2015年07月15日(水) |
歌舞伎NEXT『阿弖流為』 |
観劇ひさしぶりー!
ここに書くのもひさしぶりー!
やはり新感線と歌舞伎役者は相性がとても良いです。
どちらも好きだからそう感じるのかもしれませんが、まったく違和感なく、
新感線テイストと歌舞伎の伝統美の、見事な融合を堪能しました。
わたしとしては、ほぼ新感線の舞台を観ている気分でしたが、
登場人物はすべて歌舞伎役者だったと気づいてあらためて驚いてみたり。
たしかに歌舞伎ですわこれ。
いのうえひでのり氏が本物の歌舞伎の演出をすることを躊躇していたとき、
勘三郎さんに「大丈夫! 歌舞伎俳優がやりゃあ、歌舞伎になるんだから!!
やってみりゃいいんだよ!!」と、背中を押され、実際にやってみて、
「歌舞伎の人たちがやると歌舞伎になっている。少々のことでは揺るがない。
400年の伝統を持つ歌舞伎という大先輩の胸を借りて遊ばせてもらっているような気分」
だと、パンフで語っておられますが、
客席からぼーっと見上げているだけでも、
歌舞伎役者の頼もしさをひしひしと感じます。
歌舞伎役者は凄い。
もう何度言ったかわからないけど、見る度にそう思ってしまうのだから、
何度でも言うしかないでございましょう。
染五郎の阿弖流為、勘九郎の坂上田村麻呂、清々しいまっすぐさがカッコいい。
萬次郎の御霊御前、弥十郎の藤原稀継、さすがの大物っぷり。
自分の生き場所を求めて、大和と蝦夷を渡り歩く、亀蔵の蛮甲のしたたかさとせつなさ。
蝦夷の巫女・阿毛斗を演じた坂東新悟は、今回、
七之助と並んで数少ない重要な女役なのだが、その声の良さにびっくり。
声だけ聴いていると、どんな美形だろうと思ってしまうよね!(失礼)
で、それらすべてをしのぐイキオイで、いちばん心鷲掴まれたのは
七之助の立烏帽子・鈴鹿でした。
所作も舞も殺陣も、たおやかで柔らかいのに凛と美しく、
台詞も一言一句、誰よりもはっきり聞こえてくるし、声の表現力がまた素晴らしい。
目をつぶって声だけ聴いていても、すべての感情が伝わってくる。
阿弖流為と田村麻呂の、最後の死闘ももちろんグッときたけど、
わたしにはその前の、阿弖流為と立烏帽子の死闘こそがクライマックスでした。
激しくも哀しい戦いだったわー。素晴らしかった。
あの戦いを観るためだけでも、もう一度観たいくらい。
私の中で七之助は、もう完全に玉三郎の後継者です。
新感線らしいおふざけも、うるさくない程度にちゃんとあって楽しかった。
ま、クマ子(ツキノワグマ。蛮甲の嫁。)が出て来た時にはどうしようかと思ったけど、
さすが蝦夷のクマは一味違う。肝の据わったクマさんでした。
楽しかったのは、阿弖流為と田村麻呂がそれぞれ、花道で華々しく自己紹介する場面。
「ふたりそろって長々と口上を述べたて、無駄に大仰な見得を切って・・・」みたいに
まわりからイヤミを言われると、
「・・・・性(サガ)だな。」
と、きっぱり言い切る高麗屋と中村屋がラブリーでした。
誇れるサガですな。
いのうえひでのり氏も「クロスロード」でおっしゃってましたが、
歌舞伎役者は本当に特殊能力者よね。
そのワザを観ると、ありがたーい縁起物をいただいた気になります。
楽しかったー。
歌舞伎NEXTでもいのうえ歌舞伎でも、他の呼び方でも何でもよいので、
新感線テイストの歌舞伎がこれからも観られると嬉しいです。
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