2011年11月30日(水) |
いけないと知っていても |
ボクの散歩道は田んぼと川の間にある細いあぜ道なのだ。 田んぼのまわりを川に沿ってぐるっと歩いて帰って来る。
土手はコンクリートだが、ボクはいつも道の横の草が生えた部分を歩く。 土の上の方がずっと気持ちがいいからだ。 この時季になると田んぼのまわりにほとんど花も咲いていないが、まだまだ緑色の草がいっぱいある。 (もちろんチクチクもいっぱいある。)
ボクがお気に入りのスポットは田んぼの縁が少し広くなった草むらなのだが、ここにはノビルがいっぱい生えているので、ボクが入ろうとするとヒモを引っ張られてしまう。 ノビルはネギの仲間だから犬や猫には毒らしいのだ。
今日もボクはダメダメポイントに入ってボスに叱られた。 でもダメと言われるとなおさら入ってみたくなるのが犬の心というものなのだ。
↓ノビルの上に立つボク(いけないことをしていることを知っている顔)
今日アキコと写真撮影に行く途中、トドノネオオワタムシを見つけたのだ。 トドノネオオワタムシというのはフワフワの綿毛をつけた虫で、北海道ではこの虫が飛び始めて3、4日すると初雪が降るというので「雪虫」と呼ばれて親しまれているらしい。 アブラムシの仲間で害虫なのに、人々に親しまれているとはすごいのだ。 アキコが小さい頃(福島にいたのだ)は「雪おばさん」と呼んでいたらしい。
アキコが雪おばさんの生態について教えてくれたのだが、ボクにはさっぱり理解できなかった。 何やらトドマツの木とヤチダモの木の間を1年間に(世代がわりをして)往復して暮らしているらしい。 年に2回だけ羽が生えたヤツが生まれて、それが木の間を移動するのだ。 その晩秋に生まれた羽が生えたヤツがこの「雪おばさん」らしい。
ボクが住んでいるカモガワは暖かいので雪は降りそうにないが、雪おばさんがいたということは冷たい雨が降り始めるのかもしれない。
↓雪おばさん(矢印がないとどこにいるのかわからないのだ)
昨日の「やーいやーい」でボクがちょっと機嫌を損ねたと思ったのか、今日は散歩にボスとアキコが二人同行してくれたのだ。 左側にボス、右側にアキコを従えて歩くボクはまるで水戸黄門サマみたいで格好いいのだ。
アキコは水戸黄門のドラマでは小さい頃に見ていた初代の黄門サマ(東野英治郎)が一番好きらしい。 その初代のお供をしていたスケサン・カクサンでは、スケサン(里見浩太朗)よりものカクサン(横内正)の方が好きだというので、ずっとボクの右側を陣取っていた。 (印籠を持っているのが主にカクサンなのところも好きなポイントらしい。)
ボクにはスケサンもカクサンも区別がつかないが、アキコが言うにはスケサン(里見浩太朗)はスケサンのくせに後に水戸黄門にもなっているらしい。 すごい下克上があったのだろうか。 とにかくアキコは「カクサンが好きだから右」にこだわっていたらしいのだ。
ボクの散歩道には悪いヤツはもちろん誰も歩いていないので、格好いいゴモンがが付いた印籠を掲げるチャンスもないまま散歩が終わってしまったが、今日の散歩は二人のお供を従えてなかなかに満足のいく散歩であったゾ。 ハッハッハッハ!
↓カクサン・アキコが後ろから撮影した黄門サマのボク
いかん、また日記を長くサボって久しぶりの日記になってしまった。 アキコが忙しくて写真を撮っていないことが原因なのに、ボクが「日記をサボる犬」になってしまうのは不条理なのだ。
ボクが「いいかげんに写真を撮ってくれないと困る」と苦情を述べたら、今日はアキコが久しぶりに写真を撮ってくれた。 でもボクが運動場の金網の外に出られないのをいいことに「やーいやーい」と言いながら、金網の外からボクの写真を撮ったのだ。
久しぶりの日記だというのに、ボクの写真はまるで刑務所の面会みたいなのだ。 それに、「やーいやーい」なんて言うアキコはバカだと思うが、本当のところ、そう言われてボクはちょっと悔しい。 悔しいので今日の日記は短めに終わることにするのだ。
↓悔しがるボク
今日はアキコが写真を撮らなかったので、前に撮った写真で日記を書くように言われた。 ボクはオリコウな犬なので(ビスケットが欲しいので)アキコの言うことはきくのだ。
今日の写真は8月2日のスイカの写真なのだ。 今ではふわふわの猫のフリをしているスイカも、拾われたばっかりの頃は顔が目ヤニだらけでみすぼらしい猫だったのだ。 クローバーの葉っぱと大きさを比べるとかなり小さい。 拾われた時は193グラムだったらしい。 (2キロまでは体重を量ったが、その後ハカリに乗せると暴れるのでそれ以降の体重は量れなくなってしまったらしい。) 今では2キロを超えているのだ。
ボクは獣医さんの紹介でボスとアキコのところに番犬としてやってきた犬なので、立派な紹介状付きの雑種である。 ちなみに体重は10キロである。 紹介状付きの犬なのだが、本当は近くのダメダメ飼い主がたくさんの犬を野放しで放置しているので、それを見かねた獣医さんが犬がほしいという人を見つけて少しずつ里親のところに送り出しているらしいのだ。 ボスとアキコのところに来たばっかりの頃、ボクもお腹に虫がいて虫下しの薬をもらって飲んだのだとアキコが言っていた。 ちょうどボクが生まれた頃にボスとアキコが「鶏用の番犬が欲しいからオスの犬を1匹紹介してください」と獣医さんに言わなかったらボクは今でも野放しの虫がいる犬だったかもしれないし、もっと別の飼い主のところにいたかもしれないのだ。
人と動物の出会いは本当に不思議なのだ。 ボクもスイカも縁があってボスとアキコのところにこうしているのだ。 スイカとボクはいつもボスとアキコの愛情の取り合いでライバル関係にあるが、そんなことを考えるとスイカとも仲良くしなければならないと思う。 うん、やっぱりボクはオリコウな犬なのだ。
↓8月2日のみすぼらしいスイカ
スイカの名前は、柄がシマシマのスイカみたいだから付いたのではないらしい。 生まれたばかりの子猫の時に拾われて、まだ子猫用のミルクが手元になかった時、砂糖水を与えてもあまり飲まなかった子猫が、パパの新盆飾りだったスイカをつぶしてやったらゴクゴク飲んだから付けられた名前らしい。
うっかりナスの汁を飲んでいたら「ナス」、すりつぶしたカボチャを食べていたら「カボチャ」になるところだったということだ。 ボスとアキコのネーミングは恐ろしいのだ。 そういえば納屋で生まれてママの家の飼い猫になった猫の名前は「ナヤ」である。
そんなスイカ好きの猫、スイカは名前の通りシマシマ模様がある。 (「縞三毛」という柄に分類されるらしい。ボクはただの「雑種」なのにズルいのだ。)
アキコはスイカのお腹の模様がとても好きらしい。 背中からつながって、お腹にもシマシマ模様が広がっているのだ。 今日はそんなスイカの自慢の腹模様を見せるためにスイカに立ち上がってもらったらしい。 スイカの頭の上でボスがネコジャラシを振り回したらすぐに立ち上がったので非常に楽だったとアキコが言っていた。
(ミッキー・ロークも顔負けの)ネコネコパンチを繰り出す腕は目にも止まらぬ早業だが、このスイカの足つきはどうだろうか。 かなりの内股である。 スイカのパンチをお見舞いされたらボクは勝てないような気がしていたが、この足つきを見るとボクでも勝てそうな気がしてきたのだ。
↓内股でネコネコパンチのスイカ
少し前に日記に書いたセンニンソウの実がとうとう仙人になったのだ。 熟して赤っぽい茶色になった実が仙人の顔で、フワフワしている白い部分が仙人のボサボサの白髪と白ヒゲに見える。
毎年ボクはこれを見る度に、赤ら顔をした仙人たちが酒盛りをしている様子を思い浮かべる。 修行をして仙人になったはずなのに、顔が赤くなるまでお酒を飲んだ仙人たちが大勢集まって酒盛りをしているように見えるのだ。 仙人たちはお酒を飲みながら何の話をしているのだろうと考える。 仙人だからきっと世の中を達観した面白い話をしているに違いない、と。
しかし、今年ボクの運動場の柵に絡みついたセンニンソウをよく見るとニョキニョキ出ている枝の部分の先が丸くなっていて、仙人たちがこぶしを握った腕を高々と挙げているように見える。 一番上の仙人はお酒を飲み過ぎて腕を上げてノリノリの様子である。
仙人と言えども、お酒を飲んだら楽しくなって歌のひとつも歌い出すのかもしれない。 今年の仙人たちの酒盛りはかなり盛り上がっている様子だ。 いったいどんな酒盛りを繰り広げているのだろうか。 そろそろ風に乗って立ちだっても良い時季なのだが、酒盛りが盛り上がりすぎて今年は仙人たちがなかなか旅立たないのかもしれない。
↓ノリノリの仙人たちの酒盛り
ここのところ朝方ぐっと気温が下がってすっかり秋らしい気候になったのだ。 ボクの運動場から見える風景もすっかり秋らしくなってきた。
運動場の金網の横は少し段が高くなって田んぼと畑があるのだが、金網のすぐそばは草むらである。 草むらにあるススキにも穂が出て、秋風に吹かれている。 夕方、日暮れの時間にうっすら暗くなり始めた空をバックに見上げるススキはなかなか風情がある。
ボクは目が三角形なせいか、笑っていない時は「困ったような顔」をしていると言われることが多い。 アキコがボクと遊ぶのをやめて工房に帰って行く時、ふと振り返ってボクを見るとボクがすごく寂しそうな顔をしているような気がして可愛そうになり、もう一度戻って来てくれることがある。 ボクはちっとも寂しそうな顔をしているつもりはないのだが、そんな時はちょっぴり得をした気分だ。
ここのところ、夕方ボクと遊んでくれた後、ボクを振り返りもう一度アキコが戻って来てくれる確率が高いのだが、それはきっとこのススキをバックにしたボクの姿に秋の風情があるからに違いない。 秋になってこのススキをバックに佇むと風情があって、ボクの「寂しそうフェイス」が生きるのだ。
↓ボクの寂しそうフェイスを引き立てるススキ
ボクの住んでいるところは暖かい土地なので、真冬に菜の花畑が満開になったりする。 野草も真冬に花を咲かせるものがいろいろあるのだ。 寒くなって植物の緑も少なくなった時季に花を咲かせている草はとても目立つ。 散歩で歩いていてもすぐにそれが目にとまるのだ。
いつも緑が少なくなってからしか気がつかなかったが、そんな真冬に花を咲かせる植物も花を咲かせる準備期間があるのだ。 今日ふと地面を見たら、ホトケノザが小さなつぼみを付け始めていた。
このサイズのつぼみだと、花が咲くまでにはまだ時間がかかりそうである。 このホトケノザの花が咲く頃には柿の実も落ちて、緑もだいぶ少なくなっているに違いない。 ホトケノザの花は濃いピンク色なので、この花が咲いたらきっと目立つに違いない。 緑が少なくなってくると少し寂しいのだが、このホトケノザのように今から花を咲かせる準備をしている草があると思うと少し楽しみなのだ。
↓花の準備中のホトケノザ
ボクは自然の植物の「くるりん」が大好きなのだ。 自然の「くるりん」にはいろいろある。 ツル植物の蔓の「くるりん」はとても美しいし、他の草に「くるりん」を伸ばして直立しようとする草の「くるりん」も面白い。
今日ボクは花びらの「くるりん」を見つけた。 これは野菊の花なのだ。 普通、野菊の花びらはあまり「くるりん」にはならないのだが、この野菊は天然パーマなのか、花びらが「くるりん」になっていてとても面白かった。
「くるりん」がステキなので、ボクにも何か「くるりん」はないものかと考えてみたら、なんとボクのシッポも「くるりん」であった! これはなかなか嬉しいのだ。 「賢い犬のしっぽの巻き」と言われている犬のシッポとは逆方向に巻いているということを除けばボクのシッポの「くるりん」もなかなか味わいがある・・・はずなのだ。
↓野菊の「くるりん」
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