小ネタ日記ex

※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。

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隣の何とか(笛/三上と渋沢)。
2008年06月22日(日)

 雨の日晴れの日、こんな日も。








 はらりとはかなく落ちる、黒い糸。
 何気なく床に落ちた己の髪の毛を、三上亮はじっと見つめた。寮のフローリングの床は素っ気ないキャラメル色で、その上に混じりけのない黒の糸が落ちている。

「…………………」

 篠つく雨が降る休日の午後。かねてより、若干の不安を感じていた事柄を三上はその黒髪で思い出した。

「どうした、髪でも抜けたか」

 揶揄するような声は、同室者の渋沢のものだった。二段ベッドの下段で寝転びながら本を読んでいる長身の彼は、笑って三上を見ている。

「別に、ちょっと抜け毛が落ちたのを見てただけだって」
「季節の変わり目は抜け毛の季節だな」
「……そうだな」

 この話はこれで終わり。そのつもりで三上が再度机の上のノートパソコンに向かおうとしたとき、同室者が小さく声を上げて笑った。

「ま、薄毛は遺伝子の問題が大きく関係するみたいだし、しょうがないよな」
「薄毛って言うな!」

 思わず本気で怒鳴り返すと、渋沢がぎょっとしたように目を見開いた。
 まずい。三上がそう思ったときはもう遅く、渋沢はまじまじと三上を見つめ返してくる。

「……気にしてたのか」
「気にしてねぇよ!」

 その気遣わしげな顔やめろマジで。
 やや襟足にかかる黒髪の存在を重く感じながら、三上は渋沢からふいと視線を逸らす。わざと右手で髪をぐしゃぐしゃにかき回せば、指に抜け毛の感触がついてぞっとする。
 ふさふさ茶髪の渋沢にこんな気持ちはわかるまい。

「うーん、まあ、こればっかりはなぁ。あ、海草食べるといいらしいな!」
「…あぁ、そーかよ」
「どれ、ちょっと前と違うか見せてみろ」

 真面目な顔をして近づいてきたサッカー部キャプテンに、今度は三上がぎょっとした。
 椅子の前に立つ、三上より十センチは背の高い同級生に思いっきり首を振って拒絶を示す。

「いい、見んな!」
「まあそう言うな、髪の量が少ないのはお前の評価に何ら関係しないだろ?」
「少なくねぇし俺のプライドには関わるに決まってんだろボゲ!!」
「まあまあまあ」

 にこにこする渋沢は、自分の特定の部位の量に絶対の自信がある派だった。
 がっとその大きな手で三上の手を押さえつけ、渋沢は斜め上の角度でいきなりにやりと笑った。

「…ほう、確かに手と頭皮までの厚みが」
「やかましい!!」

 お前は鬼か。
 三上が渋沢の無防備な腹に蹴りを加える寸前に、渋沢は相手から離れた。計算したバックステップで壁際に行くと、人畜無害を装った笑みを浮かべる。
 雨の日の湿気を含んだ渋沢の天然色の茶髪は、三上の目には小憎たらしいほどふわふわして見える。当人は量が多く髪質も固いその毛を持て余しているらしいが、三上からすれば嫉妬寸前の何とかだ。

「…ま、気にする必要ないさ、三上。誰もお前の毛の量なんて気にしない」
「お前いっぺん死ね!!」

 正論ほど当事者の胸をえぐるものはない。
 三上の手近にあったコードレスマウスが、見事渋沢の額にぶち当たった。









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 つまんない書き方ですね(自分突っ込み)。
 ネタはともかく、細部をもうちょっと書き込んで構成をうまく整えれば、もうちょっとおもしろい小ネタになるんだろうなー…と思いつつ、二十分でがーと書いたらこうなりました。
 顔マンガならぬ顔小説みたいな。
 リハビリ期間ということでご容赦いただければ、と思います。

 先日、元企業チーム所属だったラガーマンと色々話をしたのですが、「中高からスポーツ漬けで、寮暮らしが長い男子っているのは、アイロン掛けとか得意なんですよ」という話を聞き、いいじゃん三上と渋沢とアイロン! と思いました。
 その人の学校では、むしろスポーツ生ほどシャツや制服がびしっとしてないとダメだったらしい。入寮すると先輩からまず教えられるとか。
 ネタ的に大変おいしかったです。

 ところで、某あ●乃さんの日記で月9のk村さんを渋沢に、というくだりで「じゃあA部は三上だ!」と思った瞬間、いきなり楽しくなりました(でも実は最近見逃してます)。
 ラストフレンズはそういう妄想が出来ない系だったので…。

 そういえば個人的な感想でラストフレンズ、終わり方が色々消化不良でえーな感じでした。
 一つ言えるのは、宗佑はアレさえなければ本当に理想的な旦那になっただろうになー…ということでしょうか。
 みちるがいつまでも宗佑を吹っ切れなかったのは出会った頃とかの優しさとか幸福とかが大きすぎたんだろうなー、というのはわかった。それじゃ成長しないのでしょうけど、しょうがないじゃん人間って弱いだもん、と思う。
 一部がものすごくダメな人な宗佑だけど、良いとことかちゃんとしてるとこもあったのになー、と思いますが、その一部がダメすぎるからダメな人なんだよ!とすごい勢いで友人に否定されました。
 それにしたってジャニ系は身長はともかく、全身の体型というかバランスがすごい整ってて後ろ姿とかだけ見るとやけにまぶしい。






ブラック★ロックシューター(種/ラクス)。
2008年06月17日(火)

 もう逃げない、だけど逃げたい、人は弱く、心はいつも揺れるけれど、あなたがいる。








 あの日、少女は罪と救済を背負った。
 波打つ桃色の髪、可憐な青色の瞳。歌姫と呼ばれたうつくしい少女は、その声で歌うのではなく、戦場でイグニッションを叫んだ。

『わたくしは、ラクス・クラインです』

 自軍の象徴としての名乗り。救国の歌姫。そう呼ばれても、実際は国家に反旗を翻したテロリストの首魁に違いはない。自分たちの掲げる正義のために、幾人もの生命を奪った。
 人殺しの罪。けれどそれを喜ばしいものだと笑わなければならない立場。その狭間に立ったとき、すべての責任を放棄してラクスは逃げた。
 あの戦争で傷ついたのはラクスだけではない。家族を失ったのも、財産も生きるより所を失ったのも、ラクスだけではない。だというのに。
 一つの集団の象徴として起ち上がったなら、最後までその責任を全うすべきだという正論に背を向けて、自らが負った傷を癒すために逃げた。
 卑怯だとののしった人がいた。ラクスも、それが事実だと、今となっては心から思う。
 戦争終結を目指し、平和を歌いながら、武器を手に取り人をあやめた。矛盾した偽善だとわかっていたなら、逃げずにその偽善を歌い続けるべきだったのだ。
 はじまりの戦争が終結してからの空白の二年。それからまた一年後、ようやくラクスはプラントという国家の表舞台に戻ってきた。





 何かの音がした。
 うたた寝をしていたソファから、ラクスはうっすらと目を開ける。薄いグリーンの床と、低いガラステーブルが視界に入る。
「……起こしてしまいましたか」
 しまった、と言いたげに銀髪の秘書が苦々しげな顔をしてドアのすぐ横に立っていた。
「申し訳ありません、おやすみのところを」
「…いいえ、大丈夫です」
 寄りかかっていたソファから身を起こし、ラクスはシルバーがかったグレーのワンピースの裾を直す。昔のように淡いピンクの服は最近着ていない。
 軽く手櫛で髪を直すラクスに、秘書の青年はそっと鏡を手渡す。
「ありがとう、イザーク」
「キラ・ヤマトから通信が入っております」
 後にしますか、と言外に含んだ報告に、ラクスはそれは無用との気持ちを込めてほほえんだ。
「わかりました。次の予定までは何分ぐらい可能ですか?」
「移動時間に余裕ができましたので、五分…いえ、八分は可能です」
「では、そのぐらいで切り上げるようにします」
 小型の通信端末をガラステーブルにセットするイザークを見ながら、ラクスは深呼吸をする。
 キラと話すのは久しぶりだ。ラクスが故国に戻り、政治家として活動するようになってから、彼は地球に居を定めた。それ以来直接顔を合わせるのは、年に数回がいいところだ。
 機器をセットしたイザークが、いくつかの手順を踏んだ後、ラクスにその画面を向けた。
 ラクスが両手を広げれば一杯になってしまうような小さなディスプレイの中で、恋人が笑っていた。スピーカーから、明瞭な青年の声が流れる。
『こんにちは、ラクス』
「ごきげんよう、キラ」
 ソファの上で居住まいを正し、ラクスもにっこりと笑う。
『ごめんね、忙しかったかな』
「いいえ。連絡いただけてうれしいですわ」
『さっきイザークにしかられちゃったよ。休憩してたんだって?』
 声が聞こえたのか、部屋を出て行こうとしていたイザークが怪訝そうな顔をラクスのほうに向けた。
 ラクスが笑って大丈夫だとうなずくと、彼は眉間にわずかな皺を刻んだままその部屋を辞した。
「少し夢を見ていましたの」
『夢?』
「ええ。なつかしい夢でしたわ。…昔の、わたくしの夢です」
 ディスプレイの端に出る時刻を気にしながら、ラクスは話した。
 分刻みのスケジュール。プラントを支える政治家の柱として動き回る日々。プライベートの時間などほとんどない。キラもそれを知っていた。
『…寂しそうだね』
 そう言うキラのほうが、寂しげな顔だった。ふわりとラクスは笑う。弟に笑いかける姉のように。
「寂しいときもありますけど、大丈夫ですわ。キラがいますもの」
 そうかな、と言う画面越しのキラはあまり納得していないようだった。
 どうしてそんな顔をするのだろうとラクスは思う。笑ってくれればいいのに、と願うが、今日のキラはあまり笑ってくれない。
「それに、今はこの生活がわたくしの仕事ですもの。がんばります」
 ラクスが強く笑えば笑うほど、キラの微笑は薄いものになっていく。夜明けのような、貴石のような、澄んだ紫の瞳はラクスの強がりなどとっくに知っているようだった。
『ラクス』
「…大丈夫ですわ、キラ」
 忙しいのも、愛しい人に会えないのも、自分の指揮ひとつで誰かの生死を左右するあの空間に比べれば。
 つらくても苦しくても、もう逃げない。自分ではじめたことから逃げだしたりはしない。逃げだしたくなった今も、逃げたりはしない。
 幼くて気づかなかった過去の罪。どんな理由があっても、首魁として起ち上がった以上、最後までその結果を見届ける義務と責任があるのだ。
 そして、今はもうそれは義務ではない。戦争がない平和な世界。夢物語を夢で終わらせない。それが今のラクスの夢であり、信念だ。
 そして今は、政治家としてそれを叶えることが出来る力を手に入れた。
 寂しい夢を見た後のせいか、うまく言葉にできないラクスをじっと見つめていたキラが、不意に口を開いた。
『…愛してるよ、ラクス』
 微笑むことなく告げられる愛の言葉。
 ラクスの何を好いているとは言わず、ただ心の奥底にある透明なものだけを切り出した言葉。
 泣きそうになりながら、それでもラクスは泣かなかった。ええ、と静かにうなずく。
 疲れて逃げたくなることもある。楽なほうへ流されたくなることもある。甘い言葉に心揺れることもある。だけど、歯を食いしばってそれを乗り切るほうが、後悔したときの胸の痛みよりはるかにましだともう知っている。
 膝を見つめそうになって、ラクスは必死で顔を上げる。小さな画面越しに、今すぐ会いたい人を見つめた。
「…キラ。ずっと、見ていてくださいね」
 わたくしを。
 平和の地平を歌い続けるラクス・クラインを。
 ほんとうは、気高くもなく美しい心も持っていない、ただのラクス・クラインという返り血まみれの女を。
『もちろんだよ』
 かつてラクスの元で、優秀なモビルスーツパイロットとして活躍していた恋人は言う。
 戦争を起こした人間を罪というのなら、その戦場に立った者は皆、法では裁けない罪を負う。原初からある同族殺しの罪。現世の法で無罪になっても、心に巣くった罪深さは消えない。
 キラ・ヤマトはその罪を共有するひとりだった。
 二年の沈黙を経て、戦争犯罪人としての立場を自覚しながらも、故国のために再び起ち上がった『ラクス・クライン』の光。キラ・ヤマト。
 心が折れて動けなくなりそうになったとき、いつもラクスは彼を思い出す。
 やさしい笑顔、あたたかい手、激昂に揺れる紫の目、決意を秘めた後ろ姿。あの人はきっと、私を見ていてくれる。離れていてもずっと。それだけで、うつむきかけた顔を上げることができる。
 ずっと戦ってみせる。人の生命を損ねない方法で戦って、戦って、戦い抜いて、いつか約束の地平まで。
 そしてすべて終わったら、彼のところに帰るのだ。

「…愛してます、キラ」

 暗い世界できらめきつづける、わたくしの星。
 いつか帰る、あなたのいる世界。
 にじんだ瞳で微笑んだラクスの肩で、出会ったときより短くなった桃色の髪が揺れた。









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 …文章書くの(前より)ヘタになったなぁ、と書いててしみじみ思いました。
 頭に浮かんだのがうまく文章になりません。元々さらさら書けるわけじゃなかったんですけど、書いても頭の中にあるものとの差異が以前より大きくなった気がする。
 やっぱり前より書いてないのが問題かなぁ、と。
 ある程度の量書いてないと、書き方忘れる。自分が得意だった表現とか、描写の選択とか。
 ざっと読み返してみましたが、あちこちダメな箇所をそのままにしました。「しかし」が二度も続くってどうなの。助詞と接続詞のあやしさ大爆発。
 すみません。

 そんな、いっそ雰囲気だけ読み取ってください的な本日の小ネタ。ラクスさん。

 某動画の、某名曲から膨大なイメージを得ました。


 この曲を聴いたとき、「ラクスだ」と思いました。なぜか。
 いろんな思いを飲み込んで、責任と夢を果たして、いつか彼女が帰るのはキラのところ。がんばるから、見ていて。そんなイメージで。
 本当は、疾走感のあるイメージの曲つながりで、以前カガリとシンで書いたネオメロドラマティックと繋がった話にしようかな、と思ったのですがイメージ先行ネタが先に出ました。

 毎日日記をやっていたのですが、ちょっとしたはずみで糸が切れたみたいにふつんと止まっておりました。すみません。
 ちゃんと元気です。




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