読書記録

2003年04月24日(木) 量刑              夏樹 静子

内容
アートフラワーに隠された濃紺の風呂敷包みを届ける途中、上村岬は母娘を車ではねた。「たとえどんな事態になっても、必ず俺が助けてやる」愛人・守藤秀人の言葉で岬のためらいは消えた。殺人と死体遺棄容疑、自首目前の逮捕、示談の決裂、死因鑑定の揺れ。法壇と傍聴席の背後には不穏なさざ波が。量刑に厳しいと評判の神谷裁判長は審理の帰趨をどう判断するのか。
審理は終結した。後は3人の裁判官の合議で量刑が決まる。そのころ神谷裁判長宛てに一通の封筒が届いた。上村岬の刑を軽くしてほしい守藤秀人が、神谷裁判長の娘を誘拐監禁したのだ。致命的な急所を突いた水面下の罠に動揺し態度を豹変させる神谷。情状の余地とは、人が人を裁くとは、量刑の客観性はどこにあるのか。「正義」とは、「法」とはなにか。一裁判官の職責と人間性を通して描く衝撃作。


量刑とは国語辞典によると、刑罰の程度を決めること、とある。

すべて事件は解決するけれど かなり読み応えのある作品だった。今まで 交通事故の量刑は軽いと言われてきた。悪質な事故が増えてきて見直されてはきてはいるが、この裁判に限らず今の司法裁判は被害者のものではなく加害者のものである。被害者の人権など誰も考えようとはしない。犬の散歩途中で轢かれてしまった母子はほんとうに哀れだ。母は妊娠中だったが、お腹の子を一人の人間として認定するかどうかという論議もあった。
でも 私は何故か事故を起こした上村岬という女性が憎めない。自分でも少々、理解できない思いでいる・・。



2003年04月15日(火) 御直披             板谷 利加子


内容
御直披(あなただけに読んでいただきたいのです)と記され、性犯罪捜査係長のもとに届いた一通の手紙。それは傷ついた被害者が、犯罪に立ち向かおうとふりしぼった勇気、その第一歩だったのです。 発端―ある日、一人の強姦被害者から一通の手紙が その日から私と彼女の往復書簡が始まった。


どんな犯罪も許されるわけはないけれど、性犯罪はやるせない。男の性は私にはとうてい理解できないし、正直なところセックスなんてなければいいのにとさえ思う。一方的な犯罪は身体の傷のみならず、被害者には心の傷として残る。性犯罪を犯した者は額にでも烙印を押して世間に公表してやればいいのだ。




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