所々で失敗してはその度に男達が介在しなければならない大仕掛けなピタゴラスイッチがある。男達の一人が自分で、暴走機関車の走るレールのポイント切り替えや上手く倒れない将棋倒しのやり直し等をしている。男達は空中浮遊で球を追い掛ける。終盤、私は漁村の中に積まれた不気味な深海魚の山の上に落ちてえも言われぬ発酵臭に襲われる。そこから抜け出すと球はビー玉サイズに縮んで行き、見知らぬ人の寝室に作られた装置に迷い込んだ。ピタゴラスイッチが完了するまでは男達はこの世界から出られない。
4体のロボットと1体のライオンが変形して巨大な機関車型宇宙船に合体する機構の食玩の原型制作をする事になった私。変形後に足と一体化する武器を軟質素材で作りたいと主張する私とコスト的に無理だと主張する女上司との間で意見がぶつかる。強度的に足の関節部分に小ネジを使用したいと主張する私と又もや意見がぶつかる。更に機関車に合体した後に先頭部分がライオンの頭部になる機構を再現するには、物凄く細密な機構が必要になる為に設計に苦心する私。仕事としては大変たが、原型師としては腕の振るい所だ。ヤル気が満ちてくる。
今朝も障害のある息子を中学まで自転車で送る。途中私と同じ境遇のAさんと合流した。Aさんと私はスピードを競う。田んぼ道で自転車に乗りながら頭をブルブル振っている妖怪茄子頭に遭遇した。茄子頭に出会った人間は彼の事を尾行しなければいけない決まりなので私は茄子頭に気付かれないように後をつけた。Aさんは居なくなっていた。多分茄子頭に気がつかなかったのだろう。
中学の文化祭の準備中、友達の伊藤くんの持病が悪化した。担任の男先生、保健の女先生、私が付き添い6駅先にあると言う名医の内科へ行くことになった。実は男先生は文化祭の準備に飽きていて外出したいだけだと私は知っている。私は女先生のことが好きだった。最寄り駅から乗車した。相変わらず伊藤くんの顔色は悪い。私は鞄からレジ袋を取り出して言う。「気持ち悪くなったらこれに吐いて良いからね」すると伊藤くんは前屈みになってゲロゲロとおう吐した。そうこうする内に目的の駅に着いた。スマホで調べると病院まではかなり歩くらしい。途中、コンビニに立ち寄ったりしている内に男先生とはぐれてしまったが、メールして無事合流出来た。
病院に到着した。そこは神社の階段のような急勾配な階段を登りきった場所にあり、高台には様々な小児科医が軒を並べている風変わりな景色だった。私の記憶が甦る。ここは確か私が幼児のころ頻繁に連れてこられた所だ。中庭の植え込みにカネゴンの石像が立っている。(あぁ...子供たちを安心させようと誰かが設置したのだろうな)と思った。小道を進むと小児耳鼻科、小児外科、小児歯科等が軒を並べており、それぞれの建物にも子供が喜びそうなレリーフが施されている。伊藤くんのかかりつけ医の建物を見付けた。それはまるでキュビズムの画家が描いたような風変わりなデザインで一見すると何処に入り口があるのか分からない。伊藤くんは小声で言う。「この建物の入り口はある場所に立って決まった高さから見ないと発見できないよ」しかし伊藤くんは"ある場所"を忘れてしまっていたので私達は各々ウロウロしてある場所とやらを見付けようとした。10分程して私は入り口を発見した。伊藤くんは益々具合が悪くなっている。一行は早速中に入った。かかりつけ医は、白髪の老人で奇抜な服装をしている。伊藤くんの診察中、時間を持て余した私達はキッズルームの大型テレビを観たり玩具で遊んだりしていた。女先生が私に話し掛けた。「こないだね、ネット通販でお高い肉を注文したのだけど届いてみたら酷い物だったのよ。店の評価は星5つだったのに!」「あの評価はアテになりませんよ。だって食べてもいない人間が不正につけているのだから」と私。2人でしばらく世間話をする。私はとても幸福だった。しかし彼女が実は男先生と婚約をしていることを知っている。
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