2020年08月27日(木) |
ゆりかごに聞く / まさき としか |
柳宝子・文化部記者は虐待を疑われて離婚した夫に愛娘を奪われていた。 そんなある日、21年前に火事で死んだはずの父親が変死体で発見され、そこには世間を賑わす猟奇的事件の記事と娘に宛てた手紙が残されていた。
「いつも見ていた」。
父はなぜ一度死んだのか?猟奇事件との関係は? 宝子は父の軌跡を調べるが、父の秘密はやがて家族、宝子自身の出生へとつながっていく。 母も十年前に亡くなっていて真相は分からない。 一方、刑事の黄川田は娘をどうしても愛せず嫌悪感を抱いていた。 そして猟奇事件を追うなか、元恋人の宝子と事件の繋がりを疑い始め、宝子に接触してくる。
私はこの子を愛せるのだろうか。 ゆりかごを前に自問自答する親たちの不安、そして罪を――誰が責めることができるのか。
誰もが母親になれるわけじゃない、母性なんて湧き出るものではない。子供は愛しいに決まっている――だけど。
2020年08月18日(火) |
いけない / 道尾 秀介 |
???
第一章 「弓投げの崖をみてはいけない」 死んだのは誰?
(弓投げの崖に近いトンネルで若者三人に当て逃げの上殺されたのは、運転していた安見邦夫ではなくチャイルドシートにいた4歳の息子だった。)
第二章 「その話を聞かせてはいけない」 なぜしんだの?
(中国から両親とやってきた中華料理屋の小学生の息子・馬珂(マーカー)が見た文房具店での殺人。
第三章 「絵の謎に気づいてはいけない」 罪は誰のもの?
(第一章の被害者・安見邦夫の自宅へも勧誘にいった宗教団体の幹部である宮下志穂の死。自殺に見せかけた殺人。。。)
第四章 「町の平和を信じてはいけない」 ……わかった?
(水元刑事はなぜ死んだのか? そして竹梨刑事がやったこと・・・?)
???わからない 私には。。。
第二章の殺人をなぜ物語に組み入れたのか? 第三章で なぜ宮下志穂は殺されたのか? 第四章は わけわからん???
事故の後遺症で盲目になった安見邦夫が復讐したのは分かる、だが竹梨刑事は、何をしたのか?? 告白文を書いたのならなぜ、読者に教えてくれない??? 入れ違ってしまった告白文を安見邦夫が読めないからなのか。。。
2020年08月10日(月) |
とまり木 / 周防 柳 |
幼い頃に交通事故で両親を亡くし、叔父にひきとられたもののそこから逃げ出して岩手の祖母の下に行く。絵の師に出会い心豊かな数年を過ごしたが祖母の死でまた叔父の下に孤独に生きる青山伊津子。 死んだ姉と常に比べられ母親に否定されつづけ、病弱とアレルギーで友達もいない少女・小林美羽。 そして大学生の伊津子が愛した美術評論家は美羽の父親。
たび重なる不幸に耐えかね、二人は自らの命を絶つことを思い立つ。交わらないはずの二人の人生は、この世でもあの世でもない「ある場所」で交差した。 それは仏教でいう所の「中陰」なのか。(私の解釈) でも中陰を経ても生き返ることはないから、これは物語なのだ。
でも交差した二人が過ごした屋上の遊園地はいい。
伊津子が助けを求めた岩手の田舎は、宮沢賢治の銀河鉄道の夜の場所。
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