Skipper Johnの航海日誌

2007年09月17日(月) 世界の水不足をトイレが救う_TOTOの節水技術

世界の水不足をトイレが救う_TOTOの節水技術

TOTOのハイブリッドエコロジーシステムでは、まず水道からの水流が便器内のボウル面を洗浄し、次にタンクからポンプで加圧されて来る水流が汚物を便器内から勢いよく押し出す。2つの水流を効果的に組み合わせたことで、少ない水量で便器を洗浄することが可能になった。大洗浄の使用水量は5.5リットル、約10年ほど前までTOTOの主力商品だったタンク式トイレでは、大洗浄の使用水量は13リットルが一般的だっので、使用水量はこの10年で約65%も削減された。
(9月14日付け 日経BP online )

戦略ポイント: 最先端技術が中国で使えることもある

同記事から更に引用します。「家庭の中で1日に一番水を使う場所は、風呂でも台所でも、洗濯機でもない。東京都水道局の『平成14年度一般家庭水使用目的別実態調査』によれば、それはトイレだという。家庭での1日における水の使われ方はトイレが28%を占め、風呂(24%)、炊事(23%)、洗濯(17%)を上回る。トイレでの節水は、家庭全体の節水にとって大きな効果があるのだ。」 

なるほど、トイレの節水はお風呂の節水より効果が大きいんですね。私はお風呂の水量が多いと思い込んでいたので目からウロコでした。お風呂のお湯を洗濯機で再利用するのがいいのかと思っていましたが上海ではお風呂と洗濯機は離れているのでできません。トイレのタンクを小さくするという節水の新しい選択肢に感動しました。

さらに面白いことをこの記事は書いています。「中国市場でも今後、TOTOの節水技術は威力を発揮しそうだ。中国はもともと降雨量が少ないうえ、急激な都市開発と工業化に伴って深刻な水不足に悩まされている。中国市場でウォシュレットを販売するTOTOは、すでに高級ブランドとして認知されているが、今後は節水技術を核として中国での事業拡大を狙う。2006年11月には、世界で初めての大洗浄4.8リットルという超節水便器を中国で発売した。」 (筆者註:日本が5.5リットルなのは住宅が狭く配管が複雑であるからだそうです)

おぉ、なるほど、TOTOはその節水技術によって中国で最先端の便器を発売しているのですね。驚きました。中国のお手洗いは国産の陶製便器を中心に世界各国のものが設置されています。あまり水流がスムーズでないものも多く、大洗浄は禁止というお手洗いも見かけます。

中国では「とりあえず用を足せる機能」が求められることが多く、とりあえずトイレに便器があればいいという感覚は強いと思われます。しかし、上海などの都会を中心にだんだんとエコロジーを意識した人たちが増えていて、もっと水を節約できる便器に替わっていく可能性を秘めています。

また、この記事にも紹介がありましたが、「数千人の優秀な研究スタッフが日夜トイレの改良を行っている会社は世界でもTOTO一社しかない」という部分に目が留まりました。やはり専業であるということはブレなくて強いんですね。その代わり多くの時間とコストをかけていいものを開発しているのだと想像できます。今後TOTOの中国での活躍を大いに期待しています。


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Skipper John