ここ2週間、お腹の調子がずっと悪くて 大好きなワインも飲まない日々。 ストレスがたまっていく。
美容院でプルースト「逃げ去る女」をほぼ読めたことぐらいが 収穫だろうか。 あと、もう一息。結局、1年がかりだった。
三島の「午後の曳航」を読んでいると、 房子の取っ手が白い蛇ガラのパラソルと臙脂の下着。 そして、汗に交じる香水の香。 房子のエレガントさがこれで分かる。 女。 この一言につきる。 女。
短いこの単語を語れる女性が街に歩いているだろうか。 楽だからという理由でローヒールとほとんど部屋着の様な装い。 自分を飾ることを諦めてしまった人達。
小金を貯めなくていいから、 いつまでも自分を飾り、美意識を屈しない毎日を過ごしたい。
最近の映画では、ゲイを主人公にしたものが多い 彼らに共通するのは、貧しくても、自分の美意識に妥協しないことだ。 先日みた「キンキーブーツ」でも、赤いエナメルのハイヒールのブーツに 固執していた。 固執する美意識。譲れない意識をもつことでエレガンスさが増すのだろう。
三島「午後の曳航」を読んでいて、思わず笑ったところ。
「登はおどろきを以て眺めた、彼の腹の深い毛をつんざいて 誇らしげに聳えたつつややかな仏塔を」
どんな物も限りなく豪奢かつ華麗に表現する三島に 感激して笑った。変だろうな、 「午後の曳航」を読みながら電車でにやりとする女。
体調がすぐれない。 ここ1週間ほどお腹の調子が悪い。
「太陽」を見に行こうと思ったが、 急遽、クリニックに行く。 電車に乗っている間、村上春樹「アフターダーク」を読む。 相変わらずの村上節。 表面的には軽く生きているが心に傷を負っている人々の 会話が続く。それぞれの内面が会話することにより、 深くなっていく。 村上春樹はホッパーの絵画のように、無機質感を感じる。
ウッデイ・アレン監督「マッチポイント」を見にいく。 スカーレット・ヨハンセンの、ぼっちゃりとした厚い唇は 淫靡だ。 ウッデイ・アレン主演の映画だと、あまり人が入ってないのに 彼がでていない作品は観客が多かった。 なぜだ。 私としては、アレンの訳のわからない長い不満を 聞くのが好きなのに。
マッチポイントは、ほどほどの作品。
「逃げ去る女」の巻になるとアルベルチーヌの エロティックな過去があからさまになってくる。 愛とは不在を感じること。 これは、サガンの「悲しみよこんにちは」でも 知的な女性アンヌが直情的ですぐ忘れてしまうような 恋しか知らないセシルに語る言葉。
プルーストを読んで、触発された芸術家たちは たくさんいるんだろう。 そして、自分の作品に引用をいれたくなる欲望。 トリュフォーも、自分の好きな文学作品をオブジェとして映画に 折り込む。 実際に、芸術作品に触れたものしか分からない楽しみの一つだろう。
分かりやすいものに流れていく現代においては 少し難しいものに立ち止まりながら体験するの貴重な経験だと思う。
サガンを読み始めた。 ノルマと化してフランス語に接してないと ストレスが溜まるようになってきた。 ヒアリングと文法と読み物を3つできたときは 気分も爽やか。
並行して、以前買っていた尾崎紅葉の 「伽羅枕」も。日本人として 日本語に触れておかないと思い手に取る。 日本文学も大切に。 自国をないがしろにすると本末転倒のような 罪悪感がある。
今日はワインの修了試験。 リーズリングとソーヴィニヨンブランの葡萄を うっかり間違えてしまったのが悔しかった。 あとは、まずまずの出来で、だんだん勉強の コツが分かってきた。これからも頑張ろう。 「スワン家の方へ」の仏語を読むと、 フランス語も私もリズムにあう。嬉しい。 風景の描写の美しさが、仏語で感じられた。 日本語でじっくり読んでいるから、内容が分かりやすいのだろう。
フランス語の帰りは電車の中で カミュを辞書なしで読み耽って帰った。 気分はシャーロット・ランプリング。 だんだん文章に慣れてくるから、 読むスピードも早くなる。
ドストエフスキー「未成年」を本屋で発見した。 岩波文庫から2006年7月に刷発行されてた。 今まで、店頭になかった。即購入。
今週は、ワインクラスの修了試験がある。 恥ずかしくない点をとりたいから、2日で 総復習。筆記1時間、テイスティング1時間。 葡萄の種類と国等をあてないといけない。 勉強に追われる毎日。
今日、やっとカミュを読み終った。 最後の死刑の前のムルソーの言葉、 刑が遂行されるときは、たくさんの群集と 憎悪の叫び声に囲まれたいという言葉を最後に 終わった。もう一度、辞書なしで読み返すつもり。
ムルソーの愛の湿度の低さが 私の心に響く。 他人に興味がもてない。 マリイに結婚を求められて、結婚してもいいけど 愛してない、と言ってしまうムルソー。
そして、マリイは「あなたは変わっているけど そんなあながた好き。でもいつかそんなあなたが 嫌いになる日が来ると思うわ」と語る。 elle a murmure que j'etais bizzare, que'elle m'aimait sans doute a cause de cela mais que puet-etre un jour je la degouterais pour meme raisons.
Cela m'etait egal. (どうでもいい) これがムルソーの口癖。
原語で読むと、作品にじっくり向き合えていい。 フランス語ではアクサン記号がつくが、パソコンで やり方がよく分からないので、強引に省略した。
「囚われの女」もやっと読了。 次は中継ぎで何を読もうかな。 ジャック・プレヴェールの 「ことばたち」という本を前から気になっていた。 書評にも載っていて、欲しいなと思っていたら もう在庫なしだ。早い。 プレヴェールの詩は、とてもロマンチック。 原語で読んでみようかな。
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