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- 2005年08月28日(日)
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- 『あなたにとって腕時計とは?』(創作エッセイ)
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(創作エッセイ)
仄かな暖色系の照明が、店内の至るところで揺らめいてる。 この店の照明は、まるでローソクの火のようだと彼は思った。 ゆれる灯を呆と眺めながら水割りを口にした時、向かいの席から声がした。
「いつも、はずしているよね?」 「え?」
彼が正面を向くと、彼女が頬杖をしながら右の方にある何かを見ている。 薄明かりの中、彼女の視線をたどってテーブルの右端の方に目を移すと、 ハンカチの上に真っ直ぐに載せられている、彼の外した腕時計があった。
「こういう飲み屋やバーに来ると、時計、はずすよね?」 「う、うん、仕事中でも、オフィスにいる時に席で外してるけど。」
「どうして?」
壁面のオブジェも談笑する人の顔も、店内の全ての存在が覚束なく感じられる。 二人の席の付近は特に、照明の角度で明暗が効いているからか、彼女は、 より艶っぽさを強調させながらも、薄暗い店内に溶け込んでいるかのようだ。
「はずす理由?…別につまらない理由だよ。俺ね、時計に限らず、肌に触れる 金属系のアクセって少し気になるんだ。アレルギーまではいかないけどさ。 だから集中したり、リラックスしたりする時はいつの間にか外しているかも。」 「時計って嫌い?」 「いや、嫌いとかじゃなくて、お肌的に外したい時があるってだけ」 「腕時計無いと困る?、気になる割には外出する時に必ずしていくよね?」 「うん、必ずハメて出て行くね。仕事でも遊びでも。何でだろう? 確かにケータイあれば時計には困らないよな。」 「時間が関係ないなら、なんでしてるの?」 「何でって云われても…」
『今日のお題は腕時計ってか?』と思いながら彼は考えてみた。 『何だろうか?そりゃ時間が知りたいからでしょ?ずっと前は、時間が分かれば 何だっていいって何でも付けてたし、2〜3個持ちながらローテしてたっけ…。 今は別に幾つも欲しいと思わないし、気に入ったのが1個あれば十分。 今しているのは彼女のプレゼントだ。だからか?、だからしているのか? でもそれも多いにあるけど、そういう事ではないな…』 彼は彼女の頬杖する手を見た。 その左手には、昔貯金をはたいて自分で買ったという彼女のIWCが光っている。 単なる高級ブランド志向ではないなと彼は思った。女性の割にチョイスがシブい。 『あいつの時計は、本当にあいつらしいな。俺の時計は俺らしいかな? いや、やっぱり彼女チョイスだけあって、彼女らしいのかな?、彼女らしいから、 だからしてるのか?…違うな…。やっぱ時間を知るためか?違うな…だったら、 ケータイで十分だ。何かこう、理由とかではなくて、無条件にしなければいけないものだ。 彼女からもらったとか趣味とかファッションとかじゃなくて、何かこう…』 薄明かりに見える彼女の中で、最も存在感を主張しているのはその時計であった。 照明を吸収して艶っぽく光を放つその塊を見つめた。針の音が時計の息づかいに聞こえる。 次第に針が刻む鼓動が大きくなり息づかいが荒くなり、ついには女の声でしゃべり出した。
『本当は、何を考えてるの?』
ハッとして彼は彼女を見ると、顎杖をしながら意味深な笑みを浮かべていた。
「え、何って?」 「は?何ボーッとしてんのよ。腕時計を何故してるのかって訊いてんの?」
彼は苦笑しながら、隅にあった腕時計を手に取って左手にはめた。
「大事なものかな…やっぱり。ハメると気合いが入る。無いと困る。でも『重い』かな。 重過ぎて時には外したい。常には出来ない。だからよっぽどの品でない限りハメられない。」 「『大事で重い』ね…。ちなみに、Jにも同じ質問したけど、Jは『アクセサリーだ』って。 幾つも持っていてローテーションしてるんだって。笑えるよね〜」 「『笑える?』、なんで?別にそういう人っているでしょ?」
彼女は『フフッ』と黙って、タンブラーでグラスの氷をカランカランと回し始める。 水割りを手に持ちながら彼は、何か腑に落ちないものを感じた。 二人のそれぞれの腕時計だけが、冷静な面持ちで互いを見つめる。 彼女の左手から自分の腕へ目を移し、彼は通路を挟んだ隣のテーブルに光るものを捉えた。
「あそこの男、ロレックスだね。」 「そうだね。ねえ、高級ブランドの時計って興味あるの?」 「興味あるけど、純粋にデザインの趣味としてだね。収入が増えて、いざ手に届くとなっても、 ウン十万も出してまで買わないよ。好きなデザインのものが高かったら悩むけど。」 「ふーん。ちなみに、Kクンにも聞いたら『腕時計はウン十万出してもブランドものを買いたい』 って云ってたわ。しかも買えるなら幾つでも買いたいって。これも笑っちゃった!」
「?お前、腕時計のこと、みんなに訊いてんの?」
目線を外して左腕の時計をさわる彼女。
「訊いてるよ。Mクンは『携帯あるから腕時計は必要無い』って云ってた。Mクンらしいね。 単に面白くて聞いてるだけよ。でも、あなたに関しては、もっと色々知ろうと思って聞いてるの」 「あ〜そう…何だかな〜…。あ、そうだ、ちなみにお前のそのシブいIWC、ウン十万も出して 昔自分で買ったってこだわり品。それ1個だけを、成人式からずっと手にハメてるんだよね?、 しかも風呂以外は寝るときもずっと。『それはお前の何なの?』って訊かれたら何て答える?」
グラスを傾けて氷を揺らしていた彼女は、ふいに正面を向いて彼の目を射た。
「『私のIWCあなたにあげるから、これからずっとつける時計、あなたが選んで』 …って云ったらどうする?」
水割りを飲みかけていた彼は咳き込んだ。
「何をカワイイこと云ってんだよ!らしくねえな。てか、まず俺の質問に答えろよ! お前のIWCもらっても重すぎて付けれないよ。買ってあげるのはいいとしてもさ。」
「…そう」
視線を外して、彼女はグラスの中身を飲み干した。 彼は仄かな照明が奏でる不確かな気配の中、 彼女の左腕に掴まっている「それ」が、 自分をじっと見つめているかのように思えた。
********************
(数日後)
「『腕時計』って『恋人』だってさ」
数日後に同じ店で、彼は友人に この前の彼女との会話を説明していた。 | |
彼の親友であるYは、大学院で心理学を専攻した後、カウンセラーをしている。 彼は、彼女の事はもちろん仕事や人間関係で相談がある時には、必ずYを呼び出していた。 Yは元々性分が相談される事を苦にしない、というよりは、そこに自分の価値があると 思っているのか、嫌な顔一つせずに付き合っていた。この日も仕事後に落ち合って、 Yは煙草を吹かしながら、彼の話を黙って聞いていた。
「『腕時計』=『恋人』? この心理テストって有名なのか?」 眉間に皺を寄せながらYが彼に訊いた。
「え、Y先生ともあろう人が知らないの?有名らしいよ、って俺も知らなかったけどさ。 この前の彼女との会話から妙に腕時計が気になってさ、あの後調べたんだよ。そしたら、 雑誌でも本でもネットでもたくさん出るわ出るわ!めっちゃ有名な心理テストだったよ」
「ふーん」 ふーっと白い煙が宙を舞う。Yは腑に落ちないようだ。
「何だか感動が無いね。会話中に彼女は笑ってたんだよ。知ってて質問してたんだな。 『腕時計』=『高級ブランド』『幾つも同時に持ってる』『ローテーション』って語った奴の 女性遍歴を見ると、答えと見事にリンクしてんのね。そりゃ笑えるわな。」 「で、お前さんの答えに当てはめると?」 「…大事で、こだわりがある、高級でなくてもいい、でも重すぎて、時には外したい…」 「で、彼女は?」 「え?、ん〜そうだな…、こだわった一品をかたくなにずっと身につけている…」
Yが一点を見つめて黙った。Yが心理学的考察を始めた時にはいつもの事だった。 その意見を訊くのが楽しみで、彼はYに相談しているようなもので、Yが黙った時には、 彼はいつも口を挟まず放置しているのである。 この時も同様に彼はジョッキを飲み、肴を食べながら、Yが口を開くのを待っていた。 ふいにYは、彼に視線を向けた。
「『腕時計』=『恋人』は微妙に違うな」
思わぬリターンが返って来て彼は驚いたが、Yはそういう奴だった。
「始まったよ先生〜、え、じゃ〜何なのよ?」 「その心理テスト、有名なのかもしれんが、俺に云わせれば違う。 『腕時計』が指しているものは『自分自身』だ」 「?」 「正確に云えば、『理想の自分自身に対するこだわり度』が現れている。 確かに腕時計って、老若男女問わずほぼ必ず身に付けるモノだから、 他のアクセサリーと違って、そういう潜在意識が現れてもおかしくない。」 「??、ハイ?それで?」
テーブルの右隅に置かれた彼の腕時計を見ながら、Yは説明を始めた。
「で、お前さんは、相手に重く頼られたいのよ。相手の『重し』を感じたい。 もしくは『重い』=『自分のこだわり』。でも重しを感じたがるあまりに、反動として 時には時計を外して現実逃避もしたいんだ。それで、そういう自分でいることがすごく大事。」 「…」 「それで彼女だが、彼女も理想の自分がとても大事なんだ。こだわりが超強く完璧主義者。 しかも『理想の自分』の象徴である身の丈以上の高級品を、実際に買って身につけているところは、 現実の自分自身が不確かで弱いことの反動だな。いわゆるお守り。理想の姿を確かな姿に置き換えて 持ってないと自分が保てない人だ。さらにそれを片時も離さないのは、相当な『依存症体質』の証明。 強がっていたとしても彼女は常に不安な性格なんだと思うよ」 「…」
Yに一気に捲し立てられた彼は、ただただ聞くばかりであった。彼自身と彼女に関して、 Yは二人の性格を知っていたが、腕時計の話とここまでピタリと整合性を付けられると どうにも反論のしようがなかった。それでも彼は「たかだか腕時計のお遊び話」と思っていた。 だが次第にYの顔が厳しくなり、彼の目を射抜くように見ながら再び話し出した。
「それで、ここからが大事だ、お前さん。」 「何?」 「彼女は多分、『腕時計』=『自分自身』だと、感覚で理解してお前さんに質問していた。 『高級ブランド』も『幾つも持ってる』って話も、女性遍歴とかではなく、その友達自身が そういう奴だから、彼女は笑ってたんだよ。」 「そうなのかな?」 「そうだ。彼女は『お前のことを知りたい』って云ってたんだよな?お前が彼女を 『恋人』としてどう思っているかを知りたいよりも、『お前自身の人間性』を知りたいんだよ。 ところで腕時計の質問で、お前の微妙な答えを彼女がどう理解したか、分かってるか?」 「悪いようには受け取ってないと思うけど…」
呑気で鈍感な彼にYは少々苛立って、灯をつけたばかりの煙草をにじり消した。
「アホか気づけ!さっきお前が俺に話したこの前の話、彼女の最後の質問を思い出せ!」 「『IWCをあげる』ってやつだろ?」 「カワイイってノロけてる場合じゃなかったんだ。『腕時計』=『自分自身』であって、 彼女自身の腕時計観を考えれば、本当は彼女が何を云いたかったか分かるだろ?」
「…!」 彼は気づいた。たかだか腕時計の話で、Yが云う程彼はあの会話を深刻に考えていなかった。 しかし、確かに彼女の性格からすれば、かなり踏み込んだ質問であった。しかも彼からの 投げかけにリアクションされたものではなく、彼女自ら切り出して来た質問だ。
「遅いんだよ!早く電話しろ!」
Yは新しい煙草に灯をつけて、ふぅーっと吐き出した。
050828 taichi
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- 2005年08月24日(水)
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- 小泉劇団の舞台劇 『幽政』、話題沸騰!
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さて、お盆も明けましたので、そろそろ選挙話に入りますか。
小泉劇団の新作舞台『幽政』が 9月11日に、1日限りの公演決定! 制作費は血税750億円を投入した大作!
その内容についてコメントしたいのですが、何しろ…
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(舞台『幽政』の予告編テーマ ※ラップ調でお願いします)
♪ヒトラー小泉テロ解散! 粛清,踏み絵で皆許さん! ♪やっぱりバラバラ民主党! サバイバルだぜ造反新党! ♪「くの一」刺客も跋扈する! ムネオが清美がよみがえる?! ♪何でオマエが?ホリエモン! あげくの果てにヤスオちゃん?! ♪祭りだ祭りだマスコミ報道! どうでもいいのか政策検証?? ♪「改革止めるな」云うけどYo! 他の改革止めるなYo!
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…的な騒ぎになってしまって、云いたい事はいっぱいあるが、 何からコメントするべきかよく分からんのです。
なので、手始めに、広告屋的には、 各党のキャッチフレーズから行ってみようと思う。
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自民党「改革を止めるな。」
キャッチコピー的には最高ですね。広告代理店はD社さんでしたっけ? 小泉の姿勢を端的にストレートに言い表している。分かりやすい。 「改革」って言葉が今回の場合、既に何を指しているのかが分かっているので、 シンプルなワードにもかかわらず、具体的なメッセージ訴求が出来ている。 こういうパフォーマンスは小泉はうまいよ。パフォーマンスだけは。
ただし、「改革」を隠して「止めるな」ってワードだけを見ると、 気合いを表出する小泉らしさが伝わってくる反面、 国民見ずに制止を振り切り独裁者が暴走していく絵面が浮かんでくるのが、 ちょっと血なまぐさい。
しかしだ、改革止めないのはいいが、改革って郵政だけ? もしかして『サラリーマン増税』も改革なの?、それは止めてよ! …というツッコミをしたいところ。
※国民の皆さん「サラリーマン増税」の存在、忘れてるでしょ?
民主党「日本を、あきらめない。」
前向きじゃないの一言。っていうかあきらめてたの?と云いたい。
元々「もっと大事なことがある」って案だったのに変えたそうで…。 なんで変えたのよ?全然元の方が伝わるのに。一番分かりにくい。だめだ…。
全く何したいのか分からないし、政権奪取を掲げるからには、 せめて自民党と対抗したキャッチコピーにしないと、全くやる気が伝わらん。 「真に必要な改革を」ぐらい謳ってほしいものだ。
国民は「政治をあきらめてる」かもしれないが、 政治家が「日本をあきらめない」ってのは当然の話であって、 何でそんな当たり前のことを、さも「どうだ」と云わんばかりに、 キャッチコピーにしちゃってるわけ?…というのが率直な印象です。
総花的で抽象的なところが逆に、党の中身バラバラじゃないの?とも 読みとれてしまうところが悲しい。今回ダメかな…
公明党「日本を前へ 改革を前へ」
キャッチは別にいいんじゃないですか、自民党と二人三脚で。
でもですね、 幾らユニバーサルサービスを遵守するからといっても 過疎地や小口客にとってちょっと不安な郵政民営化を、何でこの党が すんなり賛成しているのかも分からないし、与党・公明党の貢献として、 郵政以上に、何で年金改革をもっと進行させられないのかも分からない。
つまり、何で自民党とくっついてるのかが分からない…いや分かってます…、 政権党である事による様々なお得が、しかるべき団体へもたらされるから …ってことは分かってるのですが…そんなに政権がほしいですか? ま〜とにかく、ワタクシ、この党嫌いなんですよね。
共産党「たしかな野党が必要です」
うん、我が道を行く党であるだけにいいと思います。 「ウチらは純粋野党だ」と言い切っているところは明快でよいでしょう。 与党のやることをチェックして、問題点を探して批判すればいいんです。 批判するなら代案を出せ!と云われても、そんなことをしなくていいんです。 「与党の監視役!」ってぐらい云い放ったら、すげえ!って思ったかもしれないです。 とにかくチェック係なんですから。議会民主制のために存在してくれればいい。
社民党「国民を見ずして、改革なし。」
率直に云うと、民主党!お前らがコレを使えよ!って感じです。 社民党のコピーとして見ると何も感じませんが、民主党なら使えます。
社民はもうどうでもいいので、また民主党の話をしますと、 岡田代表は、小泉首相について、「政争に明け暮れ、郵政にこだわり、 国民生活を考えているとは思えない」と批判しているわけでしょう? 上記の社民党のキャッチコピーそのままじゃないですか。分かりやすいですよ。
「今もっと必要な改革があるはずだ。 今やるべきことをやってから、本当の郵政改革は民主党がじっくりやる。 小泉がやろうとしているのは云うなれば『幽政』だ!」
…と、このように云う事が、対自民党的にも、民主党アイデンティティ的にも 一番効果的な気がする。社民党、キャッチを民主党に譲ってやれ。
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まずはツカミということで、キャッチコピー批評をしましたが、 まだまだ云いたい事がありますし、あと私自身勉強不足でして、 聞きたい事もありますので、第2弾以降でコメントしたいと思います。
で、第1弾の締めとして↓
小泉劇団の最新舞台『幽政』
この劇は、チケットを持つ国民全員が参加できる舞台です。 台本はあるかもしれませんが、我々のアドリブで幾らでも変えられて、 本番の舞台終了まで結末は分かりません。
予告編を楽しむのはいいですが、それは、刺激的なキャッチと 華やかなキャスト紹介だけの、単なるプロモーションに過ぎません。
本番で、自分の思い通りの結末に展開させるには、 一人一人が本番前にしっかりと勉強しなければならないのです。 あの『ロード・オブ・ザ・リング』を観に行った時以上に予習が必要です。
メディアは大物キャストの宣伝ばかりで、大事なことは教えてくれません。 誰がどういうセリフを云うのかを自分で覚えなければなりません。 必要でないキャストは我々が舞台から降ろせるのです。
9月11日までに、 自分が誰と一緒に舞台で演じたいかを考えましょう。
(第2弾へつづく)
050824 taichi
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- 2005年08月23日(火)
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- 元球児、バッティングセンターで己を思い知る…
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昨日の日記の続きというわけではないんですが、 先日の土曜日の甲子園決勝をTV観戦した後、 久々にバッティングセンターへ行ってきました。
ま〜夏のこの時期に、野球好きによく見られる行動パターンなわけですが…。
どこに行こうかと悩みましたが、 やっぱり施設のいいところで、 晴れた休日ということで 気持ちのいい場所をチョイス。
東京・神宮外苑へやってきました。
外苑の入口付近。 遠くに見えるのは六本木ヒルズです。 | |
外苑のランドマークである 「聖徳記念絵画館」。
ここの前の広場では、いつも 学生や市民サークルなどが、 歌やダンスの練習をしたり、 絵を描いていたりなど、 とってもアカデミックな光景が 見られます。
ちなみに、手前の人は 全く赤の他人です。 | |
外苑内にあるのがこれ、 『神宮バッテイングドーム』 おそらく、日本で一番施設の整った バッティングセンターだと思います。
この日は、ヤクルト―阪神戦もあって、 夕方近いこの時間、人々の列で大変 賑わっていました。 | |
ヤクルト―阪神戦待ちの客で 施設内は大変混んでいました。
神宮バッテイングドームには裏手に 『ピッチングドーム』というコーナー もあります。バッテイングが混雑して おり、まずはこちらからやってみる ことにしました。
写真のように、TV番組で出てくる 『ストラックアウト』のような ボードが奥に設置されていて、 そこをめがけて投げるだけです。
18.44mという正式な距離から 投げて、投球されると上部の 掲示板にストライク判定と、 球速が表示されます。
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ヘタレではありましたが、 元高校野球のピッチャーとしては、 燃えないわけにはいきません。
黙々と投げ込むワタクシ⇒ | |
それでは、中年サラリーマンの限界ギリギリのパフォーマンスを 連続写真で見てみましょう↓ もうギリギリ精一杯です↓
↑ 昔はもっと下半身が沈み込んでいたはずなんですが、もう無理です。 とりあえずオーバースローで投げてみましたが、
実は、ハラが高校の時の正式なピッチングフォームは 下記のアンダースローでした↓ とりあえず全盛時のフォームでも投げてみました↓
↑こちらも、下半身が全然浮いていて、写真見て愕然としました。 これが中年の限界っす…泣。
一応ですね、最高球速は、 とっても胡散臭いんですが、122kmでました。
でも、あとは、111kmが一度あっただけで、 平均して、だいたい105〜110kmだったんですよ。 やっぱり122kmは怪しいですね。 元高校球児の中年をうれしがらせるには最高の演出ですけど…。
球速にも往年とのギャップを思い知らされましたが、 本当に愕然としたのは、満足に投げられた球数でした。
10球ぐらいですぐにヒジが痛くなってきて、 30球あたりでは、もうまともに投げられない感じでした。
ああ、もう俺って…
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さて、ヤクルト―阪神戦が始まり、施設内の人々が ある程度少なくなったところで、バッティングコーナーへ移りました。
ここのバッティングセンターは、ピッチングマシンから球が 放たれるところにスクリーンを置いて、実際のプロ投手の映像を映し、 映像上で球が放られる瞬間に、球が放れる位置に空けられた穴から ボールが出てくるシステムになってます。
簡単にいうと、実際のプロ投手が投げてくれるみたいな感じなのです。
映像としては、西武・松坂、巨人・上原、中日・川上、阪神・井川、 ヤクルト・五十嵐、といった各球団のエースが揃えられており、 バッティングゲージごとに固定されて、投球時の映像が流れます。
さらには、各ゲージごとに球速、高低が選択でき、 そして、実戦モードを選ぶと、変化球を織り交ぜられるらしいです。
これはもう、最新中の最新設備でしょう。
ちなみに、 あまり見せたくないですが、ある野球中年のバッティングフォームです。 正直言って、私、投手なのでバッティングはかなりヘタレです↓
↑ピッチングで気合を入れすぎて、既に右ヒジがめちゃめちゃ痛いので、 ほとんど右手の握力もなく、右肩が少し落ち気味で左手に力が入りすぎてます。 ただし、手打ちになり気味な私にとって、右手はそえるぐらいの方が、 身体に巻きついてバットが出る感じになって、結果的にはよい感触でした。 でも既に殆どスイングに力が入らなかったので、ちょっと欲求不満…。
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というわけで、久々に身体にムチ打ってヤンチャしたわけですが、 たまにはこういうムチャもして、己を知っておかなといけないっすね。
その反面、高校野球時代の残像と感触が体には残ったままなので、 最近特に、イメージとのギャップと、過ぎ去った年月の長さを思い知らされます。
そういう意味でいうと、バッティングセンターという余暇は、 元球児の中年にとって、とても切なく微妙なイベントにもなってきました。
帰り際振り返ると、外苑の中に浮かび上がる絵画館が目に止まりました。
国立競技場(Jリーグ)と神宮球場(プロ野球)からの歓声、 そして、外苑内を通り抜ける夕暮れの涼しい風が、ほどよく気だるい身体に心地よく 「あとはお酒をいただくだけ」という気分で、神宮を後にしました。
050823 taichi
P.S. そういうえば昨日の日記で取り上げた、 夏の甲子園連覇の駒大苫小牧ですが、 野球部部長の暴力不祥事が報道されましたね…。 どうなるのか分かりませんが、残念です。
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- 2005年08月21日(日)
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- 熱かった甲子園、嬉しい雪国高校の連覇!
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今年の夏の甲子園は、久々に熱かった。 テレビ観戦に、ネットでの途中経過に見入った。
大阪桐蔭が誇る150キロ左腕辻内と4本塁打の平田という、 投打の超高校級スーパースターの存在も大きかったが、 大会全体を通して熱戦や話題が満載で、とても充実した大会であった。
春夏連覇を目指していた優勝候補の一角、愛工大名電が、 緊迫した延長戦の末に、2回戦で長崎の清峰に敗れる波乱に始まり、 その清峰が勢いに乗り、これまたV候補の済美を破って序盤の主役に。 その他にも、辻内の19奪三振や、京都外大西の6点差を大逆転ゲーム、 平田の1試合3ホーマー、緊迫したシーソーゲームの打撃戦や投手戦など…
しかし、なんといっても元高校球児のハラ的には、
やっぱり駒大苫小牧であった。
てなわけで、57年ぶりの連覇を決めた 駒大苫小牧の戦いぶりを、テレビ観戦記も含めて綴ってみる。
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【2回戦/5−0聖心ウルスラ学園】
エースの松橋が完封。順当に勝ち進んだ。 しかし、「ウルスラ」って何だろう?
【3回戦/13−1日本航空】
3回戦の日本航空戦はお盆帰省中に実家で全て見た。 次期エースの2年生田中の投球と、素晴らしい駒大苫小牧の守備に酔った。 田中はまだ2年生だが、来年また必ず駒苫を甲子園に連れてくるだろう。 それくらい完成度は高い。145キロのストレートを持ちながら、 「僕はスピードは別にいいんです。一番大事なのはコントロールです」 と語る田中。まだまだプロ並みにゾーン内外の出し入れは出来ないが、 制球は安定している。特に高速スライダーの切れとコントロールは抜群だ。
【準々決勝/7−6鳴門工】
準々決勝の鳴門工戦と準決勝の大阪桐蔭戦はニュースで見たが、 この2つの試合は正直ファンとしては、生中継を観戦したかった。
野球というスポーツは番狂わせが付きものである。どんな実力校でも、 トーナメント戦で優勝するには、最低1試合は勝利の女神の力が必要だ。 優勝した駒大苫小牧にとって、鳴門工戦はそういう試合だったに違いない。
先発のエース松橋が序盤で3失点。1回に林の本塁打で1点返すも、 鳴門工エース田中暁の大きなカーブの前に6回まで散発5安打9三振。 7回に鳴門工に3点追加されて6ー1。もう完全な負け試合であった。 しかし7回に一挙6点を上げて逆転。これは昨夏の神懸かり的な勢いが このイニングだけに降臨したような、そんな集中打と相手の失策であった。
【準決勝/6−5大阪桐蔭】
大阪桐蔭戦は、試合前から見どころたっぷりの事実上の決勝戦。 駒苫の2年生右腕・田中と大阪桐蔭の超高校級左腕・辻内の投げ合い。 下馬評では4番の平田率いる打力の分、大阪桐蔭に分があった。
しかし試合前に駒苫ナインは「辻内君は弱点は精神面。顔を見れば分かる」 と語ってた通りに、崩れるとモロい辻内から2回に5点をもぎ取った。 だがそこは事実上の決勝戦。そのままズルズルと終わらない。
立ち直った辻内が奪三振の山で調子を戻すと自らの本塁打で7回に2点、 そして8回に3点を奪って同点という、高校野球ファンにはたまらない展開へ。 そして10回、先頭の林が辻内から二塁打を放ち、辻の適時打で勝ち越し。
明らかに大阪桐蔭の流れの中、先頭打者として辻内から二塁打を打った 駒苫の林ってのは試合の流れを読める選手だ。他の試合でもここぞという時に打っている。 期待を裏切らない優勝候補同士の実力伯仲の戦いを、駒苫が僅差で制した。
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【雪上で鍛えた駒苫の守備力と総合力】
昨年、北海道勢の初優勝ということで話題を集めた駒大苫小牧。
なぜハラはこの高校が気になって応援していたかというと、 駒苫と同じ雪国(長野)の高校で野球をしていたからだ。それだけである。 雪国のハンデを乗り越えた昨夏の優勝に対して、尊敬の念を込めて応援している。 (自分の出身大学と全く同じ校歌を聞いて、応援したくなったというのも少し…) もちろん、県予選ではまず母校を、そして甲子園で長野県代表を応援するわけだが、 駒苫はそれとは別枠。とにかく共通するのは、「雪国魂を見せたれ!」ってとこだろう。
昨夏の旋風で注目されたその練習方法「雪上ノック」。 北海道同様、長野でも11月中旬から3月下旬までグラウンド練習が無くなる。 なぜならば、雪が降るよりも前に、寒さで手がかじかんでボールを握れないのだ。 キャッチボールで硬球を受けると、グローブをしてても痛くて話にならない。 だから、幾らブルドーザーで雪上を馴して固めて、球が転がるからといっても、 めちゃ寒くて身体は動かないし、ボールが当たれば、感触が無くなる程痛いのだ。 「雪上ノック」は私の経験からすれば「ありえねー」って感じなのだが、 彼ら駒苫ナインは事実やっているわけである。雪国で野球やってない人は 分からないかもしれないが、彼らはスゴいことをしているのだ。 正直云って、気合だーっ!!というモードでないと「雪上ノック」は出来ない。
今大会の駒大苫小牧の守備は鉄壁であった。なんと北海道大会から、 甲子園準決勝まで通じてノーエラーだったのだ。本当に素晴らしい。 打球が速くてイレギュラーも多く、寒い中相当の集中力を強いられる 「雪上ノック」を受けていた彼らは、土の上の打球が「止まって見える」と 云ってたそうだ。昨年が「打撃と勢い」ならば、今年は「守備」のチームだ。
駒苫が今年も打撃のチームだったなら、連覇は出来なかったと断言してもいい。 水物の打撃に対して守備の堅さは、チーム力のあらゆる所に効果をもたらす。 ピッチャーであったハラの経験から云えば、堅固な守備陣がいることは、 繊細な投手心理に相当な安心感を与える。特に高校野球ではその効果は高い。 実力ある投手の力を、常に実力通りに発揮させる魔法は「守備力」である。 守備力は投手力に波及するほか、リズムを生み出し、打線に集中力を与える。 駒大苫小牧の野球は、弱小高校の監督にとってはお手本となるだろう。
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【決勝/5−3京都外大西】
その鉄壁守備の駒苫が今夏初のエラーをしたのが、決勝の京都外大西戦。 先日の土曜の決勝戦は、最初から優勝の瞬間までテレビで観た。
序盤、駒大苫小牧はらしくないプレーをしていた。 連続でバント失敗したりタイムリーエラーをするなど。しかし、 決勝戦ではそういうミスが致命的とよく云うが、ミスから大崩れしない所に、 高次元で安定しているチーム力を感じたのは私だけではないと思う。
対戦した京都外大西も高いチーム力を持っていたと思うが、 去年の駒大苫小牧のような、勢いで勝ち上がって来たチームだ。 駒苫にとっては、昨年の自分達と戦うような印象だったはずだ。
決勝戦にふさわしい接戦となった。初回に1点を取り合ってから 序盤は互いの拙攻もあって膠着状態。勝利の女神もどちらにつこうか迷っていた。 5回裏に駒大苫小牧が勝ち越すと、一気にゲームが動き出す。 6回に京都外大西が1死2、3塁の逆転のチャンスをつくる。 ここで駒苫の田中が圧巻の二者連続三振で踏ん張る。最後は吠えていた。
どうしてもピンチの後をチャンスにしてしまうのが、繊細な投手心理の刹那。 京外西はその裏、死球などで駒苫に追加点を許してしまう。 しかし7回表、駒苫の名手・林のタイムリーエラーで思わぬ失点を許す。 さらに京外西の5番五十川が、駒苫・田中の高速スライダーを捉えて 右翼線に同点のタイムリーツーベース。前の打席でも痛打された打者に対し、 カウント2ー1から投げるスライダーはボールにするべきであったが、 決めようとしてストライクゾーンに入った。しかしインローの厳しい球であり、 ここは打った京外西の五十川を褒めるべきであろう。これで同点。これぞ決勝。
駒苫が試合に勝ったのは、同点にされたすぐ裏の回で再度勝ち越せたからだ。 当たり損ないの内野安打で2点追加。京外西にとっては不運であったと同時に、 勢いを萎えさせた失点となった。勝利の女神が駒大苫小牧についた瞬間であった。
9回は駒大苫小牧の連覇のためにあった。次期エース田中がなんと三者連続三振。 最後の打者のラストボールは150キロを計時。これ以上ない連覇達成の瞬間だった。
マウンド上に選手が駆け寄り、お決まりとなった 全員で人差し指を突き上げるパフォーマンスで、連覇の喜びを爆発させた。
ハラもその瞬間思わず「っしゃーっ!!」と手を叩いていた。
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1948年以来、57年ぶりの連覇という偉業を、 初めて昨年優勝した北海道勢が成し遂げるとは、誰も思っていなかっただろう。
ちなみに、 連覇を目指して決勝戦に進んだだけでも21年ぶりだという。 その21年前の高校とは、あの清原&桑田を擁したPL学園だ。 1年生エース桑田・1年生主砲清原を擁して優勝した次の年、 KKが2年生の夏にもPLは決勝に進んだが、取手二高に敗れたのだ。
そういえば、 今夏、大阪桐蔭の平田が一試合3ホーマーを放ったのも 清原以来だとスポーツ紙面で見出しが踊っていた。
高校野球が最もブームになった黄金期が、 KKコンビのPLが活躍した時代である。
ちなみに、KKの高校3年間は私の中学3年間。 陸上部であった中学時代に、この黄金期の高校野球を夢中で観て、 私は高校で硬式野球部を選んだ。
今思えば、なんて単純なんだろうか。
あの熱い時代の高校野球が、
今年の夏、少しだけ垣間観れて、
とってもとっても良かったと思います。
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KK時代、現中日の立浪が活躍した時代を含めて、 5年間で3度優勝したPL学園でさえ出来なかった夏の選手権連覇。
その偉業を、しかも全く違う主力選手で成し遂げた 駒大苫小牧・香田監督の手腕はとても素晴らしいと思います。 優勝おめでとうございます。
来年のエースである2年生の田中君には、来夏も必ず 道大会を勝ち進んで甲子園に出場するのはもちろん、是非とも、 1933年・中京商以来となる72年ぶりの3連覇を目指してほしい。
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一昨年に父が亡くなり、ウチの家族は母と俺と弟の三人である。 母親は長野の実家で一人で暮らしており、俺と弟は東京にいる。 俺は必ず盆と正月には実家へ帰省するが、母親が一人になってからはとりわけ、 帰らなければという使命感みたいなものが出て来た気がする。
一方、弟は昔から常に行方不明な存在で、 一昨年に父が危篤の時にやっと、姿を現したのであった。 父と母が常日頃「あいつはどうした、生きてんのか?」と、 俺が一人で帰省してくる度に訊いてきたことは記憶に新しい。
母親が一人になってからは、さすがに所在は明らかになったが、 弟も生きていくのに必死らしく、やはり盆や正月に帰れない状態だ。
そんな弟から、先月7月末に、こんなメールが来た。
(原文のままコピペ) ======================= お盆 どうするん? 数日休みがとれそうなんだけど、 お袋連れてどっか近場で旅行とかしとかないか? =======================
あんまり意外な顔をしては弟に失礼かもしれないが、 ちょっと驚いてしまった。いや、かなり驚いてしまった。
奴なりに、 母親を一人で暮らさせていることを親不孝だと思っているのか? これまでの親不孝に対する罪悪感があるのか?
まあ兄的にはもうどちらでもいいが、 当然ながら弟の提案に乗ることにした。
(原文のままコピペ) ======================= 了解。ネットでどこか探しといて。俺も探す。 =======================
兄弟でこのようなやり取りをして、お盆を迎えるのは初めてであった。
しかし、結局、私の仕事の関係と、良い宿が埋まってたために 一泊するのは今回あきらめることになったのだが、 その代わり、風情ある日帰りの温泉に入って観光をしつつ食事をして、 泊まりはしないものの、お盆の一日を満喫するプランに変更した。
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先週の土日、二人でクルマに乗って 実家がある長野に帰省した。
次の日の予定として、 母親は家でゆっくり過ごそうと決めていたらしく、 ウチら二人の外出提案に驚いていた。
「へ〜、そうかい。ど〜したの?」
胡散臭そうに首をかしげる事しかり… だが、翌日の昼前に三人でクルマに乗って走り始めると
「ふふ…、何だかうれしいわ、こういうの久々だね〜」
と、満更でもない様子であった。
観光地探しは、そこは観光県・長野なので困らない。 長野市から1時間程クルマを走らせると「信州高山」という温泉郷があり、 そこから更に奥地にある「奥山田温泉」へと向かった。
山道を走って、かなりの標高を登ると、少しずつ緑が開けて、 「山田牧場」という看板が見えてくる。そこの一角に 「満山荘」という山荘があるのだが、そこの温泉に入る事にした。
山荘の中に入ると、 思っていた以上に 風情のある宿であった。
お盆は満室とのことであったが、 今度来たら絶対に宿泊したい。 | |
宿主のおじいさんが カメラが趣味らしく、
相当な数のカメラが コレクションとして 展示されていた。 | |
さて、温泉だが、 これが実に良かった。
この日、男風呂となっていた方は それほど広くない露天風呂だったが、 それでも山々を見渡せる 風情のある温泉であった。 | |
キタナイ足をお見せして 申し訳ございません。
白濁した温泉らしい色のお湯で 硫黄臭がほのかに漂っていました。
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風呂の後のロビーでくつろぐ、母と弟。
宿の隅々までキレイに掃除されており、 木調のしつらえの中に、こだわりのアイテムが置かれていて、 深い味わいある空間を醸し出していて、実に良かったです。
宿を後にして、 すぐ近くの「山田牧場」に 立ち寄りました。 野生の牛が全く繋がれずに 放置されまくりの牧場です。
左に写っているのが、 機種変したばかりのFOMAで 牛の写真を撮りまくる母。 | |
牛の接写にチャレンジ。
「近づき過ぎだろ!」
って感じですが、 牛ってずぅ〜〜っと、 口をモグモグさせながら、 目をキョトーーーーーーンと させているだけなんです。
不思議な生き物です。
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こうして、 プチ親孝行な一日を過ごしてみたわけです。
東京に帰る前に、そっと母に、
「今回、温泉行こうって提案したのは、実はあいつ(弟)の方なんだ」
と種明かしをしました。母は、
「は?そーなのかい? どうりで何だか、いやに今回は素直だなーと思ってたんだよ。 普通、『皆でどっか行くか〜』なんて話をしたら、真っ先に 『俺、行かねえから』って云ってたじゃない? …あ〜そ〜なのかい〜、ふぅぅーーーん。…うれしいね」
というリアクション。 温泉そのものより、弟の意識の変化を喜んでいた感じでした。
今回実現出来なかった一泊旅行は、 是非次回、実施したいと思います。
050819 taichi
P.S.
N沢くん、お袋のパン屋に家族で来てくれたらしいね。 ほんとTHANXです。お袋よろこんでたよ。
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- 2005年08月18日(木)
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- 『これからの、二人』(イラスト付創作エッセイ)
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(イラスト付創作エッセイ)
藍色から群青に移りゆく部屋を出て、ダイニングへと足を運ぶ。 冷蔵庫から冷えたお茶を取り出してグラスに注ぎ、一気に飲み干す。 正面に置かれた時計のAM5:00という表示が目に入った。
昨夜は何事も無く、二人は部屋で眠りについた。 しかし、正確に云えば「何事も無く」というのは嘘であった。 数日前から既に、彼女は自らの気配を消していた。 傍に居るにもかかわらず、いつもの彼女は居なかった。 少なくとも彼はここ数日、ずっとそう感じている。 そうして未明になると、彼女の身体という実体も居なくなるのだ。 今、家の中には彼一人だけ…。
結婚して3年、 互いに理解し合って、同じ屋根の下に暮らし始めたつもりだったが、 生計を共にして日々過ごすとなれば、恋愛していた頃のようにはいかない。 彼女は変わらぬ刺激を常に求め、彼は継続することで手一杯になった。
彼女は、これまでも幾度となくこういう事はあった。 今朝のように、何も云わずに居なくなってしまうこともあれば、 「つまんない。毎日楽しいことしたい」や、「今好きな人がいる」とか、 「あたしがいなくなったら困る?」といったメールを通り魔のように送ってきたり、 数日ひたすら黙っているかと思えば、感情を露に大声を出すこともある。
彼女からはいつもサインだけしか送ってこない。 それを読み解いて、行動を決定するのは彼の仕事だ。
「あなたがそう思うなら、それでいいよ」
常に帰ってくる返事は、それが正解かどうかさえ明かされない。 彼は自分なりの解釈とアレンジで行動してみるものの、 それは肉声を通じた共感の無い『自作自演生活』であった。 彼女は刺激を与えてくれるものの実体が無い。空気のように 常にそこにあるわけでもなく、まるで電気のようだ・・・と彼は思った。
彼は正面の棚に視線を漂わせると、一枚の写真が視界に入った。 その写真をしばらく見つめた後、彼は窓際に立って煙草に灯を点ける。 胸の奥から吐き出した白いものが、白濁した空へと溶け込んでいく。
時計の表示がAM6:00に変わった時、玄関のドアが開いた。 すうっと、無表情の彼女が静かに姿を現す。 彼が起きているのが意外だったのか、彼女の表情の時間が止まる。
しばらく二人で顔を見合わせた後、 彼女はゆっくりと室内へ歩き出し、冷蔵庫の前で止まった。 お茶を取り出すとグラスに半分だけ注ぎ、少しずつ喉へ流し込んでいく。 グラスがテーブルに置かれるのと同時に彼女が口を開く。
「繰り返していくだけなのかな…」
煙草を消しながら、彼は視線を向けた。
「あたしたちって、このまま普通に過ごして、歳をとって、 死んでいくだけなのかな? 愛のある生活ってこういうもの?」
「『愛って何?』ってか?」
「『愛』ってもっと、たのしくて刺激があってドキドキして、 それでいて、落ち着いていて安心して…」
「お前さんはよくばりだな。」
「そうかしら? でも、全部ほしいの。あたしの中ではそういうもの。 あたし、刺激がないと生きていけないみたい。 …そういう、ものを、くれる人が好きみたい…」
「この生活は、たのしくないんだろ?」
窓の外の白みゆく空へ、彼女は視線を投げつけた。
「楽しい時は楽しいよ…当たり前か…。 でも、寂しかったり辛かったりする時の方が多い…」
「寂しい時に楽しい時間をくれる人のところへ行くわけだ。 空白の時間を埋めていくわけだな。」
「寂しい時に他の人に逢っちゃいけないの?」
「全然いけなくないよ。お前の自由だ。 気持ちを満たしてあげてないのは俺の責任だ。 でもな・・・、楽しい時は楽しい・・・って云ったよね? 裏返せば、楽しくなければ俺といる意味はない?」
「・・・?」
彼は冷蔵庫からお茶を取り出して、2つのグラスに注ぐ。
「『愛』って何だろうね?」
「・・・??」
「『人』を愛するのか? 人は誰でもよくて結局は、 『楽しいことや刺激的なこと』を愛しているのか?」
「あたしは・・・、 好きな人と、何をして、どのように楽しく過ごして、 どう生きるか?って考えてる。…あなたはどうなの?」
一瞬、間をおいて、 彼はふと、棚の写真に視線を移した。
「あの写真・・・ 飲み屋で撮った俺らのツーショット・・・、覚えている? 何年か前、みんなでお前のバースデーパーティーに集まった時に 誰かに撮ってもらった写真・・・」
「え?、う、うん覚えてる。」
「あの写真って、誰かが余計に焼き増ししちゃった分も受け取ってさ、 余ったやつに、二人でそれぞれ落書きして、交換し合ったのも覚えてる?」
「うん、何か書いたかは忘れちゃったけど・・・」
「俺が書いたのってすごくつまらなかったんだよ。 でも、お前からもらった落書きって、写真から想像するに、 まず思いつかないネタになってて、ビックリしたんだ。」
「そうだっけ?」
「はは・・・、覚えてないか・・・、でもね、その落書き写真、 え〜っと…何つーか…ものすごく愛を感じましたです。 うん、めっちゃ感じた。あれだけで俺は幸せなのかも…。 だから、お前の求めるものとは噛み合ってないのかな?…」
「・・・そ、そう。なに、書いたかな?…」
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(3年前…)
「この写真、なんか2人とも表情出ててイイね〜。 でもさこの写真、なんでお前は俺の肩を揉んでいたんだっけ?」
「あんたが、『最近肩凝っててよ〜』とか云って、 マサジ自慢が競って肩や頭や首を揉み出したんじゃないっけ?」
「ああ〜思い出した。みんなに実験的に揉まれ過ぎて、 最後のお前のマサジはもう痛いだけだったよ。 そうでなくても何か知らんがお前、指の力がもンのすごく強いし」
「あはは、痛がってたね〜、あ、この写真、4枚も入っているよ〜」
「焼き増しし過ぎたんだろ?」
「ねえねえ、この余りの写真にさ、何かセリフ書き込んでみたくない?」
「あはは、オモロイね〜、やってみよっか…って、 もうこのシーンだったら、台詞決まってるだろ〜」
「うふふ…、そこを考えるのよ〜」
彼の落書き↓
※クリックして別ウィンドウで拡大表示
「あはは、めっちゃハマってるよ〜」
「でも、ちょっと直球すぎたかな〜」
「いや〜、でも面白いよ〜、いいね〜」
彼女の落書き↓
※クリックして別ウィンドウで拡大表示
「何で、いきなり老夫婦なんだよ笑!」
「なぁに〜いいじゃない〜、ありえるでしょ。」
「うん…、でも、何かうれしいね…」
「はぁ、何でよ?」
「先のことは分からんけどさ、でも、 『これからもずっと一緒にいられるんだな〜』って思わせてくれる感じが、 なんか、普通だけど単純で、それでいて究極な『愛』って感じで、イイなぁ〜って」
「…な、何照れてんのよ!、そんな大それた意味のつもりじゃ…」
「あはは、いいんだよ、俺がうれしいんだから。 そう感じられることが土台になって、生活に仕事に励めるんだよ、男って」
050818 taichi
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- 2005年08月15日(月)
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- 『戦後』は、まだ10年しか経っていない?
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今年の8月15日で、戦後60年らしい。
そこで10年ずつ区切って、日本の戦後を6つにゾーニングしてみたところ、 本当の戦後はまだ10年しか経っていないことに気づいた。
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「国家再生」の10年
最初の10年間【1946年(昭和21年)〜1955年(昭和30年)】
GHQ主導の下、憲法制定、日米安保条約を結び、 講和条約にて主権を回復して独立。再び自分の足で歩き始めた10年。 国内政治においても五十五年体制が成立。以降1993年まで続く事になる。
■1946年/日本国憲法 労働基準法、教育基本法 発布 ■1948年/朝鮮南北分裂 ■1949年/東西ドイツ分裂 ■1950年/朝鮮戦争勃発 ■1951年/日米安保条約締結 ■1952年/サンフランシスコ講和条約・日本独立 ■1954年/防衛庁・自衛隊発足 ■1955年/自民党・社会党統一…五十五年体制成立
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二大好景気で急速回復。 「復興お披露目」の10年
次の10年【1956年(昭和31年)〜1965年(昭和40年)】
朝鮮戦争におけるアメリカの極東工場化により、爆発的経済成長を遂げる。 国民の生活レベルも急速に向上する一方で、国際舞台への復帰も果たす。 日米安保によるアメリカの保護の下で経済復興・国際的信頼の回復を遂げ、 講和条約による独立から、新幹線開通、東京五輪までの十数年間はまさに、 世界史上類をみない驚異的な復興を、世界にお披露目するためにあった。
■1955年〜神武景気(〜57年)…朝鮮戦争特需による爆発的好景気 ■1955年〜三種の神器ブーム ■1956年/経済白書「もはや戦後ではない」 ■1956年/日本・国連加盟 ■1956年/日ソ国交回復 ■1959年〜岩戸景気(〜61年)…国民総生産(GNP)前年比14〜17%増 ■1960年/日米新安保条約締結 ■1960年/安保闘争本格化 ■1964年/新幹線開通 東京オリンピック開催 海外旅行自由化 ■1965年/日韓基本条約・・・国交正常化
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「高度経済成長終焉」 「経済的独立」の10年
21年目〜30年目 【1966年(昭和39年)〜1975年(昭和50年)】
前半の5年間、いざなぎ景気を背景に揺るぎない経済基盤を確立した日本。 その後の70年代初頭の5年間は、経済・軍事・政治ともに世界的混迷の時代。 軍事・経済というアメリカの2つの傘の下で国力をつけてきた日本であったが、 ドル危機と戦争で疲弊したアメリカより「経済の傘」を取り払われる。 日本は米との関係を維持しつつ、国益を前面に出した経済主義的外交を展開。 アジアでは日本の経済侵略、軍国主義の復活として警戒され暴動が起き、 アメリカとは深刻な貿易摩擦問題へと発展する。 しかしながら日本は、ドル危機,石油危機などの世界的な経済混迷を尻目に、 二大景気に支えられ、アメリカから経済的な独立を果たした10年。 名実ともに経済大国へ。
■1965年〜いざなぎ景気(〜70年)…世界第二位の経済大国へ ■1968年〜3C時代(カー、クーラー、カラーテレビ) ■1968年/ベトナム戦争勃発 ■1970年/大阪万博 ■1971年/ニクソンショック…固定為替レート崩壊 ■1972年/貿易完全自由化 ■1972年〜田中角栄内閣(〜74年) ■1972年/沖縄返還、日中国交回復 ■1972年/札幌冬季五輪 ■1973年/変動相場制へ移行 ■1973年/第一次石油ショック ■1974年/戦後初のマイナス成長…高度経済成長時代の終焉 ■1975年/ベトナム戦争終焉
※この頃から、公害・環境問題、長時間労働・職業病、学歴競争等の問題が発生。
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経済舞台での新たな戦争 「日本一人勝ち」の10年
31年目〜40年目までの10年 【1976年(昭和51年)〜1985年(昭和60年)】
ドル危機・二度の石油危機から、東西の主要国が立ち直れずに停滞する中、 日本は、企業の減量経営・合理化を図る一方で、積極的輸出促進により回復。 大企業の多国籍企業化により世界各国へと進出し、70年代後半の輸出洪水で 貿易黒字は劇的に増大。日本はまさに世界で一人勝ち状態に。 アメリカとの経済摩擦の激化に伴って、国内では経済ナショナリズムが台頭。 混迷期において、戦前の「軍事」に変わる新しい日本のアイデンティティ 「経済大国」を守らんとする国民意識が、世界へのさらなる経済進出を加速。 しかし平行して中曽根首相による戦後初の首相による靖国神社公式参拝により、 アジア諸国の反発をよび、日本のナショナリズムの軍国主義化が警戒される。
■1975年/石油ショックで世界経済が停滞する中、日本一人勝ち ■1976年/第1回先進国首脳会議(サミット)開催 ■1979年/第二次石油ショック ■1980年〜ソ連、アフガニスタン侵攻 ■1980年/日本、モスクワ五輪ボイコット ■1982年〜中曽根内閣の国家主義的姿勢…アジア諸国が反発、後の火種に ■1984年/ODA世界最大規模に
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激動の世界情勢の中、 「登り詰めて、泡と消えた」10年
41年目〜50年目までの10年 【1986年(昭和61年)〜1995年(平成7年)】
85年のプラザ合意は、世界経済の舞台で日本が世界の頂点に立ったことを示す 象徴的な事件であった。この後2年間の不況を経て、87年のブラックマンデーが 投資家の投機熱を呼び起こし、バブル景気の引き金を引く事となる。 日本が経済の頂点に君臨する世界舞台の基盤であった東西冷戦構造・日米安保が、 89年〜91年の革命期を経て、ソ連の消滅で終焉を迎える。国内でいえば、 93年の非自民連立政権の誕生・五十五年体制の崩壊をもって終わりとされる。 軍事力での太平洋戦争に敗れた後、経済力でもう一度世界に挑んだ日本。 経済成長の基盤としてきた世界舞台そのものが崩壊し、国内でバブル経済が崩壊した。 栄光と狂乱、そして崩壊、日本にとって「2度目の終戦」を迎えた10年間。
■1985年/プラザ合意(日米貿易の不均衡是正。円高促進へ) ■1985年/対外純資産が1298億ドルで世界一。 ■1986年〜円高不況(〜87年) ■1987年/ル−ブル合意…当時最低の公定歩合 ■1987年/ブラックマンデー(世界同時株安)…日本は即回復。経済力を世界へ示す ■1987年〜日銀低金利策継続(〜89年)…バブル景気本格化 ■1989年/昭和天皇崩御、消費税導入、天安門事件勃発、東欧革命→マルタ会談・冷戦の終結 ■1990年/株、債券、円のトリプル安 →バブル崩壊へ ■1990年/東西ドイツ統一 ■1990年/湾岸戦争勃発 →石油価格上昇懸念による公定歩合引き上げ…株価下落 ■1991年/土地神話崩壊 ←90年の不動産貸出の総量規制により地価が下落 ■1991年/ソ連消滅 ■1992年〜PKO法成立・自衛隊派遣(〜93年) ■1993年/朝鮮人従軍慰安婦問題に関して日本政府公式謝罪 ■1993年/非自民・非共産の連合政権誕生…自民党一党支配の終焉 ■1993年/細川連立政権、太平洋戦争を侵略戦争と認め犠牲者への哀悼の意を表明。
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そしてこの10年
日本にとって 『本当の戦後』が始まった。
51年目〜60年目までの10年 【1996年(平成8年)〜2005年(平成15年)】
■戦後50年は「戦後」ではない
戦後50年は、アメリカ保護の下で莫大な経済力と見かけの政治力を身につけ、 「世界の番犬」アメリカと「世界の金庫」日本というコンビを結成し、 第二次大戦から続く冷戦構造の枠組みに縛られながら進んできた半世紀である。
戦後の日本が、零戦や戦艦の代わりに勤勉と技術を武器に、驚異的な早さで世界進出する様は、 まるで、戦前同様のナショナリズムを、世界経済という舞台にシフトさせて、 2度目の太平洋戦争を仕掛けていたかのようである。
その時代は終わった。東西対立の世界の枠組みは崩壊し、日米安保も形骸化した。 太平洋戦争から続く長い戦争が終わりを告げた時、過去50年間で始めて、 日本は一国家として「己は何たるか」という疑問を突きつけられた。 日本が50年してきたことは、単なる「世界の錬金マシーン」に過ぎなかったのか? 経済主義に偏った国内外との交流のツケが、この10年間で膿(うみ)として噴出したのだ。
■50年間の「経済戦争」の膿(うみ)
韓国・中国との国交回復と国家賠償は、アメリカ主導の下に行われたばかりに、 冷戦時の反共対策という意味でしか認識されていない。人権や平和という観点での 主張・共感が弱いまま今日に至り、東アジア諸国との摩擦として顕在化してきている。 これは政府だけの問題ではなく、経済主義に走り続けて豊かさに溺れた故に、 隣国との国際問題に対してほとんど興味を示さず、政治を放置した国民にも責任がある。
国内においては、少年犯罪やニート、中堅層の鬱病という問題が吹き出している。 これは60年代の高度成長期において表面化した、長時間労働・職業病・過労死や 子供の学歴競争・偏差値教育に端を発しているに違いないだろう。
まだ他にも色々あるが、直近の10年間に出て来た問題のすべては、 経済主義へ偏った日本の50年間が溜め込んだ膿(うみ)であり、 本当の「戦後」を迎えて、日本はようやく気づいたのだ。
■再び『復興の10年』となるべきが…
この10年間は、実は太平洋戦後の10年と同じく 『復興の10年』『立て直しの10年』であるべきだった。
経済・政治・外交において、新しい枠組みの中で、 日本の素の国家力と国民力が試された10年、 それが1996年〜2005年であった。しかしながら…、
戦後システム崩壊後、変革の濁流にのまれ二極化する社会。 幾多の経済政策も一部の勝ち組だけが享受し、「日本総負け組状態」は変わらず。 おまけに、景気回復時に消費税を引上げた橋本内閣の失政で、底なし不況へ転落。 高度経済成長社会の幻影が、古い世代に変革を拒絶させ、鬱にさせる。 生まれた時から身に付いた高い価値観が、若い世代を盲目にして無気力にする。 高度成長期の貯金を食いつぶす、今日の企業・家計・そして政府。 日本全体が『2つの戦争』が終わった途端に、目標を見失って迷走している。
■一見、積極的に立て直そうとした10年に見えるが…
この10年、自国のことで、自分のことで、日本国民は精一杯だった。 子供達に至っては、自分に関係があるもの以外に興味を持たなくなった。 今日の日本を支える30代以下の世代は、完全に戦争を知らない。 私の親もそうだが、戦争を伝える親世代がすでに直接知らない世代であり、 私のような子供世代は、完全に戦争コンプレックスが無い世代となった。 つまり「国のために働く」という意識は全く無くなったのだ。 自分や家族のことを考えても、国や世界のことにまで興味が無い。 興味無くとも知っていればまだいいが、驚く事に全く知らなかったりする。
この10年の一番の問題は、 今日の日本が、あらゆるものに「無知」であることだ。
国民は戦争を知らない。政治を知らない。隣国を始め世界のことを知らない。 政治家は国民を知らない。国民が欲しているものを知らない。 国外との交渉においては、経済以外のコミュニケーションを知らない。 官僚達はそもそも自分の利権以外のことを知らない。
この10年は、『復興の10年』ではなく、 『無知・無気力な10年』で終わってしまったのだ。
冷戦構造・日米安保の下、経済貢献だけの受け身な50年が、 全てが取っ払われたこの10年間の「無知」「無気力」に繋がっている。 何かのナショナリズムがないと、この国はまとまらないのだろうか?
■次の10年、なんとかしないと、やばいよ
消費が低いままというが、そもそも日本は生活単価の高い高消費社会である。 売れないと分かっていても企業は商売しなければならないし、収入がきつくとも 家計は毎月高い生活費を消費しなければならない。政府はそれを助けなければならない。 せっかくの高度経済成長時代の財産を、どんどん食いつぶしているのが今の日本である。
私もそうだったが、こういう現状を国民が無知のままではいけない。 郵政民営化なんて今でなくていい。もっと即効性ある政策を国民で求めなければ。 一方で政府は、国民が求めるものを知ってほしい。双方の積極的なカラミが足らないのだ。
60年前の痛ましい過去に関して政府がするべきことは、アメリカの傘の下から出て、 一国家として、どんな駆け引きも存在しない場で、しっかりと行ってほしい。 国民は国際世論をもっと知って、皆で云うべきことを主張し、するべき行動をしないと、 どこかの国のデタラメな主張が現実となって、世界の信用を無くすかもしれない。
今の時代はネットがあるわけで、知る機会や手段は以前より格段に増えている。 せめて問題の存在を知らなければいけない。政府が幾ら謝罪や賠償をしようとも、 我々一般国民の「無知」こそが、実は周辺隣国に対する態度として一番失礼なのかもしれない。
国民は、実行動でもネット経由でもいいから、まずは知って、積極的に関わるべき。 政府は、もっと国民を知ってほしい。あなた方の物差しはもう古い。
無知で無気力…。 生産性や創造性また人間的魅力のない国には、 経済的にも人間的にも、価値や信頼は生まれない。
今の日本は、世界中から価値が無いと売り飛ばされてたあげく、 企業も家計もビクビクしてお金を出さず、ステージで何も行われない状態。 何も行われないのに、居るだけで税金や維持費や生活費だけがかかっている。 己の足元が沈んでいくのに、日本はおろか世界のことなんて見えやしない。 必然的に、自分だけはと思う者、見て見ぬフリをする者、現実逃避する者が増える。 こういう人達が沢山いる国に、価値とか信頼とか生まれない。
政府は、とにかくまず、企業と家計(家庭)を元気にさせてくれ。 一人一人は、己はもちろんのこと、もっと周りのことも知って、言動に移そう。 それを次の10年でやろう。そして、再び日本が活力を得た時、 その時こそ政府は、「もはや『戦後』ではない」とコメントしてほしい。
050815 taichi
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[沖縄/阿嘉島(慶良間諸島)] |
今年はあきらめようと思っていたけど、 やはり行かないわけにはいきませんでした。
1ヶ月後、還ります、あの島へ。
よろしいでしょうか、部長?
ダメだって云われても チケット買っちゃってますからっ!
050810 taichi
P.S.
そしてお嬢(=ウチのミニチュアダックス♀) 初めての島旅、初めての飛行機。
大丈夫かいな?こんな調子で…
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久々のお嬢ネタです。 (お嬢=ウチのミニチュアダックス♀1歳2ヶ月体重2kg本名「モカ」)
「小泉内閣、郵政解散!」というニュースがあるにもかかわらず、 本日は犬マンセー親バカモードで行きますので、 興味ない方はスミマセン、明日以降にお越しください。 わんこ萌えの方、今回はあまり萌えフォトはないかもしれません…笑。
さて、新居に引越して2ヶ月半経ちましたが、 家の近くで、ずっと気になっていた場所があったんです。 それがココ↓
ちょっと写真的には不気味なのですが、 自宅に行く途中にこんな空き地があるんです。 聞く処によると、つい最近まで会社があったらしいです。 何やってた会社か知らないですが。
それでですね、会社からの帰りにここを通ると、 この空き地付近にですね、いるんですよ〜、奴等が…
猫です。
この日は金曜の夜で、会社から帰ってすぐお嬢を連れて、 再び現場へと向かったわけです。すると…
3匹とも勝手に名前を付けました。
すでに祭。(興奮しすぎて、お嬢にピントを合わせられません)
**********************
FIGHT!
ROUND 1 「姫とお嬢、ビームの応酬!」
ビームを乱射するお嬢と対照的に、姫は全く微動だにせず、 まるでサーチライトのように、ビームを正確にお嬢の額へ照射。
ROUND 2 「ケイスケとカン吉」
カン吉、のび過ぎ。てか、スケベ過ぎるぞ。
(ちなみにお尻を嗅ぐのは、犬の挨拶なんですが…)
ROUND 3 「お嬢の逆襲」
カン吉、フラれてストーカー化する最悪のパターン
**********************
WHAT?
SCENE 4 「塀の中で何かが…」
誰かが塀の中に入っていったんです。
SCENE 5 「ボランティア夫婦」
本当に偶然でした。ボランティアのご夫婦が塀の中に入っていったんです。 毎晩、ここの空き地に住む猫たちに、ごはんを食べさせに来てるとのこと。
何かの臭いを察知したウチのお嬢が、塀に向かって ミサイルのようにすっとんで来ました。
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GREAT!
SCENE 5 「猫、狂喜乱舞」
何でしょうか、この光景は…
これだけ沢山の猫を、一つの視界におさめて見たのは初めてですね。
ご夫婦に話を聞くと、最近までここにあった会社が猫を飼っていたそうです。 ま〜飼っていたというか、住みついていたらしいのですが、 会社の引越しの時に、すべての猫をここに放置して去っていったとのこと。 ま〜ムリも無いですが、残された猫は総勢16匹いるとのこと。 この近所では、ここの「猫空地」は最近有名だそうです。
本当にご夫婦、毎晩お疲れさまです。
さてと…
SCENE 6 「姫、お嬢にお説教」
実は、この撮影をしている時、この塀のまわりにご近所の方々何人か、 猫見物に来ていたんですが、とってもみっともないお嬢でした。 完全に塀の向こう側の猫サイドへ鼻を出してましたからね。
というわけで今日は以上でした〜。
050809 taichi
【最後までご覧いただいた方にプレゼント!】
ウチのお嬢の『何見てんのよ!』画像(1000×681)を差し上げます。 壁紙にするなり、どっかに掲載するなり、出力してハァハァするなり、 「コレ、あたしんちのわんこよ」と大ウソついて紹介するなり、いろいろと 好きにつかってください、っていうこの企画! 親バカ、ここに極まりました。
クリックすると大きな画像が別ウィンドゥで出ます。 その画像をもう1回クリックするとさらに大きくなります。
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- 2005年08月07日(日)
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- 俺を東名で瞬殺した赤いランエボ、その正体は?!
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J-WAVEにチューニングを合わせていたら懐かしい曲が聞こえてきた。 渡辺美里の『サマータイムブルース』である。 ヒヤッホー!ナイスだDJ!昔からファンである私でなくともこれはイイ曲。 《眩しい太陽 標的にして〜 週明けの第三京浜 選んだ〜》
口ずさみながら、俺は犬をナビシートに乗せて、週末の東名高速を走っていた。
次の曲でDoobie Brothersの『Long Train Runnin'』が流れてきて、 今日はなんだかいい感じの選曲だな〜と思うのもつかの間、ふと時計を気にした。 出発が遅れているので、クルージングしている場合でなかった。 『Long Train Runnin'』のテンションに合わせてアクセルを踏み込んだ。
追い越し車線を140〜150km/hで走っていく。 俺の愛車、SCION xA号は、「ウ"ゥゥゥーーーー−ン」と、 いつもよりちょっと頑張ってる感じの鳴き声を上げているが、上りではキツい。
御殿場あたりで、バックミラーに後方から近づいてくる赤い点が映る。 その点はどんどん大きくなり、真っ赤なランエボだと判明した頃には、 そいつがパッシングしてきやがった。1回、のみならず2回3回と。 「どけやコラ!俺様のお通りだ!」というわけだ。 すでに思いっきりテールトゥノーズで、スリップストリームモードである。
「なんだテメエ!アメーーんだよ!俺様のxAでチギッたろか?!」と、 ブレーキチョイ踏みして赤い閃光を放ってすぐ一気に加速で置き去りに… などと、熱いハートに火が点きそうになったが、あっさり白旗をあげる。 何故なら俺のSCIONxAは以前ご紹介の通り、ただのトヨタ・イストなのだ。 ただの1.5Lエンジン vs 世界に誇る2Lターボの4WD。ハイハイ無理無理。スミマセンスミマセン。
ちょうど微妙に上り坂で、しかも左の走行車線にクルマが2台連なっている。 まずはこの2台を抜かなければ。上り坂で140km→150kmの追い出し加速はイストに堪える…。 苛立つランエボ様は、右へ左へと、俺のサイドミラーに己の姿を映す。 イスト君は、いつもより3オクターブぐらい高い声で鳴きながら、 ノロノロ(といっても130〜140km/h)と走る隣の2台を抜き、左によけてランエボ様に車線をお譲りした。
まるで、今年のダービー馬・ディープインパクトが最終コーナーを回り、 直線で武豊がムチを入れた瞬間…、そんな感じであった。 押さえ付けられて苛立っていたランエボ様は、一気にアドレナリンを解き放つ。
ウ"ゥゥォォォォオオオオオオンプシューーッ! ンウ"ォォォォオオオオ…
140km/hからの追い出しにも関わらず、ものすごい加速を見せるランエボ。 さすがにトルクが違う。一瞬にして過ぎ去っていく赤い車体。 中を覗いて、どんな奴が運転しているのか確認しようとしたが、 ほとんど横一線の赤い残像しか目に映らなかった。一体何km/h出してんだ? 前方に目を凝らすと、赤いのが瞬時に左へ映り、 すぐさま右に切り込んでいく姿を確認して最後、見えなくなった。
微妙に呼吸音が荒い。まるで嬲るようなレイプを受けた後のようだ。 横でお嬢(=ウチのミニチュアダックス♀1歳2ヶ月)がキョトンとしてる。 その時かかった曲が、アルバム『ケツノポリス4』より『ドライブ』。
その後は犬と楽しくドライブドライブ!ってな感じで、呼吸を整えた。 沼津〜富士と走り抜けると、左には海が見えてきた。爽快である。 清水ICの手前に「由比」というPAがある。海沿いの気持ちいいPAだ。 海を見ながら休憩とばかり左の側道に入る。まばらにクルマが止まっていた。
ふと、前方に目を奪われた。 御殿場でブチ抜かれた、あの「赤い悪魔」が停まっていたのだ。 テールトゥノーズの時、車内のあらゆるミラーに映し出されていたので、 ナンバーも覚えている。間違いなく「奴」だ。
俺は赤いランエボの隣にクルマを停めた。キーを抜き、犬を連れて降りる。 あたりを見回すが、「それ」らしき人はいない。子供連れの家族、 若いカップルが2〜3組、老人とその息子のような二人連れ、少年野球チーム、 中年のパック旅行軍団、中年カップル、・・・といったところか。
「まあいいか…」と、特に気にせず、俺と犬は海沿いのテラスのような 場所まで歩き、思いっきり背伸びをして固くなった身体をほぐした。 お嬢はテンションが高く、リードを千切らんばかりに飛び跳ねている。 オジサン・オバサン達に「あらやだっ、かわいいわねー」と云われ、 いつものように興奮しながら歩伏前進していくお嬢。 子供達に抱かれたり、くしゃくしゃされたりするお嬢。
近くにいたお婆さんが近づき「あ〜〜小さいわね〜おチビちゃん〜」と お嬢を抱き寄せる。尻尾が全開でスイングしている。 隣にいた中年の男性が、「どうもウチの母がスミマセン…」と頭を下げた。 「いえいえ構わないですよ!。ウチの犬はスキンシップが大好きなんで」 俺は答えた。お婆さんは歳は70歳ぐらいだろうか? 顔にしわをいっぱいに寄せながら、満面の笑みでウチのお嬢を撫でていた。 「この仔まだ赤ちゃんなの?」お婆さんが訊いた。 「いえいえ、もう1歳2ヶ月」ですよ。 「え?そうかい、1歳ってもう大人でしょ?いいねえ小さいままで〜」 お婆さんはとても犬好きのようであった。俺も自然と顔がほころぶ。
「それじゃ〜お前、失礼しようかね」お婆さんが息子に向かっていった。 「どうも、ありがとう」「それでは失礼します」二人は礼をいった。 お婆さんの後を息子がついて歩いていく。俺は思わず目で追ってしまった…
その二人が歩いていった先は、なんと赤いランエボだった。
「見つけた!あの人だったか!、見かけによらない運転するんだな〜〜、 しかもお婆さん連れてるのに、アブナいじゃんか…」
そんな感想を抱こうとした矢先、信じられない光景に顔を打たれた。 ドライバーだろうと思った息子の方が、ナビ席側に歩いていくではないか!
「え?、ウソっ?!、まさか…」
赤いランエボの運転席に座ったのは お婆さんの方だった。
俺は思わず再び駆け寄って、お婆さんに訊いてしまった。
「お婆さん!、お婆さんがずっとこれ、運転してたの?!」 「ええそうよ、どうして?」 「息子さんは運転しないんですか?」 「あ〜僕ね、昔怪我して右手首から上が動かないんですよ」
俺はちょっと絶句してしまった。お婆さんがコレを運転してた事と、 息子さんの怪我の事と…。ふとお婆さんに訊かれた。
「あら、あなたのクルマ、その隣の黒いやつかしら?」 「え、ええ」 「クリアのリアランプで覚えているわよ。さっきはご免なさいね」 「え、ええ、全然いいんです」 「じゃ失礼しますね。子犬ちゃん、大事にしてくださいね」 「あ、はい…」
お婆さんは、マニュアルシフトをガコガコっと動かして1速に入れた。
「じゃあね」「はい…失礼します!」
ウ"ゥゥォォォォオオオオオオンプシューーッ! ンウ"ォォォォオオオオ…
お婆さんは、駐車スペースから左へステアを切り、 少々テールが流れ気味に側道のストレートへ出て加速していった。 呆然と見送る俺と犬…。
あれは「赤い悪魔」ではなく「赤い魔女」だ…
俺はしみじみ思った。
クルマへ乗り込み、キーを差す。 犬は水を飲んだ後、多少つかれたのか、ペタっとして寝てしまった。 コンソールパネルにはナビが起動すると同時にラジオが流れて来た。 その時かかっていた曲は知らない曲であったが、 さっきから俺の頭の中でずっと流れているのは、何故だか知らんが、 シンディ・ローパーの『Girls Just Want To Have Fun』だった。
050807 taichi
【追記】 おたよりメールにて、「すげ〜婆さんだ〜」「かっこいい〜」などの感想を頂戴しましたが、 その中で「エボの何?」「クラッチ大丈夫なのか?」「実際の歳は聞いてる?」という質問がありました。 実はクラッチはお婆さんに聞いてまして、「昔から運転してるから大丈夫よ」と云ってました。 確か結構クラッチ重いんですよね?。未だに「ありえねー」と思っているんですが・・・ 70近くに見えたんですが、運転席に座ってる姿は60前後か50代に見えなくもないって 感じでしたよ。オーラのせいですかね?しかし、ビックリしすぎたし恐れ多かったし、 とても実際の歳は聞けませんでした・・・。 息子さんも以前は運転してたみたいですね。 エボ何代目か?は、詳しくないので外観での見分けは自信ないです。最新ではなかったと思います。
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- 2005年08月04日(木)
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- ついに iTunes Music Store Japan がオープン!!
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先月27日、アップルコンピュータ(株)から プレス関係者に対して、1通のメールが送られていたという。
タイトル(Subject)は “アップルからのスペシャルイベントのご案内” というものだったそうだ。画像ベースのInvitation(招待状)であり、 詳しい時刻や場所は明らかにできないが、画像ではiPodを手にしたシルエットが
「Summer in Tokyo is about to get even hotter. (真夏の東京が、今まさにもっと暑く(熱く)なろうとしている)」
と叫んでいるものだったとのこと。
そして今日、8月4日、 スペシャルニュースってのは、やっぱりこれだったか−−−−!!!
アップルのオンラインミュージックストア 「iTunes Music Store」が日本でも開始!!
8/4 ITmedia記事「アップル、iTMSを日本で開始」
アップルHP内のiTMSページ
8/4付 日経新聞掲載のプレスリリース
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本日午前、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれた発表会には Apple Computer CEOのスティーブ・ジョブズ氏が登場。 「アップルは日本を愛している」とのメッセージとともに 「iTunes Music Storeによって、日本で全く新しいデジタル音楽生活が始まる」 と大々的なプレゼンテーションを行った。
さっそくiTuneを開き、「ミュージックストア」をクリックしたら、 でましたよ、iTMSの画面がっ!!日本のアーティストが出てますよっ!! 今まで、海外版の画面しか出てなくて、とても歯がゆかっただけに、 ちょっと感動です!
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さて、その中身ですが、まずは気になる参加レーベルは、 大手どころでは、ソニーミュージックエンタテイメントが 参加を見合わせていると記事では報じられていた。 iPod対ウォークマンの火花が今だに激しく散っている。
そして先月に発表があったとおり「エイベックソ」が参加。
エイベックソは、CCCDをいち早く発表するなど、 音楽のPC違法コピーを一番苦々しく思っていたレーベルであり、 音楽配信こそが、失われたCDの売上をヘッジするとともに、 音楽業界で生き残るための必要なビジネスモデルだと考えている。
iTMS日本開始にあたり、アップルの本命はエイベクソだったらしい。 7月参加決定⇒8月開始という経緯から見ても、 間違いなく、iTMS―JのGOサインは、 エイベクソ参加を待っていたものと思われる。
ハラ的にはどうでもいいレーベルだが、アップルにとって、 日本の音楽ビジネスの成功には欠かせないレーベルであったのだろう。
料金や楽曲数について内容をみると、楽曲数は約100万曲! 楽曲の料金は、90%が1曲150円、残りの10%が1曲200円となる。 CDに回数の制限なくコピーできる点が大きな特徴。
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さて、今や音楽配信サービスは戦国時代、 2005年は音楽配信元年とまで云われている。 どこも昨年のiTMSの海外での大成功を受けて、 日本で開始される前に、大急ぎで参入してきたのだ。
現在、音楽配信サービスに参入している企業はかなりの数がある。 主なところでも下記の通り。
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■MusicDrop レーベルゲートのWindows Media Player 10専用の音楽配信サービス。 エイベックス、ソニー・ミュージックエンタテインメント、東芝EMI、 ビクターエンタテインメントなど16社が参加を表明。 楽曲数は約8万曲まで取り揃える予定。携帯用音楽プレーヤーに3回まで転送可能。 料金:1曲158円〜367円/配信形式:WMA
■Mora moraは、レーベルゲートが2004年4月に開始した音楽配信サービス。 ソニーの提唱する著作権保護技術OpenMGを採用、ソニー製品ユーザー向け。 音楽ダウンロードや再生にはソニーのプレーヤーソフト「MAGIQLIP2」を用いる。 大手レーベル15社が参加し、楽曲数は約10万曲 料金:1曲210〜270円程度/配信形式:ATRAC3
■@MUSIC エイベックスの音楽配信サービス。ATRAC3対応のプレーヤー対応の「LabelGateMQ方式」と Windows Media Playerユーザー向けの「WMA方式」を用意。 料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3、WMA
■Yahoo! ミュージックダウンロード ポータルサイト最王手のヤフーが、音楽配信サービス「Mora(モーラ)」を擁する レーベルゲートと提携して、今年2月に開始した音楽配信サービス。 国内の39ものレーベルが参加しているのが特徴。 楽曲数:7.3万曲/料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3
■ORICON STYLE オリコンが3月23日より開始た音楽配信サービス。 オリコンによるセールスランキング情報「オリコンランキング」と連動した楽曲配信を行なう。 楽曲を提供する企業は、社団法人日本レコード協会の正会員社18社を含む50社。 オーディオプレーヤーへの転送回数は1回〜無制限。 楽曲数:10.5万曲 料金:1曲157円〜315円/配信形式:WMA、ATRAC3
■MSNミュージック マイクロソフトがWindows Media Player 10の発表と共に開始したサービス。 東芝EMI、ワーナーミュージック・ジャパンなど10社の音楽レーベルが参加。 楽曲数:10万曲/料金:1曲158〜367円/配信形式:WMA
■Excite Music Store 大手ポータルサイトのエキサイトの音楽配信サービス。 レーベル5社から楽曲提供。携帯用音楽プレーヤーへの楽曲転送が可能。 楽曲数:11万曲/料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
■OCN MUSIC STORE NTTコミュニケーションズが運営するISP「OCN」の会員を対象としたサービス。 Windows Media DRM対応の携帯音楽プレーヤーに転送しての楽曲再生も可能。 なお、一旦ダウンロードした楽曲を他のPCに移し替えての再生はできない。 料金:1曲210円程度/配信形式:WMA
■Listen Music Store 米国Listen.comやトランスコスモスなどが出資のリッスンジャパンが運営する Windows Media Player対象の音楽配信サービス。携帯用音楽プレーヤーへの転送は3回まで。 料金:1曲210〜270円程度/配信形式:WMA
■OnGen USEN MUSIC SERVER 昨年エイベックスの筆頭株主となった有線ブロードネットワークス(USEN)の 音楽配信サービス。携帯用音楽プレーヤーへの転送は3回まで。 料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
■na@h! ビクターエンタテインメントによる音楽配信サービス。 配信形式はATRAC3とWMAの両方に対応している点が特長。 料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3、WMA
■music.co.jp 携帯電話向けコンテンツ事業などを幅広く手がけるMTIの100%子会社 ミュージック・シーオー・ジェーピーによる音楽配信サービス。 ラインナップには70年代の歌謡曲など、CDでの入手が比較的難しい作品が多い。 WMA形式の場合、楽曲をダウンロードすると別のPCへの転送不可。 料金:1曲210円程度/配信形式:WMA、MP3
■bitmusic ソニーミュージックの手がける音楽配信サイト。 PC向けのプレーヤーソフト「MAGIQLIP2」を使って、ATRAC3方式の音楽を ダウンロード・再生可能。Net MDやネットワークウォークマンへの転送は3回まで。 買い換えたPCに転送する機能あり。新譜はCD発売日の正午から購入可能。 料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3
■LOVEMUSIC BIGLOBE会員向けの音楽配信サービス。おもに東芝EMIレーベルの楽曲を取り扱う。 楽曲数は約10万曲をラインナップする計画だ。 料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
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iTMSにとって、日本国内最大の敵は 「Yahoo!ミュージックストア」であろう。 何と云っても国内39レーベルが参加している。 掲載されているダウンロードランキングは、ほぼCD売上の新譜ランキングと遜色ない。 iPod派であっても、最も気になるサービスだ。 ただし、Yahoo!ミュージックストアの配信形式は「ATRAC3」という ソニー対応のものを採用している。なぜならば、Yahoo!が提携した配信サービスは、 ソニーユーザー向けの音楽配信サービス「mora」だからだ。 ソニーはヤフーと組んでアップルのiTMSに対抗しているようなものである。
今後怖いのは「ORICON STYLE」。 こちらは国内50レーベルが参加。ほぼ全てのCDが購入可能。 オリコンといえばランキングの業界基準とされているブランド。 そのランキングと連動してダウンロードが出来るのだ。 今年始めにサービスを開始したが不具合があり、スタートでつまずいたのが痛い。 こういうきっかけで、ユーザーは離れてしまうもの。 しかし、音楽業界では最強のブランドであり、ほぼ全レーベルが参加しているのは 他にはない唯一無二の特徴であるので、今後成長していく可能性はある。
エイベックスも「@music」というダウンロードサービスを開始したが、 そもそも、いちレーベルなので、自社の音楽配信サービスそのものは 購入チャネルを広げる一つの手段でしかないはず。Yahooだろうが、 iTuneだろうが、どんどんチャネルが増えていくことを望んでいるはず。
さて、大手レーベルでは唯一iTMSに参入していない ソニーミュージックエンタテイメントであるが、一レーベルとして 音楽配信サービスを考えるならば、参加したっていいのだが、 SMEは一レーベルである以上に、ソニー本体とのつながりが深い。
そう、皆さん御存知の通り、ソニー自社規格「ATRAC3」の普及と ソニーのウォークマンがある以上、iTMS参加に前向きになれないのだ。 ちなみにiTunesは「ATRAC3」を採用していない。
ソニーはいつまでこの規格にこだわるのだろうか? Yahoo!ミュージックストアを「ATRAC3」だけにして、 今年スタートさせたのは、Yahoo!の集客力を利用し、 iTMS日本開始の前になるべく囲い込もうとしていたのだろう。
ソニーとアップルの戦いはまだ続く。
もうひとつ、再びアップルに仕掛けてきたのがマイクロソフトだ。 「MSNミュージック」というサービスを 今年開始して、音楽配信を舞台に再び合いまみえる。 今のところ競合として、これといってメリットがないが、 あの会社のことだから何かしかけてくるに違いない。
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こうして、競合サービスと比べてみて 明らかなiTMS−Jのメリットは・・・
1.料金は最も安い 1曲150円(90%)〜200円(10%) (買いたい新譜は上記の10%の方に入るのであろう・・・)
2.楽曲数が圧倒的に多い 100万曲!(買いたい楽曲はごく一部だと思うが・・・)
3.iTunesの使い勝手 これ一つで購入〜ダウンロード〜視聴〜CDコピーが出来る。 そしてなんと云ってもiPodとの連動性。 (他は購入サイトと視聴ソフトが別々)
今日のiTMSの料金150円という発表が、 各社に余波を与えている。
オリコンでは、本日iTMSの発表と同時に、 料金を同額の150円に値下げしたとのこと。やはりオリコンが今後怖い存在である。 おそらく他の各社も追随値下げするであろう。
したがって、価格的なメリットはすぐに無くなるはず。 今のところ、iTuneの操作性だけが他社の追随を許さないメリットだ。
しかしながら、とても致命的な問題がある。
実際に邦楽アーティスト名を見たが、 今まさに旬のアーティストや 大御所のアーティストがほとんどいない。 これでは邦楽ファンは物足りないのではないか?
BENNIE Kはどうした? ケツメイシはどうした! D−51とか、BUMP OF CHICKENとか、その他もろもろどうした!
ミスチルはサザンはどうなってる? GLAYもラルクは
おい! iTMS最新ダウンロードトップ10に大塚愛が3曲も入っているが、 正直、大塚愛なんていらん!(←っていうのは個人的な趣味だが)
ちなみに、東芝EMIとは提携してるので、 宇多田ヒカル、椎名林檎、矢井田瞳のEMIビッグ3はありました。 あとスピッツもいました。とりあえず、ほっとするハラでした。 洋楽は特に問題はありません。
国内レーベル15社と提携と発表していたが、一体どこと提携したのか? 実は大手どころは、エイベクソと東芝EMIだけじゃないのか? だから、提携15社名をリリースでも公表してないんでしょ〜?
このままじゃ邦楽は他に比べて見劣りするのでは? 邦楽曲買いたいと思ったら、今のところここには来ない。 洋楽ファンもかなりの数だが、それでも邦楽売上には及ばない。 日本で業界基準サービスをめざすなら、フルで邦楽揃えておくべきと思う。 洋楽邦楽もレーベルも関係なく、iTMSには業界標準サービスとなってほしいのだ。
ま〜邦楽でも洋楽でも、知らない曲を幾らでも手軽に聴けて、 思わぬ掘り出し物を廉価で手に入れられる愉しみは他よりあるかな。 100万曲だしね。
とにかく今後は、参加レーベルを増やすことが必須!! 特にSMEを始め、少なくともYahoo!と同じぐらいのレーベル数が必要。
ちなみに、もしアップルが今後iTMSに「ATRAC3」規格も採用した場合、 SMEがどう出るのか?iTMSに参加するのか?SMEの動きには注目。
あと、競合と明確に差別化するにはインディーズレーベルの参加も必要だろう。
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あと、こんな話がある。
携帯電話メーカーの大手、Motorolaが、 66日以内に「iTuneケイタイ」を発表し、出荷するとのこと。 スティーブ・ジョブズCEOからお願いされているらしいのだ。 日本ではどうなのだろう?出さないのかな?
携帯も次世代開発に突入して、「着うた」よりさらに進化して 楽曲をフルダウンロードできるようになるらしい。
そうすれば、「ケイタイ」という言葉はもはや、 「携帯電話」だけを差すものではなく、 「電話&音楽&ネットの携帯端末」を差すようになる。
「iPod」はいずれ、「iTuneケイタイ」へと変わっていくのか・・・?。
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ま〜色々気になることはあるが、 本日発表されたばかりのこの「iTune Music Store」 とりあえず何か1曲、買ってみようっと。
0050804 taichi
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- 2005年08月01日(月)
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- 世界水泳終了…改めて知る北島の才能。
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世界水泳が終わった。
日本勢は、金メダルこそなかったものの、 水泳ニッポンとして、アテネと同レベルの結果を維持したのではないか? 一時期、男子は全く歯が立たなかった時期もあったが、 現在は男子も女子も、それぞれメダル争いが出来る選手が何人もいる。 北京に向けて、アテネ以上にいい陣容になってきてるのではないか。
今大会で一番印象に残ったといえば、 やはり、エース北島。
========================== 男子100メートル平泳ぎ 7月25日 ▽決勝 (1)ブレンダン・ハンセン(米国) 59:37=大会新 (2)北島康介(日本コカ・コーラ) 59:53=日本新 (3)デュボス(フランス) 1:00:20 ==========================
彼のスゴさを改めて思い知らされた。本当に日本人離れしている。 何が日本人離れかというと、泳ぎの才能でも、記録そのものでもない。
大舞台での勝負根性である。
※2年前にも語っています。 ========================== 2003年07月27日(日) 世界新樹立!北島康介の商品価値は? ==========================
世界レベル記録をたまたま出したが、世界舞台で飲まれてしまう。 フロックで金メダルをとったが、その後燃え尽きてしまう。 日本でなら世界レベルの強さを発揮するが、世界だと日本レベルになってしまう。 努力・根性という才能は世界レベルだが、悲しいかな肉体的才能が無かった。
こういうアスリートが、典型的な日本人のイメージだったろう。 そういう姿を、オリンピックでイヤという程見て来た。
そういうイメージを 根底から裏切ってくれたのが北島なのだ。
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肉体的才能と精神的才能…。
この2つの世界レベルの才能を持つ日本人アスリートはいなかった。 これらを両方とも世界トップレベルで有する日本人アスリートは、 北島康介の他には、スケートの清水宏保ぐらいしかいないのではないか?
平泳ぎを泳ぐために生まれたといわれる、 柔らかい関節としなやかでかつ強靭な筋力の絶妙なバランス。 この肉体的才能以上に、今回改めて思い知らされたのが、 もう一つの世界レベルの才能…「大舞台での勝負根性」だ。
単なる「努力」「根性」なら、日本人は基本的に負けない。 ただし、それがアスリートになればなるほど「ストイック」なのだ。 「自分との戦い」で自分を苛め抜く才能は世界レベルなのだが、 苛め抜いて世界の舞台に立った時、彼らの興味は終わっているのだ。 相手と戦う根性が足らない、というか「燃えてない」ように見える。 日本人アスリートの精神的才能は、ストイックな方向へ向かってしまう。
だが、北島は違う。大舞台になればなるほど、強い相手がいるほど 根性を発揮し、才能をMAXに解き放てる精神的才能を持っているのだ。
北島は、タイプ的におそらく感覚派であろう。別の云い方をすれば天才肌。 肉体的にも精神的にも、一度自分の感覚を見失うと手がつけられない。 だが、一度感覚を取り戻すと、これまた手がつけられないのだ。
そういう意味では、北島は目標の設定と追い込み方が上手いのだろう。 北島自身も上手いのだろうが、それ以上に、 コーチの平井氏の手腕によるところが大きいと思う。 アテネでも実感したが、今回の選手権を見て、 平井コーチのコーチング技術が如何に素晴らしいかを感じた。
つまり、肉体的にも精神的にも天才的な感覚を持っている北島には、 目標の設定とモチベーション管理だけが必要なのだ。それが、 コーチング技術で一番難しい。天才肌の選手の場合は特にそうである。 平井コーチ無くして、北島康介は有り得ないだろう。
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4月の水泳日本選手権では、1年前のアテネ時の影も無かった。 100mでは優勝したものの、1分0秒89という 自己ベストより約1秒遅いタイム。 そして得意種目の200メートルで2分13秒26という、 自己ベストより約4秒も遅いタイムで、なんと3位に敗れ、 世界水泳の出場資格を失ってしまった。
いくら平井コーチでも、記録が悪い事は想定してても、 200mの出場資格を失う事態は想定外であったろう。
さらには世界水泳1ヶ月前の調整レース、 6月の米ミッションビエホ国際でも今村に敗れて2位となった。 このニュースを見た時、さすがに誰もが
「北島は終わってしまったのでは…」
と思ったはず。 そう、金メダルや世界記録を獲ったアスリートに起こると云われる、 「燃え尽き症候群」か?…、あの北島が?!…と。 (他の例で云えば里谷多英とか)
そもそも「燃え尽き症候群」というのは、 ストイックで小さな島国であるニッポンならではの話かもしれない。 世界レベルが標準化されていないため、世界レベルの活躍をした時に、 そういう土壌が無い分だけ、達成感でイキっ放し状態になるのだ。 スポーツ大国ならば、国内に世界レベルがウヨウヨしてるので、 世界的な目標達成したところで、ウカウカしていられない。
やはり北島は、「燃え尽き症候群」などとは無縁であった。 そんなものに犯されて、二度と戻れなくなるようなタマではなかった。
今回終わって聞くに、日本選手権や米での調整レースの不振は、 はっきりとした理由があった。昨年のアテネ金の後、様々な行事出席や、 大学の卒論、大学院の試験や、スポンサー契約の手続など、 多忙を極めて慢性的な練習不足となっていた上に、 本格的な強化を図る3月からのアリゾナ合宿で、初日から風邪を引き、 十分なスタミナ強化を出来なかったらしい。(=これが200mの敗戦に繋がる)
出場資格の喪失以外は、起こるべくして起こった結果であり、 決して「燃え尽き」てはいない。メダルや記録よりも相手がいれば燃える。 それを肉体にシンクロさせることが出来るのが北島なのだ。
そして結局、そんな急場しのぎにもかかわらず、 肉体&マインドとも世界レベルに仕上げてくるから恐ろしい。 敗れた!…っていっても日本記録なわけですよ!自己ベストですよ。 十〜分すげえよ。ちゃんとトレーニングしてたらどうなったの?みたいな。 そういうのはまた、北京までとっておきますか?みたいな。
「急場しのぎの調整では限界がある。 世界で勝つにはシーズンを通して練習を積まないとダメ」 と、平井伯昌コーチの反省の弁。
「最後の5メートルで焦った。悔しいけど、自己ベストを更新できたし、 次につながる泳ぎはできた。北京五輪に向けた1年目としては二重丸でしょう」 と、北島選手の納得のコメント。
おそらく一番喜んでいるのが、宿敵のハンセンだったりするでしょう。 実際の話、優勝してウルウルと感無量だったらしいじゃないですか。
世界水泳前の北島の絶不調を彼も知っていただろう。 6月のミッションビエホ国際レースでは 実際に生で、その不調ぶりを見ていたかもしれない。 そんな北島の姿に、彼はとても複雑であったろう。
なんてったってハンセンは、昨年のアテネのあまりの悔しさに、 すぐに標準を今年の世界水泳に切り替え、五輪直後の9月から、 北島への雪辱を誓ってトレーニングを積んで来たのだ。
そんな中、倒すべきライバルが、まるで目標を見失い さまよっているかのような泳ぎを直前まで見せていたのだから、 彼の心中はとてもやりきれないものだったろう。
そしてご存知の通り、平泳ぎ最初のレースの100m予選で、 いきなり59秒台でトップに立った北島から強烈なビンタを喰らう。 拍子抜けしていたハンセンは目が覚めたはず。 「やっぱ北島だ。そうこなくっちゃ」と思っただろう。 誰を負かすためのトレーニングを昨年以降やってきたかを、 モントリオールの会場で改めて思い出したであろう。 優勝して喜びを噛み締めたハンセンだが、北島のことを 「負けて強し、絶対にあなどれん」という印象を強くしたに違いない。
「海を挟んではいるが、北島は互いに刺激し合えるライバル。 彼がいるから僕もやる気になれる」 とハンセンの試合後のコメント。
「彼の世界記録(59秒30)を破る力はついていると思う。 今度はボクがリベンジする」 という北島のコメント。
こう言い切るところが、日本人離れしているのだ。
コメントが世界的。天才アスリートは、 自ら言い切って己を洗脳していくのだろう。
来年、そして北京で、
彼はきっと、 言い切った自分の姿を 遥か追い越していることだろう…。
050801 taichi
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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