠誠心が強く、以外と私には根は純粋な人間のように思える。
彼を見ていると、現場の職人さん達を思い出した。
要は使う側の人間の度量次第なのだ。心が通じ合うことさえ出来たら、とてもいい仕事をしてくれそうなのだが。

ここでやっと勇登場。
芹沢にひたすら謝るという一番勇気のある行動に出た。
二人とも一歩も引かない。
新見が主人の気持ちを汲んだように、試衛館のメンバーに耳打ちをした。火を消す用意をするよう頼んだのだ。
後世にに名を残す人には、必ずと言っていいほど優秀な参謀がいるものだ。
芹沢の引き際も見事だった。

今週は何と言っても芹沢役の佐藤浩一さん。
確かに少し老けたが、まだまだいける。
近藤との対峙の場面、芹沢は殆んど何も言わないのだが、表情だけで彼の心の機微が手に取るように分った。
しぶいです。ついでにさむいギャグを飛ばす姿さえも堂に入ってました。
竜也くんのあんなにしぶ〜い演技も、早く見てみたいものだ。

□13話の竜也くん□
今週は出番多し。
ある道場の大将に向って「おじいちゃん!」と無邪気に笑って呼び掛けていました…。
ああいうのは言っている本人が全く悪気がないだけ余計に始末が悪い。かえって相手には残酷な仕打ちになる。
何せ自分が見た感じをそのまま素直に口に出しているだけなのだから。
でもあの爺さん、怒らなかった。あの笑顔で言われてしまえば、ぐうの音も出ないだろう。
私だってあの笑顔で「おばちゃん!」と無邪気に言われてしまえば、「なぁ〜にぃ〜♪」と笑顔で返事をする・…と思う。

山南がある浪士に絡まれている現場を眺めている総司。
その浪士に「あぁ〜、言っちゃった〜、知らないよ〜」というような、珍しく意地悪な笑みを浮かべていた。
総司役になって初めて見せる表情だった。
これから先も、もっと多彩な総司を楽しませてくれるだろう。

最後に一言。
「月代、剃らねぇほうがいいぞ。お前の顔には似合わねぇ・・」
って、鴨にも言わせるか?!
三谷さん、そろそろ勘弁して〜(泣)

***第13話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・「おじいちゃん」と天使の残酷。
・芹沢に月代が似合わないと言われ、行き場のなくなったいじけた顔。



2004年11月02日(火) 「新選組!」第10・11話

●第10話「いよいよ浪士組。」

10話のタイトルは「いよいよ浪士組」。勇達が京都行きを決意する。
エネルギーの有り余っている浪士達が江戸中から集まって来る。
おそらく彼等は10代の後半から30〜40代位までの男達だっただろう。
いつの時代も血気盛んな若者たちはいる。中には情けないのもいたが、「徳川幕府のため」と言う忠誠心を持った若者が半分は占めていたのではないか。
そんな彼等は純粋である。そこに利害は無い。
「日本のため」と無償でこの身を使おう、なんてことは、現在の若者には馬鹿らしくて出来ないであろう。
書く言う私もそうである。(苦笑)
だからだろうか・・物語の中の若者達は、自分の理想の男性であったりする。
何だかんだ言っても、女性は男性のああ言う割の合わない純粋なところに惹かれたりすることもある。

周斎役の田中邦衛さんは、やはり上手い。
「親は子に振り回された分だけ、子を愛おしく思う・・」こう言うある意味聞いている方が照れ臭くなるような台詞は、下手な俳優が喋ると本当にしらける。
でも、流石田中さんであった。素直に聞けた。

今週の総司は、出番は少なかったが、彼の人生の大きな節目となる大事な場面であった。
試衛館で皆を集め、勇が上洛の決意を宣言した時、総司は当然自分も一緒に連れって行ってもらえると思い込み、無邪気にニコニコ笑っている。
しかし、勇が自分だけ連れて行く気が無いと知ると、思わず道場を飛び出してしまう。
勇の実意など考えようともしないのだ。
「私はもう子供じゃない。」・・こう言うことを言う人間に限って大抵はまだ子供であるが、その証拠に、自分の決意を前髪を剃るという、幼稚なやり方で分ってもらおうとする。
いたって本人は真面目であるが、周りは悪いと思いながらも、笑ってしまうものである。
しかしその思いを受け止めてあげるのも、勇達大人の義務でもあろう。

「総司、ここで泣いたら台無しだぞ。」歳三の言葉は全く的を射ている。
そうなのだ。そこで泣いたらお終いなのだ。
総司は涙を目に溜めていたが、最後までそれを零さなかった。
竜也くん、goodでしたよ、ここの演技。
総司は一歩成長した。

余談…最後に原田が、総司の月代の頭を撫で、「お前、本当に似合わねぇなぁ」と言っていたが、そんな台詞入れることないでしょう〜(泣)

***第10話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・前髪を剃って、勇に自分の決意を示そうとするシーン。頬被りをしながら皆をみる思い詰めた表情。(下睫毛濃い〜)
・鼻の穴を膨らませ(笑)一生懸命涙を堪えている表情。あの顔で見つめられたら、普通何でも許しちゃうでしょう…。


●第11話「母上行ってきます」

今回のタイトルは「母上行ってきます」
試衛館のメンバー達の京都行きもカウントダウン状態に入った。
皆それぞれ江戸や多摩にいる縁ある人達に別れを告げる。
そんなに湿った別れは皆しない。送る側もそんなに長い別れではないと思っているからだ。
メンバーの活躍を期待し、嬉々としているが、いったい京都での勇達とその運命を予測出来た人間は何人いたのだろうか。

源三郎が姪達を勇達の所へ連れて来た時の、歳三の彼女達を見る優しい表情が印象的だった。
全く騒ぐ程のシーンではないのだが、山本耕二さん、あのシーン好きです。
三谷さんが自分の歳三像について色々と話していたが、三谷さんの描きたい歳三が何となく分ったような気がした。

一番印象的なのは、やはりふでと勇の別れだろう。
今まで勇に辛くあたっていたふでが、始めて自分の本心を告白する。
「百姓に生まれ、武家の世界に入ろうと努め、死に物狂いでここまでやって来た・・・あなたは私です。」
相手に嫌悪を覚える原因の一つに、相手の中に自分を見ることがある。
ふでがそうだったのだ。
勇が思惑に反して、急速に武士らしくなる姿を見るにつれ、嫉妬みたいな感情が芽生えたのだろう。
勇の必死に上へ登ろうとする姿に、自分の嫌らしさやみじめさを見たのだろう。
彼女の気持ちが痛いほど分った。
彼等はなぜあんなに「百姓出身」に拘るのだろう?
私には理解出来ない。
でも最後に、皆で楽しそうに畑仕事をしているシーンに救われた。

今回の竜也くん。
彼の話によると、今週辺りから「ハムレット後」になるのだが、そんなに目立った演技の変化は見られなかった。
期待しすぎたのか…?
まず彼の勘違いであろう。「ハムレット後」は、まだもう少し先ではないのか?

不覚にも昨日始めて総司が登場した時「うん?」と思ってしまった。
そうだ、今週から月代総司なのだ。
義兄に「すぅすぅするでしょ?」と頭のことを指摘される。
どうしても三谷さんは総司の月代をこちらに意識させたいようだ(苦笑)

平助と二人で飲みに繰り出すが、少しはしゃぎすぎ。
おでんを頬張りながら喋るのだが、口からおでんを飛ばしていた(笑)
飛ばさないようにしようと気にしているのがこちらに伝わり、そちらの方が気になってしまった。
いいのよぉ〜、少しぐらい飛ばしたって。
無邪気にはしゃぐ二人を見ていると、これから彼らを待っている悲劇を連想することは出来ない。
もしかしたら上手い演出なのかも知れない。

清河役の白井晃さんに目が留まる。
陰険な光を放つ目つきと、抑揚のない喋り方は不気味だ。

お恥ずかしい話であるが、伊東大蔵が後の伊東甲子太郎だと昨日始めて気が付いた。(苦笑)
そうだったのか、この頃から嫌な奴だ。
「いい人だったね。」と無邪気に感動している平助と総司が可哀相になってくる…。

***第11話の私のつぼ(藤原総司限定)***

・実は前髪を剃ったことを後悔しているところ。



2004年11月01日(月) 「新選組!」第8・9話

●第8話「どうなる日本」

毎週お楽しみの「新選組!」も8話目に入った。昨日のタイトルは「どうなる日本」。
勇が当時の日本の攘夷思想の気流に疑問を持ち始めるところだ。

いきなり、沖田等の朝食場面で私はくすぐられた。
竜也くんの納豆の糸をくるくる回して切っている姿にはまってしまったのである。本当にファンとはめでたいものだ。
他にもこの食事場面は、くすぐられっぱなしだった。
お椀と箸を振り回して喋る姿。藤堂と仲良くおかずを分け合いながら食べる場面…。
沖田は19歳になるはずだが、仕草が少し幼い。計算ずくでやっていることだろう。そこにもうハムレットの姿はない。
大の男が何人もひしめき合って食事をしている姿は、なぜかほのぼのする。
現実の世界で、あんな事の面倒はご免蒙りたいが、あれだけいい男が揃っていたら、女としたら面倒も見たくなる(笑)

伊東大蔵の道場での沖田と伊東の弟子との試合…あれは面を付けてごまかしていたが、その道の専門の人だろう。
掛け声は竜也くんだったが、型が決まり過ぎていた。まだまだ竜也くんの殺陣はあんなに上手くないはずだ(失礼!)

今回少し疑問に思ったのは、みつの日本駐在のイギリス人に対する態度。
会っていきなり犬みたいに相手の匂いを嗅ぐだろうか?
現代の日本女性だってそんな大胆なことをする人はいない。ましてや当時の女性にまずいなかったであろう。
勇達と外国人の飲み会(?)もあまりに胡散臭い。
今回の大河は少し脚色すぎるきらいがある。
もちろん物語であるから、多少の脚色は必要だと思う。しかし、それがあまりにも奇抜すぎるのだ。
素人目から見ても「それはちょっとなかったでしょう〜」というのが多い。
こちらが思わず信じたくなるような浪漫ある脚色が好きなのだが…。(あくまでも私個人の嗜好であるが)

***第8話の私のつぼ(藤原総司限定)***
1.納豆くるくる。 
2.藤堂との小学生みたいな無邪気な食事シーン。
3.伊東大蔵に「私は人の名前を覚えない人の下では働きたくない」
と放った時の厳しい眼。
4.座りながら伊東に一礼した時の睫毛の長さ。(ほんの一瞬のことだったが私は見逃さなかった)


●第9話「すべてはこの手紙」

今回のタイトルは「すべてはこの手紙」。いよいよ勇の運命が大きく動き始める。
この運命の手紙が勇の目に留まる偶然が面白く脚色されていた。
勇の破滅(と言っていいか分らないが)へと向わせる手紙が、原田による大福の盗み食いとう、何とも間抜けな行為によって、勇に渡ってしまうのである。
人生のターニングポイントとなる手紙と盗み食い・・運命なんて結構こんな物なのかもしれない。

勇の「百姓出身」というコンプレックスが悲しい。
歳三に放った「ここは駄目男の吹き溜まりだな。」という言葉に気が滅入る。
この「百姓の出」と言う言葉は、これから先、勇が登りつめてもなおついて回り、拭い去ることが出来ないものになる。
結局勇の一生は、このコンプレックスに振り回されたようにも思える。

藤堂役の中村勘太郎さんが役にはまっている。
お世辞にも美男子とは言えないが(失礼)、それでも竜也くんとはまた色の違う可愛さがあって、なぜか隅に置けないのだ。
これが歌舞伎界のプリンスの成せる技だろうか…?
竜也くんは何でもしてあげたくなるタイプ、勘太郎さんは発破をかけたくなるタイプ。
どちらも、放っておけないのだ。ついついかまいたくなる。・・これが母性をくすぐるということなのだろうか。
ところで、勝海舟が登場したが、随分と軽い勝だった…。

さてさて、竜也くんの話。
今回はファンとしては、出番は少なかったが、美味しかったと思う。
なぜなら、竜也くんと赤ちゃんというゴールデンカップルを作って頂いたからだ。
たまを抱いている姿は、あの年齢の男の子にありがちなぎこちなさを見せたが、またそれがたまらなかったりする。
おんぶをしている時は、赤ん坊の重みで襟元が苦しそうだった。
スタッフの方、もう少し上手くおぶらせてあげて下さい…。

来週は月代総司が登場。
勇に「何で私だけ(京都に)一緒に行けないのか?」と食って掛かるシーンがあるはずだ。
どうして前髪を剃ってしまったのか、その辺りにエピソードがありそうだ。三谷さん、期待しております。
来週は、竜也ファンは必見だ。

***第9話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・たまちゃん抱っこ&おんぶ
・流派の型を塾生に教えている時の凛々しい瞳。
・みつと二人でたまをあやしているシーンで、風車を持って、たまを見た時の優しい眼差し。(この表情は、彼が芝居中に時たま見せるのだが、私はいつもこれにやられてしまう)


 < 過去  INDEX  未来 >


ATSUKO  [HOMEPAGE]

My追加