舌の色はピンク
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2008年12月05日(金) 名前をつけてやる

家に帰ったら人形があった怖い。

母親がもらってきたらしいのだが
僕は人形がもう、もう、キョーフなのだ怖い。
永遠に動かない顔は
生涯ずっと人間どもを眺めながら
「私もそっち側がよかった、」
と嘆いているようだ怖い。

今回我が家に住まうこととなった人形は
60cm3頭身ほどの幼児ドールで
なんとワンタッチすれば
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
なる音声を発する代物なのだから怖い怖い。
だってストーリーあるもんこんなもの怖い。


……長年手塩にかけて育ててきた一人息子は
上京した先で家庭を築き、
今ではお爺さんとお婆さんも二人暮しに慣れたものだが
体も心も老いるにつれ孤独感は増してゆき
だんだんと寂しさに耐えれなくなっていった、
ある日お爺さんが家に帰ってくると
そこには幼児の人形があるではないか
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
「お婆さん、なんだいこれは?」
「何を言うんですお爺さん、今日から私たちの愛娘で、す、よ」
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
「ほっほう。ケンジが家を出てって久しいしな、いいかもしれんな」
「そうですよ。可愛がってあげましょうよウフフフフ」
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
「あっはっは、かわいいやつだ。お前は家を出ていきもせんしなあ…」

かくして人形を可愛がる二人が三人暮らしにも慣れ始めたころ
一人息子のケンジが里帰りをしてきた
「父さん母さん、ただいま!」
「おお、ケンジおかえりよ。まったくお前はろくに顔も見せんで」
「ほんとそうですよ。さあさぁ、ケンジですよアナタも挨拶なさい」
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
「えっ?」
「なんだケンジ、せっかくこの娘が挨拶しとるのに」
「それでも家族なの? 東京でどんな生活していたの?」
「え、ちょ、…父さん? 母さん?」
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
「ケンジ。私たちはあなたを、家族全員一人一人に
挨拶もできないような息子に育て上げた覚えはありません」
「何言ってんだよ。どうしたのこの人形」
「喝ァーッ! 人形とはなんだドラ息子がァーッ!」
「ケンジ。そこに正座なさい。ちゃんと母さんと目を合わせて」
「ななななんだよ、おかしいよ、二人ともおかしいよ!」
「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」

怖い。


れどれ |MAIL