2006年12月31日(日) |
Pleeeeease don't do it |
正直、ちょっと限界に来ていた。無事ではあると思っていた。そしたらだんだんハラがたってきて、あちらのbbsに怒りの書込みをしそうな自分をおさえていた。少し前から、抜けた筈のmixiを小細工して張っていたら、昨日アクセスがあったのを確認した。
そして今日、本人からメールが来た。あちらのbbsにも書込みがあった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ぶっ殺す。
二ヶ月だよ? 約二ヶ月もネット上から消えてたんだ。ひと言もなしにある日突然消えて、それっきり自分のサイトも放置。私が心配して書込みしたりメールを送っても、反応なし。誰に訊いても知らないし。
勿論、本人的に何か大変なことがあったんだろう。けど、無事かどうかだけでもわかるようにしておいてくれるのに、5分もいらないだろうに!
いーかげんにしてよ、もじょきちさん!!
もじょきちさんは、mine-Dさんと並んで、私がネットを始めた4年前(ザ・バンドの検索で見つけた時)からずっとお世話になっている、ネット上で一番大切なひとの一人だ。
その上私は、「サイトの管理人が消える」という経験をひとつしている。────BLACK AND BLUEのマスター。
殆ど毎日更新していたbbsがいきなり止まった。いつも書込みのタイトルに書いていた「只今のBGM」がドアーズの'The End'だったから、私が「何だか縁起が悪い」と他の常連客に言った。年中無休だった店が閉まった。とうとう常連の一部が騒ぎ出し、警察に行ってみたら、もう死んでいた。
だから心配した。そしてこの状態は、元ダンナが失踪した時に似ている。自分から追い出したダンナだったけど、やはり「安否がわからない」というのは苦痛だった。その時に、戻ってきたら離婚しようという意志を固めた。こんなことをした彼を、絶対に許すもんか、と。
・・・とりあえず、もじょきちさんのbbsに、荒らしかと思うほど馬鹿でかい字で、「なめとんのか、てめぇーーーーー!!!」と書いておく。
メールには、淡々と、「泣くわよ、しまいには」と返信したが。
もう一度彼のbbsの、久々だが変わらぬおふざけ口調の書込みを読んでいたら、本当に泣けてきた。
さてと。明日は早朝から沖縄に帰省だ。荷造りしなきゃと思うのだが。
何故かPCのファイル削除に燃えてしまった。実は少し前からPCにやたら警告が出るようになり、調べてみたらディスク残量が42MBになっていた。ダーリン(g)に話したら、「動いているのが不思議なくらいだ」と言われた。なので最近、PC内の13,000曲から、不要なもの(ベスト盤のダブリや、聴かないものなど)を削除する作業に燃えていたのだ。で、本日で、見事2,500曲以上を消し去り、残り11GBにまで増やし、夢のデフラグも実行出来た。
こりゃもう今夜は眠るヒマはないな。
・・・何だか飛行機に乗り遅れそうな気がしてきた。自慢じゃないがこの私、国際線の飛行機に乗り遅れたこともあるしw
Pleeeeease don't do it (頼むからそういうことしないで) *Don't Do It / The Band (1972) の歌詞。
2006年12月28日(木) |
Who Done It? |
Nobuは16時20分に帰る。16時半から歯医者の予約がある筈だが。昼には、田舎から出てきた親と会う約束もあった筈だが。
私たちって見事な遅刻(&ドタキャン)キャラ同士だわ。しかしお互いここまでXeroXのリハには遅刻していない。見事なロック馬鹿同士だ。
Nobuがいる間わりと具合が良かったのは、あのおかしな「風邪薬」のせいなのか。服も着ないで眠っていたのに、くしゃみひとつ出なかったが。彼が帰った途端に、まただるさが襲ってくる。熱を計ってみたらまた38度。
けれど、ずっとぴったりくっついて眠っていた彼にはうつっていない。「粘膜感染」という言葉も無縁らしい。
ヤフオクで落とした本を読む。1980年にアシモフが編集した「新・読者への挑戦」───その約40年前にエラリー・クイーンが編集した「読者への挑戦」と同様の企画とのことだが。
要するに、個々の作品の作者名を伏せた短編集なのだ。(作者17人の名前一覧はある) 文体からどの作家だか当てろということで、原題は'Who Done It?'───このタイトルは、ミステリ好きにはぐっと来るよね。
アメリカ作家17人の中には私の好きな作家も何人かいる。しかしいくら好きだといっても、翻訳文でその文体を当てるのは難しい。(その作家特有の言い回しは避けるように指示されたらしいし)
最初の2作は初めて読む作家だった。3作目の最初の3行を読んだ瞬間に、声に出して言った。「エドワード・D・ホック」と。そのまますぐ調べる───見事正解。
────ああ、これ、ちょっと興奮するなあ。
そう言えば。昔、元ダンナと家で飲んだ時などに、こういう遊びをしたっけ。つまり、私が後ろを向いている間に、私の本棚にある約一千冊の本から彼が一冊抜き、適当に開いたページを2、3行読むのだ。そして私が、誰の作品だか当てる。
これが結構当たった。記憶力の問題なのか、理解の深さなのかはわからないが。
二人でそうやって色んなことをして遊んでたなあ。私たちは相当に激しい喧嘩もして、結局は離婚したが。でも、お互いに「飽きる」ということだけは一瞬たりともなかった。ずっと二人で楽しく何かしていた。
彼は、私の倍のロック馬鹿で、私に劣らぬ本好きだった。そんなひとが世の中に滅多にいないことに、離婚して初めて気づいた。さらには酒が強くて大食いで激辛好きな、体脂肪ひとケタのベーシストだった。そこまでいくと、日本中探しても何人いるか怪しいな。
Who Done It? (「誰が書いた?」という意味にもなるが、本来は「フーダニット」ものといえば、「誰が殺した」のかを当てる本格推理小説のこと) *アシモフ&ローランス編の短編集。(1940)
2006年12月24日(日) |
Baby this is the end |
17時に初台でジンナイくんと待合せ。の、筈が。
家を出たのがその時間。・・・うわあ、このセリフ、最近たて続けに使ってるぞ。おかげで移動時間=遅刻時間じゃないか。
ドアーズ横のカフェに50分遅れで到着。遅れたくせに開口一番「暑い・・・アイスコーヒー飲みたい」・・・真冬に汗ばむくらい急ぐ気があるのなら、何故もっと早く出られないんだ。
今日のライヴ(Unti-Christmas)はジンナイくんのおごり(二人で一万!)。スポンサー様のお好みがフェミニンとうかがったので、せめてお好みにそうように心がけた。紫のワンピース、ワインカラーのタイツ、ピアスとペンダントは揃いのピンクがかった薄い紫、指輪とブレスレットは揃いの薄紫のビーズ、アイラインはピンク、シャドウはパープル、口紅はローズピンク、爪はピンクがかったシャイニー・パープル。
と、ここまでコーディネートしたのに、結果的に今日は全然美人じゃない。こういうのは本当に不思議だが、違うものは違うのでしょうがない。ちっ。
思い出すのは2003年のクリスマス。やはりご招待でこのドアーズのUnti-Christmasに来た。その時の私は、自分ではかなり満足のいく仕上がりだった。だからつい、そのまま帰りたくなくなって、ご招待主との飲みを途中で切り上げ、違う男の部屋に行ってしまった。で、後で後悔した。いい人だったし、私にお金も惜しげなく使ってくれたし、こちらの好みをしっかり把握してくれて、CDなら'By The Way'をかけ、DVDならホールを流し、コーヒーならキリマンジャロを入れ、アイスクリームならハーゲンダッツを買ってきてくれるような人だった。でもやっぱり、愛してない人と寝ると、後味が悪い。翌日それをしみじみ感じた。
──で、反省して今はやらないようになったのかって? なるわけねーじゃん。「経験から学ぶ」のが嫌いだって広言してる身だしね。
しかし今日気づいたが。思えば初台ドアーズに来る時って、いつもご招待ばかりで、お金を払ったことが殆ど──いや、一度もない。ふと、Screaming Bunnyになって以来のコンサート記録を調べてみたら、プロのコンサートはかなりの確率でご招待もしくは人様に払って頂いていたことが判明。────女で良かったなあw(皆さま、本当に有難うございます)
余裕でコーヒー飲んでから、ドアーズに入場。ちょうど演奏が始まるところ。PANTA、アキマさん、石田さん、その他のミュージシャンでの軽いセッション。
続いてアキマさんの演奏。最前列にいたなかむらさんが場所を譲ってくれたので、一番前で観られた。アキマ&ネオスでないことだけは見当ついていたが、どういう構成で何をやるのが不明だった。そしたらアキマ&イシダの二人でティラノザウルス・レックスをやってくれた。要するにこれは毎年9月30日(マーク・ボランの誕生日)にやっていたディープ・T-REXだ。今年は観るつもりでいたら、アキマさんが今年からやらないと言ったのでがっかりしていたのだが。思わぬところで観られたのが嬉しかった。マルコシアス・ヴァンプの曲もやってくれた。その後、アキマさんはアコギをエレキに持ち替え、イシダさんがドラムセットでの演奏となった。ギターとドラムだけなの?とびっくりしたが、これが全く不足を感じさせない音の厚さ。要するにアキマさんのギターも声も、共に重たい粘っこい色気があるので、空間がきっちり埋まるのだ。ああいう声が出せたらいいなあ。マーク・ボランよりやや高く、ややフェイク感が強い。
次が、PANTAの出演する映画の宣伝。監督や出演者が出てきて喋るのだが、とにかく長い。正直殆ど興味もない。荻野目○子という女優も出てきたが、この人が喋ると催眠術にかかったように眠くなるのでまいった。冗長なのだ。これの終わり頃にジンナイくんと逃げ出し、オペラシティに時間つぶしに行く。次もお笑いだか何かの出演ということになっていたので、終わった頃に戻ろうと思っていたのだ。
メキシコ料理店で結構きっちり食べ、一時間ほどして戻ってみたら、締め切ったドアの向うに聞こえていたのがPANTAの声。げっと思ったら曲がPANTA&HALの「つれなのふりや」
うわっと慌てつつ飛び込んで、前の方に戻ったら「マラッカ」が始まった。続いて「The End」を熱唱して、まさしくジ・エンド───終わっちゃった。・・・うっそ。
ねふーどさんに訊いたら、あのトークの後、何故か予定されていた別の出演者は抜きで、いきなりPANTAの演奏が始まったらしい。
「ルイーズやった?」「うん」、「屋根の上の猫は?」「うん」、「・・・嘘ーーーーーー」
PANTAフリークのなかむらさんにマジな目で馬鹿者呼ばわりされる。・・・うわー。
なんか残念というより拍子抜け。しかしジンナイくんに悪いことしたようで気が咎める。
ジンナイくんとタクシーでCrawdaddy Clubへ。トミー(drs)がいた。
0時半の電車で帰。昨年のイヴに引き続き「お早いお帰りのシンデレラ」(昨年0時に帰りの電車からkenjiくんにメールしたらこう言われた)であるが。男の部屋まで行っておいてとっとと帰ってきた昨年よりはずっと気分がいい。
Baby this is the end (これで「ジ・エンド」だよ) *Baby Strange / T. Rex (1972) の歌詞。
2006年12月19日(火) |
You say you will but you don't know when |
うーわ、しびれる。一昨日はみー(g)に貸してもらったライヴ'To The Bone'US盤の'State Of Confusion'(私のはUK盤なので、Disc2がない)
ぱきぱきに安っちいギターのカッティングが何だかお嬢ちゃんぽい三連符に続いたと思うと、オヤジ臭い雄叫びが。鼻詰りのような、ピッチも不確かなボーカルが歌いだす。ドラムが8小節目のケツでスネア2発ってのがださい。ブレイクの入れ方も何てベタ。なのにがっしりとかっこいい。
ロンドン・パンクだわ、これ。
初期のヒット曲しか知らない人には、スタジオ盤を聴かせてすら誰だかわからない、この時代───'80年代アリスタ時代のキンクス。
ダサくて、すかすかで、ロマンもロマンスもない。だが強烈なシニシズムと、同時に矛盾するようなヒューマニズムがある。
キンクスは変なバンドだ。レイモンド・ダグラス・デイヴィスがつくった。ストレートで可愛らしい前期パイ時代、切なく胸に迫る後期パイ時代(私の一番好きな頃)、何だか洒落てるようでもあるRCA時代、アリスタ時代も'79年の'Low Budget'以降は急にハードな音になる。いつの時代もロマンスを歌わず、だから一般には受けない。けれど私が実際に見た限りでは、現在のイギリスにおいてはビートルズよりもストーンズよりも広く深く大衆に愛されている。
キンクスというバンドは、あれほど有名なバンドでありながら、他のミュージシャンやバンドと殆どかかわりを持っていない。イギリス4大バンドの他の三つ───ビートルズ、ストーンズ、フーはそれぞれ交流があるというのに、キンクスだけは、まるで存在を知られていないかのような印象すら受ける。(ピート・タウンゼントはキンクスの大ファンらしいが)
そして今やキンクスは、解散こそしていないが完全に死んだも同然の状態だ。最後にスタジオ盤を出したのは1993年。
2005年には'Waterloo Sunset'が最優秀ブリティッシュ・ソングの第二位になり(ちなみに一位は私が泣くほど愛してやまない、ビートルズの'A Day In The Life'、三位もこれまた好きでたまらない、オアシスの'Wonderwall')、その後バンドはUKの音楽の殿堂入りを果たす。────全て、死者への献花のようだ。
2006年1月、レイは、弟デイヴを含むメンバーでキンクスの活動を再開する意思があると語ったが。あれからすでに一年が経過しようとしている。
私はキンクスのライヴを3回観ているが。ぜひもう一度、もう一度だけでも観たい。
ファン・サーヴィスでも何でもいいから、何とかもう一度だけ気まぐれを起こしてくれないか。来日しないならロンドンまで行くから。何とか、お願い。
You say you will but you don't know when (やる意思はあるって言ったけど、いつになるの?) *Do It Again(もう一度やって) / Kinks (1984) の歌詞。
2006年12月18日(月) |
She'll drive you crazy with the way she talks |
今日から5歳児の授業はナシ。少し前にスクール側にやめたいと話しておいたら、昨日OKが出たのだ。そもそも最初から15歳以上しか教えたくないと希望していたが、「まあまあ先生、何事も経験・・・」と上手くおだてられ、まずは12歳、そして5歳まで担当させられていたのだ。
12歳の子はアメリカン・スクール上がりで英検2級を持っているからまだいいが。5歳児も表面上は問題なく授業をして、なつかれてもいるが、私は子守がしたいんじゃない。一度引き受けてしまったので、責任を持って半年はやってみたが、毎回何をどうすればいいのかさっぱりわからない。このまま先の見通しも立てられない授業を続ける方が無責任と判断した。やはり幼児教育は専門家に任した方がいい。
きのぴーに、一ヶ月前にした例の賭けがどうなったのかメールしてみる。「クリスマスまで一週間切ったけど。イヴを一緒に過ごす彼氏出来た?」
私側の条件「彼氏をつくってイヴを一緒に過ごす」に比べ、きのぴーのクリア条件はものすごく低い。つまり、「イヴに一緒にいてくれる男がいればOK」
この賭けをした時、きのぴーが「公園で一緒にビールを飲むだけでもいいよね?」と言ったので、私が「・・・でもそのビール代、自分で払っちゃダメよ」と言ったら、「ええっ? マジで?!」と叫んでやがったし・・・。
でも結局返事は、「出来ない。太ったのもなおらない」 ・・・あーあ。
まあどうせこの賭けは、去年のmちゃんとの時もそうだけど、二人ともどうせダメだから、女同士で飲もうかということなんだけどさ。
同じメールに、「Bunnyは? ひつまぶしの彼は?」とあった。「ひつまぶし」?
何故ここに鰻の混ぜご飯が出てくる。まさか「ひまつぶし」の打ち間違い?と思いつつ、「ひつまぶしって?」と訊いてみたら、「暇つぶしとかけてみました〜」という返事が。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おまえ、「かける」って意味わかってねえだろ!!!!!
きのぴーはいい奴だが。彼女と会話していると、ちょくちょくキレそうになる。笑顔で「死ね」と言ってしまうことも。
きのぴーは以前つきあっていた年下の彼氏と電話中に、「お前と話してると頭おかしくなる!!」と突然怒鳴られたことがあるそうだ。・・・彼氏に同情するわ。聞けば当時彼は20代。その若さではムリもない。
きのぴーは前にCROSS ROADで横にいたお客に、「さっき高円寺の民家でヤギを見たんです」と話して、「ノイローゼですね?」と言われていたことがあった。その時は、もしかしたら本当にヤギがいたのかもなと思ったが。先日BLACKで隣り合わせたジンナイくん(初対面)に同じ話をして、「でね、そのヤギの角にゴルフボールが刺さってたの」と言うのを聞いた時は、こいつラリってんのかと思ったっけ。
ところで「暇つぶしの彼」って何だよ。Nobuのことなのはわかってるけど。わざわざつぶさなきゃいけない暇なんかないって。
寝る間も惜しんでるのに、この日記の更新がこんなに遅れてるんだっての。
She'll drive you crazy with the way she talks (彼女と話してると頭がおかしくなる) *Stop, Look And Listen / Bill Haley & His Comets (1965) の歌詞。
2006年12月15日(金) |
Johnny you're too bad |
新宿ロックバーBに出勤。なかむらさんご来店。今日も恒例のウォッカ一本飲み・・・をするかと思いきや、疲れがたまっていたようで、珍しく飲みきれず。初の「キープ」となる。・・・いやー、珍しいもん見たなあ。
5時に上がって、JT、なかむらさん、BZ(g)とロックバーMへ。なかむらさんは先に帰る。本当に疲れてたのね。
その後入ってきた、体のでかい外人客。重低音のメタル系インストがお好きなようで。リクエストしまくるのだが、どれも長くて、CDプレイヤーの表示が9分とか16分とか出ている。・・・うええ。
こっちが対抗するとしたら、何をリクエストしたら一番嫌がるかな?と3人で盛り上がる。結局私が、とにかく一発短いの聴きたいなあと思い、ジョニー・サンダースの'Chinese Rocks'をかけてもらったら、かかった途端にその外人客が帰った。・・・威力すげえな、ジョニーw
Johnny you're too bad (ジョニーは最悪) *Johnny Too Bad / Lords Of The New Church (1983) の歌詞。
2006年12月06日(水) |
You're gonna know me now |
結構な寒さ。夜、冷えきったNobu(b)が来たので、買っておいた赤ワインを飲む。体を温めるには室温の赤ワインに限る。いつものジンでは駄目だ。ジンはもともと医療用の解熱剤なんだから。
音楽DVDを見ていたら、Nobuが「このドラマー、叩き方ヘンだよ!」と言う。見れば画面はフー。・・・キース・ムーンの映像を見るのが初めてなのか。そりゃびっくりするだろうなあ。「ベース上手いなあ」とも言うNobu。・・・ああ、フーの映像を山ほど見せてやりたい。ワイト島もウッドストックも。映画の「トミー」も。
キース・ムーンほど、誰もに愛情込めて「おかしい」呼ばわりされるドラマーが、アーティストがいるだろうか。そして誰もがそれを絶賛の代わりとして口にする。・・・実際キース・ムーンの音を前にすると、その言葉しか出てこない。
皆がツェッペリンのボンゾを「凄い」と言い、キース・ムーンを「おかしい」と言う。けれどそのふたつは同じような感激に裏打ちされている。
そして、キース・ムーンの横でベースを弾いているジョン・エントウィッスルは、個性派集団フーにおいて実は一番異常だ。静かに一人別世界にいて、誰のことも気にしていない。シルクのようになめらかなやわらかな狂気は、触れるものの指がすべり落ちるつかみどころのなさだ。
そのリズム隊の二人が死んで、一昨年のロック・オデッセイは観に行く気になれなかったし、後で映像を見ても全く後悔しなかった。───同じ日のエアロスミスの映像を見た時は、行かなかったことを心底後悔したけど。
今日、夕方OS(g,b)から電話があったので、授業中だから夜遅くにかけ直すよう言ったら、また30分後にかかったので、夜の0時にかけてくれてと指定したが、更に2度間をあけずにかかった。そして結局、夜にはかからず。
・・・相変わらず脳に虫がわいたままなんだなあ。
You're gonna know me now (これから俺を見せてやるよ) *Out In The Street / The Who (1966) の歌詞。
2006年12月04日(月) |
But you're the only one who can make me feel like this |
武道館。先行予約の抽選で取ったチケットは、アリーナ真ん中のBブロック。とはいえ整理番号176番では、そう簡単には最前に行けないと思っていたら。
気づいたらど真ん中の前から2〜3番目にいた。右手を伸ばして、前の手すりをつかみ、死んでも放すもんかと思った。私の前にはやたら背の高い男が二人並んでいるが、その二人の肩の間の広く開いた空間に視界が開けていて、そこにドラムセットと、その前のスタンドマイクがしっかり見える。
そこにデイヴ・グロールが、普通に現れて、私の予想、いや確信していた通りの一曲めを歌った。───何で確信していたのかって? これじゃなきゃ嫌だったのよ。
待ちに待ったフー・ファイターズ。一曲めは"All My Life"。
私とフーファイが出会った、記念すべき、"One By One"の一曲め。
すぐそこにデイヴがいる。黒ずくめの格好の、一番デイヴらしいデイヴだ。
音響があまり良くない。音が小さい。けれどあまり気にならない。フーファイだ。すぐそこにデイヴがいる。その後ろにテイラーがいる。脇の二人は首を曲げないと見えないけど。正直そっちはどうでもいい。
わくわくする。嬉しい。家を出た時から、いや、チケットを取った時から、ずっと嬉しくて嬉しくて。
フーファイは不思議だ。私がロックに対してずっと持っていた美学を見事にぶち壊した。そして今までどのバンドも与えなかった感覚を与えてくれた。───喜び。生きる喜び。
カート・コバーンが死んでニルヴァーナというバンドがなくなったことで、フー・ファイターズは生まれた。カートという偉大な「負」があり、それに抑えられていたデイヴ本来の個性が、カートの死によって爆発したのがフーファイだと思う。カートが死んだ時、誰がこんな展開を予想しただろう。粗野で力強い「正」そして「生」のエナジー。
3曲目の"Best Of You"で感極まり涙ぐむ。この曲にこんなに感動するのは、やはり"Skin And Bones"のアコースティック・バージョンを聴いたから。
続いて"Times Like These"だったので、思ったよりタイミングが早かったこともあり、さぞや号泣するかと思ったこの曲にわりとすいっとはまりこんだ。でも───ああ、この何ともいえないポジティヴな決意、切ない決意、生きていく決意。2002年以前に死んだ全てのロック・アーティストに、これを聴かせてやりたい。───カート・コバーンが降りてきてこれを聴けばいいのに。
デイヴが喋る。日本人にもわかるように、ゆっくり一語ずつはっきりと。
8年前の赤坂ブリッツ公演で、俺は5、6曲やった後に腹痛をおこしてトイレに行ったんだ。そのまま二度と戻って来れなかった。そんなことをマイクを引き下げて中腰になってみせて喋る。客は大爆笑で、私もげらげら笑った。ロックのライヴでこんなに笑ったのは初めてだ。
"Learn To Fly"の出だしの"Run and tell all of the angels"という音の快感にうっとり。次いで"Stacked Actor"は間にギターのかけあいやドラムソロも挟んでかなり長くやる。
「俺はテイラーを愛してるんだ」と喋りだすデイヴ。「本当に愛してるんだ」「愛してるよテイラー」とかなりしつこい。「愛してるってなかなか言えなかったりするけど、今夜は告白するのにうってつけの夜だ」
・・・他のメンバーとこんなに差をつけてもいいのか?とこちらが気になる。そりゃ私としても、フーファイは正直デイヴとテイラーがいればいいのであって、他のメンバーは名前さえ知らないが。
実は後の方でメンバー紹介もあったのだが、何とデイヴがテイラーに、「こいつらを紹介したら?」とひとこと言って任せたのだ。・・・うわ〜。
テイラーに捧げた"Big Me"を甘い前戯にして、'DOA'───ああ、私としちゃここが今日のクライマックス。愛の囁きのような、しかししっかりと元気な"Generator"へと続く。
この時の私の状況は、とにかくぎっしりと人に埋まり、前の手すりをつかんだ右腕は前にいる男の肘打ちにさらされ、髪の毛は始終何かにからまって引っ張られもみくちゃにされ、姿勢が不安定なため体重は常に片足にかかり、暑いし、横の男は汗臭いしで。
いつも思う。閉所恐怖症で、動きが制限されることが何よりのストレスになる私が、よくこんな状況で1時間半とか2時間平気でいられるなって。今日はそれほどでもなかったようだが、レッチリやハノイのオールスタンディングの時(どちらも最前ど真ん中かそれに近い位置にいた)なんて、気が遠くなって係員に運ばれる客が後をたたなかったのだ。
そして普段なら、パニックのことを考え始めるのが一番パニックを誘発する筈だが。ライヴの時に限っては全く平気だ。がんとして、パニックを寄せつけない何かがある。
時々、頭上にひとが降ってくる。ダイヴするアホ連中の一番信じられないのは、そこで退場させられるということだ。いつもならそういうアホが私にぶつかってきやがった時は、遠慮なく一発入れるのだが。残念ながら今日は右手が手すりをつかんでいて使えない。係員が目つき鋭くしてこちらに歩み寄るたびに、「来る!」と思って首をすくめて乗り切る。
ラストは"Monkey Wrench"。この曲が一番好きな三好くん(b)が、後ろから声をかけてきて「これが聴けて感激した」と言った。・・・そう、実は今日は連れが二人いるのよ。・・・ジンナイくん、どこ行ったんだろ。オールスタンディングのライヴで最前にいるとたいがいこうだな。はは。
もったいぶった間をあけずに、ほどなくアンコール。朝から何故かずーっと頭の中で連続再生になっていた曲───"Break Out"だ。今回も途中を客に歌わせた。私もしっかり歌う。
レッチリのライヴの時などは、横で大声で歌う客を「アンソニーの声が聞こえない!」と威嚇したりしたものだが。これがフーファイだと、全員大合唱ありありという感じになる。
フー・ファイターズは、私が他の多くのアーティストに抱く神聖な畏敬の念といったものを全く感じさせない。ただひたすら、嬉しくて満足して、────感謝する。そう、感謝する。
ありがとう。今日ここに来てくれて。
締めはお馴染みの"Everlong"。やっぱりこのイントロはじわっとくるな。
今日やった16曲中、2ndからの曲は"Everlong"を含めて5曲と結構な割合だ。引き換え、私の一番好きな4thからはよく考えたらたったの2曲。しかししっかりとツボをおさえてくれたせいか不満には感じなかった。
最後にスタッフがピックを数枚会場に投げ込んだ。途端に最前部が大騒ぎになる。今までで一番の大揺れ。・・・勘弁してよ。私はモノなんかいらない。ハノイの時にキャッチしたマイケルのマラボーも、後でみーこちゃんにあげちゃったくらいだ。そう思っていたら。
前の男の肩に当たったピックが、私の手の上にころんと転がり落ちた。
誰も気づいていず、床をはいつくばって探している。
はは。すごいオマケだ。何だか嬉しい。
三好くんと九段下駅で別れ、ジンナイくんと新宿へ飲みに行く。ハートフォード・カフェともう一軒。ジンナイくんにタクシーで送ってもらい3時帰宅。
setlist
But you're the only one who can make me feel like this (他の誰もこんな感じを与えてはくれない) *The One / Foo Fighters (2002) の歌詞。
Nobu(b)は15時過ぎにうちから出勤。私はその後、リンゴを食しつつ、メールの整理や返信。
今うちの冷蔵庫がリンゴだらけだ。いつも買っているのに加え、英語の生徒(長野出身)、Nobu(青森出身)、実家から、たて続けにいただいたり届いたりしたのだ。自分で買ったのは安物だけど、他のはみんなブランドリンゴで嬉しい。
もともと好きなのと、ダイエットの為もあってデザート代わりにしているんだけど。リンゴってのは何だか、きれいな食べ物って気がして好きなんだ。食感も、食べる時の音まですっきりしている。
夕方、BLACK出勤前にコンビニに寄り、レッチリの東京ドームのチケットの予約番号を伝えて発券する。夕べ深夜に当選通知メールが来たのだ。
そしたら。何と。アリーナA4ブロック30番台!!!!!
ぴあの抽選予約だったのだが、ネット上で他の人たちの結果を見ても、ほとんどがスタンドで、たまにアリーナでもCブロックなどが多い。なのにA4! しかもこれだと前から3〜4列目だ。
興奮して、コンビニ店内で「・・・やった!」と叫ぶ。
今日もBLACK終了後にジンナイくんとMotherで飲む。ジンナイくんがオアシスをリクエスト。おお、きみはいい奴だなw
好きなシンガーはいっぱいいるけど。声の質で言えば、リアムはトップクラスに来る。この語尾を粘っこく引き伸ばす歌い方は、デビュー前にプロデューサーだか誰かがリアムがたまたまそういう歌い方をしたのを聞いて、「今のいいじゃないか! それでいこう」と薦めたんだとか。・・・誰だか知らんが、お前は偉い。
リアムは男としてもかなり好きだな。見た目も声も性格も、最強のアホなのもぐっとくる。でもこのタイプとつきあうのは無理だ。ものすごく自分勝手そうだから。
私、何だかんだ言って、やさしい男が好きなんだよね。実はね。
リンゴ *矢野顕子の曲。(1986)
前の日記へ |次の日記へ