Title / Place of peacefulness(安らぎの場所)
◆Thanks◆
 music by Are you
picture by LOSTPIA



思い出の貝殻をお気に入りの小瓶に詰めたら・・・
耳に近づけてそっと・・振ってみてください
懐かしい音が聴こえて来ませんか!?



季節

 
雨を降らせて
春は哀しみを歌う

雨を着て
君は春を歌う
後を振り向くこともなく
夢の行方だけ見つめて
  
君の道どこまで続く
夢の続きいつまで繋ぐ

探すのはやめたわ
待つのもやめたの
私はもう
君の道は歩かない
君の後姿は探さない

心はずぅっとここなのに
季節だけは移ろいで
君の後には
もう
私はいない


066



さよならを言えなくて

 
桜は
空から舞い下りた
神の使い

きょうの桜が
冷たい風に
健気(けなげ)に花開くのは
人々に春を告げるため

誰にも春は来るのだと
ひとりひとりに
告げるため

あした散る桜が
満開でなお
高潔なのは
人々に
儚さと潔さを
見せるため

さよならの季節を
ひとりひとりに
心覚えさせるため

だから桜は
神のみ心そのままに
すべての心の中に
咲くのです

さよならを言えないのは
あなたを愛しすぎてしまったから

だから
わたしの心にも
咲いて散るのです


065


花の宴・・ 水際のなみだ

 
此の世の宴は
絶えまなく
雅な調べを耳元に
たゆたう舟が運びます

甘い残り香夢の中
清らに唄も流れます

衣纏って池の端(ほとり)
水に映して
美酒酌めば
優しい声が聴こえそう

此の世の宴は
誰のため
君を思って
花よ舞う
君を探して
花に酔う

誰知る恋ぞ
此の世のまほろば
現(うつつ)の時を
知らず溺れて


064


暁を信じて

 
明けぬ夜は来ないし
この闇もいつかは
暁に変わる

この雨もいつかは終わり
心を照らす陽が昇る

あなたは教えてくれました
この世のすべては動き
とどまることは知らないと

すべての生命(いのち)は
明日へと焔(ほむら)を燃やし
密かに心の襞(ひだ)を織りなすと

そして
あの神々しい光は
遍(あまね)くこの世を照らし
永久(とわ)に生命(いのち)を救うことを

人の悩みなんて
一時のことなのですね

いつかはきっと
明ける夜を
じっと待っていればいいのですね

暁を信じて・・・


063


三月のララバイ

 
花咲く季節だというのに
吹く風はこんなに冷く
あなたの頬を刺すのですね

それなのに
わたしはあなたを守る
何の術も持たないのです

せめてあなたが
心おきなく休めるように
今ここに柔らかなベッドを
しつらえています

りっぱなものじゃないけど
心を込めて作っています
少しだけでも
あなたの笑顔見たいから

いつもわたしばかりが
助けてもらってきたよね

今度はわたしが
子守唄歌う番ですね
あなたのためだけの唄
あなたが深い眠りにつくまで

風よ
お願いだから
その間だけでも
あの人を
冷たい風で打つのは
やめておくれ
眠りの中の安らぎを
奪わないでおくれ


062


君は春の妖精となりぬ

 


しなやかに
たおやかに
舞い召せ桜花

今日を生きて
明日の晴れた空を遊べ

清らかに
澱みなく
澄みたるまなこ

昨日を許して
今日の清心を愛し給え

赤子のように
柔軟で
気高く
原石のまま

君が
この空を飛んで
南風となり
木々を渡れば
いつの日か
この星は美しく

神の子よ
春を着て
永久に羽ばたけ



061


*******

ある方からお話しを伺った
青年を思って・・




慈愛・・・尽きせぬ心

 
彼の愛は
深くなお深く
尽きせぬ涙を
衣(きぬ)に隠し
彼の人は
極上の絹(シルク)となりぬ

時に優しく
時に強く
尽きせぬ心は
無限の愛で君を包む

君が笑えば
音は甘く響き
旋律(ながれ)は
たおやかさを歌う

君が涙すれば
音は繊細に震え
旋律(ながれ)は
哀しく美しさに揺れる

彼の人は
永久(とわ)に君を守り
永久(とわ)に愛を歌う
桜咲く今日も
風舞う明日も



060




***
Sさんに詠う





信じて・・・ (わが心へ)

 
信じて  信じて
人は悲しいほどに弱い生き物
自分を信じ得ないとき
愛するものを
疑念の淵に置き去りにする

信じて  信じて
一秒も 一瞬たりとも
心の翳り見せることなく
信じぬくこと

強い心だけが
手にする
愛する場所へのパスポート

信じて  ただ信じて
愛を  自分を

微塵の影もなく
微塵の疑念もなく
みんな白き心に変えて

信じて・・・


059


かげろう

 
陽炎(かげろう)は
曖昧な春を映し
ゆらゆらと
恋する者たちの
行く手を見守る

影は君を知る
唯ひとつのかたち
手放せない
儚い希望

蜻蛉(かげろう)はわたし
頼り無げで虚ろ
霞の空を飛んで
ふわふわと
君の影を追う

色づく花も
芽吹く樹も
眩しすぎるほどの
春の陽射も
そっと手でかざす

かげろうは
せつなげに揺れ
掴めない幻を
追いかけて
無情の羽根を
震わせる


058


愛   /   娘へ

 

空は愛に満ち
海は愛を生きる
青き命は美しく芽吹く

君が俯き涙をこらえるとき
海(はは)は君を抱き
共に涙を流しましょう

君が立ち上がる事を忘れ
心を閉ざしたとき
空(ちち)は君を守り
黙って風を送りましょう

時が往き
季節が遷ろうとも
空は明日に続くよ
海は希望を繋ぐよ

海は
君を永遠に愛し
空は
君の道を永遠に照らす

君はただ
愛されていれば
いいのだからね




******

--娘へ捧ぐ--

2004/3/13



057



矛盾

 
君の強さに
反発しながらも
前進
君の涙に
奪われながらも
後ずさり

矛盾は私を
なお深く
なお妖しく
君の谷へと
沈めていく

路地に迷い込む
野良猫のように
行きずりで
公園の古木に巣くう
小鳥のように
頼りなげ

だから
不安と言う影は
雲を浮かべて
掴めない明日を
私に示し
いけない魔法を
私に教える

それなのに
もう
私は
たしかな心根で
その道を
歩き出しているのです


056


ハナミズキ

 
冬のよそおいを
解(ほど)いて
密かに
命の灯を燃やす
ハナミズキ

まだ誰にも見せない
新しい命だけど
私には見えるのです

あなたのかわいい
赤と白の花びら

街の片隅で
確かな生を息吹いて

そこまで来た
春だけを見つめ
凛々しく立つ
あなたの姿に
心が満たされるのです


055


冬よ

 
雪の下にある冬は
明日の春を知らない

きみが遠くに望む春は
まだ誰にも見せない笑顔を
きっと きみにだけ
見てほしいのだよ

いつか きみが去り
春が顔を出すだろう

その前に
一度だけ
きみに 
笑顔見てほしいのだよ

心隠し
伝えられなかった
言葉のかわりに

とびきりの笑顔
きみだけに
見てほしいのだよ


054


予感・・・冬の終わり

 
去りゆきし君の後姿
白く染めて
儚く雪が舞う

残り香
甘くせつなく
冬のかなたに残し

いつか聞いた
君の夢
いずこに見える

いつか見た
君の影
悲しい予感

夢は
幻(まぼろし)となり
未知へ旅立つのか

予感は
現(うつつ)となり
君を奪うのか

君を知らなければ
君を愛さなければ

冬の終わりを告げる
雪ひとひら

あれは
ひと冬のまほろば
遠い灯火


053


南風・・・ 異国にて

 
南風を受けて
遠い異国に飛ぶ

すれ違う顔が
キミに似るのは
なぜ

あれは遠い記憶
熱砂の恋

長い影をからめて
自由の愛を弄ぶ

だれ気兼ねなく
愛重ね
灼熱の太陽
赤く射抜く

タンゴのリズム
長いキッス
青き布覆い
熱情の夜は続く

異国の恋
なお遠く
異国の愛
なお忘れじ


052


ひなまつり・・・遠い日

 

はじめて
お雛様を飾った
遠いあの日

あなたの可愛い目が
微笑をはじき
それが連鎖で
みんなの笑顔
古春の写真

いま
桃色極め
鮮やかに蘇る

かわいい口が
たくさんのお話しをくれた
幼稚園のころ

小さな心に
理解できなかった
夏の午後
白い涙・・・

あれから・・・
がんばりやの
あなたのこと
ずっと見てきたよ
このお雛様と私

今はもう
何も心配しないけど

正しいと思った道
ひたすら歩む
あなたが母の誇りです

おひな祭りは
変わったけれど

いつまでも
あなたのこと見ています
ずっと 
近くにいるからね



******

遠い日のひなまつりに思いを馳せて



051


美しい人

 
悲しみを知っている人は
他の人の悲しみも
感じる事ができるのです

だからとても温い手と
とても優しい目を持っています

その体中が
羽毛のように
ふんわりして
優しさに包まれているのです

悲しみの種は深いほど
後に大きな花をつけ
他の人の心を奪ってしまうのです



050

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