眠る金

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黄金色の麦

●2014年06月22日(日)

“黄金色の麦”

ひと月ほど前に通勤路で見かけた麦畑。一面の金色に、思わずカメラのシャッターを切った。

今日(暦上は昨日)は会社のちょっとしたハードなイベント。それが終わった後、前々から予定していた飲み会が開かれた。

女性だけで顔を突き合わせて飲む機会というのもなかなかないもので、有能な諸先輩方と楽しくも真剣な時間を過ごしたわけだけどさて。

酒も進む中で、私にとって職場のある方はどうなのよ、という話になったわけである。
諸女史曰く、その方は私のことをそれなりに気に入っているのではないのか、と。
どうも以前からそういう方面に仕向けたがる人がいて、私もその度いやいや冗談でしょう、と言うお決まりのパターン。

冗談でもこんなやりとりが交わされるようになるとは、何とも複雑な気分である。

私を過去に散々馬鹿なことをやってきた人間だと露とも思わず、一人のまともな人間として扱ってくれていることに、いろんな気持ちを抱く。

その方々の中で、私の右腕を見た人はいない。
私は職場では決して長袖以外のシャツを着ないので。
当たり前だけど、私の太ももや首筋をまじまじと見た人もいない。

私が過去に自分でつけた傷は、自業自得だと思っているし、消えるものでもない。それは当たり前。
今の私は、そんな過去を繰り返そうとも思わないし、手渡された生を全うしたいと思っている。
仕事をする上で、傷があろうがなかろうが何の関係もない。

ただ、私の右腕を見せた上で、一人のまともな人間として扱って欲しいとはとても言えない。
だから、決して見せたくはない。


ここにこうして居られることは、当時の阿呆だった自分を支えてくれた人達のお陰で、傷だらけながらもなんとか生き延びたからで、私はその生を意味あるものにするために今こうして動いている。それはこの前書いたとおり。

でも、今ここにある自分だけではなく、そういった過去もひっくるめた自分を、他人に受け入れてもらえるとは思っていない。
同じことを繰り返そうとは思わないがでも、なんでそんなことをしたか、その時の気持はよく覚えている。傷をつけて、その痛みと太く走る赤い血の筋によって、割れそうにどくどくと締め付けられた心が、すっと落ち着いた日々のことは。
避けられたらよかったのかもしれない。でも避けられなかった。
ここにだけ書き留めておく。


私をまともな人間として扱ってくれてありがとう。
私は今いる場所で自分のできる良きことを成していく。成していかないとね。
さて、今日も仕事に行ってきます。
朝晩のどかな風景の中をぽーっと歩くのは楽しい。
苦労も多い職場だけど、けたけたと笑いながら、楽しく働きましょうね。







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