☆空想代理日記☆
INDEX|past|will
昨日は朝から冷たい雨が降っていた。不逞者の気象庁は悲鳴をあげていた。が、お正月を迎えるための買い物をしなければならなかった。
店内は争奪戦が繰り広げられていた。狂気を眼に宿したおばさんたちが暴れていた。それはヒステリックワールドと表現してもおかしくないほどだった。
おばさんたちは、髪の毛を引っ張りあっていた。
「あんたのセーター、毛玉だらけよ!」 「ドリアンくさいんだから、喋らないでちょーだい!」
このような汚い罵声がとんでいた。
それらを無視して奥へ進むと、試食にカズノコが爪楊枝で喰べられるようになっていた。不逞者は嫌いなので素通りし、試食する人を観察していた。
ひとりのおばさんがカズノコの前に立った。きょろきょろして、辺りを窺っていた。そして電動ミシンのような速さでばくばく喰べていた。あの速さに匹敵するのは、ドラえもんのどら焼きを喰べる速度くらいだった。
それよりも問題だったのは、呪いのかかったカゴを不逞者は無意識に持ってしまったことである。
気がつけばカゴのなかは甘いお菓子ばかりになっていた。なんと素敵な呪いなのだろうか。
|