ぶらんこ
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昨日、何気なく夫に話したこと。 外国人であるわたしのほうがお通夜とかお葬式への参列が多くなってしまって、不思議というかなんというか・・ 職業柄だからしょうがないと言えばそれまでだけど、最初はあんなに戸惑っていたのにね。 そんな話をした数時間後、義母から親戚が亡くなったという知らせが入った。 咄嗟に、あんな話しなきゃ良かった、、と思った。けっして軽々しい気持ちで話していたわけではないのだけれど。
実はこのところ、うちの施設の居住者さんを何人かお見送りしていて、少し気が滅入っていた。 死んでいくことを止めることは出来ない。 病んで、弱っていくひとを見る(看る)のは、キツい。その周りにいる悲しむ家族を見るのも辛い。 それでも、悲しいとかしんどいとか、そんな気持ちをちょっと横に置いて、部屋に入るときには深呼吸して気持ちを切り替える。 出来ることは少ない。 丁寧に、心を込めて。 敬う気持ちを忘れないで。
死んでいくことに対する気持ち、心の持ちかた、というのは人それぞれだ。 家族でもそう。家族のひとりひとり、みんな、違う。 そして、どれが正しくてどれが間違い、なんてことはない。 どれもこれも、そのひとの心の在り方なだけ。
だから、自分の心の在り方について、考えている。 自分はどうしたいか。
まだ考えはまとまらん。 けど、まんまんなかはわかっている。 ただ、ぽつり、ぽつり、と、思うことを。
大勢の人に混じって雪山を登っているのだが、ちゃんとした靴を履いていなくて大後悔している。 いつもどこか抜けている。詰めが甘いのだ。
登る途中で色んな問題が出され、わからないなりに解いていく。 回答が正しいのかどうか、それさえも怪しい。だが、そんなことには構ってられない。とりあえず登ろう。
そんなことを繰り返しながら進んでいくと、山のてっぺんのほうから声がした。 見るとスーツ姿の友人。 彼は登ってくる連中(わたしたち)に向かって「しっかりしろー君たちは大丈夫だから!」とか言って励ましていた。 そのとき、あぁそうだった、この受験に受からんといかんのだった、と思い出す。 また、そうだった、彼は教師だった、情熱的な素晴らしい先生だった、と思い出し、元気が出て来た。 と同時に、彼と目が合い、友人はわたしに向かって軽く手を振ってくれた。 わたしは、手を振り返しながら、どうだーわたしはあの先生と知り合いなんだぞ〜、と、周囲の連中に対して誇らしい気持ちになった。 ばかばかしいくらいに子供じみている。
と、その直後に山が ぐらっ と揺れて、 あ〜〜れ〜〜〜〜
振り落とされた。 どこかにしがみつく間もなく、ものの見事に、あっけなく。
・ ・ ・
あんなところから落ちたのによく助かったな、、、と驚いたのだが、全員が落ちたわけではないことに気付き、はじめてわかる。
受験不合格。
ショック。 だけど、そんなモンだよね、なんとなく納得している。 下準備から出来てなかったもの。あんな靴じゃね。 大体に、登っている理由さえわからんかったもの、最初はね。
あーあ。友人は落ちていくわたしの姿を見て驚いただろうか。悲しんだだろうか。 いや彼はきっと大きく笑いながらまだ待っているだろう。
「しっかりしろー。君たちは大丈夫なんだから!」
・・・
懐かしい友人が夢に出て来た。 久しぶりに見た、元気そうな彼の姿だった。 わたしを励ましに来てくれたのか。 ありがとね。わたしは大丈夫。だと思います。
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