あたたかなおうち



 昼寝

安静のために、一日中布団に横になる私のとなりで
連休中だというのに、祐ちゃんも転がっている。

遊びに行っていいんだよ
何度も声をかける私に
ポータブルのゲームをしながら、祐ちゃんはほほえむ。
一人だと華は寂しいでしょう

ダブルサイズの布団は、
二人でも手足を悠々と伸ばせるくらいなのに
いつも片方に寄っていると思う。
祐ちゃんは嫌がりもせずに
そんな私をかわいいと言う。

穏やかに晴れた日の、カーテンから漏れる光が心地よくて
祐ちゃんにくっついたまま、
私はいつのまにか眠りに落ちてしまう。

2006年10月13日(金)



 病院

駆け込んだ病院で、祐ちゃんと一緒に診察を待つ。
握った手には、自然に力が入ってしまう。

白黒の画面に、小さく動く心臓が映し出されて
先生はほっとした口調で私を諭す。

この子を守るのは、旦那さんでも校長先生でもなく
あなた自身なんですよ、お母さん



仕事と、子供と。
頭ではわかっていても、
心から大切にできなかった自分がふがいなくて
どちらにも申し訳なくて、勝手に涙があふれてしまう。

祐ちゃんは、すぐに気づいて私の肩を抱き寄せる。

先生としての俺や華の代わりはいくらでもいるから大丈夫
でも、この子の母親は華だけなんだよ


まだ全く目立たないお腹に、祐ちゃんが手を添えて
私もその上から手を添えたとき
いよいよ涙があふれて
きっとまた一つ母親に近づいていく。

2006年10月11日(水)
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