悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年02月17日(月) 1、臨春 2、臨春

一、臨春

  鋭き高峰に
  月は懸かりて
  数重(すうちょう)の山を照らし
  月色 清し

  雨は地上をぬらし
  草花(そうか)は開きて
  寂寂(せきせき)として
  独悲に沈む
  吾(われ)自らを愛す

  月は肌雪(きせつ)を
  しらじらと照らし
  誰ぞ
  吾を知るなし

  離騒の海南の村に
  春柔らかにして
  初初(ういうい)しき君ありて
  吾 想いをはせる

  春耕の時を臨みて
  愉悦のなかに
  ただ松柏(しょうはく)の声を聞く

二、臨春

  落下の季節
  清暉(せいき)の中に
  冬は迫りて
  寒林の葉は
  色を変えて落ちる

  幾再か見る
  別れし女(ひと)の
  幸薄き夢
  吾(わが)人生 行きつくして
  晩年の日日(にちじつ)の
  独悲の中に
  迫りくる終えんの寂寞

  冬はまたしずかに
  地の果てまで広がりて
  憂思の中に
  臨春を望む
  春天の樹(き)
  清夜月の花草(かそう)

  にほんブログ村


 < 過去  INDEX  未来 >


hideki [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加