ALALA 笙子

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2007年03月15日(木) you're stuck on you

愛というものが存在するなら、それはベッドの上で叫ぶとき以外は、その名以上に平凡で退屈なものだ。そして退屈とは、その名以上に残酷なもの。私ではない君の背中に私は小さな爪を立てて、いつのときよりも強くあるように強く君を抱きしめる。涙が溢れ出すことに安心を覚える。君の肩越しに映し出しているのは、なんということもない君のほんの冗談やほんの優しさのようなものだというのに。

帰り道で君は、彼女からの電話に応答する。私を前に歩かせて、20メートルもあるんじゃないかってくらい距離をおいて、受話器を耳にあてて俯いて歩く。知ったところでどうにもならない疑問ばかり気になって仕方ないから、頭の中で陰湿に繰り返す。面倒くさいと思われるくらいなら、いくつかの感情を殺すことの方がよっぽどスマートだから。
最近は以前よりも、話すことが少なくなった。君は「自分に自信がないから」というけど、本当のことはわからない上に今は知る必要がないのだろうし、私自身のことについても切り捨てる必要があるのだということは自覚している。私自身が望んだことだということも。

「孤独に寄り添って眠って、私達が待つのは朝なんかじゃない」。


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