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2004年08月25日(水) |
ゆこう ゆこう(夢枕獏『陰陽師 鳳凰ノ巻』) |
夢枕獏『陰陽師 鳳凰ノ巻』読了。
とりあえず読んどくかー、くらいの気持ちで読み始めたシリーズだけど、 なかなかどうして、適当にはまってる。 この場合の「適当」はgoodの意味ね。
読みあさるっていうほどがっつくこともなく、 なんか読むもんないかなあ、っていう時にちょうどよい。 おかげで、何年か前から読み始めたけど、 まだシリーズが残っているっていうのは嬉しいね。
「どうだ、行くか」 「むむ」 「ゆくか」 「うむ」 「ゆこう 「ゆこう」 そういうことになった。
おおむねこんな感じの、毎度のパターンが心地よいのだ。
2004年08月19日(木) |
「熊」でなく「クマ」でなく「くま」なのがいい(川上弘美『神様』) |
川上弘美『神様』読了。
かつて、谷山浩子主演のラジオドラマ(朗読?)で聴いていたので、 そのときのほわほわした雰囲気が甦ってきた。 淡々として、心地よくて、どこかうら寂しくて、なんか不思議。 なるほど、谷山さんの世界とぴったりリンクするのだなあと思った。
人の神様は人のよう、くまの神様はくまのよう。 ほわほわした真綿のような世界で、ふいにドキリとする一言。
わたしも、くまの神様に少し、祈ってみようかと思うのだった。
秋田最終日。今日も雨。 予報の大雨が怖いので、田沢湖行きは中止にして、 帰りの新幹線も早い便に変更。
午前中、暇ができたので、新潮社記念文学館と西宮家へ。 新潮社記念文学館には、でっかい新潮文庫『雪国』がある。 のはいいけれど、中身はちょっと物足りなかった。 とことん、角館と佐藤義亮(新潮社の創立者)にこだわってくれたらいいのに。
秋田2日目。角館へ。>>>photo
予想以上に在来線の本数がない! 3時間に1本くらい。びっくり。 同じ線路使っている、新幹線のせいだろうか?
雨で、レンタサイクル作戦は断念するも、 ぼちぼち散歩するにはちょうどよい。 勇ましい声がするので、なんだろうと思うと、 武家屋敷町にふさわしい立派な武道場で、薙刀の稽古をしていた。
武家屋敷と言っても、茅葺きであったり、 とても庶民的なイメージがした。 祖母の暮らしていた田舎の家を思い出し、 ついつい匂いを嗅いでしまうのだった。
2004年08月16日(月) |
興奮!緊張!感激!! |
伊勢英子・絵本原画展を観に、秋田へ。
新幹線の車窓から眺める雲の展覧会。 そう、盛岡までの空といえば、伊勢さんが雲をスケッチした空! ビルが減り、田畑や山が増え、空気が澄んでくる。 すじ雲、いわし雲、積雲、入道雲……知らない名前の雲がいっぱい。 伊勢さんの雲がいっぱい。 同じではないけれど、同じ雲を、空を見ている。 だんだんと伊勢さんに近づいていくと思うと、それだけで興奮してしまう。
秋田着。 ホテルに荷物を置いて、展覧会へ。 おお! 伊勢英子さんご本人が! ちょうど、サイン会(?)のタイミングらしい。 絵本2冊を早速購入。サインをしていただく。 興奮と緊張が一気に高まる。
やっと展覧会へ。 出だしの「レクイエム」は観たかった1枚。 思ったより大きい。圧倒される。感動。 順路に従い進むうちに、ひまわりのタブロー連作が。 大好きな「永遠のそこ」が! 去年、安曇野で吸い込まれそうになった、あの作品が! 再びこうしてまみえようとは!
立ち枯れのひまわりと、よだかの星。 ゴッホと宮沢賢治。 孤独で、切なくて、美しい。 今年もまた、吸い込まれそうになる。 またこの作品を見られて、もう嬉しくてたまらない。
去年は、一部歯抜けで展示されていた『1000の風 1000のチェロ』。 今年は、全部通しで見られた。 100号のタブローもあった。 その他、いくつもの絵本原画を見て満足満足。 ついでにもう1周しようかと、うろうろしていると、 パシャパシャ写真を撮っている人がいる。 いいの?こんなとこで、と思ったら、協賛の柳田邦男氏。 う〜ん、関係者だしいいのかな〜、そういえば、ダメとは書いてないなあ。 思いつつ、再びひまわりの連作前へ。
と、そこにまたも伊勢さんが! 去年、安曇野の展覧会を観たことなど、連れが話かける。 伊勢さんは、とっても気さくな人で、 新宿と安曇野で交互に展覧会をしていること、 ひまわりの連作は、去年の安曇野がデビューだったこと、 このひまわりは、実は穂高のひまわりだってこと、 こんな暗い作品を描く人に見えない、とよく言われること、 などを話してくださる。 もう、感激するやら、緊張するやら、わたしはろくろく返事も出来ず。
すると、伊勢さんが「せっかくだから写真を撮ろう」と! 恐縮しつつ、お言葉に甘えて、2枚も撮っていただいてしまいましたとも。 「永遠のそこ」と「秋桜」のところで。
ああ、もう感激でお腹一杯。
夜は、展覧会会場でのチェロコンサート。 伊勢さんのチェロへの想いも聞け、大満足。
伊勢英子さんは、 どこからそのバイタリティーが湧いてくるのか、不思議なくらいに華奢で、 そして明るくて、素敵な女性でした。
アテネオリンピック開幕。 正確には、8/13スタートだけども。
こういう、なんとなくみんなが同じ方向に向いて、 盛り上がるのは、嫌いじゃない。 むしろ、好き。 体育祭とか、文化祭とか、 これぞまさに「ハレ」の日、という高揚感が好きだ。 (同じ方向向いてっていっても、戦争なんかは、嫌だよ。 なんでこんなときに、停戦できないんだよ!)
マイナー競技に頑張ってほしいな。 マイナーっていっても、日本でそうなだけのもあろうが。 一所懸命なのが好き。 ソフトボールとか、女子サッカーとか、ホッケーとか、 変にプロっぽくズレてないのがいいんだな〜。
2004年08月12日(木) |
あえて少年の成長物語といいたい(あさのあつこ『バッテリーII』) |
あさのあつこ『バッテリーII』読了。
あとがきで「少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などと貶めたりしない」と書かれてしまった。 でも、そうでしょう?
少年は、自分を信じて、 信じきることで(信じきろうとすることで)、 大人も巻き込み、周囲を変えていく。 その影響力たるや、すごい。 間違いない。 でも、そうありながら、少年自身も変わっていく。 けして妥協するのではなく、より強く大きく。 これを成長といわずして、なんというのか。
大人のやり方、大人の事情に染まることが、 「成長」ではないでしょう。
それに、もう一人の少年だって、やっぱり変わっていく。 大きく、強く。 常に悩みながら。 そして、悩みの質が変わっていく。 それもまた、ひとつの成長。
そういう、若くて、稚拙で、 でもエネルギーに満ちていたときが、あったんじゃない? わたしにも。 読んでいると、なにかこう、胸がわくわくするような、 懐かしいころに戻るような、そんな興奮がある。
2004年08月07日(土) |
幼いが故の自信(あさのあつこ『バッテリー』) |
あさのあつこ『バッテリー』読了。 夏の甲子園、第86回全国高校野球選手権大会、開幕。 偶然だけれど、ちょうどタイミングがよい。
正統派、青春ストーリー。少年の成長物語。 これは果たして児童文学か、というくらい読みごたえあり。 いや、中学生にもなれば、このくらいの文章読むか。
自分の体を細胞レベルで感じとるって、 本当にできるもんなんだろうか。 まして、12歳か13歳かそこらで。 でも、きっといるんだろう。そういう人。 「天才」というんじゃなくて、集中している人。 そのために生きている人。 極めるって、そういうことか。
絶対的な自信家。幼いがゆえの、自信。 大人びているようでいて、実はまだまだ子供。 うまく描かれている。 少年たちの今後が楽しみになる、すがすがしい一冊だ。
***** ミュージカル「ピッピ」を観てきた。 ピッピ=篠原ともえ、篠原ともえ=ピッピ、というくらいのはまり役。 ある程度予想していたが、これほどとは。 ええ、見直しました。 それと、パパ役の力也がよかった。 名コンビです。
2004年08月04日(水) |
精神世界への引きこもり(小川洋子『偶然の祝福』) |
小川洋子『偶然の祝福』読了。
ひとりの女性作家を軸にした連作短編集。 よりそう、犬、幼い息子、 そしてつきまとう「弟」。
主人公が自身の精神世界へ「引きこもろう」とする。 なんとなく、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に 雰囲気が似ているような気がする。
悲劇でもないが、ハッピーエンドでもなく、 最初、すこし扱いにくい物語だと感じたけれど、 次第に引き込まれていった。 バランスの危うい不思議な雰囲気の漂う世界。
あくまでも後ろ向きなのだけれど、 一応これは、ハッピーエンドなのかな。
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