ことばとこたまてばこ
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2006年12月16日(土) ふたつは串刺し


現世の狂乱と白き光の刺に貫かれたのは
転がる赤子とそしてただ浮かぶ愛の言葉


2006年12月15日(金) 8月5日

遅い夢は光るか?
 光る。

早い絶望は闇か?
 光る。

聞けぬ音も聞けるまでに
己の内の黄金色の輝きを信ぜよ。


2006年12月14日(木) ヘヴングリーンの君を

寒さに震えて それでも それだから
思う 思う 思う 君を思う
ヘヴングリーンの君 君を思ってる
いつまで それは いつまでも
それは いつまでも間違いなく


2006年12月13日(水) 写真に憑かれし男の望む末路

たとえばの話、
息も絶え絶えに横たわるおれを囲む君たちがいるとする

そしておれのいざという死の間際、

おそらくたぶんでもきっとまちがいなく
狂おしく愛おしい君たちの顔々を
写真に残すために


最期のおれの一枚を
撮るために
残すために


わずかな視力そして一本指だけ
最期までおれのものであるよう



おれは

いまから

とても強く

願っているんだ


2006年12月12日(火) うろんな眼

この眼なにかを凝視しているようでじつのところなにも見ちゃアいないんだ。
だめよ。それって。
凝視しているような格好をきらびやかに彩ることだけは忘れずとも
観ようとしている対象がなんなのか、その正体を考えもしてないとすれば、
だめよ。それってば、とってもだめ。
ほのかに香る君の無知がその眼に現われちゃう。
なにも観ていないのならいさぎよくなんも観ちゃあいないんだと眼を閉じて、
言い切ってしまうほうがとっても格好良いと思うな。
さてはたして君の眼はうろってる? うろうろって感じ?


2006年12月11日(月) 見えなかったから

「やばい!遅刻だ!母ちゃん!ンあんでもっと早く起こしてくんねぇんだよ!」
「起こしたわよ!試験前だというのに昨日夜遅くまでゲームやってたあんたが悪いんでしょ!」
「んなこたぁわかってるよ!もっと強く起こしてくれよ!靴下どこだよ!」
「何言ってんの!何度も何度も布団をはがして起こしたわよ!」
「あーーー、はいはいはいはいはい、話になんねぇや、くそっ」
「そんなこというんだったらもう二度と起こしてやらないからね!ほら、みそ汁だけでも呑んで行きな!」
「いらねぇよ、もう時間ねぇじゃんか、見ればわかるだろ!」
「こらっ、何その言葉!」
「はいはいはいはいはい、ごめんなさいよってに!やっべぇ!」
「まったく、もう・・・」

「あああああ、くそったれ、こんなときに自転車パンクするなんてついてねぇ
駅まであともうちょっとだな、ひー、泣きてぇ!今日の一時間目は・・・くそっ、数学の金田かよ!落としたら留年なのに!今何時だ、あ、あれ、携帯ない、・・・あっ、昨日充電しっぱなしで・・・くっそう!まったくついてねぇ!」

「着いたっ。定期定期・・・。・・・早くしろっ、このポンコツ!あああああ、っんもー!電車は何時だ!・・・ってなんで時間表工事なんかしてんだよ!時間分からねぇじゃねぇか!何時だよ!クソッタレー!」

マモナクイチバンホームニデンシャガマイリマス・・・

「やべぇよ、やべぇよ、あっ、あの〜、すいません、今何時ですか?」

ガタ

「・・・」

ガタッ

「・・・。あの!すいません!今何時なんですか!」

・・・ガタン ガタ・・・

「・・・」

ガタンッゴトッ ガタッ

「なにこいつ、なに無視して漫画なんか読んでやがんだ」

ガタンゴトンガタタタン・・・

「おい、アンタ!何時ですかって聞いてんだよ!」

ガタタタタタンゴトトトトトトン・・・・

「・・・・」

マモナクデンシャガマイリマスハクセンノウチガワニオヨリクダサイ・・・

「てめっ・・!」

どんっ

「あぁ・・あっ!?」

ガタタタタンゴトトトトン ガッ どんっ ぶしっ ガッタン ぐぢゅっぐぢ ガダッダダッ ぢぢぢぢぢゅっ ぐぢょっ ガタッガタガタガタッ ぐぢゅぢゅぢゅぢゅぢぃゅ・・・



血に塗れた車輪
どこまで廻ってゆくの
空が反転するよ
鴉が空からささやいているね
「つまらない、つまらないと思っていた
 あの真っ白でなまめかしい手触りの壷が、
 むしょうに、懐かしく思えてこないか?」



「・・・知らなかったんです。知らなかったんです。知らなかったんです。あの人が・・・あの人が耳の聞こえない人だったなんて、知らなかったんです。知らなかったんです。知らなかったんで・・・・」


2006年12月10日(日) ひょうきんなけだもの 1 『歌姫の混乱』




老婆がささやく。

とてもやわらかに熟れた、
まるで腐っているほど桃色の果実が、
そろそろにはじけてしまいそうだと。

ちらばるあかぐろい果肉は、
影がすべてくらいつくす。
そのとき影が腹をこわしてはならぬのでこれを、
と老婆から正露丸をもらったね、
あのときのわたしは。

高らかに九時を告げるサイレン、
その音があまりにも高らかすぎて、
時の流れがすべてを錆びさせるに等しく、
猫とじゃれあうことすらもためらわれる。

なんだかどうしようもなく、
しずかにしなくてはならない、
しずかにしなくてはならない、
しずかにしなくてはならない、
しずかにしなくてはならない、
しずかにしなくてはならない、



しずかにしなくてはな。



まるっきり、
細かった、
あの、
にく、
ほね、
いき、

それをばわたし、
一度たりとも
殺さなかったといえるだろうか、
はたしてほんとうに。




2006年12月09日(土) ひょうきんなけだもの 2 『牡丹と物質と少女』




あれは明るい夕暮れだった、
あの日の空気は渇いていた、
時計の針は六時をしめし、
重い寺の鐘
ごたたたん ごたたたん ごたたたたたん
はるか果てへと響かせ、
かまいたちの襲来を告げた。

ぐむりぐむりと訪れたもののけが少女の足をすくった夜、
あれから目覚めることを知らぬ少女。


雪の重みにすべての枝がしなる冬の夜、
少女の母親は
酸味にあふるる蜜柑の皮を、
ぶつりと破く。


家庭から湯煙りが立ちのぼる冬の夜、
少女の父親は
冷たく凍えた鼠を、
熱き手で包む。


はっきりと紅い一輪の牡丹を胸に、
ほほえみながら永く眠っている少女。


いつの日か牡丹が溶けて煉獄の業火と化す日、
少女は、
己の内の少女へ向けて子守唄、
歌うことだろう。


2006年12月08日(金) ひょうきんなけだもの 3 『大河の渡し船』




大河のほとりで少女と少年は出逢った。

ふたりはお互いの眼をぢんぢんと見すえる。
ほんのわずかな時間で理解しあったふたり。
言葉もなく同時に笑いあって手をつなぐ。

うそのようだ、と思って。
ゆめのようだ、と思いながら。
ばかのようだ、とも思っていた。


少年とよく似た唇の少女。
「光をもて遊ぶようなことをしちゃだめよ」
と彼女は顔をしかめる。

少女と同じ眼の色の少年。
「だから世界がとても白いね、まるで白いんだよね」
と彼は少し嬉しそうに顔をしかめる。


渡し船に乗ったふたり。
さざ波に揺られるふたりは
まっすぐに投げてくるお互いのまなざしを受けながら
「ああ、こわい。こわいなあ」とおどろいていた。



やがて少女は姿勢をただし、発生練習を始める。
「あ・あぁー、あじぁーうあー、ばうぁー」
なんども、なんども声をならす。


日が暮れ、
月が姿をあらわにした。

少女が唄った。


けして饒舌ではない。
濁り、どもった唄。
幽けしひとことをていねいに積みかさねて、
情感の空白を埋め尽くそうとするような唄。


あたたかくもおそろしい闇に包まれ、
漆黒の水を切りさいて進む舟、
そこで長い髪をなびかせ、
空に唄をなげつけている影、
小柄な影よ、
あなたはだあれ、と少年。






瞬間、ひとことの塊が音楽へと変貌した。

音がうねり渦を巻き、

そして爆発。



少年は極限の清れつな鳥肌を感じた。

これこそ音の波動だ、と感じた。

ああ、たまらない、とも感じた。


水面から蛙がぬくりと顔を覗かせる。魚がはねる。鳥が叫ぶ。
街の光がすべて消える。風が凪ぐ。河が笑う。



ただひとつだけの少女の旋律、
少年はうっとりと聴きいる。


美しいね、
頭上の月をごらんよ、
ごんごんと野蛮なほどに輝いている。





少年の耳に吸い込まれる音楽は、やがて空から降る。




2006年12月07日(木) ひょうきんなけだもの 4 『螺旋階段』




絶望の情感に満ちている少年。
のたら、のったら、のたらり、
深くうなだれるまま、
這いつくばるような歩行。

けれど

少年の後ろを歩んでいる少女は、
以前から気づいていた。

路上に残る少年の十九センチの足跡、
ひとつひとつ、
どうしてか
ふしぎに
目をそむけがたい閃光に満ちていることを。



2006年12月06日(水) ひょうきんなけだもの 5 『ぼくだけ色』




蜜柑色の中にいる少女。
紅梅色を内に秘める少女。
向日葵色と共有している少女。
珊瑚色に光っている少女。
青紫色とからみあう少女。

いろいろいろいろな
色をしている子たちがいるね。


けれどそんな中、
あの女の子。

ひとつの色におさまらない、
あまたの色を内包している
無上の色のあの女の子。


あの子を見つけたぼくの眼と、


まるで虹のように輝くあの子をごらんよ。



ほんとうに

ほんとうに


すてきだろう。


2006年12月05日(火) ひょうきんなけだもの 6 『視界一杯の亀裂』




空高くより小石は落下していく。
とてつもない速度の小石は風を切りさく。


小石の落下地点にはひとりの少年がいた。


そこは別離した彼女と初めて出逢った場所。
心臓を引き裂く悲しみに少年は、
手にメガネをたずさえながら
でたらめな呼吸で赤く顔を染めて
泣いている。


速度を増し続ける小石は空すらも切りさく。
白いまっぴるまの空に
黒い縦一文字の空の傷。


やがて少年は涙に濡れる眼をぬぐう。
きりりと光る涙は服の繊維に黒く染みこんだ。




そして、しっかりとメガネをかけた少年
毅然と空をあおぐ。



すると、とてつもない速度の小石がメガネに直撃。



醜い唸り声を漏らして痛みにのたうちまわる少年。


太陽が目前で輝いているかのごとく、
恐れつつまぶたをゆっくりと開けた。





視界一杯に亀裂が咲き乱れて。




2006年12月04日(月) ひょうきんなけだもの 7 『いのちの潮』




月光が暗黒の海面を雪白へといろどる
ずいぶんに夜も更けた時分、
海岸で父親と少年が
一言も声を発さずにたたずんでいた。

すると海中をかき分けながら泳いでいたクジラが、
巨躯を水面にあらわして、見事な潮吹きをあげた。


その光景を目撃したあまたの生物すべてが、
一生涯忘れえぬほど雄々しい潮吹きだった。


まるで月に届くかと
限りないほど
上昇する潮。

月光を背にかがやき
きらめき
あやうい白青のまばゆさ。



少年は父のしゃれこうべを頭上高くかかげた。

しかし

森羅万象を濡らそうとするように
吹き上がった潮は
少年も、父すらも、
見わたすことができなかった。


少年は潮を全身に浴び、吸って、飲んだ。

やがて鯨は海底へ戻っていった。


ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン


耳朶をふるわせる顫動が少年の奥からわき出でた。

いまや少年の身体は下品なる命の鼓動を始めていた。

ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン ピェン


2006年12月03日(日) ひょうきんなけだもの 8 『ジャングルジムのてっぺんから』




路上に落ちている仮面、
口にあたる穴は無く、
まなこの一文字に細い穴、
やわらかいふくらみにうがたれた鼻の穴、
雪に似た白さに満ちている肌の色。

ジャングルジムのてっぺんから、
積年の孤独をかみしめている
でこぼこなジャガイモに似た
つらがまえの翁が仮面を見つける。

仮面をかむった翁。

或る魚屋の廃棄物から烏賊をもらいうけ、
烏賊の内臓、むらさき色の肉の現実を、
ちゅうちゅうと口無き口にあてがい、
しゃぶる真似事を続けながら
あばらでうずきたつ弾痕を薬指でぬるぬるとさすっている。


しなだれかかる空の紺碧、
もたれかかる壁のおうとつ、
かこいこまれる圧迫の空気。


薄い不現実につつまれるがまま、
声も聞けずに、出せずに、
蕎麦屋ののれんだけが、
はたはたはためき。

それから永くの間、翁は仮面をかむりつづけた。
まことなる人の音を感じるまで。


2006年12月02日(土) ひょうきんなけだもの 9 『ドン! ドン! ドン!』



その村は暴力が吹き乱れていた。

髭もまばらな少年、銃をたずさえて
背をまるめ弾丸の雨の中を走る。


横たわる人々はまるで、
何も映さないひび割れた鏡。
かすかなる呼吸も、
一生懸命の鼓動も、
地が包みこんでいった。



爆撃に右手小指をふきとばされた少年。

飛び込んだ森の中、
飛び込んだ木々の隙間、



そこに赤いワンピースの少女を見つけた。



ちっちゃなおんなのこ、

ちっちゃなおんなのこ、

ちっちゃなおんなのこ、

ちっちゃなおんなのこ、


おそろしくおびえながら、
反射的に少年は少女に笑いかけた。


銃をも反射的に向けながら?



なまあたたかく赤く染まる赤いワンピース。

少女は無垢なる荒野へ旅立たされた。



穢土の戦場を駆け抜けてゆく、

あの鬼、

激しく激しく笑っているのか。

激しく激しく泣いているのか。






「いつの日かできるであろう、
ぼくの家庭。
その時、
妻には甚大な愛をそそごう!
子には最高の愛をあたえよう!
親には深遠の愛をささげよう!」

その夢も壊れ、翁となったかつての少年、
冬の冷たく薄汚れた路上にひとり横たわっている。

その呼吸はかすかであり、
それでも一生懸命の鼓動だった。


その指先には血の名残がにじんでいた。

雪が降って。


「まざまざと血が見えるわ」
悠久の少女の声、今夜もまたひびく。

雪が積もって。


黄金色のあふれるひまわり畑は、
今や美しいかつての戦場。

雪が翁をおおって。


いま翁も無垢なる荒野にたどり着こうとしている。


翁はどんなにも辛抱してきた少女の声へついに応えた。



白い雪の中へ赤い両手をうずめ、深く強く凍えるることによって。



どうしようもない眠気がやってきた。




翁は少年となり、
少女の手をとり、
黄金色のひまわり
畑を


駆け抜けていく。




初めての死は空に浮かびながら

ぷうかり ぷうかり




強い白に中和される赤の、
くるおしくやさしいさくら色の死。









ぷうかり ぷうかり ぷかぷかり





2006年12月01日(金) ひょうきんなけだもの 10完結 『無声の声』



あそこの石像は幾万年前に一度のみ、
空へ面をむけたことがありました。

ああ、あの時、
ああ、あの時、
あの大海原へと沈没するかのように映し出された、
がつがつと輝く太陽がひとつ
石像のまなこのなかに浮かんだその時、
つらつらり や つらつらり
おびただしい朽ち葉が腐った供物にふりそそいだ。

無数の白と黒と茶の花びらが、
はっきり、くっきり、鮮やかに
季節のゆきつく果てへと渦を巻きながら。

またぞろ幾星霜を経て
屍体も不足し始めた年の夕暮れ、
石像の透明な呼吸を聴きつけた
いっぴきの猫。
眼は緑に染まり、毛皮は黒く染まり、
四足の足首から先は白かった、
だが、右足の小指にはえる爪だけが
猫の全身の血がつどったかのような灼熱の赤だった。

カルカルカルカル
石像のほおをひっかく猫、
カルカルカルカル
石像のくちびるをひっかく猫、
カルカルカルカル
ひっかきながら猫はないている。

だれがわたしの髪を愛でてくれるのでしょう
だれがわたしにくちづけを交わしてくれるのでしょう
と猫はかなしんでいる。

石像はつるつるの静寂をたたえたまま

猫の白い腹を見ていた、


ああ、見よ、
幾万年前に一度見た雲よりも白い、


見ろ、



なんと、
じゅんぱくで
なやましい。




石像はいのった、
もういちどだけからだのじゆうを、と。





時の流れは
猫を土くれへと還した。
石像は時の流れの無情なやさしさに
けずってくだかれて
石ころへと還った。


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