蜂蜜ロジック。
七瀬愁



 無題2-12

カーテンを引いて、じっと蹲る。
火を付けないままの煙草と、握り締めたライターと。
足先だけをぼんやり見て、かちかちと正確に刻む時計の針の音を聞いていた。

目を覚ませば、八時を過ぎていた。
二階へ降りる。朝は自分で用意する。家の中は静かで、誰もいない――トーヤあたりは昨夜から遊びに行ったはずだ――のかもしれなかった。

ハル兄は近くで珈琲専門店を開いていて、最近はそちらが忙しいらしく土日は早くに行ってしまう。
ここら辺は住宅街であるわりには、客層は千差万別に集客しているらしい。

『ハルちゃんカオだけで客集めてんじゃないのー?』

これはトーヤの言い分だったが、これについては俺内心頷いていたする。

何も容姿の良さだけで、という訳じゃない。

あの一番上の兄は、世間でいう長男とは少し違って要領というものと外面の良さは兄弟中で一番秀でていたりする。

ナツ兄や俺のような不器用な人間には、羨ましいという他ない。

トースターに放り込んだパンが、焼き色を付けて出来上がりを知らせる。それにバターを塗りつけながら、テーブルに腰を掛ける。土曜日。今日も部活はある。

2008年01月13日(日)
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