舌の色はピンク
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2021年05月01日(土) 「考えさせられました」

会社の引っ越しの都合で、
平日である昨日とお休みが入れ替わっての土曜出勤。
私物の整理と機器の配線など。
てきぱき順当にこなしてって午前中に終わった。
しかしやはり無能な先輩にイライラしてしまう。
頭のなかが自分のことで手一杯なのだ。
エゴイスティックなわけではないからこそ、
当人にも、
自分は自分が損する格好で〜とか
まわりに気を遣って〜とか
そういう論法がまかり通ってるはずで、
自分を納得させる筋道が出来上がってるからたちがわるい。
世の中には
「上司がバカで死んでほしい」
という声があふれかえっていて
その気持ちがようやくちょっとわかる。
擁護はできる。
できるからこそむかむかする。

帰り道が全然爽快でない。
本来ならないはずの障害物がイッコ挟まれてるわけで
ほんと人生にとって邪魔だな。バカバカしい。
世の人の悩みを体感できるのはいいことだが
ずっとこれが続くのは問題だ。


コンビニ人間読んだ。芥川賞の。
昔だったら
「なんだこの文章!」
とかいって投げ捨ててたろうけど
今はちょっとは小説の読み方がわかるから
これは小説的に上手いのだと見なせる。
しかし主題は全然面白くなかった。
話題になった5,6年前に
タイトルから
そしてあらすじから
想像してみた型を一切はみださない、
さんざんマンガで見てきたようなテーマだ。
読書メーターにはこう書いた。

マンガで済むのでは。主人公は「普通」のひと。「普通」の枠型はあまりに狭小というのは90年代から主題にされ続けてきた現代の共通認識で、「普通」からずれた人があまりにも多いという実情は、逆説的に多くの「普通のひと」 を発生させている。だから本編の主人公も、(既成観念としての)普通からちょっとずれている、そういう類型の「普通のひと」。…結末はお見事ってなったけど、それでもやっぱり2000年代にさんざんマンガでやりつくされてきたテーマとしか見なせない。

追記でこうも書いた。

考えさせられました系のどくしょかんそうぶんがウジャウジャ湧いてそう。主題のパートなんかより、アパートの二人暮らしの空間の手触りがよかった。あの人物像だからこそ立ち上がってくる部屋(生存の証拠)のどうしようもなさとか、その中での虚無的な時間の流れとか…このあたりの描写、ほぼ言葉は割かれてないけども、そこへ至るまでの過程でなんとなく察せられるという、こっちの方によっぽど小説的感興をそそられた。

実際他の人の感想はひどいもんで、
「主人公はサイコパス風味で〜」とか
「独特な思考の持ち主」とか
「普通ってなんなんだろう」とか
どれもこれも気持ちわるい。
何も考えてないから
「考えさせられました」なんて平気で言う。
何も考えてないのが悪いわけじゃなくて、
むしろそれは一つの美徳たりうるはずだけど、
"何も考えてないのに「考えさせられました」"は醜悪だ。

話題作だから読書メーターですぐにボンボンいいねがつく。
読メの呼び名はナイスか。
ナイスをつけた方々の感想は
ごちゃごちゃのたまってるけど要は
「考えさせられました」系だから
本編もこっちの感想もろくに読んでない。
あとはあらすじをまとめてるだけとか…
それで2000ナイスとか。あほっぽ!


夜、映画。
「アンナと過ごした四日間」。
幻の巨匠
とかゆう妙ちきりんなコピーがパッケージにはあった。
ポーランド映画。
セリフが極端に少なく、映像と芝居で見せてくる。
ストーカーの話。
時系列はばらばら。
硬質的なグレーの世界でロシア映画みたい。
映画そのものは、まぁ面白く作ってるわけでもないし
観ている時間楽しませてもらいましたってくらいで、
内容は一年したら忘れてしまうだろう。
観ながら何考えてたかの方が大事だ。
前に一度考えて眠らせてた
マンガのストーカーネタを今一度練ってみた。
ほぼサイレント。
そう、ストーカーの話にゃセリフいらんよな。
主人公の男は懸想してる女の子の部屋を覗き見していて、
やがてそれがエスカレートして夜な夜な部屋に忍び込むようになる。
で、暗い部屋で物音を立ててしまう。
でも彼女は気づかない。ほっ。
部屋で静かに、彼女の寝息を眺めて過ごす。至福の時間。
あんまりリラックスしてうたた寝してしまった。
朝だ。彼女は…まだ寝ている。早く出なければ。
あ、彼女が目を覚ました。目が合った。
が彼女はそのまま何事もなかったように動き始める。
あわてて窓から逃げる男。なんだったんだろう。
今度は昼間にピンポンしてみた。出てこない。
鍵は…閉まっている。
合鍵がある。入ってみよう。開いた。
彼女はリビングでテレビを見ている。
そっと部屋に入ってみる。ノーリアクションだ。
ソファの隣に座って…みてもノーリアクションだ。
彼女がゲームを始めた。格ゲーだ。乱入して対戦してみた。
なかなか白熱した。
彼女との奇妙な生活が始まる。
食事を作ってやったり、洗い物を済ませてやったりする。
夜はソファで寝る。
彼女はベッドで寝ている。
手を…出してみようか。
頬に触れてもノーリアクションだ。ドキドキ。
男は上を脱いだ。ドキドキ。
そこで、ガチャガチャ。キイイバタン。
「うぃーす。
お前電話出ろよ。あれ、明かり…
寝てんのか? 起きろよ、おい」
明かりがつく。目撃。
「は?」
「え」
「は? なに? なにこれ?」
女が起きる。男をねめつける。
「あの、その僕は」
「こいつ誰?」
それぞれの顔。部屋の様相。
見開きで主人公の回想。走馬灯。
これまでの人生のエピソードばららららら。
<誰?>
「誰って…」女が答える。
なんて答える?

第一案
「赤ちゃん」
「あ、ああ?」
「…」
「お前、おま、すっとぼけんなよ。
赤ちゃん? こいつ、おま、こいつのどこが」
「…」
「お」
「…」
「おぎゃあ」
赤ちゃんの絵。
「おんぎゃあおんぎゃあ」
誕生へ。

第二案
「あんたこそ誰?」
「は?」
「勝手に人の家入ってきて、なに?」
「……。ああ。あっそ。もういいよ。
荷物は捨てていいから。
あ、でも二回目んときのぬいぐるみは、お前、大事にしろよ。
…ちっ。なんだ、くそ」バターン
沈黙
「あの…」口を開く主人公。
見つめ合う二人。
「誰が誰でもいいじゃん」と女。
「えっと…」
「"荷物は捨てていいから。"
"ぬいぐるみだけは大切に。"」
そういって女は部屋を出ていく。
部屋に取り残される男。
男はこの部屋で生活をし続けていく。
これからは一人で。

第三案
「なにが?」
「あ? とぼけんなって」
「ごめん、あのね。何のこと言ってるの?」
「いやいや、こいつ。こいつ何って話」
「こいつ…?」
「いや久々に帰ってきていきなり
裸の知らない男見たらびびるでしょ普通」
「えっと?」
「あ、あの…」
ずいっと前へ出る女。
「あんたこそ誰?」
「あ?」
「仮に、あんたが言うように。
ここに裸の知らない男がいたとしましょう。
で?
いくらこっちから連絡とろうとしても無視されて、
誕生日もクリスマスもすっぽかされて、
ずーっとさみしい思いさせられてた女の子に、
誰が誰だか、わかるっていうの?
ねえ、あんたこそ誰なの?」
「あーーーー…。んだよ、メンドクセェな」
「めんどくさいって何?」
「ま、いいや。悪かっ「ちょっと」たよ。来いよ。
結局あ「やだ」の車おれのになったか「離してよ」ら、見せに来たんだ」
「あ…」
「…あんた、ちょっと落ち着かせてくるから、ここで待ってろよ。
1時間もかかんないから。寒くない? 暖房つけたら?」
「あの…」
オチ未定。


二案かなあ。
今どきの邦画っぽい感じだ。
誰が誰だかの錯誤でかろうじて
僕の主題を保ってるか。


れどれ |MAIL