綿霧岩
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2008年04月08日(火) 「ひと恋しくて」

久世光彦さん著「ひと恋しくて」は本当に気持ちのいい文章がごろごろしていて、読むのが惜しくなってしまう。矛盾するようだが、ああいい、と思ったときにはもうその瞬間は通り過ぎているから、どんどん読めてしまうけれど、進むのが惜しいのである。だから本を手には取るけど、読まずにとっておきたいような、でも読まないことにはその瞬間もあるわけもないしという、間抜けな衝動にもんもんとすることになるのである。
76人の人について語った文章である。
読んでいて、著者の久世さんの目に映るそれぞれの人が、すぐそこにいるかのように感じられる。こんなふうに人を語れるっていいなあと思う。それぞれの人物の色彩の豊かさ、温かさは、そのまま著者の久世氏の息遣いなのだと思う。


カタギリミワコ |MAIL