アータン三宅の何でも聴いてやろう
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2008年06月01日(日) |
コスモ石油のCM音楽「Seeds of Life」 |
坂本真綾の22世紀へと聴き継がれる1997年の名曲「feel myself」 (『坂本真綾/グレープフルーツ』収録)を作・編曲・プロデュースした菅野よう子を ご存じだろうか?彼女の名前は目にしたことがあっても、その音楽を実際に 菅野よう子の作品と認識したうえで聴いている人は少ないように思う。 圧倒的な仕事量の割にその名を世間に 轟かせていないのが、ファンとしては辛いところだなぁ・・・。
まあ、それはさておき、彼女は典型的なマルチである。 どんな曲でも書けちゃう、アレンジできちゃう、演奏(ピアノ)できちゃう。 しかも、ひとつとしてダサいものはない。どれもさすがの手練の技だ。 彼女に欠点があるとしたら、他を圧倒する強烈なアーチスト臭が無いことくらい。 しかし、彼女の活躍するフィールドを考えると、この欠点はむしろ 長所として働く場合が多いように思う。 映画やドラマやアニメの劇伴、さらにはCM音楽といった云わば裏方的な 仕事に求められるのは、強烈な個性よりも高い順応性である。 芸術家というより建築家に近い存在であらねばならない。 しかも、第一級の建築家であり続けなければ、 これほど多くの仕事の依頼が来るわけがない。 大変な人なのだ、菅野よう子は。
そんな菅野よう子が作・編曲したCM音楽集が やっとまとまった形で聴けるようになった。 これは快挙である。
その音楽のメロディーの断片すらも口ずさむことが出来ないのに、 何故かCMを見終わったあと、頭の奥で残響している、 あのメロディー、あのハーモニー、あのサウンド。 もう一度聴きたいと思いながら、CMを目にすることができなかった コスモ石油の音楽「seeds of life」(2004年)が聴けるだけでも、僕は買いだと思う。 彼女の映画音楽の最高傑作『tokyo.sora』(2002年)との共通性もうかがえる 美の結晶のような音楽である。
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