蜂蜜ロジック。
七瀬愁



 お出かけしましょう5

「本当に、何でもないんだって。ご飯食べて、プラネタリウム見て、それから」
「それから?」
「帰ったよ。仕事あったしね、会社に。遅い日あったでしょ」
「いつも遅いじゃない」
「まあそうなんだけどさ」

短くなった煙草を灰皿に投げ捨てると、「でも何て言うか」と、向き直る。

「結局そうやっていつも思うんだよね」
「何を」
「泉ちゃんのほうがやっぱりいいなぁって」

緩やかな照明。
落ち着かせるような効果が、あるのかないのか。

「そんな比べ方されたくないんだけど」
「だってやっぱり泉ちゃんが一番だし」

自信持って言い切るより、身の潔白でも証明してくれたほうがすっきりする。
深い深い溜息を、一つ落として。

「前も言ったけど、一番だとか二番だとかいう言い方が嫌。だいたいさ、一番があたしで、二番があんたで。じゃあ三番目はどうなるわけ」

そう聞いてから、やめておけば良かったと思った。
これじゃあ相手のペースに、すっかり巻き込まれている。

「三番目?」

しばらく考えているような――実際はどうだかわからないけれど――顔をしてから、彼は涼しげに微笑む。

「自分より下になる人間なんて、俺にとって必要だと思う?」

あたしはやはり、少々選ぶべき相手を間違ってしまったようだ、と今更ながらに理解した。


【END】

**********
小話終了。
とりあえず、試し書きをさせてもらいました。
次回からやはりこういう感じで続けていくつもりです。
このSSは過去編に行く前の前フリなので、あまりオチがなくて申し訳ない。
明日からは〜どれから書こう。
表で書くのが凄く楽しいと思っている時に、書いて行きたいと思うので。

2007年11月24日(土)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加