Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2007年12月30日(日)  you're the number one

ABCのニュースで'Top Quotes 2007'というのをやっていた。「2007年名言集」ということだが、その実「迷言集」である。その1位に選ばれたのが、ミス・ティーン・サウス・カロライナの、コンテスト審査員からの質問への回答だった。
私はこのニュースを8月末に見たが、全く意味がわからなかった。彼女の発言が、全然理解出来なかったのだ。なので今回ネット上でスクリプトを検索してみて初めて、その発言がおそろしく意味不明であり、それ故に話題になったのだとわかった。

要約するとこうだ。彼女は「アメリカ人の5人に1人が世界地図上でアメリカがどこにあるかわからないのは何故だと思うか」という質問に対して、「そこらの人は地図を持っていないからだと思う」に始まる支離滅裂極まる回答をしたのだ。文法も単語もおかしく、脈絡も結論もなく、しかし態度だけは笑顔で堂々。
ABCは「この時の回答が、何とも素晴らしかった」と述べてこれを1位に選んでいる。聞けばこの時の映像はYouTubeで大ヒットしたらしく、世界中で夥しい人数がこれを見て、夥しい数の罵倒コメントを書き込んだとか。
「ブロンド美人=馬鹿」という典型に大喜びした気配であるが。

あのね。こういうことしちゃいかんのだよ。
ミス・ティーン・サウス・カロライナは18歳なんである。あのなあ、18歳ってのはみんな「馬鹿」なんだよ。知識があろうがなかろうが、殆どが恥ずかしいくらい馬鹿だ。実際の18歳は自覚がないので恥ずかしいと思ってないけど、判断力のついた大人が自分が18歳の頃を振り返ると、顔が赤らむような言動ばかりの筈だ。大人になることの最大の良さは、その恥から抜け出せることなんだから。
子供の失態をよってたかって笑いものにするやつらのどこが大人だ。おまえらは18歳の頃の記憶がないのか。
まして、米三大ネットワークとまでいわれたABCが、CNNみたいな真似をするなといいたい。

そもそもミス・コンテストが白痴的イベントなんだから。そこで選んだ美人に対して、ああいう質問をすること自体がおかしい。「さあ何か馬鹿なことを言え」といわんばかりだ。

ちなみにジャニス・ジョプリンは大学時代に「キャンパスで一番醜い人」に選ばれたことがある。こういうことを平気でするアメリカという国の神経がわからない。

you're the number one (あなたが1位です)



2007年12月29日(土)  It's not what I used to know.

18時半にえみちゃんと西荻のスペイン料理店EL CLUBで待合せ。の、筈が。
倒れるほど腹が減ってしまって、10分前に到着。予約した席には「Bunny様」のカードが立ってました。(毎回その名前で予約してるもん)

ほどなくえみちゃん到着。体調を崩して長崎に帰っていたのだが、二ヶ月足らずで元気になって戻ってきたのだ。二人ともシェリーをもらう。ドメックのフィノ。初めて飲んだけど、すっきりして美味。
示し合わせたわけではないが、二人ともお互いへのクリスマス・プレゼントを出す。(クリスマス前に会う筈が、予定が合わず今日になったのだ) 私からは、近所の専門店で試食して買った蜂蜜。その名も「クリスマス・ツリー」で、ギリシャのクリスマス・ツリー(樅の木ではない)の樹液を吸った昆虫から蜂が集めた蜜らしい。えみちゃんはお砂糖をとると体調が悪くなるから、天然の甘さをと思ったのだ。
えみちゃんからはハウス・オブ・ローゼのリップ用美容液と石鹸。最初は一瞬バスグッズも考えたというえみちゃん。でも、私が閉所恐怖症でバスタブに入れないことを思い出してやめたという。・・・ああ、私たち、お互いのことを思いやってるわあ。

食う。今日はコースを頼んでおいた。パン、スペインオムレツや生ハムなど前菜の盛合せ、帆立と小海老のシェリーマリネ、蛸と茸のオリーブ油炒め煮、葉野菜のサラダ、スペアリブのトマト煮込み、パエリヤ。
全部美味いけど、このパエリヤが最高。・・・懐かしいな、結婚している頃、何故かクリスマスに毎年パエリヤをつくっていた。専用鍋などなかったけど、それなりにちゃんと美味しく出来た。元ダンナも私もメガトン級の大食いだったから、パエリヤをメインにして、他にも2、3品つくり、さらにオードブルやローストチキンやケーキやフルーツなど大量に用意したっけ。(勿論ダンナ用にはお酒もどっさり)
デザートを2種類もらい、コーヒーで締め。この店はお料理だけでなくコーヒーもちゃんと美味しいのが嬉しい。

雨の中、ハラいっぱいでBITCHへ。偶然CCRの'Have You Ever Seen The Rain'がかかっている。次いで'Susie Q'がかかった時にえみちゃんが「これいいね。誰?」と聴くので、「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」とおしえたら、その次の曲も聴いてから「へえー、CCRっていいんだねえ」と言う。・・・えみちゃん、もうレコードがかわっていて、これはビートルズなんだけど。
そう言ったら、「やだー!」と恥ずかしがり、その次の曲も聴いてから、「ビートルズっていいねえ」と言う。・・・えみちゃん、これはクイーンの'Bohemian Rhapsody'だよ。
そのあたりでマスターに、「おまえは喋るな」と言われたえみちゃんだが。
次にかかったビートルズの名盤'Abbey Road'を聴いて、「初めて聴いた」とBITCH内における爆弾発言をかまし、続けてこそっと「なかなかいいね」と言い、とどめに「・・・これ、あたしの知ってるビートルズと違う」って。
これを全部マスターにその場でちくったところ、あまりの衝撃に「・・・こいつ、面白いな」とウケてしまった。うーんw

えみちゃんに頼まれて焼いてきたハニードッグスをかけてもらう。えみちゃんは私が高円寺CROSS ROADに勤めている頃にかけた夥しい曲の中で、ホールR.E.M.とハニードッグスが一番気に入ったんだという。・・・男だったらつきあいたいなあ。
私の愛するハニードッグスは、好きとかいう前に、日本で5人くらいしか知らないからなあ。私も、2002年に検索で間違えて引っかけたのが出会いだもの。でも、ついでに試聴してみたらあんまりにも好みなので、その場でCD2枚(当時日本で入手出来たのがそれだけ)をオーダーしたのだ。その後、オフィシャルサイトで他のCDも入手した。届いたCDはケースがきれいに割れていたけど、全然気にならなかった。メジャーでたった一枚出して後はまたインディーズ落ち。入手できるだけでも嬉しい。
いつか。ミネソタまで観に行くよ。

えみちゃんと電車で帰る。「独身だったら年末年始Bunnyちゃんちに入り浸るのに・・・」と言うえみちゃんに、愛情込めて「結婚しててよかった」と返答w
0時過ぎ帰宅。

It's not what I used to know. (あたしの知ってるのと違う)



2007年12月28日(金)  great loss to the civilzation

昨夜は寝ないまま今日の午後に授業をし、4時間ほど寝て起きてCBSのニュースを見たら、ブットが殺されていた。
―――――死んじゃったのか。

先週のニューズウィーク誌のインタビューで、ひたすら1/8の総選挙における不正操作を懸念していた彼女だが。敵はそんな文化的な相手ではなかったのだ。
彼女は自ら語っているように、10月の帰国に際して、暗殺警告は単なる脅しだと思っていた。実際に暗殺目的の爆弾テロが起きた後ですら、まだ警戒心が薄かったようで、それが今回の暗殺の成功につながった。
結局は、自己の「良識」があだとなった。敵は、「戦争」をしていたのだ。

1999年、シャリフ首相が飛行機で帰国中のムシャラフ陸軍参謀長を解任し、彼の乗った飛行機に着陸許可を与えずに上空を長時間旋回させ、その間にムシャラフが地上と無線連絡を取ってクーデターを起こして空港を占拠し、燃料の切れるわずか7分前に着陸するという「事件」があった。傍観者としてみればこれほどドラマチックな話はないわけで、当時新聞でこの件を読んだ私は相当に興奮したのを覚えている。以来私の中でパキスタンという国は、常に生きるか死ぬかの粗野な緊張を強いられる印象が強かった。そういう状況下では、ブットは知的で上品過ぎたのだろうか。

今回のことでシャリフはムシャラフを責め、ムシャラフはテロリストを責める。なんにせよ、「知性」が「野性」に殺されたのだと思う。
くしくも米のニュースの本日の二大ヘッドラインは、ブット暗殺と、シベリアン・タイガーが動物園から脱走して数人を死傷させた事件である。このふたつは同じだ。虎のほうが、利益目的でないだけマシだ。

――――――美人だったのになあ。

great loss to the civilzation (文明化への大いなる損失)



2007年12月21日(金)  frog, tuna, whale, that's it

生徒に、「いつも有難うございます」とクリスマス・プレゼントでコーヒーの詰合せを頂く。「先生」っていい商売だなあ。うん。
次の生徒には、初めてiPodを買うがどれかいいかと相談される。この生徒は音楽に全く興味がなく、音を聴くモノを一切持っていないのだが、私に勧められて今回、英語の番組やニュースのリスニング用に購入することにしたのだ。「シャッフルでいいと思うけど」と最安のものを薦めて言う。「とにかく何を買うにしても店員にひとつだけ確認して下さい。『これ、ぽっどきゃすとをだうんろーどできますよね?』って」・・・意味もわからずとにかくメモしているのが可愛い。

そのPodcastでABCのニュースを見ていたら、'Japan'という言葉が飛び込んできたので、「珍しく日本のニュース? 何??」と思ったら。日本が南極での調査捕鯨を断念したとの話題。・・・カエル、マグロ、そしてクジラか。
しかしそれよりも。CNNのニュースで2007年の総まとめをしていたのだが。まずアメリカの一年を、次に世界のことを振り返る。イギリスの首相がブレア(任期10年)からゴードン・ブラウンに、フランス大統領はシラクからニコラ・サルコジに代わりましたね。パキスタンではムシャラフ大統領が軍離脱を表明し、etc, etc・・・。って。終わっちゃった。あれ?日本は?マジでここまで無視??
しかし考えてみたら。福田が就任とかいう前に、それまで誰だったかも知らないんだろうなあ。

frog, tuna, whale, that's it (カエル、マグロ、クジラ、おしまい)



2007年12月18日(火)  frog, tuna, samurai spirit

私はTVもラジオも持っていないので、ニュースは毎日iTunesのPodcastで、ABCとCBSとCNNを見て、BBCを聴いている。週イチで'National Geographic News'と'Newsweek On Air'も。どうして英米のニュースだけかというと、英語の勉強もあるが、日本のニュースは面白くないのだ。同じ事柄を扱っても、少しも盛り上げようとせず淡々と事実を羅列する。理解力と忍耐力を試されているようだ。日本のニュースを見たり、まして新聞を読みとおすのはかなり大変だ。
おかげで日本のことは何も知らない。9月の首相交代もあやうく知らずにすごすところだったが、電車で隣に座った男性が大きく広げた新聞の見出しのおかげで一応その事実はわかった。
じゃあ英米のニュースでも言うだろうと思っていたら、各局この件にちらとも触れない。日本のことは無視か?と思った矢先、「広島大学が透明な蛙を開発」というニュースが流れた。・・・福田、カエル以下?

で、今日久々に米のニュースで日本が取り上げられたと思ったら、「日本人が鮪を食いすぎるので絶滅の危機」だって。・・・カエルの次はマグロ。

実は先月あたりもう一回だけ日本がちらっと取り上げられたことがあった。'double dutch'という縄跳び競技のニュースに、一瞬だけ日本チームが出たのだ。しかしその時インタビューされた日本人の若者の一言―――「ダブルダッチはサムライ魂ですね」って。
そのまま訳されてた・・・ああ、勘弁してくれ。オマエも適当なこと言うんじゃねえよ、若者!
英米人なんてのは、呆れるほど日本のことなど知らないんだから。これ以上、英米人の好きそうな誤解を蔓延させるのはやめてくれ。

frog, tuna, samurai spirit (カエル、マグロ、サムライ魂)



2007年12月17日(月)  If for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way.

この週末のニュースに深々と感動しているのであるが、珍しく日本の新聞のサイトを見てもどこもこれをちゃんと取り上げている気配がない。いや、記事自体はあるが、全く無味乾燥というか。
「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)は15日、難航していた2013年以降の地球温暖化対策の枠組みをつくる交渉の行程表『バリ・ロードマップ』について合意に達した」
―――これでは意味すらわからん。

ところがこれをアメリカのニュース番組で見ると、もう見るたびに涙ぐむほどドラマチックで。何回も見ちゃったよ

要するにUSA代表は一度「あたしたち、行程表には合意できませーん」と言ったのだ。(上のビデオで40秒のあたり)
それを受けて、パプア・ニューギニアの代表がこう言った。
"There's an old saying: If you are not willing to lead, then get out of the way. And I would ask the United States: We ask for your leadership; we seek your leadership. But if for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way."
そしたらUSAが、態度を180度変えて、合意したのだ。

"Get out of the way."とは、普通に言ったら「そこ、どきやがれ」くらいの意味である。「邪魔すんな」ということだ。だから上の台詞は、格言になぞらえた礼儀正しい示唆のようでいて、実ははっきりとした怒りの表明だ。
パプア・ニューギニアのような小国が、USA相手に毅然と怒りを示し、その意見を完全に変えた。声も表情も荒げずに、最大限の効果を引き出した。
このパプア・ニューギニア代表の顔―――こういう顔を私は美しいと思う。

If for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way. (もしも何らかの理由で先導したくないと仰るのでしたら、後は我々に任せてお引取り下さい)



2007年12月15日(土)  face up, and walk into the world

今日は14歳(♀)の授業。この子の家は金持ちで、休みのたびにずっと海外へ出かけてしまうので、その間の振替なのだ。なので2時間。
この子を教えてもう一年半だが、ここのところの授業はかなり甘やかしている。教育ママに進学校、塾、ピアノ、英語と詰め込まれてキレる寸前なのだ。本人は全く学習意欲のない平凡な女子中学生だというのに。
今日もTOEFLのリスニングなどゆっくりゆっくりやる。こんなペースじゃ母親のいう「勉強」には程遠いだろうが、しかし既にかなり高度なことをやっているのだ。(英検2級は小学校で取得済)

「先生」とため息をついていう生徒。「あたし、またダイエット失敗しました」 この子は最近ぽっちゃり太って下っ腹が出てきたのだ。肌も荒れている。
そしてふと見れば、机の下にどでかいチョコレートが。このパッケージの感じは絶対・・・「オーストラリア製だね? 命取りだよ」
オーストラリアのチョコ菓子は美味い。健康のことなど考えていないからだ。以前の同僚で、オーストラリアに半年いただけで7Kg増えた子がいる。おお怖。
「捨てます」とその場でゴミ箱につっこみかけるので、「あ・・捨てるんならひとかけちょうだい」ともらう私って一体。「じゃ最後に」と彼女もひとかけ取る。中にはキャラメルクリームがたっぷり。普通でさえ高脂肪なのに、更においうち。
「空腹は我慢出来ないだろうから、せめてムダなものを食べないように。チョコレートやスナック菓子は、おなかは全然ふくれないのに高カロリー高脂肪だから。このチョコだけで500Kcalあるんだよ? 食べたら一食抜かなきゃならないよ」と言う。「肌にも悪いしね」
何を食べればいいのかと訊くので、単純な判別法をおしえる。「肉と魚は白いもの、野菜は濃い緑と赤。あとあなたは便秘もあるから根菜も」
物凄く真剣にきき、「勉強になります」という彼女。・・・それ、オチになってるよw

帰りにiPodでBBCのニュースを聞いていたら、最近の十代の女の子達は外見を磨くことにしか興味がないのが嘆かわしいと言っていた。
しかし世の中は、外見も中身も磨かない中年女で溢れているじゃないか。外側だけでもきれいな方がずっとマシだろう。
私は簡単にいえばもう、美しくあることしか興味がない。私のいう「美しい」は、生き方の信念が、表情とからだと姿勢に表れていることを指す。
男も女も、美しくない生き物は嫌いだ。そして、周りの世界に対して全く向き合っていない顔が一番醜い。だから動物は時々とてもとても美しい。

face up, and walk into the world (顔を上げて世界に踏み入る)



2007年12月10日(月)  head

12歳の子の授業で、「先生、ブッシュって悪い人?」と訊かれた。・・・えーと。
「それは、良い悪いの定義の問題だから」と答えた後で、「・・・でもとりあえずブッシュは頭は良くないと思うよ」とつけ加える。「なんでなんで?」と言うので、「核、って英語で言ってごらん?」と言ったら、即座に「ニュークリアー」と答える。「ね? あなたでさえきちんと発音出来るのに。なのにブッシュはその単語をニューキラーって発音するんだよ。それで今マスコミに叩かれてるの」
そしたら、「先生とブッシュとどっちが頭いい?」と訊く。「・・・いくら何でも一国の大統領が、英語講師以下ではマズイっしょ」と答える。
まあ少なくとも先生は「ニュークリアー」って発音するし、ブッシュと違って進化論も信じるよ。

ところで。前から薄々わかっていたけど、この子にはちょっと武器マニアの気がある。エアガンをヤフオクで買ったりしていて、その鉛の弾は、当たりどころによっては充分に殺傷能力があると思う。
大統領の話題からJ. F. ケネディの名前が出て、当然暗殺の話になり、生き生きと使用された銃や狙撃位置のことを語りだす。遠距離から見事仕留めた狙撃者について「かっこいい」という言葉まで出る。

実は。5日ほど前にネット検索中に、そうとわからずに有名人の死体写真を集めたページを開いてしまったのだ。その名前の一覧のトップを見てげっとなった。J. F. ケネディがいる。だって。頭を撃たれているのに。
クリックしちまった。
直後に、全速力でそのページから逃げた。見たことを心底後悔した。今でもショックが完全に取れない。
もしもあの写真をこの子に見せたら。自分が言っていることの愚かしさを少しはわかるだろうか。

有名人の中には、カート・コバーンの名前もあった。頭部がはっきり写っているらしい。口に猟銃を突っ込んで引きがねをひいた、その頭が。
―――とてもとても、見ることなんか出来ない。
実際に見てしまったケネディよりも、カートの写真がそこに陳列されているという事実のほうが神経にこたえた。

head (頭)



2007年12月08日(土)  The Beatles

日付が変わって午前3時半にハニー(drs)から電話。ジョン・レノンも、ハノイ・ロックスのラズルも、ダイムバッグ・ダレルも好きだったんだって。3人揃って好きってのは珍しいなあ。
今日はその3人の命日だもんね。

というわけで本日はビートルズを全部一気聴きするのだ。

朝7時半寝、9時半起。15時授業終了。18時半に美容院で前髪を切り、19時に西荻へ。本日の格好はマウジーのグレーのラメ入りニット、コム・サ・デ・モードの茶のパンツ、アルゴンキンのふわふわのベージュのキャップ、ヨースケの黒のブーツ、ナイン・ウェストのチョコレートブラウンのリュック、兎のファーのショートコート。なのに時間がなくてすっぴん。実は時間がないので服も5分で選んだ。
ジンナイくんとスペイン料理屋'EL CLUB'へ。オーナーさんとBITCHで2度ほどお話ししたので来てみたのだ。サングリア、バゲット、温野菜のアンチョビソース、鶏と魚介の大蒜オリーブ油炒め煮、魚の煮込み。どれもオリーブ油が馴染んで美味。食後のコーヒーもちゃんと美味しい。もっと食べたいが、今日はあまり腹いっぱいにするわけにはいかない。

20時20分、BITCH入り。20時半に'Please Please Me'がスタート。
本日は全てマスター秘蔵のUKオリジナル盤モノレコードでかけるのだ。年に一度この日だけ針を落とすのだという。総額一体いくらなんだか。
"One, two, three, four!"で'I Saw Her Standing There'が始まる。かかかかかっこいい。ああ興奮する。この曲は私も一度ライヴで歌っているので、まずはきっちりフルで歌っておく。何しろ今日は、全曲歌って帰ると宣言してあるのだ。勿論全曲フルで歌うわけではないが、どっかしら歌うつもり。
先に結果を言うと。全く歌わなかったのが数曲あった。話しかけられちゃって逃した'A Taste Of Honey'と、それから涙ぐんでて歌えなかったのが何曲かあったのだ。
1stの段階でもうベスト盤を聴いているような出来だなと思う。いつぞやワカモノに、「ビートルズって何が有名なの?」と訊かれ、「ビートルズは213曲全部有名なんだよ!!」と答えたことがあるが。・・・ああ、全くそれを再認識する。

と思ったら2nd、'With The Beatles'が。・・・このアルバムが一番聴かないなあ。理由は明白で、カヴァーが一番多いからだ。ビートルズはとにかく曲作りが素晴らしいのであって、カヴァーとのレベルの差は歴然と現れるから。
けれど、普段あまり聴かない曲をこうやってひとつひとつ再確認してみると、どれも新鮮な味わいがある。・・・いやあ、ビートルズっていいバンドだなあw
そしてこのアルバムには'All My Loving'がある。Dmから始まる衝撃は突然降ってきた恋のようで、小学生だった私を虜にした。そして未だに聴くたびにうっとりする。

'A Hard Day's Night'―――ここで一発目の泣きが入った。'And I Love Her'で泣かされるとは思わなかったなあ。いい加減聴き飽きてたかと思ったよ。10歳の頃の愛聴曲だもの。
シャレのように次の曲'Tell Me Why'の出だしの歌詞が、「なんで泣いたの?」と訊いてくる。

'Beatles For Sale'―――実は今日は、私以外にも全曲聴きに挑戦すると言っているお馬鹿がもう一人いる。右隣に座っているナオキ(g)で、彼は'For Sale'が一番好きなアルバムらしいのだが、しかし早くもつぶれそうな気配が見えている。
B面――'Eight Days A Week'。小学生だった私は、何故この言い方で「一週間に8日」になるのか頭をひねったっけ。文法がわからないので「8日一週間」じゃん?と思ったのだ。・・・終わり方が素晴らしいなあ。どれもそうだけど。

'Help!'―――ここで2度目の泣きが入る。ここは最初から予測済みだが。A面だけでも相当くるのに、B面には'I've Just Seen A Face'と'Yesterday'が続けて入っているのだ。この順番が命だ。私はこの先一生、この順にこの2曲を聴くたびに目頭が熱くなることになっている。
ちなみにナオキはA面で既に一度寝そうになっている。「まだ1965年だよ?!」と突っ込んでおく。

'Rubber Soul'―――いきなりジャケットがかっこ良くなる。音も変わる。何かあったんだろうな。私、ロックは詳しくないので知らんけど。'Rubber Soul'以前のビートルズは、よくまあここまでと思うくらい素直で可愛らしい曲をつくったりするが、'Rubber Soul'以降はぐっと深みが増す。
お客が増えてきた。しかし私は誰の話し相手もしない。今日はとにかくビートルズを聴く。聴いていて全く飽きないどころか楽しくてしょうがない。
何か。今日初めて思ったけど。
私って、ビートルズ結構詳しいかもしれないw

ああ、あの孤独なひとびとをご覧。'Revolver'―――これを最高傑作という人も多いのもうなずける。
そしてわかりきっていた3回目の泣きがくる。'For No One'だ。この曲も'Yesterday'同様、最高のアペタイザー'And Your Bird Can Sing'とセットになっている。

「私の夢はね」とマスターに言う。「'Lucy In The Sky With Diamonds'を聴きながらLSDをキメることなの」 アホだが本当だ。本当だからアホだ。
'Magical Mystery Tour'の映画は非常に評判が悪いが、ある時ケミカルを倍量飲んでマリーを吸いながら見たらかなり「わかる」気がした。'Lucy'はシラフで聴いても最高の曲だが、これにLSDをあわせたらどんなに「合う」かと思うと。
'Sgt. Pepper's Lonley Hearts Club Band'は、実は私の中ではそれほど(勿論ビートルズとしてという意味だが)評価が高くない。
けれど。ラストには'A Day In The Life'が待っていて、当然ここで私は4回目に泣く。

さてここで'Magical Mystery Tour'が「挟まる」が。何しろ英オリジナル盤なので、EP2枚組だ。
しかし私はロックに詳しくないので、この2枚組レコードの現物を多分初めて見た。と思ったら、マスターが数パターン出してきた。中身のページが青いのと黄色いのがあって、青いのが一番高いんだとか。「今日はその青いのをかけるよ」と言う。
'Magical Mystery Tour'は、何だかもうわけわかんないくらい凄い曲だと思う。子供時代に初めてこれを聴いた時、同じフレーズばかり歌っているのに、どうして毎回毎回快感なんだろうと不思議だった。今聴くと、これはもうロックじゃないんじゃないかとすら思う。'I Am The Walrus'も勿論最高。

'Back In The USSR'でお客が皆歌いだす。興奮しきったところで、クールダウンしろとばかりに'Dear Prudence'がくる。'The Beatles'は、曲の配置も、そしてその1曲1曲も、いやもうとにかく何もかも、真っ白なジャケットも含めて、それこそ、'The Beatles'だ。
私はSide Twoが一番好きで、'Blackbird'〜'Piggies'〜'Rocky Raccoon'で5回目に涙ぐむ。
しかし。さすがの私も'Revolution 9'だけは「飛ばしてもらってもかまいませんが」という気になる。この8分以上ある「雑音」を、「俺これも結構好き」というマスターはファンの鑑だなあ。

録音順ということで、次は'Let It Be'だ。実は私が一番好きなビートルズのアルバムはこれ。
母はビートルズのLPを3枚持っていたが。青盤と、'At The Hollywood Bowl'と、20曲入りくらいのベストだった。オリジナル・アルバムがなかったのだ。11歳の時に祖母が持っていた'Let It Be'を借りてきて、あまりの素晴らしさにうっとりと聴き入った。以来これがベストだ。

'Abbey Road'
何か語ろうという気も起きないなあ。
とっくに寝ていたナオキが、'Her Magesty'でむくっと起きた。「俺、この曲大好きなんだよね。だって女王様をやっちゃおうなんてすごいじゃん」と急に元気に目を見開いて言う。
・・・えっと。とにかく全曲終了ですw
終了は5時15分。8時間45分かけて全部聴いたよ。・・・ものすごく楽しかった。何ならイチからやり直してもいいくらい。マジで。

BITCHは開店以来5年間、毎年12/8にはこの全曲がけをやっていたらしいが。今まで全曲聴ききったお客はいないんだという。なので私が初の偉業達成ということに。
実は今日は、店に入ってすぐからずっと腹痛がしていた。おまけに今朝2時間しか寝ていない。更には途中から体が冷えてきた。
でもそれを全部吹っ飛ばすくらい、ビートルズを聴いていて楽しかった。殆ど会話もしていないし、お酒もいつもより控えめにしたし、とにかくひたすら聴いていた。

6時に店を出て、ジンナイくんにタクシーで送ってもらい帰宅。今日はジンナイくんには夕食とお酒をご馳走になったことも有難く思うが、それよりこれにつきあわせてしまって申し訳なかったという思いが先にたつ。何しろBITCHでは殆ど会話もしていない。あの状態はかなりのビートルズ・マニアでないと辛いと思う。来年からは一人で行ったほうがいいかな。(って。来年もやるのかっ)

The Beatles (奇跡)



2007年12月06日(木)  hold her arm in his arm

西荻で十文字さんと21時半待合せ、の筈が。20分遅刻。今日は私がふと夕方メールしてみたら、所沢から出てきてくれたというのに申し訳ない。途中電車内からお詫びメールを入れたら、笑顔マーク付で「想定内」と返信が。・・・なんかこの類の返信よくもらうような。(いつもスミマセン皆さま)

BITCHへ。チンザノ、そしてイエロー・ローズ・オブ・テキサスのストレート。飲みつつ、十文字さんと文学の話をする。彼は日本文学中心に読んでいるようだが、私は好みからいうと圧倒的に英米仏独露の方、特に英米を好む。実際の読書量は、例えば一番読んだ1999年の150冊中日本ものは125冊と8割以上だが、それでも印象に残るのは海外ものが多いのだ。Screaming Bunny化してからは特に日本ものを読む割合が減り、今では日本ものは1/4だ。

川端康成の話をする。私は川端の美しいエロが大好きなのだ。例えば「眠れる美女」は特殊な売春宿の話で、客の条件は勃たなくなった老人であること、そして娼婦は薬で眠らされた裸身の処女だ。客は女の子に「いたずら」をしてはならず、ただ添い寝するだけ。
「片腕」は何とも幻想的な話で、出だしの一行はこうだ。「『片腕を一晩お貸ししてもいいわ。』と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた」 男はその腕を外套の下に忍ばせて夜道を帰る。車の警笛が聞こえると、腕がびくっと震える。・・・物凄く色っぽい。
ただし今の私にまた川端を読み通せる体力があるかどうかは怪しい。わかっていない人が多いと思うが、フィクションを読む行為は、きちんと技術と体力を要するのだ。
今現在の私は、ただ男と寝ることは出来ても、川端のエロをどっしりと受けとることは出来るかどうか。

十文字さんは終電を逃し、どこかで寝てそのまま出社すると言って、全部お会計して帰った。すみませんすみません。
私は一人でもうしばらく飲み、3時半帰。

hold her arm in his arm (彼女の腕を抱いて)



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