舌の色はピンク
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家に帰ったら人形があった怖い。
母親がもらってきたらしいのだが 僕は人形がもう、もう、キョーフなのだ怖い。 永遠に動かない顔は 生涯ずっと人間どもを眺めながら 「私もそっち側がよかった、」 と嘆いているようだ怖い。
今回我が家に住まうこととなった人形は 60cm3頭身ほどの幼児ドールで なんとワンタッチすれば 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 なる音声を発する代物なのだから怖い怖い。 だってストーリーあるもんこんなもの怖い。
……長年手塩にかけて育ててきた一人息子は 上京した先で家庭を築き、 今ではお爺さんとお婆さんも二人暮しに慣れたものだが 体も心も老いるにつれ孤独感は増してゆき だんだんと寂しさに耐えれなくなっていった、 ある日お爺さんが家に帰ってくると そこには幼児の人形があるではないか 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 「お婆さん、なんだいこれは?」 「何を言うんですお爺さん、今日から私たちの愛娘で、す、よ」 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 「ほっほう。ケンジが家を出てって久しいしな、いいかもしれんな」 「そうですよ。可愛がってあげましょうよウフフフフ」 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 「あっはっは、かわいいやつだ。お前は家を出ていきもせんしなあ…」
かくして人形を可愛がる二人が三人暮らしにも慣れ始めたころ 一人息子のケンジが里帰りをしてきた 「父さん母さん、ただいま!」 「おお、ケンジおかえりよ。まったくお前はろくに顔も見せんで」 「ほんとそうですよ。さあさぁ、ケンジですよアナタも挨拶なさい」 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 「えっ?」 「なんだケンジ、せっかくこの娘が挨拶しとるのに」 「それでも家族なの? 東京でどんな生活していたの?」 「え、ちょ、…父さん? 母さん?」 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」 「ケンジ。私たちはあなたを、家族全員一人一人に 挨拶もできないような息子に育て上げた覚えはありません」 「何言ってんだよ。どうしたのこの人形」 「喝ァーッ! 人形とはなんだドラ息子がァーッ!」 「ケンジ。そこに正座なさい。ちゃんと母さんと目を合わせて」 「ななななんだよ、おかしいよ、二人ともおかしいよ!」 「じぃちゃん、ばぁちゃん、アーソボッ☆」
怖い。
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