読書記録

2003年02月26日(水) 木枯らしの庭         曽野 綾子


 公文剣一郎は大学教授としての確固たる地位にありながら、なぜかまだ独身だった。彼には結婚の妨げになるような事情など何もないはずだ。周囲は彼に結婚をすすめ、彼も女性を愛し、愛を確かめようとするのだが・・。最初の結婚では嫁の存在を認めない母の側について、妻を捨てた。40代の彼にはまだ縁談がくる。母は口では調子のいいことを言って相手との交際を勧めるが、縁談が具体化すれば母がどんな手段を使っても拒否することを本能的に察知している。だから結婚がこわいのだ。それなら結婚しないと世間に公表したらよさそうなものだが、公文には、世間で何と言われようと平気だという強さもない。
母とは、わが子に生を与え、慈しみ育てる存在である。夜もろくに眠らずに授乳し、おしめをとりかえ、献身する。しかし一方では現代の多くの母はわが子の生命を胎内で抹殺した経験をも併せ持つ。与え、かつ、奪う存在。母の子に対する愛はまた憎しみにも変わり得る。子のために尽くす母の心底にほの見える自己愛。


結局は私も娘を思うと言いながらも、見方を変えたら自己愛にしかならないのだろうなぁ・・。
子供のことを第一に考えていると意識することの自己愛。
子供のほうはとっくに親離れしているのに、私のほうがいつまでたっても子離れが下手な母でしかない。


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