プープーの罠
2007年01月31日(水)

くるみのクッキー

ゴダイさんに誘われて仕事帰り
Sの誕生日パーティーに行く。

思ったよりたくさん人がいて
定まりどころなく立っていたら
八木君も後から友達を連れて来た。
何となく同じ輪で話をしていたが

その友達はえらく
商売的な話し方
をする人で、

私は割と苦手だ
と数年経って今さら気付き
そろりと離れて別の輪に入る。

八木君はちらちらと私を探している
ように見える。

八木君だけこっちに来たらいいのに。

別の輪に入ったところで
さして話すこともなく、
スモーカーの人はこういう時に
ぼんやりとしていても間が持つからいいよなぁ
などと思いながら、私はそんな理由でタバコを吸おう
とは思わないし、むしろ早稲田君の件もあって
嫌煙家の傾向。

手持ち無沙汰にカバンを持ってぶらぶらしてたら
いつの間にか傍に寄って来た八木君は
私の左側の肩甲骨にそっと触れ、
 ねぇあなたもう帰っちゃうの?
と言った。

 ううんまだ帰らないよ
と、私は答える。

引っ越して以来私は何かと家が好きで
もう帰ろうかと思っていた
けれど人知れずそれを少し延長した。

カウンタ式の狭い店内、
擦れ違うのがギリギリの幅を
はいちょっとすみません、と横切る
時にそっと八木君の背中に手を触れる。

もっと触りたいな。

2007年01月30日(火)

too late

早稲田君からメールが来た。


なぜ今ごろ?
誕生日のついでに存在を思い出したのか?

今ごろ誘われたって行く気はない。
もっと前に誘われてもそれはきっと変わりなかった
けれど、誘われる、というだけでも相当なストレスになる。

もううんざり。
私はそれを無視した。

次は長い長いメールが来て
やはりイイワケじみていてさらには
書いてるうちに自分に酔って盛り上がってしまったような、
それが私の悪意ある解釈だとしても
早稲田君と私が積みあげた二人の関係と照らし合わせたら
やはり真実味のない偽善的なキレイゴトでしかない。

 あの時は僕が悪かった
 すぐ謝るべきだったのに
 僕はそれすらもできない意気地無しでした


あの時、
とはどの時だろう。

追い返した日?
社員会?
花火?
映画?
旅行の計画?

思い当たり過ぎてどれだか分からない
けれど多分
どれでもないのだろう。
形式上のことだ。定型文みたいなものである。
意味なんてない。

優しく言っても真面目に言っても怒っても泣きわめいても
彼は私の言ってることをひとつとして聞いてはいなかった。

 『今はとにかく会って謝りたい。』


なぜ今さら。

ヨーコさんにモーションをかけてみた
が、反応が薄かったのか?
クリスマスが一人で寂しかったから
バレンタインはそうはなるまいということだろうか?
バレンタインは男は待ち構えるだけでいいからね。
私は返信をする。本当の最後の返信。

 『会う気はありません。』
 『君が許してくれるまで僕は待っています』

許すとは何を?
遅刻と歩きタバコを許容できるように変われと?

最後の最後まで呆れる人だ。
でも憑物が落ちたように
不思議ともう涙は出ない。

たとえ
口だけのメール
だとしてもそれは私の呪いを解いた。

2007年01月27日(土)

ターンオーバー

友達と待ち合わせ、
何年ぶりかに集まる。

一人遅刻するとのことで
みんなで話しながらちょっと待つことに。

そこへメール着信。
あっ連絡来た?
私は握って連絡を待っていた携帯電話を開く。

『よかったら今度食事に行きませんか?』

私は頭が真っ白になる。




早稲田君からメールが来た。

2007年01月23日(火)

delete

引っ越してまず、私は28歳になった。
また新しい年が始まる。

27歳の私はいいもんじゃあなかった。
怒ってばっかり、泣いてばっかり、
おかしな嫉妬にとり憑かれて
 こんなはずじゃないのに
と思いながらも、思い出は腫瘍のように
私の中で膿み、
ちゃくちゃくと腐敗していった。


日付が変わってすぐ、
早稲田君からメッセージがきた。

 『おめでとう』

よりもイイワケの方がたらたらと長いメッセージ。

それは相変わらず全体的に
 君のせいであんなことになったんだけど、
的 言い回し 或いは
私の悪意ある被害妄想なのか。

その長いイイワケの最後に
控え目に付け足された、
 『今でも好きです。』

私はお祝いのお礼の言葉と
 『今年はあんまり泣かないようにします』
と、皮肉または嫌味をそえて返信をする。

もう泣かない。
君の存在は私の中からまるごと消去するからね。

2007年01月20日(土)

身辺整理

偶然ではあった
けれど、部屋の退去期限と会社の社員会がちょうど重なり、
私は引っ越しを理由に欠席した。

1ヶ月前から決まっていた
のだから早く引っ越すこともできたし、
実際、社員会当日はぷらぷらと買い物をしたり
荷物を詰めたりしていた
だけで引っ越しは本当は明日。

が、早稲田君と同じ空間で丸一日過ごさねばならない
なんていう試練を今更こなしたくはない。

カナコさんの膝に座ろうが
ヨウコさんとクダを巻こうが
好きにすればいい。
私にはもう関係のないことだ

けれど、
不愉快
なのには変わりがない。


あと4ヶ月、
この会社と私の付き合いも
もうすぐ終わる。
未来の話をする会なんて、
私には必要のないものだ。

2007年01月04日(木)

MO

新年、
喪中なので挨拶は差し控え
なくともまぁ毎年
年賀状や初詣に行く習慣はなく、
友人もそれほど多いわけではないので
ぽつっぽつっと コトヨロ メールが来る程度。
お正月というのは静かな日々である。

三が日を過ぎた頃、八木君からメールがあった。

 『今年もよろしくね。』

去年はくれなかったのにどうしたのでしょう。
去年もそれほどよろしくしていないのに。

定型文の挨拶にいろいろ思惑を巡らせる私。

ともあれ今年もよろしくお願いいたします。
(すでに2007年も半分過ぎましたが…)

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「プープーの罠」 written by 浅田

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