勤め人として働くということ。 - 2019年03月22日(金) 先日、帰宅すると、妻が落ち込んでいた。 職場の上司から嬉しくないことを言われたそうだ。 「あなたは案件を1人でこなすことができないので 担当者として再出発してください」と。 妻は会社の年次的にはもう10年近くになるけれど、 産休育休の期間が長く、去年職場復帰したばかりだ。 それでいて、時短勤務で仕事をこなしながら、 退社後は、保育園からチビたちを迎えに行くために、 それこそ飛んで帰るような生活をしている。 会社に居る時も、産休育休前と同じチームとはいえ 所属メンバーも変わっているし、それこそ社内の 雰囲気や制度も全く変わっていたりするはずだ。 慣れない中でも頑張っているのだろうと思う。 そんな状況でも、どんどんと仕事が振られるそう。 恐らく妻の性格や仕事の進め方もあるのだろうが、 まずはとにかくやってみてしまうところがあって それで今の上司から苦い顔をされてしまうようだ。 「できないなら、早く言ってよ」と。 その上司としては、職場の人手不足ということも あるし、多くの仕事をこなすために、使える人は どんどん使うタイプなんだろうと思う。 それで、自分の思い描いた絵の通りににならないと 分かった途端に激高するようなタイプ。 まぁ私はその人を知らないので想像だけれど。 妻も妻で、出来なそうであれば断ればいいものを、 早く慣れてもっと頑張りたくて、仕事を引き受けて しまうこともあるのだろうと思う。 どちらの言い分も分かる。けど、上手くいってない。 それでその上司が妻に再確認の意味でこんなことを 問いかけたそうな。 「残業してでも頑張りたいか、あるいは時短勤務の 時間をどうしても守りたいのか、どっち?」と。 妻は「時短で時間通りに帰りたいです」と即答。 そしたら冒頭の嬉しくない言葉を言われたそう。 わかる。何となくだけど両者の言い分はわかる。 上司としては、部下=戦力と考えたときに、 そりゃ仕事をたくさんこなせるほうが嬉しいし、 そのためには多少残業してでもさばいてくれるほうが 有難いに決まっている。 でも、妻としては時短勤務の理由が、まず家が遠いし、 私(夫)もフルタイムで働いているから、 子供たちを保育園から迎えに行くにはどうしても 定時よりも早めに切り上げて帰らなくてはいけない。 そんな状況で残業なんてしたら、子供たちのご飯の 時間も遅くなるし、保育園も預かっていられない。 だったら残業なんかできるわけないだろ、と。 妻は彼女なりに頑張っていたようで、その言葉を 言われてかなり凹んでいた。 「他の人と比べて自分は仕事ができないのか」と。 上司とのそりが合わないこともあり、珍しく弱気で 「もう会社辞めたいな・・」などとも言っていた。 仮に本当に辞めるとしたらとても勿体ないことだ。 狭い業界で人手も不足している中で、一人辞めると それだけで大打撃だ。 それに加えて、詳しくは知らないが、妻は別に 仕事ができないというわけでもないし、話を聞けば 会社から期待もされていると思う。 そうでなければ、「お前は担当者に逆戻りだ」とは 言わないはずだ。マネジメントも期待していたはず。 この不調和の、原因は一体どこにあるのだろう。 思い付くのは2つ。 1つは、妻の管理能力の不足。仕事のタスク管理。 元々私も同じ会社に居たので何となく分かるが、 とにかくこの会社には多くの仕事がある。 この中には本当にくだらない内容のことも多い。 そしてそれをこなせそうな人に仕事が集中する。 だから今自分がどれだけタスクを抱えていて、 新しいタスクが振ってきたら、優先度と重要度を よく考えて取り組まないと自分がパンクしかねない。 いつまでか、今の仕事量でこなせるボリュームか、 そもそも自分以外に引き受けられる人は居ないのか。 まだ感覚が戻っていないか、経験がそれほど無いか、 そのタスクスケジューリングみたいなものを磨けば 妻の会社での立場もグッと強くなるだろうとは思う。 そして、もう1つの原因。それは職場の無理解だ。 大体、時短勤務の人間に残業を想定させること自体 間違っていると私は思う。 考え方は分かるけれども、先の上司の言い方は、 「多少の残業くらいは仕方ないでしょ」という思いが 見え隠れしている。でもそれは本当はおかしい。 家庭の状況もあるが、仕方なく、時短をしなくては ならないのでそういう働き方をしているということ。 それを、上司を含めた職場の人が分かっていない。 「早く帰ってプライベートを充実させたいんでしょ」 くらいのことを思っているんじゃないかとさえ思う。 とんでもない。子供と全力で向き合うことの大変さ。 そんな状況で「残業します」と言える方がおかしい。 もちろん私はその場に居ないし直接話も聞いていない。 だから実際のニュアンスとか深刻さは分からない。 でも、もっと働きやすい社会になればいいのにと思う。 こんなくだらないこと(失礼な言い方だけれど)で、 会社を辞めたくなるほど1人の人間が追いつめられる。 正直それはとても馬鹿げているし勿体ないことだ。 こんなにも社会は便利になって、やれ働き方改革だの、 そういった風潮になっているのにも関わらず。 まだあの会社には、雑多で面倒で意味のない仕事が たくさんあって、そして上に立つ人間の中にも、 家庭と仕事を両立させる大変さを分からない無能が居る、 そんなことを感じて、げんなりした。 今の私ができることは、妻を励ましつつ、上から目線 にはならない程度に、現実的な打開策を提案するだけ。 あと、内心冷や冷やしながら「嫌なら辞めてもいいよ」 と言うことくらいだ。 私がこの会社を辞めようとする時、妻は全く嫌な顔も 迷いもせず、きっぱりと同じセリフを吐いていた。 やはり偉大で寛容な人間だ。私はかなわない。 会社で働くということは色々あるな。と、しみじみ。 *** 2019/03/23 03:36 ...
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