Stand by me,please my friend
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夜、岡山であるライヴに行くことにしていた。3時すぎくらいに、上司から宮城の方で地震があったらしいから電話があったら注意して、と通知があった。会社では業務外のウェブ閲覧を禁止しているので、そのときは状況が全く分からなかった。私の住む場所と震源地は遠く離れていた。
予定通り岡山に向かおうと乗った新幹線で異変に気付く。なぜ宮城で起きた地震で大阪以東の交通がストップしているのか。私が乗る予定だった新幹線も大幅に遅れていた。構内に入ってしまっていたので、とりあえず来た新幹線に飛び乗った。携帯電話や新幹線内の電光掲示板で、状況が徐々に浮き彫りになる。見たことのないマグニチュードの数字。地震の発生時間は15時前。ふと、今日の演者のことを思い出す。この災害に巻き込まれてはいないか?どこか不便な場所で足止めを食ってはいないか?ライヴの開催よりも本人の安否が気がかりになった。それを確認する為に岡山へ向かった。
時間に遅れて着いたハコでは、満員のお客さんと、楽屋代わりのソファに座る演者がいた。無事だった。それだけでなんだかふっと気持ちがゆるんでしまった。なんだかとんでもないことが日本の東側で起きているという事実と、あまりに対照的なこの空間。小さなハコでアンプラグドのライヴ。楽しかった?楽しかった、とは少し違う。なんだか澱のようなものを自分の中に残した状態だった。今これを書いているのは、少し時間が経っているんだけど、あのときと今ではなんだかいろんなものが変化してしまって、あのときの正確な気持ちが思い出せないでいる。でもきっとあの瞬間は楽しかった、と思う。
ライヴが終わって、お店の人がTVの画面をつけた。その瞬間に見たのは気仙沼の火災の映像だった。阪神を思い出させるような映像。それから、津波の映像。これは今まで見たことのないものだった。津波警報がほぼ日本全域を覆っている。つい数分前まで賑わっていた会場に、一気に緊張感が漂った気がした。薄暗いバーに、TVの明かりが煌々と灯って、その向こうには現実味を帯びない現実が映されていた。新幹線がきちんと動くか分からなかったので、すぐにハコを出た。下りの新幹線は既に若干の遅れが発生するくらいには回復していた。
家に着いて、夜中までずっとTVを見ていた。こんなに長くTVを見るのは初めてかもしれない。
カオリ
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