雪
雪の中、自転車を漕いだのはいつだっけ。
雪の中、濡れないように、滑って落とさないように
両腕で抱えるように支えてダンボールを運んだ。
雪の中、傘をささずに歩くのは、乾燥した雪だったらいいけれど
ここの湿った雪じゃ、びしょ濡れになったよ。
帰りは傘をさしたよ。
バッグに折りたたみの傘を入れて行った。
それくらいの知恵はある。
風邪を引いてなかったらよかったのに。
目一杯の嫌味だよ。
雪道を歩いて転んだことはないよ。
両手が塞がってたから、何度かヒヤリとしたよ。
無事に届くといいね。
長い間、貸してくれてありがとう。
熱?あるよ。
頭痛?ずっとしてるよ。
来週?来なくていいよ。
2006年01月22日(日)
いたずらに流れる時間
彼が組んでくれたPCが届いた。
大きなダンボールと床一面に這うコード。
片付ける場所を探して、あちこちのクローゼットを開ける。
椅子を運んで上ったり降りたり、持ち上げたり。
そしてPCそのもののカスタマイズで時間がどんどん過ぎていく。
前のPCからのデータを移せない。
彼が電話でイライラした口調になっていく。
一人じゃできないことがたくさんあるよ。
今度そっちに行ったらするから。
昨日も今日も彼は言った。
上げたり落としたりは、もう慣れた。
ケーブルの抜き差しも、見失ったデータをネットで拾うのも。
少々のことじゃ、へこたれなくなったよ。
ただ、彼の苛立った口調に慣れない。
仕事で過労になった時の、彼の口調だとわかってる。
言ったことを中途半端に覚えてる、私の鳥頭に苛立っていることも。
疲れきって余裕がなくなると、私だってそうなる。
二度と戻らないデータなんて、どうでもいいさと開き直るよ。
なくして惜しいものなんて、なんにもないよと言いたくなる。
悲しかったよ。
休日はPCの前にいたくないって言われた。
そのとおりだと思うけれど。
後悔してるの?
こんな形で私からの債務を消したこと。
勘繰り過ぎだよね。
テクもスキルもないから、心を探るような思考に彷徨ってしまう。
今日は少し穏やかになったね。
安心した。
昨日のままなら、私は残酷な八つ当たりを続けてるよ。
2006年01月14日(土)
彼の気持ち
彼が迎えに来てくれると言った時、どのルートで帰るか二人で調べた。
○県より、○○県にしようと彼は言った。
どうして?○県より○○県のほうがいい。
○○だと山道ばかりだよ。山道苦手でしょう。
覚えてくれてたんだ。
当たり前。
今夜彼は早く帰れると、夕方の電話で話していた。
23時を回っても連絡はなく、彼が帰ってしまったと思った。
零時過ぎ彼からメールが来た。
とっくに帰ってしまったと思った。
帰るときは連絡するよ。
疲れた声だったし、早く帰れるって言ってたから。
ちゃんと連絡入れるよ。
うん、ごめんね。
彼は約束したことや、私がいやだと言ったことを覚えていてくれる。
わずかしかない休日にPCを組み立て、少しでも早く私に送ってく
れようとする。
2006年01月12日(木)
不安
あのときの会話を思い出した。
二人っきりで暮らすのもいいけど、できたら子供が欲しい。
どういうこと?
最初は二人で暮らして、少ししたら養子をもらいたい。
どうして?
彼の意図はわかったけれど、駆け引きなのかもしれない。
本気だったのかもしれない。
私の母親の面を見たいと言った。
彼の父親の面を見せたいと言った。
子供はモノじゃない。
あのとき即座に返答した。
だけど、彼の思考回路が理解できない。
私が突然不安に襲われるのは、彼のこういった思考が理解できないからだ。
理解できても受け入れられないからだ。
2006年01月11日(水)
不安が拭えない
大阪まで高速道路を乗り継ぎ、彼が実家の前まで迎えにきてくれた。
彼の車を見つけると、初めて彼に逢った日を思い出した。
彼は車から降りて、私のバッグを受け取ってくれる。
車に乗り込み、大阪市内を縦断した。
懐かしい風景を見ながら、彼に話し続けた。
二日酔いで、長距離を運転し、大阪市内を抜けることは
彼にとって大変疲れることだったのに。
郊外を走っていくと、雪雲が空を覆い尽くしていった。
コンビニで「震災時帰宅支援マップ」を買った。
助手席で地図を見ながらのナビは楽しかったよ。
この地図が、いつか大阪に帰った時のロードマップになってほしい。
彼のよく知る街に近づくと、私のPCの話になった。
彼が作ってくれた今のPCは、スペック的に物足りなくなっていた。
以前から彼も、作り直すか、新しく買い換えるかと考えてくれていた。
下見のつもりで、彼の行きつけの店に入った。
いつのまにか、店のスタッフや彼に欲しいものを話していた。
私は具体的に何がどうなのかわかってない。
だから「凄いの、強いの、丈夫なの」と言い、彼は呆れていた。
ケースは彼と色違いで。
店を出るときは、彼の手にはパーツの入った大きな袋。
この数ヶ月、ずっと明け方まで仕事をして、それなのに
時間を作って、私のPCを組み立ててくれる。
今日も明日も彼は仕事。
新幹線に乗るための駅。
その手前で車を降りると聞くと、とっさに過去が蘇った。
あの駅で放り出すの?
何、ばかなこと言ってるの?
去年も、新幹線のホームまで見送ったでしょう。
去年と同じ場所で夜景を見た。
1年経過して、この日何度か涙を流したのは私だった。
彼を信じたいのに、疲れ果てて顔色が青白くなり、言葉少なくなっていく
彼の横に立っていると、またあの言葉が浮かんでしまった。
存在が重かった。
2年前の彼の裏切りは、今現在の彼じゃない。
私のために長距離を走り、迎えに来てくれた彼。
私のために、またパーツを選びPCを組み立ててくれる彼。
彼を愛しているのに、愛しているからこそ信じきれない。
彼がいなくなりそうな気がする。
どこかに消えてしまわないで。
ひとりにしないで。
私はきっと贅沢な勘違いをしてるだけ。
2006年01月08日(日)
胃痛
そろそろ帰りたくなってきた。
大阪は好きだけれど、実家が嫌い。
最初の数日は、赤の他人ならこうするだろうと考えて言葉を選んだ。
何日目かに父親を怒らせた。
怒りながらぶつける相手がなく、必死にこらえているさまを
見て、ざまあみろと舌を出した。
訳もわからず、高価なPCを妹に買い与え、ウィルスまみれにした話を
聞いて、そんな連中は迷惑だと言ったら怒ったんだっけ。
私は何も教えるつもりはない。
翌々日は、継母が勝手な嘆きを披露し、自分はリスカしたのよと
同情を買おうとしたので、とっくの昔に知っていたと答えた。
人のリスカ跡になど興味はない。
言うまでは、急激に背中が痛くなり胃が差し込む苦痛を
2年ぶりに味わった。
また胃カメラのお世話になりたくないので、吐き出す機会を狙って正解。
ジバンシーのスーツに、クロコのケリーを持ち虚勢を張りながら
自分は不幸だと愚痴を言う。
私に訴えるのは、筋違いだとわかっていない。
帰ってくるたびに思う。
二度と実家に帰ってきたくないと。
もうすぐ彼が迎えに来てくれる。
友達が私のために集まってくれるけれど、ひとつはキャンセルする。
これ以上ここにいたら、また通院しなければならなくなる。
2006年01月05日(木)
2006
あけましておめでとう!
今年こそは一緒に暮らせるようにするね。
彼の言葉を信じて。
2006年が始まる。
私は終の棲家へ辿りつきたい。
2006年01月01日(日)
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