「傲慢なんよね。男ばっかりに囲まれてて、あんなふうになっちゃった。みんな何も言わないから。オレらも悪いと思うよ。最初はあんなんじゃなかったんだよ。あんなんだから、誰も飲みには誘わないし」
会社のある男性が、Tちゃんのことを私にそう言った。 確かに。Tちゃんは傲慢。
言い方もきついし、「そんな言い方は・・」とこっちまで引いてしまいそうなくらいのコメントをしたり、本人にもきつく言ったりすることもある。みんな何とも思わないのかなあって、少し気になってた。
今のところは私に対してはあんまりないけど、それはまだ私が新人だからだろうし、遠慮もあるんだろうし、慣れてきたら変わりそう。たぶん、それでも私はTちゃんを嫌いにはならないと思う。今は前ほどTちゃんを大好きじゃないし、だからって嫌いでもない。
なんだか昔の私を見てるみたい。あんな風に見られてたんだろうなあって思う。何でも自分が正しくて、何でも思い通りにしたがっていて、気に食わないことがあるとあからさまに腹を立てて。「何様か?」って言われるくらい、強気だった。
こういうとき、本人には誰も言ってくれないもんなんだね。「あの人はああいう人」って思われて、触らぬ神にたたりなしで、ほっとこう、させたいようにさせておこう、って思われてしまうものなのかもね。本人はそれを「これでいい」あるいは「認められてる」「私は特別」と勘違いしてしまうと思う。
私自身、Tちゃんのそういう部分を指摘したり、改善させたりするつもりはまったくない。多少気に障ることがあったとしても、適当に受け流して、うまくやっていくつもりでいる。
たぶん、Tちゃんのことを私にそう言ってきた男の人は、私がおとなしそうで気弱そうに見えるから、「大変だろう?」って心配半分、愚痴半分みたいな感じで、私に言ってきたんだと思う。
Tちゃん、悪い子じゃないし、まじめで一生懸命なだけなんよね。いわゆる、お局様のような存在になってる。彼女がルールブック。悪役というか、ああいう人がいないと困るのも事実。フォロー上手で、ミスしても本人に何も言わずに手直ししてあげてたら、無責任な人が増えて仕事が増える一方だし、Tちゃんみたいにミスに対して厳しい(怖い)人がいるからこそ、ミスのないように注意するようにもなるんだろうし。
いやあ、違うかなあ。ああいう厳しい態度じゃなくて、「あの子に迷惑かけちゃいけない」っていう、やさしさに似た気持ちのほうが、うまく行くかもなあ。「怒られる」っていう怯えた気持ちよりは、ずっと前向きだと思うけど、世の中そんなに甘くないよね。
Tちゃんは「何かミスがあると私が怒られる」って言う。だからこそ、みんなを厳しく注意するんだそう。「私、怒られるの嫌いだから」って。まあね。怒られるのが好きな人はいないと思う。自分はちゃんとしてるのに、人のミスのせいで自分まで怒られるなんて、誰でもいやよね。上から来たしわ寄せが、きれいに下へ流れてる状態。働くお父さんって大変、サラリーマンって大変、最近毎日そう思う。
「私が怒られてそれで済むなら」っていう方法もあるかもしれない。何がいい方法なんだろうな。こういうことを考えるきっかけをもらえたのは良かったと思ってる。
管理職って大変ね。特に中間管理職は上下にはさまれてるし。私みたいにいろんな職場を経験してれば、いろんな職場やいろんな上司を見る機会があるけど、普通の人はこんなに転職しないから「これが当たり前」でやってるんだろうしね。
良い上司になる秘訣は、部下には「キミを信頼してるよ。頼りにしてるからね」っていう風に思わせて、実際は部下を信用しないっていうのがいいらしい。信用してないなんてことは、気付かせてはダメなんだそう。信用しすぎると仕事を任せすぎてしまい、実権を取られかねないし、信用していないことを気付かれると、部下は自分が認められないことに腹を立てて働かなくなるんだそう。これは会社の上司の話ではなく、やくざの上下関係の駆け引きでの話なんだけど。
明日で早番は終わり。今日は帰ってきてから4時間寝てるので快調。これから追加で4時間寝て、明日の朝はすっきり目覚めたい。
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