舌の色はピンク
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当たらなかった。 一撃もかすらなかった。
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「さあ、いよいよ発表だ。」 画面を開く。ドキドキする。 今日は、この前買った宝くじの当選発表の日だ。 ぼくは、(当たってるわけないさ)と思っていたのに、すごくドキドキしていた。 もしも当たっていたら……。宝くじの引換券を見つめる。券が震えてる! と思ったら、ふるえているのは、僕の手だった。 もしも当たっていたら、お母さんに大きな家をプレゼントしてあげたいな、と思う。ぼくの家は昔から小さかったし、お母さんは、そんな家で僕を育ててくれたからだ。だから、当てて、お母さんを嬉しい気持ちにさせてあげたい。今思うと、宝くじは、そのために買ったのかもしれない。そんなことを考えていると、当選番号発表のページが読み込まれた。 「あちゃー、ダメだった。」 当たるはずないのに、やっぱり悔しかった。どうして当たらなかったのだろう? きっと、それは、誰にもわからない。涙がにじんでくる。なにが宝くじだ。なにが家をプレゼントだ。手始めに目についた大きな家を燃やしてやった。おれは昔から火が大好きなんだ。お次は母校に点火。焼き尽くせ。手当たり次第火を放つ。街が業火に覆われる。飽き足りない。空母だ、空母をもってこい…。この国を怒りの炎で真っ黒に焦がして、連中に思い知らせてやるんだ。大丈夫おれならできる。いま生きているこの日常に勝る奇跡はないのだと、命と引き換えに、骨身に沁みるまで、みっちり教えてやるんだ……
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