2002年05月27日(月) |
カシコギ 趙 昌仁(チョ チャンイン) |
カシコギとは魚の名前で、雄が巣を作り子育てするという習性があるようで、正にこの物語のことだ
プライドが高くて自分の納得した文章しか書かないチョンだが、白血病になった子供の治療費捻出のために意にそわぬ仕事も引き受けるが、最後には自分の角膜まで売ることになる その角膜を売る過程で肝臓に腫瘍があることが分り、命の期限が迫るなかで折からタウムを引き取りたいと申し出てきた別れた妻に子供を託して死んでいく
「ポケットから手を出すんだ・・・顔を上げろ・・・胸を張れ!」 なぜ? どうして? いつも理由を聞く子だった。自分の考えと違うと、納得するまで意地を張りつづける。けれど今、子どもは素直に命令に従った。 「いいか、これからはそんなふうに勇ましい姿で歩くんだ。お前は今から一人前だ。大人として考え、大人として行動するんだ。小さい子どもみたいに振る舞うんじゃない。子どものように甘えていては生きていけない。フランスは外国だ。外国では特に大人らしく生きなければならないんだ」
このチョンとタウムの最後の別れのシーンはほんとうに涙が出てきた チョンはもうじき自分が死ぬことが分っているが、タウムはそうは思っていない 韓国でベストセラーになったという物語だが、一般的には母性のほうが強いように思われているふしがあるけれど、父性もすてたもんではないとつくづく思った
タウムよ! 父が死んだことを後で知るだろうけれど強く生きるんだよ!! そして チョンのような父になれ!!
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