日本企業が出資し、アフリカの密林を切り拓いてコーヒープラントを作ろうとしている現場で、現地の作業員が失踪するという事件が起こった。捜索を続けるにつれ、事件は奇怪な様相を呈しはじめる。一方東京では、ある男が原因不明の皮膚感覚の亢進に見舞われていた。手が触れる道具、肌に当たる風、すべてのものがこれまでにない感覚を伝えてくる。そして一見無関係に見える両者には、実は奇妙な共通点があった!?日本推理作家協会賞受賞の鬼才が、満を持して放つ異常感覚SF。
一言で言うなら気色が悪い本だった。怖い気もした。 最後まで読んだが アフリカでの事件と東京の奇妙な男との共通点が私には分からない。読みが浅いのか。気色悪さしか残っていない。
2004年05月04日(火) |
海辺のカフカ 村上 春樹 |
田村カフカ少年・15歳が家出した。父の書斎の現金を盗み、あてもなく四国を目指す。猫と話が出来るナカタさんは、猫を食べてしまうというレディジョーカーを無意識のうちに殺してしまう。殺されたレディジョカーはカフカ少年の父だった。その後ナカタさんも呼び寄せられるように四国に向かう。父を殺し母を犯すだろうと呪いをかけられたカフカ少年は、高松の美術館で母とも思われる佐伯さんと恋に落ちる。佐伯さんは昔、最愛の少年を亡くしていてそのことがカフカ少年と重なるのだろう。やがてナカタさんも佐伯さんも死に、佐伯さんが昔愛した少年を海辺に描いた絵だけが残される。
フルニエの流麗で気品のあるチェロに耳を傾けながら、青年は子どもの頃のことを思いだした。 毎日近所の河に行って魚や泥鰌を釣っていた頃のことを。 あの頃は何も考えなくてよかった、と彼は思った。 ただそのまんま生きていればよかったんだ。 生きている限り、俺はなにもかだった。 自然にそうなっていたんだ。でもいつのまにかそうではなくなってしまった。 生きることによって、俺はなにものでもなくなってしまった。そいつは変な話だよな。 人ってのは生きるために生まれてくるんじゃないか。そうだろう? それなのに、生きれば生きるほど俺は中身を失っていって、ただの空っぽな人間になっていったみたいだ。 そしてこの先さらに生きれば生きるほど、俺はますます空っぽで無価値な人間になっていくのかもしれない。 そいつは間違ったことだ。そんな変な話はない。 その流れをどこかで変えることはできない。
それにしてもナカタさんを高松まで連れてきてくれた青年の今後を案じる。ナカタさんの不思議な死にようとレディジョーカーの死と、青年の関与はなかったのかとどうやって潔白が証明されるのだろうかと・・
別記
父親との関係がトラウマだったらしい。 「カフカは強い父親からたえず逃げた。虫のように自分の殻に閉じこもった。」
カフカを読む 池内 紀 著
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