ヒルカニヤの虎



 僕達は希望の屑だから

本年3回目の東京シュール5、本ネタ公演行ってきました。
この公演は1月のシュール5プロデュース公演のときにお願いしてチケットを確保いただいたもの。いつも本当にありがとうございます!もとはライセンスで知己を得た方なのに、次会うのも5月のシュール5て。しかしほぼ出会い頭で1億分の8のライセンス(ファン)についてぶちあげる。あれはないわ〜

■東京シュール5 本ネタ公演 2010/02/26/Fri_18:30-@全電通ホール

雨の中よっこいしょとキャリーケースで乗り込んだ会場前、貼り紙「本日は囲碁将棋は出ません」。ちょ、おま、あほか!初生いごしょ漫才をどれほど楽しみに新幹線にゆられてきたと...!金曜交互のシチサンMC陣であるライスといごしょが同じライブに出られるわけないんですよ。そんなことは1月の時点でわかってた。だからそのうえで裏技使って出してくれると思ってたんだよ!
まだまだ観客が集まりきらない感じでのんびり開演、幕が上がったら東京シュール5全員がお揃いのチェックシャツでずらっと土下座。歌舞伎の口上のごとく順番に謝っていくんですけど(※いごしょ土壇場の欠席について)、いちばん最初の池谷さんが誠実に謝った時点で許してしまっていた。贔屓だね。しずる池田だったかが「チケットに囲碁将棋の名前を見つけたときは血の気が引きました」っつってて、そらそうだよなと同情したり。しずる村上の「このピンチをチャンスと捉えぇ!!」をはじめ、みなさん声の張りがすごい。特にカリカ家城さんは鬼気迫る表情と声量で噛みまくっておられた。ポイズンの吉田さんも噛んでたなあ。そのたびにフォローで米搗きバッタになるカリカ林さん。しずるの謹慎ネタと、阿部ちゃんプロデュース公演時のアンケート「金返せ」事件の蒸し返しで会場があったまったところで本ネタです。なんて長い謝罪会見。

※MCの関町・池谷によると、お揃いのチェックシャツは東京中のユニクロで関町が選んでかきあつめてきたもの。秋葉原でやっと全員分集まったらしい。まあそういう感じのシャツです。

本ネタ公演なので、まずは各コンビの初卸ネタ。
・POISON GIRL BAND
しりとり。阿部ちゃんはしりとりのルールを無視して言いたいこと=冬季オリンピック関連ワードしか言わない。言いっぱなしの阿部ちゃん→なんとか拾う吉田さん。バンクーバーはまれにみるいい語感。
でも一番笑ったのは本ネタに入るまでの掴みのゲスさ。マクラでだらだら喋る阿部ちゃんのポケットから出てきたのはファッションヘルス「パステル」の回数券。きのう行ったんだそうです。吉田さんに1枚あげようとする阿部ちゃん、なんという自由。注意されても「法律的には何の問題もない」という31歳の正しい主張。ちなみにきのう担当の風俗嬢は35歳だった(そこまで言わんでええ)
・ライス ※単独前なので新ネタにあらず
それいけしろっぺ。白いシーツをかぶってくねくねしている謎の生き物しろっぺ(関町)と、ダメサラリーマンけんたくん(田所)。非常に漫画的な、ドラ●もんと同じ世界観。会社で仕事を邪魔してくる嫌な奴をなんとかしてよ!てなことでしろっぺがポケットから出したのはコルトパイソン。かわりに大好物のブドウ糖をもらうしろっぺ。しろっぺはブドウ糖を注射器で注入して恍惚(ギリギリ)。けんたくんがよろこんで駆け出した先、舞台袖から銃声が。「ありがとうしろっぺ!あいつ動かなくなったよ!」でも風俗通いをバラされた憧れのさちこちゃんの誤解がまだ解けていない!同じくコルトパイソンでうまくいくというのでさちこちゃんのもとに駆け出すけんたくん(しろっぺはまだ何か言っているぞ!)「もう、しょうがないなぁ〜...」と、飛んでる鳥さんをつかまえてむさぼりくらうしろっぺ(完全アウト)。そこにけんたくんが大勢のおまわりさんに追われて駆け込んでくる。使ったあとに指紋をふきとって川に投げ捨てないとダメ、というしろっぺの忠告を最後まで聞かなかったけんたくん。「も〜、凶悪罪・銃刀法違反で15年ブタ箱に入って反省しなさい!」「そんなぁ〜」チャンチャン♪
...オチまで書いちゃった。ライスの根性のわるさと毒は見上げたもんだし大好きですが、彼らはどこに着地するんだろう。瞬間最大風速はもしかしたらカリカすらも上回るのに、構造の奥のやわらかいものがほとんど外に出てこない。構造だけを見せたいのかなあ。
・しずる
ど忘れ。ひさびさに会った旧友ふたりのあまりにも定かでない記憶。うん〜?なんかすごく親切だなあと思った。客に対して。シュール5の公演なのだから、ライスぐらいブラック毒まみれでいいのにな。それがしずるの本領だと思っている。
・犬の心
おもちゃ買って。「おもちゃ買って〜」「誕生日に買ってやるから!」主なセリフはこれ2つ。けんちゃん(池谷)がお父さん(押見)におもちゃをねだりながら舞台の袖から袖へ往復する。往復するたびけんちゃんの暴力性がましていく。池谷さん怖い!ひっぱる→小競り合い→けんか→暴力→マウントポジションときて、最終的にけんちゃんに銃口を向ける窮鼠・お父さん。でもせりふは「おもちゃ買って〜」「誕生日に買ってやるから!」。コミュニケーションとは実はこういうものでしかないのかも、などと思う。舞台袖から銃声1発、そしてもう1発。相討ちになったところでけんちゃんがおとなのおもちゃを欲しがっていたことがあきらかに。「バイブ買ってよ〜!」おいこらおっさん!マジメに考えた数分を返せ。今回は総じて年長組による下ネタが炸裂してた。
・カリカ
進路指導。以前の単独の乙女学園みたいですが、家城さんはわりとふつうに男子生徒。生徒待ちの林先生、たわむれにスーツを裏表にして給食のおばちゃんマンになってみる。そこに家城さん入室「他人に言わない自信はない!!」林「給食のおばちゃんマンに出会ったなう、じゃねえぞ!」時事ネタ。
で家城さんの悩みは進路とモテないことと、うんこが出過ぎること。こちらもさっそく最低の予感です。進路に対する林先生のキレのよすぎるツッコミ「不細工だから無理だよ」家城「差別です!あからさますぎて笑ってしまいました」林「不細工は笑うな!」
モテたいのにモテないのはなぜ?家城「いったい俺に何が足りないっつうんだろうなあ!」林「首から上が足りないんだよ」
で、ここから怒濤のうんこ展開。もう伏せる気にもならない。1日に20回ぐらい出る家城さん(邦衛モノマネ...?)、もしかしてこれから先の人生で出すべき未来のうんこが今すべて前借りで出てしまってるのではないか。家城「Noウォシュレット時代到来!」林先生「科学を冒涜するな!」先生は新しい可能性として世の女性の便秘問題を提起。そういえば保健室の若くてきれいなみどり先生も出ないって悩んでた。先生「世の若い女性のうんこが空間移動をしているんじゃないのか!?お前の肛門を通って出ているうんこはみどり先生のなんじゃないか!?」家城「エロい!」林「先生は興奮してきたぞ!」云々。...なんか書いてて脱力してきたぜ。でもおぼろげながらもセリフがそのまま記憶として残ってしまう、家城さんの稀有な言語センス。やっぱりカリカは別格です。そしてこうして順に並べてみるとわかる、カリカはダントツでシュールじゃない。


あ、そうだ順番は前後しますが、先に書いとこう。
かたつむり林のピンネタがすばらしかった。強盗に入ったコンビニが無人で、流されてしかたなく店員業務をやりきってしまうコンビニ強盗のコント。奇を衒わず基本を外さず、すぐれた演技力の上に成り立つ良質なネタでした。ユニットコントの間に挟まってたせいで、中盤まで「一人芝居」だと気づかなかったほど。かたつむりの破天荒な漫才にかわるものなんてないけど、でも今のかたつむり林には強くて優しい一本の芯を感じた。人は、一人の芸人はあんなふうにも変わりうるんだ。一人になった頃のAgeageをみて不安いっぱいになったことを思い出し、なんだか涙が出るほど感動しました。ネタとしてはまったくシュールじゃないのだが。でもピン芸人のネタであんなに拍手したのは初めて。

長い!もう前後で分ける。椅子にまつわるユニットコントは26日付で。

2010年02月25日(木)
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