2020年12月22日(火) |
家族じまい / 桜木 紫乃 |
第1章 智代
第2章 陽紅
第3章 乃理
第4章 紀和
第5章 登美子
私は家族が一番大切な関係とは思えない。 むしろ、しがらみとか血のつながりとかで枷になってるように思う。
家族じまいという言葉も魅力的だが、私は自分じまいがしたい。
2020年12月16日(水) |
女絵かきの誕生 / 丸木 俊 |
原爆を描いた愛の自叙伝
『ひろしまのピカ』という絵本はもっている。
この本は絵かきになりたいと思ったころから、『原爆の図』という大作を仕上げて、丸木位里と世界を回ったお話。 語り部のような本。 ひろしま、長崎に落とされた原爆の被害者は日本人だけではないのだ。 戦争がある限りはすべての人間の悲しみである。
子どもがいないのが、もっけの幸いと思っている。一人生れて一人死んでゆく。何のわだかまりもこだわりもない。ただ一つ「原爆の図」を描いたことがよかったか悪かったか、ちっとばかり気がかりだ。恥を末代まで残したかもしれない。私は何度か焼いてしまおうかと思ったことがある。しかしこれは俊との共同制作だ。私と俊が夫婦にならなかったら、おそらく「原爆の図」も「南京大虐殺」も「アウシュビッツの図」もなかったろう。
−丸木位里 あとがきより −
2020年12月11日(金) |
震える天秤 / 染井 為人 |
福井県のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。86歳男性の運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したのだ。アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者の老人は認知症を疑われている。事故に違和感を覚えたライターの俊藤律は、加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に 「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。何かを感じて取材に乗り出した律は、目撃者というかそのコンビニでバイトしていた少女の態度から、続々と予想外の事実を知る …。
主人公の俊藤律は、37歳のフリーライター。離婚した元妻里美との間に実里(みのり)という7歳の娘がいて、親権は職業が裁判官である里美が持っているが、律は月に二度のペースで実里と会っている。というか、別居はしているが、今でも律と里美は頻繁にメールの交換をしており、お互いに仕事の悩みなどを打ち明け合い意見を言い合っている。離婚の原因は、価値観の相違ということだったが、律は、今の2人の距離感が一番自分たちに合っているように感じていた。
事件の真相を知った律はライターと社会正義の間で逡巡する。
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