りえるの日記

2005年08月31日(水) 金色の死

「ヒトラー最後の12日間」を見る
年配の人が7割しめていた。
戦争物の爆弾の音を聞いていてると
気分がどんどん滅入っていく。
ブルーノ・ガンツ演じるヒトラーは、
本物のよう。
ヒトラーの怒鳴り声をうるさく感じさせるのは
演技がうまい証拠なんだろう。

ドキュメンタリータッチの戦争映画をみるのは辛い。

谷崎「お艶殺し」「金色の死」読了。

「金色の死」は、谷崎は発表するのを嫌った作品だったが
三島が谷崎没後5年目に谷崎アンソロジーを編んだ際、とりあげた作品。

題名もいい「金色(こんじき)の死」
見た目の美しさが真の芸術だと言い張る岡村君。
生の藝術に最後までこだわる。
青年同士の芸術論を語り合う様。
乱歩の香りもする。
人口楽園のユートピア。

「10日ばかり後、歓楽の絶頂に達した瞬間に」
「満身に金箔を塗抹して如来の尊容を現じ」てみせた彼は
翌朝「金色の死」を遂げていた。

まさに、三島が好きそうな世界だ。





2005年08月28日(日) 外套

「外套」ゴーゴリ
これは、おもしろい。
古くて変てこな外套を着ていた堅物な主人公が
ある日、新しい外套を手にいれる。
この時の喜びようがいい。

読む本がなくなってきたので本を物色。
「レ・ミゼラブル」全4巻
「千一夜物語7巻」
「潤一郎ラビリンス 女人幻想」「銀幕の彼方」
「お艶殺し」谷崎潤一郎

翻訳物ばかりだと
美しい日本語に触れられないかなと思い、谷崎も購入。

新刊本コーナーを見ていたら、
「眼球譚」金子国義挿画の豪華本が売っていた。
5800円もした。中身を見たかったけど、しっかりナイロンに
包まれていた。欲しいなー



2005年08月25日(木) 千一夜

「千一夜物語」5巻読了。
船乗りシンドバードの旅。
航海して化け物にあったり、大蛇、鯨
ガイドブックに決してない未知なる旅が楽しい。
「千一夜版 地球の歩き方」なんてあったらおもしろい。

旅を楽しむために、一番必要なことは
月の光のように輝く美しさと芳しい香り、
官能の世界を堪能することができる肉体。

もし美しさを備えもってなければ
醜悪な容貌、欲深い心で、美しい人々の歩みをとめる
悪役を演じる。

あなたは、善人、悪人どちらを選びますか?

どんどん、想像力は膨らむ。



2005年08月23日(火) 青年

近所の本屋さんに雑誌を買いにいったら、
私の前に漫画を大量に買っている男性。
レジのおばさんが本のナイロン袋についているシールを
とろうとしたら、男性が
「あーー!」と大声。
マニアにとっては包んでいるナイロンのシールも重要なんだ。
すごく動揺していておかしかった

森鴎外「青年」
これはあまりおもしろくなかった。
美しい未亡人が肉の塊にすぎないと気づくと
カバーの粗筋に書いてあるのをみてそそられたのに
だまされた感じ。
解説を読むと「青年」は教養小説だと書いてあった
教養小説は知性あふれるという意味ではなく
幼少から青年期の心理描写を表している小説なんだ。
知らなかった。

教養小説だと、やはりディケンズ「ディビッド・コパフィールド」が
面白いと思う。






2005年08月19日(金) クラシカル回帰

セールもほとんど終わり、秋物を見る。
今年の気分はクラシカル回帰。
マーメイドラインのスカート。カシュクール。
深い紫に黒。
クラシカルで大切なのは、仕立ての良さ、素材。
微妙なラインの美しさを身にまとうと
自然に背筋も伸びる。
イメージは、若かりし頃のソフィア・ローレン。
ゴージャスなエレガント。

イタリアといえば、
最近読んだイタリア語講座の池田理代子のコラム。
オペラを見に行った際、「ブラボー」はイタリア人の声でないと
舞台を盛り上げない。日本人が「ブラボー」と言った時
「ブラボー」の発声に対して、クレームの声。
贔屓の歌手のコンサートでも「ブラボー」の声とブーイングの声。
感情を正直に出すイタリア人は、コンサートの反応が面白い。

とそのような事が書いてあった。

イタリア語を聞いていると、フランス語よりも
単語が耳に残る。感情移入しやすい言語なのだろうか。

「千一夜物語 第5巻」
この巻はおもしろい。ほくろの物語。
シンドバードの冒険。
読み終わったら、森鴎外「青年」

         
  





2005年08月12日(金) あきらめ

ほんの少しイタリア語が聞き取れるようになった。
ラジオを聞き始めて半年。まだまだ道のりは長い。
雑誌を立ち読みしていると、イタリア女特集だった。
そこにイタリア語で女性を褒め称える言葉が書いてあった。
出鱈目でも読める。嬉しい。
この小さな喜びが語学の楽しみの醍醐味。
何度も壁にぶつかるが。

森鴎外「雁」読了。
この作品は好き。

お玉の境遇を表している表現で好きだったところ。

「あきらめはこの女の最も多く経験している心的作用で
かれの精神はこの方角へなら、油をさした機関のように
滑らかに働く習慣になっている」

全てがあきらめから始まる。

この気持ちはよく分かる。
自分の力ではどうしようもない境遇のとき、
心にシャッターを下ろすと楽になる。
何でも立ち向かうポジティブな人生だけが正しいとは限らない。





2005年08月08日(月) 選集

澁澤選の「暗黒のメルヘン」を
買おうと思って手に取った。
が、やはりその作家の文章が1冊は
続かないとせっかくの良さが薄れると思った。
そういう意味では全集という一個人の文章に
ずっと触れて行く日々の体験は素晴らしい。

そう思い他の本を物色

結局、「外套・鼻」ゴーゴリを買う。
本当はサルトル「嘔吐」を買おうと思っていたのに。
ドストエフスキーもゴーゴリの影響をうけたと
解説に書いてあったから、読んでみても興味深いかもしれない。



2005年08月07日(日) 巨匠

テオ・アンゲロプロス「エレニの旅」を見る。

「名前はエレニです。看守さん、私は難民です。
いつどこへ行っても難民です」


巨匠の作品。
この一言につきる。
美しさと哀しさに泣いた。
色のある影絵の世界のよう。
長さも気にならない程、衝撃的に美しい映像。

純文学を読んでいるような映画。

佇む群集。真っ白い何十枚ものシーツがまたたく。
黒と白と川の流れ。

パンフレットも買った。最後にシナリオも載っていた。

「ー君が手を伸ばして、葉に揺れ、水滴がしたたった・・・
 地に降る涙のようにー」



2005年08月05日(金) 手強い

朝の音楽

バッハ「フランス組曲」

ピアノレッスン

バッハ「フランス組曲5番」
シューベルトOP120が難しいので
精神安定剤の為にバッハを弾いてるいるよう。
心が落ち着く。

シューベルトOP120

手強い。
練習しても、全然物にならない
強弱の連続。最初の音から気がぬけない。
単なる音階の羅列ではなく、意味ある音を出すように。

歌曲の王シューベルトの美しい旋律を決して
台無しにしてはいけない。

そう思って弾くと、オペラの舞台に立っている気分になる。
旋律がセリフのようだ。



2005年08月03日(水) 正直な感想

発禁本になった本。

何人もの青年の期待を裏切ったんだろう。
全然いやらしくない。

淫靡な世界が繰り広げられるのかと思うと、
なんだ、森鴎外、岩みたいなんだからと腹がたったのかもしれない。

10月のフランスの航空料金が決まり、
予算をオーバー。一緒に行く友達とかなり動揺。
これから貯めていかないと。

フランスガイド本を読んでいると、フランス人の日本おたくが
「日本の映画は成瀬、溝口がいいね」と言っていたらしい。
成瀬映画、数本は何とか見たい。
クロード・ルルーシュ監督がすきなプロデューサーも成瀬好きらしいし、
これは、見なければ。



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