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■ 無題(1)
朝は弱いほうだと思う。
それでも予定より三十分も早く用意を終えれたのは、はやる気持ちを抑え切れなかったからだ。 朝の天気予報では今日も暑いと告げていて、げんなりする。 残暑と言っても十月も半ば。いい加減、涼しくなってもいい頃、なはず。
「あれ? 今日は休みじゃなかったっけ。制服着てお出かけ?」
七時ジャストに出た家の前で会ったハルちゃんは、花壇に咲かせた淡い桃色の花に水をやりながらあたしを不思議そうな顔で見た。
「そーなんだけど、今日って秋季選抜あるでしょ、その応援」
はしゃいで話すあたしに合わせてか、「ああシュウの吹奏楽ね」と相手も破顔する。
銀に色付いた髪が、朝日に透けて真っ白になってきらきらと映える。 そうでなくても、お隣のお家の長男になるハルちゃんは、とても繊細で目立つ顔立ちをしていた。
あたしの家のお隣りには、目の前のハルちゃんを含む、男ばかりの四人兄弟が住んでいる。 両親らしき人はいなくて、昔事故で亡くなったと聞くけど、その頃のあたしは小さすぎてどんな人達だったのかは知らない。
ハルちゃんには小さい時、よく遊んでもらったし今だって仲が良い。 いつもたくさん付けている髪と同じ銀色のアクセサリーは、朝も早いせいかピアスとブレスレットくらいしか付けていなかった。 どちらかと言うと、そういうハルちゃんの方が話しかけやすいと思う。
「ハルちゃんは行かないの?」 「んー…店は休みだけど、家の用事が忙しいしねぇ。マヒロちゃんは熱心よね、俺なんて一回も行ったことないんだよね」
店。近くでやっている、小さな珈琲専門店のことだ。 始めて何年か経つその店は、この界隈ではわりと有名な場所だった。 ハルちゃん目当てに来る常連客が多いことも、シュウスケから聞いたことがある。
そのシュウスケは、お隣の三男。 あたしの同級生で、幼馴染。
そして、現在、とても微妙な間柄。
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サブタイトルのみで更新していきます。 以前書いていたものと、さほど変わらないと思います。 ハルちゃんが脇役に徹することを除けば。
なんかもう、サイト改装だとかやめて、ここだけでやっていけばいいんじゃないかとか思った昼下がり。
2007年12月06日(木)
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