カミチィのバス乗務日記
カミチィ
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2007年05月15日(火) ■ |
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春日線 |
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カミチィは月の浦営業所始発春日経由春日原駅行きを運行中のお話です。 始発から4つめの『月の浦県営住宅前』停留所。 ベンチに超!超!超!高齢のおばあちゃんがベンチに座っています。 ここは歩道が広くて、安全のためか車道から奥の方の歩道のスミにベンチが設置してあり、 車道までは3〜4メートルぐらい離れています。
おばあちゃんには荷物があって、地面においてあります。 バスがやってきたのを見てその荷物をおばあちゃんは持ち上げていますねぇ。 なのできっとカミチィ号に乗車ですね、これは。
で、停留所でそのおばあちゃんの真正面に乗車口を合わせて停車させました。 でもなかなかおばあちゃん立ち上がりません。 荷物を手に取っているので乗る意思はあるようですが、 体が思うように動かないようです。
20秒ぐらいしてやっと立ち上がりました。 そしてその3〜4メートルを20秒ぐらいかけて杖をつきながら、 トボトボ歩いてバスの乗車口に辿り着きました。
カミチィ的にはバスを歩道に極限まで近づけて停車させたのですが、 おばあちゃんのその歩幅では一度車道に降りてからでないと、 乗車口に足が届きません。
で、車道に降りたのですが、 ノンステップバスではないので高さが少しあり、 そのおばあちゃん一生懸命足をあげて乗ろうとしたその瞬間、 真後ろに転倒されてしまいました。 ひとりバックドロップ状態?
カミチィはバックミラーを見つめながら、 ちゃんと無事に乗ってくれるかな・・と、 心配していた矢先の転倒だったので、 カミチィは驚き制帽をとり、シートベルトをはずして立ち上がり そのおばあちゃんのところに行きました。
たまたまそのひとつ前のバス停から若いオネエサンがご乗車でしたが、 その人は正面の乗車口から一番近い座席におかけでしたので、 転んだのを見て心配してそのかたもすぐおばあちゃんのところに行かれました。
なのでカミチィとそのオネエサンと協力しておばあちゃんを抱きかかえて、 で、、どうやってバスに乗せようかと考えまして、 カミチィは最後、おばあちゃんをおんぶしてバスに乗せました。
「どこの席がいいですか?」と尋ねると、 前のほうがいい。。とおっしゃるので、 前のほうのできる限り座席の高さが低いのを選んでそこに座ってもらいました。
「いやぁ〜、わたしはもう90だから情けないね・・ 1人でバスにも乗れないなんて・・ もう、あたしゃ死んだほうがいいよね・・」と仰っています。
ちなにみこれはコテコテの九州弁で言われてました。
さらにちなみにコレを九州弁に翻訳すると、
「いやぁ〜、あたし、もう90になるとばってんもう情けんなか〜・・ 1人でバスにも乗れんちゃけん・・ もう、あたしゃ死んだほうがよかタイ・・」
と、カミチィに言ってるのか、 そのオネエサンに言っているのかわかりませんが、
その後に続けて、
「この先の○○病院に行くとばってんどこで降りたらよかですか?」と。
これはカミチィに言ってるんだよね?
「この先の信号のところの角にある病院」とおっしゃったので、 あー、あそこのことだ!と、思い、
「それなら畑が坂(はたがさか)っていうバス停で降りてくださいね。」と。 ちなみに県営住宅停留所から3つ目のところです。
で、途中のバス停は通過して、 順調に走りその病院のところの交差点で信号停車。 ここは感応式信号でタイミングが悪いと青までけっこうな時間かかります。
おばあちゃん、ここでなんと立ち上がり前に移動し始めます。
カミチィ思わず叫びました!
「おばあちゃん、ダメよ!座ってて!転んだら怪我するよ!」 「ゆっくり降りていいですから座ってて!」と。。半分怒っちゃったよ。 でもホント危ないんだもん! 転んだら骨折物です。 車内事故発生!になっちゃいます。 カミチィの免許証にキズが入るし昇進にも影響するし、 基本給ランクも下がってしまいます。 もっともおばあちゃんがそんなことまで考えているはずはありませんが、 自分のことではなく運転士のことも考えて欲しいぞ! でもなぁ〜、そんなこと微塵も考えるわけないよな〜(~o~) ってか骨折ですめばいいけどあなたは90歳なんでしょ? 転んで死んだらどうすんのよー?
それにしてもおばあちゃん耳が聞こえないのか、 カミチィの言葉を無視して前に歩いてきます。 ヨボヨボなのに杖を突いて、 這いつくばるように手すりから手すりに移動しながら・・・。。
もーー、そんなに頑張らなくてもいいのよっ! 赤信号なのでまだ大丈夫ですがバス停と勘違いしているのか、 降車口のドアを自分で開けようとしています。 「ドア開かないよっ!」だって。 開くわけないよ、おばあちゃん!
こりゃ、おばあちゃんかなりボケてるな。。(^_^;)
「バス停はもう少し先だからお願いだから座ってて!」と少し厳しく言いましたが、
やっぱり耳が遠いようですね。何の反応もありません。
で、赤信号中だったので、 カミチィまた立ち上がって、 おばあちゃんをそっとつかんでイスに座らせようとしましたが、 おばあちゃん90歳のくせに力があります。
それにかなり重たいのよ〜!
一番前のイスに座らせようとしたけど、 そこはバスの前輪がある位置で座席がかなり高くておばあちゃんには座れません。 なので応急処置で床に座ってもらいました。 その後タイミングよく?信号が青になり、 なんとか後続車両に迷惑をかけずに信号を通過しました。
信号を左折すると「畑が坂」停留所です。
また「おんぶしましょうか?」と言うと、
「自分で降りますよ。。」だってさ。。ふぅ。。
やっぱおばあちゃんなりに他人に迷惑をかけたくないと思うんだろうし、 自分だけでできるんだ(やるんだ)っていうプライドもあるだろうし・・・
カミチィはおばあちゃんの意思を尊重して自力で降りてもらうことにしました。
カミチィは中ドア(乗車口)を開けて、 そこから降りて前ドアでおばあちゃんを待ちぶせして 非常時のためにおばあちゃんに軽く手を添えて動向をじぃ〜っと見ていました。 おばあちゃんは杖をついてましたが前につんのめりそうで、 カミチィはハラハラドキドキでした。
でもこちらも本人が望む以上に手を出すわけにはいきませんから、 息をのみながら状況を見つめていました。 なんとか無事に降りていただきまして、 カミチィ一安心でした。 ふぅ〜、今日は居残り残業付乗番なのに、 まだあと何本も運転するのにすでにくったくただよう(~_~)
このおばあちゃんの乗降だけでなんと5分間時間を費やしました。 つまり出発して間もないところなのにすでに定刻5分遅れです。 別にバスが何分遅れようがどうでもいいことなんですが、 カミチィには疑問が沸きました。
バスは通勤通学の足、 また高齢者や身障者のかたにはなくてはならない乗り物ですが、 90歳の超高齢のおばあちゃんにとってはバスが安全な便利な乗り物なのか疑問です。 それにバスはバス停にしか停まれないという融通の利かない短所があります。 90歳の高齢者にとってはバスよりもタクシーのほうがはるかに便利な気がします。 もっともタクシーは料金が正直のところ高いしいくらになるんだろう? と気が気じゃありませんが(その点バスは運賃が安いからいいですよね!) ある程度の老人まではバスは便利でしょうが、 さすがに90歳、100歳だとステップの段差が大きくて、 乗降が大変だと思いました。 運転士だって運転にも集中しないといけないし、 高齢のおばあちゃんに気を配ることはできても、 実際に安全を確保していただくのは本人自身です。 だから運転士はたくさん気を揉んであげて心配してあげることはできても、 結局はお客様本人自身で自分を守ってもらわなくてはいけません。 それがバス。
運転士には乗客を守る義務がありますが正直それははかないのです。 どうしてもの時はバスの走行を中断しない限りそれ以上のことはできませんから。 運転士ができるのは精一杯の気配りをしてあげることだけです。
それにしても時間の経過とともにどんどん老いていくのは避けられないことだし、 いつかは今日のおばあちゃんのような状態にカミチィもなるわけだし、 (そこまで生きていればね・・) 2週間前、100歳になったカミチィのおばあちゃんも亡くなった。 ある意味人間ははかないと思ってしまったよ・・・。。\(^o^)/
って、カミチィ最近老け込んだか〜?
先日、ブログフレンドのKassyさんが自身のブログに またまたカミチィの記事を書いていただきました! Kassyさんありがとう! 「それゆけ!! Kassy号〜♪」
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