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2008年06月05日(木) 岸田繁withあらきゆうこmeetsオーケストラ、という趣も。。

オーケストラと同じステージに立ちながら
岸田繁は自らもひとりの観客でいたかったのだろう。
幼いころから彼の中に強くあった
クラシック音楽への憧憬がこういうカタチで身を結んだことで、、
くるりというもはや岸田+佐藤というユニットでしかないグループは
今までのキャリアに一区切りをつけることが出来たに違いない。
この先に用意されているものは、おそらく岸田のソロ活動だと
推測するが、どうだろうか?


ステージ上の岸田は相好を崩しっぱなしだった。
過去の名曲群に新たに加えられた弦楽パートは、
どれも多少過剰にロマンチックな意匠が施されてはいるが、
それがくるりというグループのアンビバレントな音楽性に
妙にマッチしていて、心地よい。


あらきゆうこ(ドラムス)と佐橋佳幸(ギター)の参加によって
今までのくるりよりずっとアーシーさが増し、
それが欧州のオーケストラと共演することで、さらに強調されていくところが何とも楽しい。
一瞬、どちらの耳を使って聴けばいいのか迷ってしまったりする。面白いな。
それにしても、あらきゆうこのドラミングはあいかわらずの素晴らしさだ。
曲によって、彼女独特のボトムのしっかり鳴った重心の低い演奏と
フレキシブルに展開していく軽快な演奏を使い分けている。
さらに音楽性の幅をひろげたようである。
彼女の作り出すリズムが、オーケストラにインスピレーションを与えていることは間違いない。
指揮者も演奏者もあらきゆうこを「聴く」ことに神経を使っているのが伺える。


アルバム『ワルツを踊れ』からのナンバーはオーケストラ演奏に
厚みが増し、ダイナミックになっている。
しかし、それ以上にオーケストラとの共演の成果は、
生まれ変わった過去の名曲において顕著である。
たとえば、「春風」 「グッド・モーニング」(なぜこの驚くべき名演がライブCDには未収録だったの?) 
「惑星づくり」 「ARMY」「WORLD’S END SUPERNOVA」 「男の子と女の子」。。
さらには、最後のアンコールに再び演奏された「ブレーメン」。
コンサートの2曲目に演奏されたヴァージョンよりも、バンドとオーケストラの一体感が増し、
強烈なうねりの様な磁場が生まれているのには驚かされた。
音楽は、生き物である。まさにそれを実感させられた瞬間だ。







『QURULI/YOKOHAMA WIENER』

※印は、ライブCD 『philharmonic or die』未収録曲。必聴!



(DISC-1)

 1. ハイリゲンシュタッド
 2. ブレーメン
 3. GUILTY
 4. 恋人の時計
 5. スラヴ ※
 6. コンチネンタル
 7. 春風
 8. さよなら春の日
 9. グッドモーニング ※
 10. 惑星づくり
 11. ARMY
 12. アマデウス ※
 13. 家出娘 ※
 14. アナーキー・イン・ザ・ムジーク
 15. 飴色の部屋 ※
 16. WORLD'S END SUPERNOVA
 17. ジュビリー
 18. 男の子と女の子 ※
 19. ハローグッバイ ※
 20. 言葉はさんかく こころは四角 ※
 21. ブレーメン Encore ※


 (DISC‐2)

 1. すけべな女の子
 2. 東京
 3. モノノケ姫
 4. 砂の星 ※
 5. リバー ※
 6. 宿はなし ※






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