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2020年07月18日(土) |
beautiful ends |
もうすぐ夜明けが来る。 コントラストが少しも上がっていないのに誰に起こされたのか鳥たちは鳴き始める。 何万kmも離れた太陽の気配に気づき、そして日が沈む頃人知れず鳴き止む。 その鳥の声が昨日と変わっていたとしても俺たちが気づくことはない。
夏が近づく度にこの夏をあと何回感じられるのだろうか、と考えていた。 やはり永遠にも終わりはあった。 最後の夏がきた。
悲しんでいる間にこの季節が終わってしまうほどに俺の世界は速度を上げてしまった。 それならば、如何に華やかな夏にするか。うるさいほど眩しく、歪むほど色鮮やかな夏にしよう。 そしたらきっと視力の落ちたこの2つの目の奥に残るはずだ。 右目には君と過ごした過去を、左目には君たちと過ごした過去を。
ああ、この妄言を記し出してもう23分も経ってしまった。
もう夜明けだ。 こんなに科学は進んでいるのにあの青とオレンジの空の間の色を誰も知らない。 俺はあの色が好きなんだ。混ざり合ってお互いを受け入れているように見えるから。
この夏を忘れる頃、俺たちはお別れをしなきゃいけない。 君にトラウマを植え付けるほどに深く鋭い音でサヨナラを告げるよ。
そういうのは得意なんだ。
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