アータン三宅の何でも聴いてやろう
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2008年06月12日(木) |
オリジナル音源で聴ける「おもいでの夏」 |
『ミシェル・ルグラン映画音楽集成』
このCDセットの快挙は、すべて映画で使われた「オリジナル音源」であるという点。 しかも大半が初CD化!長年の夢が一気に叶ってしまったことに、涙また涙である。
ハリウッド式の映画音楽作り(作曲者はオーケストレーションを担当せず、 専門のオーケストレイターがいる)に反発し、自身の音楽に最後まで責任を持ったルグラン。 その作風は、実にバリエーション豊かで、リズムに対する感覚は 彼が最高クラスのジャズミュージシャンであることを証明している。
彼の音楽の最大の特徴は、半音と転調の多用にある。 驚くべきスピードで変化してゆくメロディとハーモニー。 さらには裏メロとオブリガードにおける自己主張の強さが、 色彩感豊かなルグランサウンドを構成していく重要なファクターになっており、 「耳をそばだて、全ての音を聴き逃さない」という、音楽に対する真摯な姿勢を 我々に意識づけてくれる。
聴きこめば聴きこむほど魅せられてゆく、その音楽の奥深さ。 決して聴き飽きることのない世界。 それがミシェル・ルグランという天才が生み出した音楽だ。 CD4枚組、90曲300分の幸福に、ミシェル・ルグラン・ファンは酔いしれるのであった。
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