WORKS クリエイティブは何処から
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学生の頃から、待ち合わせは本屋さんなんだけれど、仕事をはじめてからもやっぱりこれはかわらず、同行する営業の都合によって、私は時々本屋へ置きっぱなしにされます。みんな心得たもので、本のあるところにさえいれば、たとえ何時間待たされても、私は怒らないってわかっているらしい。実際、新聞とインターネットで本を購入するようになってから、じっくり本屋にいる時間というのは、もはや待ち合わせの時間くらい。この時間の何がたのしいかって、『装丁から本を選んで、ちょっと見てみる』ということができることです。 けれど、今日は、手にとる本すべてが、なんとなく波長が合わなくて、すーっと入っていけない。これはきっと自分のコンディションのせいなのだろうと思いつつ、気が付くともう一時間以上も書店でうろうろしていて、『Kくんはなにをやっているのかな』と少し思い出すけれどまた本へと手が伸びて、あれこれみているうちに、ある一冊の本が目にとまる。オレンジ色の装丁。 「このごろ、ブルー系の装丁ばかりにあたっていたから、暖色系ってどうだろう」 なんて、色彩占いじゃないだろうに手にとって見るとこれが結構読みやすい。題名を見てその大胆さが「へえ〜。」 とりあえず区切りの良いところまで読んでみて、後で続きを読みたくなったら購入しようといつもの調子で読んでいたら、非常に区切りの悪いところで営業のKが戻って来てしまった。 「え〜、これ買わなくちゃいけないじゃないの。」と千円の出費。こんなはずじゃなかったと、思いつつ、『人のセックスを笑うな』なんていう題名の本を購入してしまいました。するっと、就寝前二日で読んでしまい、ほんとうに読みやすい本でしたが、ともするとうわっつらだけに思えるその物語の奥にある時代と人みたいなものにはっとしました。もしかしたら今って、大正時代の末期と同じような時代なんじゃないかな。
******* 本屋さんといえば、こんなこともありました。同行している営業が、「両さんと歩く下町」っていう本を買って来てと言うので、やっぱり置き去りにされた本屋で探したのですが、新刊本らしくて見当たらない。この両さんっていうのは、お笑い人気漫画、亀有前公園派出所の「両津勘吉巡査長」のことなんですが、あまり見つからないので、店員さんに小声で 「両さんと歩く下町っていう本はありますか?」 と訪ねると、その店員が店の奥にいる別の店員に向かって、大きな声で「『両さんと歩く下町』ってある〜?」 その瞬間、立ち読みしている学制風の子たちの殆どが、いっせいにこっちを見たので、あせってしまいました。それから 「お客さん、こっちです」と言われて、誘導されるままついていきましたが、題名が別の、もっとあやしいものだったら、こういうのって本当に困るなあなんて考えたら、顔が赤くなってしまいました。
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