ユミコのメモ箱
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仕事帰りに銀座のお目当て&行き当たりばったりのギャラリーを数件回る。 いいな〜と思ったのや、う〜んあと一息というのや、おおこれは生理的に受け付けないというのや、いろいろだった。いずれにしても、ちょっと刺激をいただいて帰途に就く。
先日たまたま立ち寄ったホームセンターでホシガメを見た(売っていた)。 てのひらサイズのホシガメ・・・・これが25cmにもなるのか、25cmくらいならなんとかなるな、とか感慨深く思いながらも眺めるにとどまった。
日本橋三越本店新館7階ギャラリーの『山口晃展』と、お茶の水のギャラリーf分の1の『山中現展』を観る。
どちらもG大の先輩にあたるわけだが、作品を直で観るのははじめて。 対称的な展覧会であったがそれゆえどちらも楽しめた。
前者の入り口付近最初にあった油彩画の、三吉と小吉の漫画の会話に、唸ってしまった。他のどの絵も熟読してしまった。会場はかなり賑わっていたし、なんだか圧倒された。すごい。
後者の木版画の、緊張感のある静寂さ、でも優しい感じが好き。版画っていいな、と思った。
江戸東京博物館で開催の『川端龍子展』を見る。 『会場芸術』という視点が、気になった。 ひとつひとつの絵を鑑賞する、という感覚ではなく、絵のかもし出す空気感、絵に飲み込まれるような感じ、ここにはいない作家の存在を感じ、その中で自分の存在を確認する作業・・・そういうのが、私は好きだ。
大きい絵はそれだけで力がある。
日本画って、近寄って見て離れて見て、二度美味しいなと思う。
常設もはじめてゆっくり見た。楽しめてとてもよかった。 あと、映像ライブラリーも。
24azabu.net exhibition 2005 デザイナーズ・メーカー展vol.01 ↑昨日のメモ箱で紹介した展覧会です。(会期は終了しましたが・・) 左の写真はその一画。中国の古い棚をリメイクしたかっこいい家具と一緒に並んでいる絵は私が学生の時の墨+リトグラフの作品です。
2005年11月10日(木) |
代官山〜用賀〜上石神井 |
代官山ヒルサイドアネックスで開催のとあるデザイナー集団の展示会に、私の10年前の作品がちょいと紛れ込んで飾られるというので、どんなものかと見に行く。(写真はまた明日。) 今日が最終日で、そっくりそのまま大阪に巡回するとか。10年前の作品、いってらっしゃ〜い。(近頃大阪に縁があるなあ)
その後、世田谷美術館の『若林奮』版画展を見に行く。彫刻家の、版画展。 先月まで多摩美美術館のドロ−イング展を見はぐっている。今日も時間がなかったけれど、駆け足で(砧公園のドングリを横目に・・)。
・・・時間がなかったことを、大変後悔する。 別の大きな企画展と同時開催ということ、入館料が安いこと、版画に限った展示であること、などから、実はあまり期待をしないで「短時間で流して観れるだろう」と思っていたのが間違い。
私が常日頃版画に感じてしまう希薄さが全くない。版画集となると圧倒的な物質感を持つ(平面なのに)。生まれてはじめて「リトグラフっていいっ!」としばし立ち尽くす(リトをやっているのに、過去にリト作品に感動したことがない)。エッチングの上にガッシュで手彩色している作品もすごく好きな感じ。
版画を版画と捉えず、これがまさに『ひとつの表現手段』として『利用』しているカタチじゃないかな、と私は思う。私も版画を脱ぎ捨てて、此処を目指したい。
12月のワークショップでお世話になっているSさんと西荻で待ち合わせをして、打ち合わせの打ち合わせの打ち合わせをした後、さらにトップのYさんとはじめましてで打ち合わせの打ち合わせをし、バスに揺られて杉並区立上井草児童館へ。児童館の担当の方々と打ち合わせをする。 みなさんとても理解のある良い方々ばかりで、打ち合わせもスムーズに、気持ちよく進む。本番が楽しみだ。
その後、Sさんと共に児童館から歩いて20分程のM&Aさんのお宅に伺い、飲み会。mさんもいらしてた。5人でM&Y家特製地ビールや、Yさんの「そこいらのレストランより美味い料理」(Sさん談)や、やきいも焼酎などなど美味しくいただく。自己流改築した屋根裏部屋の書庫を、梯子をこわごわのぼって拝見、感動する。
帰りは西武新宿線上石神井駅が最寄りということで、15分程歩くと駅前が見えてきた。
おっ? 見覚えのある駅前風景・・・・ そうだっっ!! ここはG大寮の最寄り駅だった!思い出した! 寮生だった友達のところにおしかけて、よく飲んだなあ〜 寮祭でサンバったなあ〜、なつかしい・・・・ しみじみと、でも小走りで改札を抜け、快速電車に飛び乗る。
仕事帰りに文房堂(神保町)に寄り、そのあと伊東屋(銀座)に行く。それぞれ仕事(子ども)の買い物を済ませた後、毎年恒例のお買い物。
その1。カレンダー。 いつものMoMAオリジナル月の満ち欠けカレンダー。 『星の王子さま』にも惹かれるが、断念。 卓上『リサとガスパール』は、先日、人から戴いたので、アトリエで使おう。
その2。手帳。 手帳を選ぶ上で重要なのは、『大きすぎず、小さすぎない』『軽い』『カレンダー式マンスリータイプと、日記の書けるウィークリータイプを兼ね備えている』『かわいい』、このすべてを満たしていること。
大本命のミッフィーは、すごくかわいいものは大きく重たい。 手ごろな大きさ軽さのものはかわいさがいまいち。
と、ペラペラめくって悩んでいると、隣に20代半ばと思われる女の子が来て、同じくミッフィーの手帳をペラペラ。連れの女性に「かわいいよー、ほらー!」と黄色い声で言っている。 「そうだよね、かわいいよね、ミッフィー!」と心で頷いていた私をよそに、その女の子が声色を急変させ、「あー、でも歳を考えなくっちゃっ」と言い放ち、ササ−ッと別の棚に移動・・・・。
ちょっとムッとして、「ええい、大きくっても重くっても、いいかーー!?」と思ってめちゃくちゃ可愛いミッフィーにしちゃおうかと思ったが、ここはひとつ冷静になって、今年使い勝手も可愛さも申し分なかった『リサとガスパール』で、来年も決定。
12月に開く子どものワークショップに向けて近く打ち合わせがあるので、そのための『試作品』を制作。
『原形をとどめなくてもよい本』を持参してもらって、それをもとにオリジナル本を作る、というワークショップ。 手元にある児童書のうち、どれを犠牲にしようか・・と考えた挙げ句、かみやしん作・絵『かぶとむしがほしい』にした。
かみやしんさんは、私のG大時代の恩師である。 現代美術作家(このくくりもいかがなものか・・わからんが、まあ分りやすく言うと。)であり、実は絵本作家でもあるセンセイ。そのセンセイの本。
実は以前、この本を古本屋で偶然見つけて手に入れたのだが、つい先日、またまた古本屋で発見したばかりなのだ。また買うことを誓って、使わせていただきます・・・
はじめは目をつぶって「センセイ、ごめんなさいっっ!」と念じながらページにハサミを入れたが、だんだん調子がでてきて、楽しくなってくる。・・・もしかしてこの制作、めちゃくちゃ楽しいかも・・(そりゃ、私が考えたんだもん)。
かみやしんと、(勝手に)コラボレーション! イエイ!
『児童書を元に、いかにエロを内在させた作品を生み出せるか』 をテーマに掲げ、作ることにした。 でも、あくまで私らしい上品な『エロ』。 『上品な』とは、先日足利で作品ファイルを見せた時に言われた印象。
で、この『かぶとむしがほしい』、児童書にしとくのはもったいないくらい、ラストがシュール。しかも主役は『カナブン』。いい。
時間がないのでひとまず『試作』だが、いずれは私のれっきとした『作品(コラボレーション)』として、完成させたいと思う。
ま、人様の目に触れることはまずないと思うが・・・・
足利美術館へ行く。
長谷川沼田居展を観る。 何の予備知識も興味も持たず、足利に根ざした農村画家かと見始めたが・・・目からウロコ。 この人、何っ?誰っ?・・・という感じ。 最期まで自己と対話し続けたその絵の幅広さ、そして奥深さに、軽いショックを受けた。 晩年の書の作品、そしてそこに至る過程にも見える『かきつばた』シリーズ、そしてなによりも『自画像』『キリスト』シリーズには、開いた口が塞がらず、虜になってしまった。もう、「びっくり」の一言につきる。 テキスト満載の図録を購入。詳しく知りたい。
今日ここまで一緒に来た作家のTさんと、喫茶コーナーでいろいろお話する。最近ちょっと制作のことで考えていることを話すと、御自分の体験談を聞かせてくれる。結局もがきもしないないとねー、みたいな。そうですよねー、そういう時期もありますよねー、と一寸軽くなる。
この長谷川沼田居への『オマージュ』作品として出品している作家のひとり、Oさんにいろいろとお話を伺う。 Oさんの制作における、そのストイックで宇宙的なやり方に、またまたショックを受ける。物凄く納得!するけど、でもびっくり。 絵を描くって、なんなんだろう。そんな原点に戻りたくなるお話。
ああ、今日はなんて刺激的な1日。いい刺激だけど、びっくりの連発で気疲れした。
足利の夜は、まだまだ続く。
閉館後、近所のうなぎやさんで夕食。うな丼、焼き鳥、日本酒、などなど、美味しかった。若林奮や駒井哲郎、川俣正などの小品が壁にかかっている、変わったうなぎやさんだ。 ここでようやく今日1日持ち歩いた重たい作品ファイルを、学芸員のEさんと民俗学者のKさんに見ていただく。本(立体)の作品についてや、言葉遊びについて、お話する。ちょっと盛り上がって館林のギャラリーでまた会う約束を交わす。
ところで足利美術館には、来春『十葉扁舟』を出品した『ABOVE THE BOOK』展が巡回することになっている。
帰りの電車の中で、今日足利に誘ってくれたSさんと、12月に行うワークショップの打ち合わせをする。実はコレが本日の目的。行きの電車で行き詰まった話が、帰りはなんとかかんとかカタチになった。カタチが見えてくると、ちょっと安心。本日のメイン・イベント、30分で完了。
足利、古き良き街。市内観光はほぼ出来なかったので、是非また訪れたいな。
かわいい感じのアートは、否定はしないけれどあまり好きな方ではない、と思っていたのだけれど、そうでもなかったことに、今日気付く。
むしろ好きなのかもしれない。いや、確実に好きなのだ。
私は今までに4枚の絵を買ったことがある。 いづれも同年代の女性作家さんの、小さなドローイングや版画作品である。 内3枚は、ちょっとかわいい感じのする絵である。そういえばね。 もう1枚の絵も抽象だけれど、淡く渋みのあるピンク色の、きれいな絵。
私はそう遠くはない将来、ディック・ブルーナの版画を買いたいと思っている。これはちょっとした夢である。ブルーナは、『ミッフィー』でお馴染みの作家。
ここにあげたどれもこれも、『かわいい』感じはするけれども、その奥にある不思議さとか怖さとか懐かしさとか前向きさとかが気になる。
ただただ『かわいい』だけでは、たとえそれが絵本でも、だめなのだ。
かわいさの向こうにある普遍的な完璧さ。きっと、そういうところに惹かれるのだ。
ところで昔から私にはひとつ腑に落ちない問題がある。 『すきな絵』と『描きたい絵』が、一致していないという事実である。
素直に『すきな絵』を描けばいいんじゃないか、ってこと。
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