僕らが旅に出る理由
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2010年03月19日(金) 皇居濠早春

今日は晴れたので、昼食後皇居濠に足を伸ばしてみた。

少し風が冷たい春先の皇居濠、よいです。

中東あたりの人らしき若いカップルが鯉にエサをやっていた。
若い人らしい、屈託のない笑顔だった。
なんとなく誘われて、私も鯉を覗き込んだ。

濁った水の下からぬぅっと姿を現す、大きな鯉。
この鯉一つにも、腹を立てていた頃があった。
気まぐれな人間からもらうパン屑を食べるだけ食べて、えんりょなく巨大化していく。なんて図々しいんだろう、と苛々していた。

当時、皇居濠には、淋しそうな人がよくやってきて、鯉を相手に時間を潰していた。
遠い冬の日、
「あれはキンクロハジロというのよ」
と水鳥の名前を教えてくれた見知らぬ女性も、今はもういない。

殺伐とした印象しかないのは季節のせいばかりでなく、私が追い詰められていたせいだろう。

10年くらい前の話だ。
ずいぶんたくさんの時間が流れた。
10年後、またこの日比谷界隈に舞い戻っているとは、予測もしていなかった。
結局、大して進化もしなかったのだろう。


まぁでも、鯉はやっぱりまずそうだな。


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