言の葉孝

2013年05月28日(火) 仕事一筋の楽しさ

 先週は客先に提出する資料の作成のためにほとんど休みが取れなかった。休みというのは休日ではなく、家に帰ってから出勤までの自由時間である。家に帰ってからは風呂に入って寝るだけ。実は二晩は家に帰れなかった。白状すると風呂も一回飛ばしている。
 普通ならば愚痴になるような状況だが、不思議とあまり大変には感じなかった。むしろ少し楽しんでいたくらいだ。

 昔から筆者は仕事と趣味の文芸の二足の草鞋をはいている状態で、どちらかというと文芸の方が自分の本分だと思っている。お金にはならなくてもこっちの方が向いていると考えていたのだ。だから仕事は他人事のようで身が入らない。
 仕事一筋になれば、もっと仕事がわかるようになるし、楽しくなるという気持ちは常にあった。どっぷりと仕事に使ったこの一週間は、文芸方向に向きがちな思考を仕事に向けたことで、一皮むけた気持ちさえあり、仕事に関して不甲斐なく思っていた悩みが解決された心地がする。

 このまま充実した人生を送りたいのならば簡単ではないか。文芸をやめればいい。不毛なことよりお金の稼げるところに頭も情熱も使うべきだろう。でもやめられないのが筆者にとっての文芸というものの存在である。


2013年05月14日(火) 2ブロック先のセブンイレブンを選ぶ理由

 土曜日の深夜、小腹が減ったので夜食を買いに出た。小雨が降っており、外に出るのさえためらう状態だったが、勝ったのは空腹感の方だった。
 筆者の住んでいる下宿の1階にはローソンが入っている。足元にコンビニがあるのは大変便利だが、この時足を運んだのは2ブロック先のセブンイレブンだった。

 理由は2つあって、1つ目がローソンでは毎回PONTAカードの勧めてくるのに嫌気がさしていることだ。特に、深夜に入っている店員は仕事熱心で必ず聞いてくる。おまけに顔を覚えているのか「よくこの時間くるでしょ?」と付け加えてくるのだ。顔を覚えているなら断るのを分かっているだろうに。
 2つ目の理由はセブンイレブンは他のコンビニに比べて売られている食べ物が美味いということだ。カステラ一つとっても、他のコンビニはしっとり感が少なく、食べると残念な印象を受けることが多いのだが、セブンイレブンのものはそうではない。そのほかにも今年だけで行くごとに買わずにいられない商品がいくつあったことか。

 雨の中、2ブロックも筆者を歩かせたのはサービスと商品の差である。そして、理由のどちらか一つでも欠ければ、物を言ったのは歩く距離だったかもしれない。


2013年05月07日(火) 職人の涙と消費者の価値観

 ツイッターで「職人さんの心を傷つけ、涙した一言・・・・」と題されたブログ記事が紹介されていた。とある職人が工房でしている仕事を見せながら商品を販売していたところ、「同じようなのがリサイクルショップに行ったら千円でたくさん転がっている」と言われたのだそうだ。
 何十年も修行して積み重ねてきた仕事が安い投げ売り商品と同じだと言われれば悔しがって当然の話だろう。しかしそれは真実をついた一言かもしれない。

 リサイクルショップの中古品価格は参考にならないが、例えば一カ月かけて焼いた皿が百円ショップの皿と同じ種類のものならば、それは当然比較対象になるだろう。そして客から見て同じ品質にしか見えないものは、同じく百円の価値にしか見えない。ただし、その皿に描かれた絵の緻密さや絶妙な焼き加減に気付く人がいれば十万円でも売れるかもしれない。そこに作るのにかかったコストや技術は関係ないのだ。そしてこの場合、職人の仕事を百円に見せているのは百円ショップの皿である。

 今や人の価値観は明確な差異でしか、物の価値を計れなくなったのではないかと思うと、営業職で利益の薄さに嘆く筆者としては、有り難いはずの百円ショップが恨めしい。

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