2004年06月13日(日)...眠れない、眠りたくない

 最後に確認したディスプレイの右端には、AM 05:08の文字。ロールカーテンの向こうにきらきらした海が見える。起き抜け街がゆっくりと白い波に呑まれて、朝を迎え入れる準備が調ってゆく。


[ 7:48 ]
 だるい、そう呟いた声は掠れていて、頭がぐらぐらした。フローリングの床にへたり込んで、如何し様かと考える。未だ、8時にもなっていない。ぼんやりと除光液の蓋を開けると、甘くつん、とした匂いがした。ピンクのペディキュアがゆっくりと落とされてゆく。少し、毒々しい感じがして、如何にも此の色は好きになれなかったな、と思う。
 素肌に返った爪に空気を含ませる間も無く、SUSIE NY.の02を塗る。ラメの効いたゴールドは夏らしい透明感があって、探究心を満たした。
 ふと、足先に転がる携帯に眼を遣るとメールが届いている。
> 18時にいつもの場所で
 指先を華やいだ空気と、仄かなアルコール、若さが駆け抜けていった。面倒という言葉と、羽目を外したいという疼きが襲い掛かってくる。塗り終えた足に息を吹き掛けながら、LUMINOUSのGD001を手の爪に塗ろうと決めた。


[ 22:13 ]
 薄暗いオレンジ色の電球に照らされて、女ばかり9人、取り留めも無い話題に花を咲かせる。顔を見、現状を確かめ合うことで得る安堵感と、緊張感、そして不安感がぐちゃぐちゃになって、早く終わって仕舞えばいい、と思う度に解散するのがどんどん怖くなってゆく。終わり際の、心臓の奥がきゅん、と音を立てる、まだ立たないでと思わず懇願したくなる様な、もう会えないと思わせる空気が苦手で堪らない。
 久々に浴びた夏夜の風は潮っぽくて、軟らかかった。

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