避けようと思っても、仕事でかかわってしまう。
冗談言いながらも、手伝ってくれた。


あなたの横顔をみて、少し香るタバコのにおいが
二人で歩いたときのことを思い出させる。

借りたものを返すときに、触れた指の感触が
手を繋いで歩いたときのことを思い出させる。

隣にいたけれど、隣にいるべき人じゃない。
帰る場所は、あたしの隣じゃない人だ。
あたしは、そう、思うことにした。

手を繋ぐことも、二人で歩くことも
これから先ないんだし、幸せな体験だったのかもしれない。
あれは、神様がくれたささやかなプレゼントなのかも。
実らない恋愛をするあたしへの、ささやかな。

そう考えると、このセツナイ気持ちも
甘んじで喜んで受け入れるべきなのかもね。


なんでこうなったんだろう。
こうなっちゃった理由が、分からない。

優しくて楽しい先輩から、いつの間にか。
気が合う仲間として、仲良くしていただけなのに。


あなたの手の感触が忘れられない。
あなたの横顔が忘れられない。


きっと、あなたはあたしの気持ち、知ってるはずなのに。
あわせる顔なんて、本当はどこにもない。
どこにも。
割り切れる大人なあなたが、少し、憎らしい。